陸軍衛生部現役士官補充条例
法令番号: 勅令第七十七號
公布年月日: 明治26年7月28日
法令の形式: 勅令
朕陸軍衞生部現役士官補充條例改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年七月二十七日
陸軍大臣 伯爵 大山巖
勅令第七十七號
陸軍衞生部現役士官補充條例
第一條 陸軍衞生部現役士官ノ補充ハ四箇月以上衞生部士官ノ勤務ヲ習得シ衞生部士官選擧會議ニ於テ可決シタル衞生部士官候補生ヲ以テス
第二條 衞生部士官候補生ハ帝國大學醫科大學學生中陸軍出身志願ノ者ヲ醫科大學依託學生トナシ同學ノ課程ヲ卒業セシメタル者ヨリ採用ス若シ其要員不足シタルトキハ一年志願兵中軍醫生若クハ藥劑生ニシテ候補生志願ノ者ヨリ採用ス但軍醫生ハ醫術開業免狀藥劑生ハ藥劑師免狀ヲ所持スル者ニ限ル
第三條 第二條ノ依託學生ハ四十名ヲ以テ定員トス
依託學生ノ補缺要員及軍醫生藥劑生ヨリ召募スヘキ候補生志願者ノ要員竝其採用方法ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第四條 衞生部士官候補生ノ身分ハ曹長同等ノ階級トシ位置ハ曹長ノ上位トス而シテ士官候補生ヲ一ニ見習醫官若クハ見習藥劑官ト云フ
衞生部士官候補生ハ師團司令部所在地ノ部隊ニ配布シ衞生部士官ノ勤務ヲ習得セシム其見習醫官ハ步兵聯隊ニ見習藥劑官ハ衞戍病院ニ於テス但其部隊ハ醫務局長之ヲ定メ同時ニ師團長ニ移牒ス
衞生部士官候補生ハ營外ニ居住セシメ士官以上ノ公會ニ於テハ之ニ列席セシムルヲ要ス
第五條 見習醫官ノ被服ハ一等看護長、見習藥劑官ノ被服ハ一等調劑手同一ノモノヲ給ス但劒、劒緖、劒帶、携帶嚢、脚絆ハ衞生部士官同一ノモノヲ給ス
第六條 衞生部士官候補生ハ配布ヲ受ケタル師團ノ軍醫長之ヲ管理シ其敎育ハ該隊高級ノ醫官若クハ衞戍病院長之ヲ掌ル
第七條 衞生部士官候補生ヲ部隊ニ配布シテ四箇月ヲ經過シタルトキ軍醫長ハ先ツ該隊高級醫官若クハ衞戍病院長ヨリ本人ノ學術及勤務品行等衞生部士官ニ適當タルヘキ保證書ヲ得尙ホ自ラ是認シタル後衞生部士官選擧會議ニ附ス
第八條 衞生部士官選擧會議ハ師團軍醫部ニ之ヲ開キ議長ハ軍醫長議員ハ所在地一等軍醫一等藥劑官以上ノ者トス其可否ノ意見ハ選擧報吿紙ニ記入セシム但第七條ノ保證ヲナシタル者ハ可否ノ數ニ加ハルコトヲ得ス
第九條 衞生部士官選擧會議ニ於テ議員多數可トスルトキハ軍醫長ハ其報吿書ヲ添ヘ三等軍醫又ハ三等藥劑官ノ資格ヲ備フルコトヲ醫務局長ニ具申ス醫務局長ハ之ヲ審査シ本人ノ履歷書ヲ添ヘ陸軍大臣ニ具申ス
第十條 選擧會議ニ於テ議員ノ多數否認シタルトキ若クハ六箇月以上ニ至ルモ選擧會議ニ附スルコト能ハサル者アルトキハ軍醫長ハ其事由ヲ醫務局長ニ具申ス醫務局長ハ之ヲ審査シ狀ヲ具シテ陸軍大臣ニ進達シ陸軍大臣ハ衞生部士官候補生ノ分限ヲ除クノ裁定ヲ爲スコトヲ得此裁定ヲ受ケタル者軍醫生藥劑生出身ノ者ナルトキハ更ニ軍醫生、藥劑生ニ復セシメ前役ヲ通シテ現役、豫備役、後備役ニ服セシム
