北海道庁官制
法令番号: 勅令第百十九號
公布年月日: 明治23年7月7日
法令の形式: 勅令
朕北海道廳官制ノ改正ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年七月五日
內閣總理大臣 伯爵 山縣有朋
內務大臣 伯爵 西鄕從道
勅令第百十九號
北海道廳官制
第一條 北海道廳ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 一人
理事官 三人
參事官 二人
技師 十三人
技師試補 三人
屬 百五十人
技手 八十人
警部警部補 四十二人
第二條 北海道廳ニ左ノ郡區官ヲ置ク
郡長 二十人
區長 二人
郡書記 百三十人
區書記 三十人
第三條 北海道廳ニ左ノ監獄官ヲ置ク
典獄 六人
副典獄 六人
書記 六十二人
看守長 百五人
監獄醫 十五人
第四條 長官ハ勅任トス內務大臣ノ指揮監督ニ屬シ各省ノ主務ニ就テハ各省大臣ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ北海道ノ拓地殖民竝部內ノ行政及警察ニ關スル一切ノ事務ヲ統理ス
第五條 長官ハ屯田兵ノ開墾授產ノ事ヲ監督ス
第六條 長官ハ北海道ノ事務ニ付其職權若クハ特別ノ委任ニ依リ法律命令ノ範圍內ニ於テ管內一般又ハ其一部ニ廳令ヲ發スルコトヲ得
第七條 廳令ハ內務大臣其他主務ノ大臣ニ於テ公益ヲ害シ成規ニ違ヒ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ之ヲ取消シ又ハ中止スルコトアルヘシ
第八條 長官ハ非常急變ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ爲メ兵備ヲ要スルトキハ師團長旅團長及屯田兵司令官ニ移牒シテ出兵ヲ請フコトヲ得
第九條 長官ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任官ノ進退八內務大臣ニ具狀シ判任官以下ハ之ヲ專行ス
第十條 長官ハ法律命令ノ定ムル所ニ從ヒ所部ノ官吏ヲ懲戒ス其奏任官ニ係ルモノハ之ヲ內務大臣ニ具狀シ判任官以下ハ之ヲ專行ス
第十一條 長官ハ須要ニ從ヒ判任官俸給豫算定額內ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得
第十二條 長官ハ一週年末ニ其廳豫算定額內ニ於テ奏任官以下特別ノ勤勞アルモノヲ賞與スルコトヲ得其奏任官ニ係ルモノハ之ヲ內務大臣ニ具狀シ判任官以下ハ之ヲ專行ス
第十三條 長官ハ每年所轄事業ノ情況及其處務ノ方法竝功程ヲ具ヘ內務大臣ニ報吿スヘシ
第十四條 長官ハ一郡若クハ數郡及每區ニ警察署ヲ置キ郡區長ヲ以テ署長ニ充テ管內一切ノ警察ヲ掌ラシメ又各警察署ノ部內ニ於テ警察分署ノ配置分合ヲ定ムヘシ
第十五條 長官ハ廳中及其所轄官廳ノ處務細則ヲ定ムルコトヲ得
第十六條 理事官ハ奏任トス長官ノ命ヲ承ケ各其主務ヲ掌理ス長官事故アルトキハ上席理事官其職務ヲ代理ス
第十七條 參事官ハ奏任トス長官ノ諮詢ニ應シ意見ヲ具ヘ及審議立案ヲ掌ル
參事官ハ臨時命ヲ承ケ各部ノ事務ヲ助クルコトアルヘシ
第十八條 技師ハ奏任トス長官又ハ部長ノ命ヲ承ケ各其技術ニ從事ス
第十九條 技師試補ハ長官ノ指命スル所ニ從ヒ職務ヲ練習シ任官ヲ待ツモノトス
第二十條 屬ハ判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ各庶務ニ從事ス
第二十一條 技手ハ判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ從事ス
