陸軍作業会計法
法令番号: 法律第十八號
公布年月日: 明治23年3月18日
法令の形式: 法律
朕陸軍作業會計法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年三月十七日
內閣總理大臣 伯爵 山縣有朋
大藏大臣 伯爵 松方正義
陸軍大臣 伯爵 大山巖
法律第十八號
陸軍作業會計法
第一條 東京砲兵工廠大阪砲兵工廠及千住製絨所ハ其事業ヲ經營スル爲メ固定資本据置運轉資本ヲ置キ作業上ノ收入及其附屬雜收入ハ作業ノ費用ニ充ルコトヲ許シ特別ノ會計ヲ立テシム
第二條 東京砲兵工廠大阪砲兵工廠ニ於テハ從來使用シ及將來增加スル所ノ機械其他重要ナル器具ヲ以テ固定資本トシ從來ノ營業資本額ヲ以テ据置運轉資本トス
千住製絨所ニ於テハ從來使用シ及將來增加スル所ノ土地建物機械其他重要ナル器具ヲ以テ固定資本トシ從來ノ營業資本額ヲ以テ据置運轉資本トス
第三條 東京及大阪砲兵工廠ハ職工人夫ノ諸費材料素品及機械運轉用品ノ購入費機械器具ノ維持修理及補充費工業場ノ雜費竝ニ損失金ヲ作業ノ歲出トス
千住製絨所ハ俸給諸給旅費廳費生產品販賣ノ諸費職工人夫ノ諸費材料素品及機械運轉用品ノ購入費土地建物ノ維持修理費機械器具ノ維持修理及補充費工業場ノ雜費竝ニ損失金ヲ作業ノ歲出トス
第四條 各作業所特別會計ノ歲出額ハ豫算定額內ニ於テ實際ノ歲入及据置運轉資本ノ合計額ヲ超過スルヲ許サス
第五條 作業所ノ純益及固定資本ニ屬スル物件ノ賣拂代金ハ總テ一般ノ歲入ニ編入スヘシ
第六條 政府ハ每年各作業所特別會計ノ歲入歲出豫算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト俱ニ之ヲ帝國議會ニ提出スヘシ
第七條 豫算外ニ軍用品ノ製作修理ヲ要スル場合ニ於テ其費用ヲ補フ爲メ各作業所ノ歲出豫算ニ豫備費ヲ設ルコトヲ得
第八條 各作業所ニ於テ機械器具材料素品及機械運轉用品ヲ外國ヨリ買入ルヽトキハ前金拂ヲ爲スコトヲ得
第九條 各作業所特別會計ノ收入支出ニ關スル規程ハ別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條 本法ハ明治二十三年度ヨリ施行ス其帝國議會ニ關涉スルモノハ帝國議會開會後ノ會計年度ヨリ施行ス
朕陸軍作業会計法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年三月十七日
内閣総理大臣 伯爵 山県有朋
大蔵大臣 伯爵 松方正義
陸軍大臣 伯爵 大山巌
法律第十八号
陸軍作業会計法
第一条 東京砲兵工廠大阪砲兵工廠及千住製絨所ハ其事業ヲ経営スル為メ固定資本据置運転資本ヲ置キ作業上ノ収入及其附属雑収入ハ作業ノ費用ニ充ルコトヲ許シ特別ノ会計ヲ立テシム
第二条 東京砲兵工廠大阪砲兵工廠ニ於テハ従来使用シ及将来増加スル所ノ機械其他重要ナル器具ヲ以テ固定資本トシ従来ノ営業資本額ヲ以テ据置運転資本トス
千住製絨所ニ於テハ従来使用シ及将来増加スル所ノ土地建物機械其他重要ナル器具ヲ以テ固定資本トシ従来ノ営業資本額ヲ以テ据置運転資本トス
第三条 東京及大阪砲兵工廠ハ職工人夫ノ諸費材料素品及機械運転用品ノ購入費機械器具ノ維持修理及補充費工業場ノ雑費並ニ損失金ヲ作業ノ歳出トス
千住製絨所ハ俸給諸給旅費庁費生産品販売ノ諸費職工人夫ノ諸費材料素品及機械運転用品ノ購入費土地建物ノ維持修理費機械器具ノ維持修理及補充費工業場ノ雑費並ニ損失金ヲ作業ノ歳出トス
第四条 各作業所特別会計ノ歳出額ハ予算定額内ニ於テ実際ノ歳入及据置運転資本ノ合計額ヲ超過スルヲ許サス
第五条 作業所ノ純益及固定資本ニ属スル物件ノ売払代金ハ総テ一般ノ歳入ニ編入スヘシ
第六条 政府ハ毎年各作業所特別会計ノ歳入歳出予算ヲ調製シ歳入歳出ノ総予算ト俱ニ之ヲ帝国議会ニ提出スヘシ
第七条 予算外ニ軍用品ノ製作修理ヲ要スル場合ニ於テ其費用ヲ補フ為メ各作業所ノ歳出予算ニ予備費ヲ設ルコトヲ得
第八条 各作業所ニ於テ機械器具材料素品及機械運転用品ヲ外国ヨリ買入ルヽトキハ前金払ヲ為スコトヲ得
第九条 各作業所特別会計ノ収入支出ニ関スル規程ハ別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十条 本法ハ明治二十三年度ヨリ施行ス其帝国議会ニ関渉スルモノハ帝国議会開会後ノ会計年度ヨリ施行ス