附 則
第十一條 此條例ハ明治二十六年八月一日ヨリ施行ス
朕陸軍衛生部現役士官補充条例改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年七月二十七日
陸軍大臣 伯爵 大山巌
勅令第七十七号
陸軍衛生部現役士官補充条例
第一条 陸軍衛生部現役士官ノ補充ハ四箇月以上衛生部士官ノ勤務ヲ習得シ衛生部士官選挙会議ニ於テ可決シタル衛生部士官候補生ヲ以テス
第二条 衛生部士官候補生ハ帝国大学医科大学学生中陸軍出身志願ノ者ヲ医科大学依託学生トナシ同学ノ課程ヲ卒業セシメタル者ヨリ採用ス若シ其要員不足シタルトキハ一年志願兵中軍医生若クハ薬剤生ニシテ候補生志願ノ者ヨリ採用ス但軍医生ハ医術開業免状薬剤生ハ薬剤師免状ヲ所持スル者ニ限ル
第三条 第二条ノ依託学生ハ四十名ヲ以テ定員トス
依託学生ノ補欠要員及軍医生薬剤生ヨリ召募スヘキ候補生志願者ノ要員並其採用方法ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第四条 衛生部士官候補生ノ身分ハ曹長同等ノ階級トシ位置ハ曹長ノ上位トス而シテ士官候補生ヲ一ニ見習医官若クハ見習薬剤官ト云フ
衛生部士官候補生ハ師団司令部所在地ノ部隊ニ配布シ衛生部士官ノ勤務ヲ習得セシム其見習医官ハ歩兵連隊ニ見習薬剤官ハ衛戍病院ニ於テス但其部隊ハ医務局長之ヲ定メ同時ニ師団長ニ移牒ス
衛生部士官候補生ハ営外ニ居住セシメ士官以上ノ公会ニ於テハ之ニ列席セシムルヲ要ス
第五条 見習医官ノ被服ハ一等看護長、見習薬剤官ノ被服ハ一等調剤手同一ノモノヲ給ス但剣、剣緒、剣帯、携帯嚢、脚絆ハ衛生部士官同一ノモノヲ給ス
第六条 衛生部士官候補生ハ配布ヲ受ケタル師団ノ軍医長之ヲ管理シ其教育ハ該隊高級ノ医官若クハ衛戍病院長之ヲ掌ル
第七条 衛生部士官候補生ヲ部隊ニ配布シテ四箇月ヲ経過シタルトキ軍医長ハ先ツ該隊高級医官若クハ衛戍病院長ヨリ本人ノ学術及勤務品行等衛生部士官ニ適当タルヘキ保証書ヲ得尚ホ自ラ是認シタル後衛生部士官選挙会議ニ附ス
第八条 衛生部士官選挙会議ハ師団軍医部ニ之ヲ開キ議長ハ軍医長議員ハ所在地一等軍医一等薬剤官以上ノ者トス其可否ノ意見ハ選挙報告紙ニ記入セシム但第七条ノ保証ヲナシタル者ハ可否ノ数ニ加ハルコトヲ得ス
第九条 衛生部士官選挙会議ニ於テ議員多数可トスルトキハ軍医長ハ其報告書ヲ添ヘ三等軍医又ハ三等薬剤官ノ資格ヲ備フルコトヲ医務局長ニ具申ス医務局長ハ之ヲ審査シ本人ノ履歴書ヲ添ヘ陸軍大臣ニ具申ス
第十条 選挙会議ニ於テ議員ノ多数否認シタルトキ若クハ六箇月以上ニ至ルモ選挙会議ニ附スルコト能ハサル者アルトキハ軍医長ハ其事由ヲ医務局長ニ具申ス医務局長ハ之ヲ審査シ状ヲ具シテ陸軍大臣ニ進達シ陸軍大臣ハ衛生部士官候補生ノ分限ヲ除クノ裁定ヲ為スコトヲ得此裁定ヲ受ケタル者軍医生薬剤生出身ノ者ナルトキハ更ニ軍医生、薬剤生ニ復セシメ前役ヲ通シテ現役、予備役、後備役ニ服セシム
附 則
第十一条 此条例ハ明治二十六年八月一日ヨリ施行ス