第二十二條 警部ハ判任一等以下五等以上トシ警部補ハ判任六等トス長官又ハ警察署長ノ指揮監督ヲ承ケ各其主任ニ屬スル警察事務ヲ掌リ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第二十三條 郡長ハ每郡若クハ數郡ニ一人區長ハ每區ニ一人ヲ置キ奏任四等以下トス長官ノ命ヲ承ケ法律命令ヲ部內ニ執行シ部內ノ行政事務ヲ掌理シ兼テ郡區警察署長ト爲リ警部警部補ヲ指揮監督ス
第二十四條 郡區書記ハ判任三等以下トス郡區長ノ命ヲ承ケ各庶務ニ從事ス
第二十五條 典獄ハ奏任三等以下判任二等以上トス長官又ハ部長ノ命ヲ承ケ監獄ノ事務ヲ掌理シ書記看守長以下ヲ指揮監督ス
第二十六條 副典獄ハ判任一等以下四等以上トス典獄ノ事務ヲ佐ク典獄事故アルトキハ其職務ヲ代理ス
第二十七條 書記ハ判任二等以下トス典獄ノ命ヲ承ケ各庶務ニ從事ス
第二十八條 看守長ハ判任二等以下トス典獄ノ命ヲ承ケ監獄ノ戒護ヲ掌リ看守ヲ指揮ス
第二十九條 監獄醫ハ判任トス典獄ノ命ヲ承ケ監獄ニ係ル醫務ニ從事ス
第三十條 北海道廳ノ事務ヲ分掌スル爲メ左ノ各部ヲ置キ理事官ヲ以テ部長ト爲ス
第一部
一 職員ノ進退文書ノ往復ニ關スル事項
二 官印廳印ノ管守ニ關スル事項
三 記錄編輯統計報吿ニ關スル事項
四 學務衞生社寺ニ關スル事項
五 警察監獄ニ關スル事項
六 兵事戶籍褒賞賑恤及區町村費ニ關スル事項
七 外國人ニ關スル事項
八 他部ノ主掌ニ屬セサル事項
第二部
一 農工商務ニ關スル事項
二 地理山林ニ關スル事項
三 水陸運輸ニ關スル事項
四 漁獵ニ關スル事項
五 河港堤防道路鐵道橋梁排水溝渠ニ關スル事項
六 官衙ノ建築修繕ニ關スル事項
第三部
一 金錢物品ノ管理出納ニ關スル事項
二 豫算決算ニ關スル事項
三 國稅地方稅ノ賦課徵收ニ關スル事項
第三十一條 各部中便宜課ヲ設ケ各課ニ課長一人ヲ置キ部長ノ命ヲ承ケ課務ヲ掌理ス
課長ハ屬ヲ以テ之ニ充ツ但技師ヲ以テ之ニ充ツルコトアルヘシ
第三十二條 地方官官制中警察官及郡區官ニ係ル條項本令ニ牴觸セサルモノハ北海道廳警察官及郡區官ニモ之ヲ適用ス
朕北海道庁官制ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年七月五日
内閣総理大臣 伯爵 山県有朋
内務大臣 伯爵 西郷従道
勅令第百十九号
北海道庁官制
第一条 北海道庁ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 一人
理事官 三人
参事官 二人
技師 十三人
技師試補 三人
属 百五十人
技手 八十人
警部警部補 四十二人
第二条 北海道庁ニ左ノ郡区官ヲ置ク
郡長 二十人
区長 二人
郡書記 百三十人
区書記 三十人
第三条 北海道庁ニ左ノ監獄官ヲ置ク
典獄 六人
副典獄 六人
書記 六十二人
看守長 百五人
監獄医 十五人
第四条 長官ハ勅任トス内務大臣ノ指揮監督ニ属シ各省ノ主務ニ就テハ各省大臣ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ北海道ノ拓地殖民並部内ノ行政及警察ニ関スル一切ノ事務ヲ統理ス
第五条 長官ハ屯田兵ノ開墾授産ノ事ヲ監督ス
第六条 長官ハ北海道ノ事務ニ付其職権若クハ特別ノ委任ニ依リ法律命令ノ範囲内ニ於テ管内一般又ハ其一部ニ庁令ヲ発スルコトヲ得
第七条 庁令ハ内務大臣其他主務ノ大臣ニ於テ公益ヲ害シ成規ニ違ヒ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ之ヲ取消シ又ハ中止スルコトアルヘシ
第八条 長官ハ非常急変ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ為メ兵備ヲ要スルトキハ師団長旅団長及屯田兵司令官ニ移牒シテ出兵ヲ請フコトヲ得
