第四條 長官ハ一人勅任一等トス內閣總理大臣ノ指揮監督ニ屬シ各省ノ主務ニ就テハ各省大臣ノ指揮監督ヲ承ケ北海道ノ拓地殖民及警察ニ關スル一切ノ事務ヲ統理ス
第六條 長官ハ法律勅令閣令ノ北海道ニ施行シ難キモノアリト思量スルトキハ其意見ヲ具ヘ內閣總理大臣ニ上申シ其省令ニ係ルモノハ主務ノ大臣ニ上申スルコトヲ得又北海道ニ須要ナリト認ムル所ノ法律命令ノ案ヲ具ヘ內閣總理大臣又ハ主務ノ大臣ニ上申スルコトヲ得
第七條 長官ハ北海道ノ事務ニ付其職權若クハ特別ノ委任ニ依リ法律命令ノ範圍內ニ於テ管內一般又ハ其一部ニ廳令ヲ發スルコトヲ得
第八條 廳令ハ內閣總理大臣其他主務ノ大臣ニ於テ公益ヲ害シ成規ニ違ヒ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ之ヲ取消シ又ハ中止セラルヽコトアルヘシ
第九條 長官ハ非常急變ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ爲メ兵備ヲ要スルトキハ鎭臺營所及屯田兵ノ司令官ニ移牒シテ出兵ヲ請フコトヲ得
第十條 長官ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任官ノ進退ハ內閣總理大臣ニ具狀シ判任官以下ハ之ヲ專行ス
第十一條 長官ハ法律命令ノ定ムル所ニ從ヒ所部ノ官吏ヲ懲戒ス其奏任官ニ係ルモノハ之ヲ內閣總理大臣ニ具狀シ判任官以下ハ之ヲ專行ス
第十二條 長官ハ內閣總理大臣ヲ經由シテ上奏裁可ヲ經ルニアラサレハ部ヲ廢置分合シ又ハ定限ノ外更ニ奏任官ヲ增加スルコトヲ得ス
第十三條 長官ハ土地ノ情況ニ依リ監獄署ヲ設置又ハ分合スルトキハ內務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十四條 長官ハ其須要ニ從ヒ俸給豫算定額內ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得
第十五條 長官ハ一周年末ニ其廳豫算定額內ニ於テ奏任官以下特別ノ勤勞アルモノヲ賞與スルコトヲ得其奏任官ニ係ルモノハ之ヲ內閣總理大臣ニ具狀シ判任官以下ハ之ヲ專行ス
第十六條 長官ハ每會計年度末ニ於テ所轄事業ノ情況及其處務ノ方法幷功程ヲ具ヘ內閣總理大臣ニ報吿スヘシ
第十七條 長官ハ其須要ニ從ヒ俸給豫算定額內ニ於テ內閣總理大臣ノ認可ヲ經勅令第三十八號技術官官等俸給令ニ依リ技術官ヲ置クコトヲ得
第十八條 長官ハ一郡區又ハ數郡區ニ警察署ヲ置キ郡區長ヲ以テ署長ニ充テ管內一切ノ警察ヲ掌ラシメ又警察署ノ下其部內ニ於テ警察分署ノ配置分合ヲ定ムヘシ
第十九條 長官ハ廳中及其所轄官廳ノ處務細則ヲ定ムルコトヲ得
第二十條 理事官ハ十人奏任トス長官ノ命ヲ承ケ各其主務ヲ管理ス長官事故アルトキハ上席理事官其職務ヲ代理ス
第二十一條 屬ハ判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ各庶務ニ從事ス
第二十二條 警部警部補ハ判任トス其官等俸給ハ勅令第四十二號警視廳官制ニ依ル長官又ハ警察署長ノ指揮監督ヲ承ケ各其主任ニ屬スル警察事務ヲ掌リ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第二十三條 郡長ハ每郡若クハ數郡ニ一人區長ハ每區ニ一人ヲ置キ奏任四等以下トス長官ノ命ヲ承ケ法律命令ヲ部內ニ執行シ部內ノ行政事務ヲ掌理シ兼テ郡區警察署長ト爲リ警部警部補ヲ指揮監督ス
第二十四條 郡區書記ハ判任三等以下トシ郡區長ノ命ヲ承ケ各庶務ヲ分掌ス
第二十五條 典獄ハ奏任三等四等又ハ判任一等二等トス長官又ハ部長ノ命ヲ承ケ監獄ノ事務ヲ掌理シ書記看守長以下ヲ指揮ス
第二十六條 書記ハ判任二等以下トス典獄ノ命ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第二十七條 看守長ハ判任二等以下トス典獄ノ命ヲ承ケ監獄ノ戒護ヲ掌リ看守ヲ指揮ス
第二十八條 監獄醫ハ判任二等以下トス典獄ノ命ヲ承ケ監獄ニ係ル醫務ニ從事ス
第二十九條 巡査及看守ニ關スル規程ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第三十條 北海道廳ノ事務ヲ分掌スル爲メ左ノ各部ヲ置キ理事官ヲ以テ部長及部次長ト爲ス但部長アレハ部次長ヲ置カサルコトアルヘシ
第三十一條 各部中便宜課ヲ設ケ判任官ヲ以テ課長トス課長ハ命ヲ部長及部次長ニ承ク
第三十二條 勅令第五十四號地方官官刷中警察官及郡區官ニ係ル條項本令ニ牴觸セサルモノハ北海道廳警察官及郡區官ニモ之ヲ適用ス