船舶検査法
法令番号: 法律第六十七號
公布年月日: 明治29年4月7日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル船舶檢査法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年四月六日
內閣總理大臣 侯爵 伊藤博文
遞信大臣 白根專一
法律第六十七號
船舶檢査法
第一條 日本船舶ハ左ニ記載スルモノヲ除ク外此ノ法律ノ規程ニ依リ檢査ヲ受クヘシ
一 海軍艦船艇
二 登簿噸數十五噸未滿若ハ積石數百五十石未滿ノ帆船
三 湖川其ノ他靜穩ノ海上ヲ航行スル帆船
四 櫓櫂ノミヲ以テ航行スル船舶
第二條 此ノ法律ニ依リ檢査ヲ受クヘキ汽船ハ遠洋航船、近海航船、沿海航船、平水航船ノ四種トシ帆船ハ遠洋航船、近海航船ノ二種トス
第三條 船舶ノ檢査ハ船舶ヲ日本船舶トシテ初メテ航行ノ用ニ供スルトキ其ノ航行期間滿了ノトキ及航行期間內特ニ必要アルトキ之ヲ行フ
第四條 船舶ノ航行期間ハ汽船ニ在テハ三箇月以上一箇年以內、帆船ニ在テハ六箇月以上三箇年以內トス
第五條 登簿噸數十五噸以上若ハ積石數百五十石以上ノ船舶ノ檢査ハ其ノ所在地ヲ管轄スル船舶司檢所之ヲ行ヒ登簿噸數十五噸未滿ノ汽船ノ檢査ハ其ノ仕出地ノ地方官廳之ヲ行フ
第六條 檢査官吏船舶ヲ檢査シ遞信大臣ノ定ムル檢査規程ニ適合スルモノト認ムルトキハ本船ノ航路定限、旅客定員、汽壓制限及航行期間ヲ定メ管轄官廳ヨリ船舶檢査證書ヲ交付スヘシ
第七條 檢査ヲ受ケタル船舶ノ所有者又ハ船長ニ於テ船舶檢査證書ノ受有前ニ船舶ヲ航行ノ用ニ供セムトスルトキハ檢査官吏ハ其ノ請求ニ依リ假證書ヲ交付シテ之ヲ許可スルコトヲ得
第八條 檢査官吏ハ何時ニテモ船舶ニ臨視シ若特ニ檢査ヲ爲スノ必要アリト認ムルトキハ其ノ航行ヲ停止スルコトヲ得
第九條 船舶ノ檢査ニ對シ不服アル者ハ其ノ事由ヲ具シ遞信大臣ニ再檢査ヲ申請スルコトヲ得
再檢査ヲ申請シタル者ハ其ノ決定前船舶ノ原狀ヲ變更スルコトヲ得ス
第十條 遞信大臣ノ特ニ定ムル場合ノ外船舶檢査證書若ハ假證書ヲ受有セスシテ船舶ヲ航行ノ用ニ供シ又ハ船舶檢査證書若ハ假證書ニ記載スル船舶ノ航路定限、航行期間ヲ超エテ航行シタル者ハ三十圓以上三百圓以下ノ罰金ニ處ス
詐僞ノ所爲ヲ以テ船舶檢査證書若ハ假證書ヲ受ケ又ハ汽壓制限ヲ超エテ航行シ又ハ檢査官吏ノ臨視ヲ拒ミ又ハ航行停止ノ命ニ違背シ又ハ必要ナル屬具ノ整備ヲ爲サスシテ船舶ヲ航行ノ用ニ供シタル者亦同シ
船舶檢査證書若ハ假證書ニ記載スル旅客定員ヲ超エテ旅客ヲ搭載シタル者ハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十一條 前條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法ノ數罪俱發ノ例ヲ用井ス
前條ノ罰則ハ商事會社ニ在テハ其ノ所爲ヲ爲シタル業務擔當ノ任アル社員取締役若ハ使用人ニ之ヲ適用ス
第十二條 船舶ノ航路定限、航行期間、旅客定員及汽壓制限ニ關スル規程其ノ他此ノ法律ノ施行ニ必要ナル細則ハ遞信大臣之ヲ定ム
附 則
第十三條 此ノ法律ハ明治三十年七月一日ヨリ施行ス
第十四條 明治十七年第三十號布吿西洋形船舶檢査規則ハ此ノ法律施行ノ日ヨリ廢止ス
第十五條 明治十七年第三十號布吿西洋形船舶檢査規則ニ依リ交付シタル船舶檢査證書ハ其ノ有效期間滿了マテ效力ヲ有ス
第十六條 此ノ法律施行ノ際現存スル積石數百五十石以上ノ帆船ハ遞信大臣ノ定ムル順序ニ依リ漸次檢査ヲ受クルマテ船舶檢査證書ヲ受有セスシテ航行ノ用ニ供スルコトヲ得
