砲兵工廠条例
法令番号: 勅令第百七十二號
公布年月日: 明治23年8月15日
法令の形式: 勅令
朕砲兵工廠條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年八月十四日
陸軍大臣 伯爵 大山巖
勅令第百七十二號
砲兵工廠條例
第一條 砲兵工廠ハ陸軍所要ノ兵器彈藥ヲ製造及修理スル所トス
第二條 砲兵工廠ハ之ヲ東京及大阪ニ置キ其製造所ヲ設クルコト左ノ如シ
東京砲兵工廠
小銃製造所
銃包製造所
火具製造所
砲具製造所
板橋火藥製造所
岩鼻火藥製造所
大阪砲兵工廠
火砲製造所
砲架製造所
彈丸製造所
火具製造所
砲具製造所
第三條 兵器ノ修理ハ東京大阪ニ在テハ直ニ工廠ニ於テ之ヲ執行シ其他ハ砲兵方面支署所在地ニ工廠ノ派出所ヲ置キ方面支署長ヲシテ其事ヲ管掌セシム但其經費ハ總テ工廠ノ負擔トス
第四條 砲兵工廠ニ左ノ職員ヲ置ク
提理 砲兵大中佐 一人
副提理 砲兵少佐 一人
檢査官
東京
砲兵少佐 一人
砲兵大中尉 二人
大阪
砲兵少佐 一人
砲兵大尉 一人
製造所長 砲兵大中尉若クハ技師
東京 六人
大阪 五人
一等軍醫東京砲兵工廠ニ在テハ砲兵工科學舍軍醫ヲ以テ兼補ス 一人
技師若クハ技師試補 四人
第五條 第四條ニ揭クル職員ノ外砲兵上等監護及技手屬若干ヲ置ク但技手ニ限リ當分ノ內砲兵科下士ヲ混用スルコトヲ得
第六條 提理ハ陸軍大臣ニ隸シ工廠ノ事務ヲ總理シ兼テ工廠ニ屬スル建築工事ヲ掌トリ管掌ノ事務ニ於テハ其責ニ任ス
東京砲兵工廠提理ハ砲兵工科學舍ヲ監督シ其實業敎授ノ事ヲ管理ス
第七條 副提理ハ提理ヲ補佐シ工廠ノ事務ヲ整理ス
第八條 檢査官ハ製造ノ兵器彈藥審査檢定ノ事ヲ掌ル
第九條 製造所長ハ製造所ノ工務ヲ擔任ス
第十條 技師及砲兵上等監護技手屬ハ上官ノ命ヲ受ケ其事務ヲ分掌ス
第十一條 砲兵方面支署所在地ノ工廠派出所ニハ屬若干ヲ分派シ方面支署長ノ命ヲ受ケ兵器修理ニ關スル費用及材料ノ出納ヲ掌ラシム
第十二條 凡テ兵器彈藥ハ陸軍大臣ノ許可ヲ經ルニアラサレハ製造スルコトヲ得ス但砲兵會議議長ヨリ試驗ノ材料模範等ヲ要求スルトキハ此限ニアラス
第十三條 官廳又ハ人民ヨリ物品ノ製造ヲ依賴スルトキ軍用ノ製造事業ニ妨ケナキ限リハ之ニ應スルコトヲ得但軍用制式ノ製造ハ必ス陸軍大臣ノ許可ヲ經ヘシ
第十四條 工廠及製造所附近ノ地ニ騷擾警戒ノ事アレハ提理ヨリ地方衞戍司令官ニ牒吿シテ衞兵ノ派遣ヲ請ヒ守備ヲ嚴ニスヘシ
附 則
第十五條 連發銃竝海岸砲創製中各工廠ニ佐官各一人ヲ置ク
朕砲兵工廠条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年八月十四日
陸軍大臣 伯爵 大山巌
勅令第百七十二号
砲兵工廠条例
第一条 砲兵工廠ハ陸軍所要ノ兵器弾薬ヲ製造及修理スル所トス
第二条 砲兵工廠ハ之ヲ東京及大阪ニ置キ其製造所ヲ設クルコト左ノ如シ
東京砲兵工廠
小銃製造所
銃包製造所
火具製造所
砲具製造所
板橋火薬製造所
岩鼻火薬製造所
大阪砲兵工廠
火砲製造所
砲架製造所
弾丸製造所
火具製造所
砲具製造所
第三条 兵器ノ修理ハ東京大阪ニ在テハ直ニ工廠ニ於テ之ヲ執行シ其他ハ砲兵方面支署所在地ニ工廠ノ派出所ヲ置キ方面支署長ヲシテ其事ヲ管掌セシム但其経費ハ総テ工廠ノ負担トス
第四条 砲兵工廠ニ左ノ職員ヲ置ク
提理 砲兵大中佐 一人
副提理 砲兵少佐 一人
検査官
東京
砲兵少佐 一人
砲兵大中尉 二人
大阪
砲兵少佐 一人
砲兵大尉 一人
製造所長 砲兵大中尉若クハ技師
東京 六人
大阪 五人
一等軍医東京砲兵工廠ニ在テハ砲兵工科学舎軍医ヲ以テ兼補ス 一人
技師若クハ技師試補 四人
第五条 第四条ニ掲クル職員ノ外砲兵上等監護及技手属若干ヲ置ク但技手ニ限リ当分ノ内砲兵科下士ヲ混用スルコトヲ得
第六条 提理ハ陸軍大臣ニ隷シ工廠ノ事務ヲ総理シ兼テ工廠ニ属スル建築工事ヲ掌トリ管掌ノ事務ニ於テハ其責ニ任ス
東京砲兵工廠提理ハ砲兵工科学舎ヲ監督シ其実業教授ノ事ヲ管理ス
第七条 副提理ハ提理ヲ補佐シ工廠ノ事務ヲ整理ス
第八条 検査官ハ製造ノ兵器弾薬審査検定ノ事ヲ掌ル
第九条 製造所長ハ製造所ノ工務ヲ担任ス
第十条 技師及砲兵上等監護技手属ハ上官ノ命ヲ受ケ其事務ヲ分掌ス
第十一条 砲兵方面支署所在地ノ工廠派出所ニハ属若干ヲ分派シ方面支署長ノ命ヲ受ケ兵器修理ニ関スル費用及材料ノ出納ヲ掌ラシム
第十二条 凡テ兵器弾薬ハ陸軍大臣ノ許可ヲ経ルニアラサレハ製造スルコトヲ得ス但砲兵会議議長ヨリ試験ノ材料模範等ヲ要求スルトキハ此限ニアラス
第十三条 官庁又ハ人民ヨリ物品ノ製造ヲ依頼スルトキ軍用ノ製造事業ニ妨ケナキ限リハ之ニ応スルコトヲ得但軍用制式ノ製造ハ必ス陸軍大臣ノ許可ヲ経ヘシ
第十四条 工廠及製造所附近ノ地ニ騒擾警戒ノ事アレハ提理ヨリ地方衛戍司令官ニ牒告シテ衛兵ノ派遣ヲ請ヒ守備ヲ厳ニスヘシ
附 則
第十五条 連発銃並海岸砲創製中各工廠ニ佐官各一人ヲ置ク