海軍軍人俸給令
法令番号: 勅令第八十五號
公布年月日: 明治22年6月26日
法令の形式: 勅令
朕玆ニ海軍軍人俸給令ヲ裁可ス
御名御璽
明治二十二年六月二十五日
內閣總理大臣 伯爵 黑田淸隆
海軍大臣 伯爵 西鄕從道
勅令第八十五號
海軍軍人俸給令
第一條 海軍高等武官ノ俸給ハ第一表ニ准士官ノ俸給ハ第二表ニ下士卒ノ俸給ハ第三表ニ依ル
第二條 在職俸ハ現ニ軍務ヲ奉スル者ニ給シ休職俸ハ休職者ニ給シ停職俸ハ停職者ニ給スルモノトス
第三條 特別俸ハ奏任一等又ハ四等ニ敍スルノ後在職滿六箇年以上ニシテ勤勞アリ且成績顯著ナル者ニ之ヲ給ス
第四條 上等俸ハ現等ニ敍スルノ後在職滿一箇年半以上ニシテ勤勉ナル者ニ之ヲ給ス但上等俸ヲ給スル人員ハ同官同等現役員ノ半數ニ超過スルヲ得ス
第五條 准士官以上ニシテ修學ヲ命セラレタル者ニハ在職俸十分ノ八ヲ給ス
第六條 准士官以上ニシテ恩給令ニ依リ休暇ヲ命セラレタル者又ハ休職者ニシテ某地滯在ヲ命セラレタル者ニハ在職俸十分ノ八ヲ給ス
第七條 候補生ニハ日給八十錢ヲ給ス又修學ヲ命シタルトキハ同六十錢ヲ給ス
第八條 下士卒ノ定員俸ハ定員及定員ニ準スヘキ服役者ニ給シ員外俸ハ定員外ニ在ル者ニ給スルモノトス
第九條 一等下士ノ特別俸ハ一等給ヲ給シタルノ後滿三箇年以上ニシテ拔群ノ勤勞アル者ニ之ヲ給ス
第十條 善行章ヲ有スル者ニハ一線每ニ一日一錢ノ加俸ヲ給ス
第十一條 一等掌砲證狀及一等掌水雷證狀ヲ有スル者ニハ一日三錢二等掌砲證狀及二等掌水雷證狀ヲ有スル者ニハ一日二錢ノ加俸ヲ給ス但同等ノ證狀ヲ併有スル者ニハ其一ノ證狀ニ就キ之ヲ給シ一等二等ノ證狀ヲ併有スル者ニハ其多額ニ就キ給スルモノトス
第十二條 准士官以上ニシテ左ニ揭クル事項ノ一ニ該ル者ニハ在職俸十分ノ二下士卒ニシテ左ニ揭クル事項ノ一ニ該ル者ニハ其受ル所俸給ノ十分ノ四ヲ給ス但公務ニ原因シ又ハ外國出張若クハ航海中第二項第三項第四項ニ該ル者ニハ其全額ヲ給ス
一 准士官以上ニシテ被吿人トナリ遞傳護送留置收禁抅留懲罰中ノ者及輕禁錮ニ處セラレ其官ヲ失ハサル者
二 下士卒ニシテ傷痍疾病ニ依リ入院若クハ陸地療養ノ者
三 陸上勤務ノ下士卒ニシテ外宿中傷痍疾病ニ依リ缺勤一週日以上ニ及フ者
四 下士卒ニシテ公務出張中傷痍疾病ニ依リ缺勤一週日以上ニ及フ者
第十三條 左ニ揭クル事項ノ一ニ該ル者ニハ其間俸給及加俸ヲ給セス
一 下士卒ニシテ海軍部外ノ各廳ヘ貸與シタル者但奏樂ノ爲メ一時貸與スル軍樂員ハ此限ニアラス
二 下士卒ニシテ願ニ依リ歸鄕ノ者
三 候補生及下士卒ニシテ被吿人トナリ遞傳護送留置收禁抅留刑罰中ノ者
四 擅ニ艦船團若クハ職役ヲ離レタル者
五 休職者ニシテ官民ヨリ給料若クハ報酬ヲ受クル者但將校機關官ニシテ外國航船及內國航船ノ船長運轉手機關手ノ職ニ從事スル者ハ此限ニアラス
第十四條 豫備後備ノ准士官以上ヲ召集シタルトキハ現役者ニ準シ相當ノ俸給ヲ給ス
第十五條 豫備兵後備兵及歸休兵ヲ召集シタルトキハ現役者ニ準シ相當ノ俸給ヲ給ス
第十六條 豫備後備ノ准士官以上豫備兵後備兵及歸休兵ノ召集服役中給與ノ制ハ渾テ本令ニ依ルモノトス
第十七條 死亡者若クハ逃亡者ニ給スヘキ金額アルトキハ其家族ノ請求ニ依リ之ヲ下付ス
第十八條 本令ニ關スル細則ハ海軍大臣大藏大臣ト商議シ之ヲ定ム
附 則
第十九條 第十二條第一項及第十三條第三項第四項ハ海軍軍屬ニ適用ス
第二十條 大技士少技士ニシテ現今中俸ヲ給スル者ニハ第四條但書ノ例ニ依ラス上等俸ヲ給スルコトヲ得
第二十一條 本令ハ明治二十二年七月一日ヨリ施行ス
【表】
【表】