第十七條 此ノ法律ハ外國ノ船籍ニ屬スル船舶ヲ借入レ帝國各港ノ間又ハ帝國ト外國トノ間ニ於テ航行ノ用ニ供スル者ニモ亦之ヲ適用ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル船舶検査法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年四月六日
内閣総理大臣 侯爵 伊藤博文
逓信大臣 白根専一
法律第六十七号
船舶検査法
第一条 日本船舶ハ左ニ記載スルモノヲ除ク外此ノ法律ノ規程ニ依リ検査ヲ受クヘシ
一 海軍艦船艇
二 登簿噸数十五噸未満若ハ積石数百五十石未満ノ帆船
三 湖川其ノ他静穏ノ海上ヲ航行スル帆船
四 櫓櫂ノミヲ以テ航行スル船舶
第二条 此ノ法律ニ依リ検査ヲ受クヘキ汽船ハ遠洋航船、近海航船、沿海航船、平水航船ノ四種トシ帆船ハ遠洋航船、近海航船ノ二種トス
第三条 船舶ノ検査ハ船舶ヲ日本船舶トシテ初メテ航行ノ用ニ供スルトキ其ノ航行期間満了ノトキ及航行期間内特ニ必要アルトキ之ヲ行フ
第四条 船舶ノ航行期間ハ汽船ニ在テハ三箇月以上一箇年以内、帆船ニ在テハ六箇月以上三箇年以内トス
第五条 登簿噸数十五噸以上若ハ積石数百五十石以上ノ船舶ノ検査ハ其ノ所在地ヲ管轄スル船舶司検所之ヲ行ヒ登簿噸数十五噸未満ノ汽船ノ検査ハ其ノ仕出地ノ地方官庁之ヲ行フ
第六条 検査官吏船舶ヲ検査シ逓信大臣ノ定ムル検査規程ニ適合スルモノト認ムルトキハ本船ノ航路定限、旅客定員、汽圧制限及航行期間ヲ定メ管轄官庁ヨリ船舶検査証書ヲ交付スヘシ
第七条 検査ヲ受ケタル船舶ノ所有者又ハ船長ニ於テ船舶検査証書ノ受有前ニ船舶ヲ航行ノ用ニ供セムトスルトキハ検査官吏ハ其ノ請求ニ依リ仮証書ヲ交付シテ之ヲ許可スルコトヲ得
第八条 検査官吏ハ何時ニテモ船舶ニ臨視シ若特ニ検査ヲ為スノ必要アリト認ムルトキハ其ノ航行ヲ停止スルコトヲ得
第九条 船舶ノ検査ニ対シ不服アル者ハ其ノ事由ヲ具シ逓信大臣ニ再検査ヲ申請スルコトヲ得
再検査ヲ申請シタル者ハ其ノ決定前船舶ノ原状ヲ変更スルコトヲ得ス
第十条 逓信大臣ノ特ニ定ムル場合ノ外船舶検査証書若ハ仮証書ヲ受有セスシテ船舶ヲ航行ノ用ニ供シ又ハ船舶検査証書若ハ仮証書ニ記載スル船舶ノ航路定限、航行期間ヲ超エテ航行シタル者ハ三十円以上三百円以下ノ罰金ニ処ス
詐偽ノ所為ヲ以テ船舶検査証書若ハ仮証書ヲ受ケ又ハ汽圧制限ヲ超エテ航行シ又ハ検査官吏ノ臨視ヲ拒ミ又ハ航行停止ノ命ニ違背シ又ハ必要ナル属具ノ整備ヲ為サスシテ船舶ヲ航行ノ用ニ供シタル者亦同シ
船舶検査証書若ハ仮証書ニ記載スル旅客定員ヲ超エテ旅客ヲ搭載シタル者ハ十円以上百円以下ノ罰金ニ処ス
第十一条 前条ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法ノ数罪俱発ノ例ヲ用井ス
前条ノ罰則ハ商事会社ニ在テハ其ノ所為ヲ為シタル業務担当ノ任アル社員取締役若ハ使用人ニ之ヲ適用ス
第十二条 船舶ノ航路定限、航行期間、旅客定員及汽圧制限ニ関スル規程其ノ他此ノ法律ノ施行ニ必要ナル細則ハ逓信大臣之ヲ定ム
附 則
第十三条 此ノ法律ハ明治三十年七月一日ヨリ施行ス
第十四条 明治十七年第三十号布告西洋形船舶検査規則ハ此ノ法律施行ノ日ヨリ廃止ス
第十五条 明治十七年第三十号布告西洋形船舶検査規則ニ依リ交付シタル船舶検査証書ハ其ノ有効期間満了マテ効力ヲ有ス
第十六条 此ノ法律施行ノ際現存スル積石数百五十石以上ノ帆船ハ逓信大臣ノ定ムル順序ニ依リ漸次検査ヲ受クルマテ船舶検査証書ヲ受有セスシテ航行ノ用ニ供スルコトヲ得
第十七条 此ノ法律ハ外国ノ船籍ニ属スル船舶ヲ借入レ帝国各港ノ間又ハ帝国ト外国トノ間ニ於テ航行ノ用ニ供スル者ニモ亦之ヲ適用ス