第九条 長官ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任官ノ進退八内務大臣ニ具状シ判任官以下ハ之ヲ専行ス
第十条 長官ハ法律命令ノ定ムル所ニ従ヒ所部ノ官吏ヲ懲戒ス其奏任官ニ係ルモノハ之ヲ内務大臣ニ具状シ判任官以下ハ之ヲ専行ス
第十一条 長官ハ須要ニ従ヒ判任官俸給予算定額内ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得
第十二条 長官ハ一週年末ニ其庁予算定額内ニ於テ奏任官以下特別ノ勤労アルモノヲ賞与スルコトヲ得其奏任官ニ係ルモノハ之ヲ内務大臣ニ具状シ判任官以下ハ之ヲ専行ス
第十三条 長官ハ毎年所轄事業ノ情況及其処務ノ方法並功程ヲ具ヘ内務大臣ニ報告スヘシ
第十四条 長官ハ一郡若クハ数郡及毎区ニ警察署ヲ置キ郡区長ヲ以テ署長ニ充テ管内一切ノ警察ヲ掌ラシメ又各警察署ノ部内ニ於テ警察分署ノ配置分合ヲ定ムヘシ
第十五条 長官ハ庁中及其所轄官庁ノ処務細則ヲ定ムルコトヲ得
第十六条 理事官ハ奏任トス長官ノ命ヲ承ケ各其主務ヲ掌理ス長官事故アルトキハ上席理事官其職務ヲ代理ス
第十七条 参事官ハ奏任トス長官ノ諮詢ニ応シ意見ヲ具ヘ及審議立案ヲ掌ル
参事官ハ臨時命ヲ承ケ各部ノ事務ヲ助クルコトアルヘシ
第十八条 技師ハ奏任トス長官又ハ部長ノ命ヲ承ケ各其技術ニ従事ス
第十九条 技師試補ハ長官ノ指命スル所ニ従ヒ職務ヲ練習シ任官ヲ待ツモノトス
第二十条 属ハ判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ各庶務ニ従事ス
第二十一条 技手ハ判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ従事ス
第二十二条 警部ハ判任一等以下五等以上トシ警部補ハ判任六等トス長官又ハ警察署長ノ指揮監督ヲ承ケ各其主任ニ属スル警察事務ヲ掌リ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第二十三条 郡長ハ毎郡若クハ数郡ニ一人区長ハ毎区ニ一人ヲ置キ奏任四等以下トス長官ノ命ヲ承ケ法律命令ヲ部内ニ執行シ部内ノ行政事務ヲ掌理シ兼テ郡区警察署長ト為リ警部警部補ヲ指揮監督ス
第二十四条 郡区書記ハ判任三等以下トス郡区長ノ命ヲ承ケ各庶務ニ従事ス
第二十五条 典獄ハ奏任三等以下判任二等以上トス長官又ハ部長ノ命ヲ承ケ監獄ノ事務ヲ掌理シ書記看守長以下ヲ指揮監督ス
第二十六条 副典獄ハ判任一等以下四等以上トス典獄ノ事務ヲ佐ク典獄事故アルトキハ其職務ヲ代理ス
第二十七条 書記ハ判任二等以下トス典獄ノ命ヲ承ケ各庶務ニ従事ス
第二十八条 看守長ハ判任二等以下トス典獄ノ命ヲ承ケ監獄ノ戒護ヲ掌リ看守ヲ指揮ス
第二十九条 監獄医ハ判任トス典獄ノ命ヲ承ケ監獄ニ係ル医務ニ従事ス
第三十条 北海道庁ノ事務ヲ分掌スル為メ左ノ各部ヲ置キ理事官ヲ以テ部長ト為ス
第一部
一 職員ノ進退文書ノ往復ニ関スル事項
二 官印庁印ノ管守ニ関スル事項
三 記録編輯統計報告ニ関スル事項
四 学務衛生社寺ニ関スル事項
五 警察監獄ニ関スル事項
六 兵事戸籍褒賞賑恤及区町村費ニ関スル事項
七 外国人ニ関スル事項
八 他部ノ主掌ニ属セサル事項
第二部
一 農工商務ニ関スル事項
二 地理山林ニ関スル事項
三 水陸運輸ニ関スル事項
四 漁猟ニ関スル事項
五 河港堤防道路鉄道橋梁排水溝渠ニ関スル事項
六 官衙ノ建築修繕ニ関スル事項
第三部
一 金銭物品ノ管理出納ニ関スル事項
二 予算決算ニ関スル事項
三 国税地方税ノ賦課徴収ニ関スル事項
第三十一条 各部中便宜課ヲ設ケ各課ニ課長一人ヲ置キ部長ノ命ヲ承ケ課務ヲ掌理ス
課長ハ属ヲ以テ之ニ充ツ但技師ヲ以テ之ニ充ツルコトアルヘシ
第三十二条 地方官官制中警察官及郡区官ニ係ル条項本令ニ牴触セサルモノハ北海道庁警察官及郡区官ニモ之ヲ適用ス