【表】
朕茲ニ海軍軍人俸給令ヲ裁可ス
御名御璽
明治二十二年六月二十五日
内閣総理大臣 伯爵 黒田清隆
海軍大臣 伯爵 西郷従道
勅令第八十五号
海軍軍人俸給令
第一条 海軍高等武官ノ俸給ハ第一表ニ准士官ノ俸給ハ第二表ニ下士卒ノ俸給ハ第三表ニ依ル
第二条 在職俸ハ現ニ軍務ヲ奉スル者ニ給シ休職俸ハ休職者ニ給シ停職俸ハ停職者ニ給スルモノトス
第三条 特別俸ハ奏任一等又ハ四等ニ叙スルノ後在職満六箇年以上ニシテ勤労アリ且成績顕著ナル者ニ之ヲ給ス
第四条 上等俸ハ現等ニ叙スルノ後在職満一箇年半以上ニシテ勤勉ナル者ニ之ヲ給ス但上等俸ヲ給スル人員ハ同官同等現役員ノ半数ニ超過スルヲ得ス
第五条 准士官以上ニシテ修学ヲ命セラレタル者ニハ在職俸十分ノ八ヲ給ス
第六条 准士官以上ニシテ恩給令ニ依リ休暇ヲ命セラレタル者又ハ休職者ニシテ某地滞在ヲ命セラレタル者ニハ在職俸十分ノ八ヲ給ス
第七条 候補生ニハ日給八十銭ヲ給ス又修学ヲ命シタルトキハ同六十銭ヲ給ス
第八条 下士卒ノ定員俸ハ定員及定員ニ準スヘキ服役者ニ給シ員外俸ハ定員外ニ在ル者ニ給スルモノトス
第九条 一等下士ノ特別俸ハ一等給ヲ給シタルノ後満三箇年以上ニシテ抜群ノ勤労アル者ニ之ヲ給ス
第十条 善行章ヲ有スル者ニハ一線毎ニ一日一銭ノ加俸ヲ給ス
第十一条 一等掌砲証状及一等掌水雷証状ヲ有スル者ニハ一日三銭二等掌砲証状及二等掌水雷証状ヲ有スル者ニハ一日二銭ノ加俸ヲ給ス但同等ノ証状ヲ併有スル者ニハ其一ノ証状ニ就キ之ヲ給シ一等二等ノ証状ヲ併有スル者ニハ其多額ニ就キ給スルモノトス
第十二条 准士官以上ニシテ左ニ掲クル事項ノ一ニ該ル者ニハ在職俸十分ノ二下士卒ニシテ左ニ掲クル事項ノ一ニ該ル者ニハ其受ル所俸給ノ十分ノ四ヲ給ス但公務ニ原因シ又ハ外国出張若クハ航海中第二項第三項第四項ニ該ル者ニハ其全額ヲ給ス
一 准士官以上ニシテ被告人トナリ逓伝護送留置収禁拘留懲罰中ノ者及軽禁錮ニ処セラレ其官ヲ失ハサル者
二 下士卒ニシテ傷痍疾病ニ依リ入院若クハ陸地療養ノ者
三 陸上勤務ノ下士卒ニシテ外宿中傷痍疾病ニ依リ欠勤一週日以上ニ及フ者
四 下士卒ニシテ公務出張中傷痍疾病ニ依リ欠勤一週日以上ニ及フ者
第十三条 左ニ掲クル事項ノ一ニ該ル者ニハ其間俸給及加俸ヲ給セス
一 下士卒ニシテ海軍部外ノ各庁ヘ貸与シタル者但奏楽ノ為メ一時貸与スル軍楽員ハ此限ニアラス
二 下士卒ニシテ願ニ依リ帰郷ノ者
三 候補生及下士卒ニシテ被告人トナリ逓伝護送留置収禁拘留刑罰中ノ者
四 擅ニ艦船団若クハ職役ヲ離レタル者
五 休職者ニシテ官民ヨリ給料若クハ報酬ヲ受クル者但将校機関官ニシテ外国航船及内国航船ノ船長運転手機関手ノ職ニ従事スル者ハ此限ニアラス
第十四条 予備後備ノ准士官以上ヲ召集シタルトキハ現役者ニ準シ相当ノ俸給ヲ給ス
第十五条 予備兵後備兵及帰休兵ヲ召集シタルトキハ現役者ニ準シ相当ノ俸給ヲ給ス
第十六条 予備後備ノ准士官以上予備兵後備兵及帰休兵ノ召集服役中給与ノ制ハ渾テ本令ニ依ルモノトス
第十七条 死亡者若クハ逃亡者ニ給スヘキ金額アルトキハ其家族ノ請求ニ依リ之ヲ下付ス
第十八条 本令ニ関スル細則ハ海軍大臣大蔵大臣ト商議シ之ヲ定ム
附 則
第十九条 第十二条第一項及第十三条第三項第四項ハ海軍軍属ニ適用ス
第二十条 大技士少技士ニシテ現今中俸ヲ給スル者ニハ第四条但書ノ例ニ依ラス上等俸ヲ給スルコトヲ得
第二十一条 本令ハ明治二十二年七月一日ヨリ施行ス
【表】
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