海軍高等武官任用条例
法令番号: 勅令第九十一號
公布年月日: 明治22年7月5日
法令の形式: 勅令
朕海軍高等武官任用條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十二年七月四日
內閣總理大臣 伯爵 黑田淸隆
海軍大臣 伯爵 西鄕從道
勅令第九十一號
海軍高等武官任用條例
第一條 海軍高等武官ハ少尉候補生少技士候補生少軍醫候補生少藥劑官候補生少主計候補生ヨリ任用ス
海軍ノ官費生徒ト爲リ外國ニ留學シ適當ノ卒業證書ヲ得タル者ハ其成績ニ應シ特ニ其學科相當ノ本官ニ任スルコトアルヘシ
第二條 候補生ハ現役海軍軍人トシ其身分ハ奏任ノ待遇ヲ受クルモノトス
第三條 候補生ハ各其本官ノ職務ヲ實地ニ於テ練習スルモノトス
第四條 少尉候補生ハ海軍兵學校ノ全學科ヲ卒業シタル者ヨリ採用ス
第五條 少技士候補生ハ造船造機造兵及火藥製造ノ各學科ヲ卒業シタル海軍技術學生若クハ相當ノ卒業證書ヲ有シ少技士候補生タランコトヲ志願シ身體檢査學術試驗ニ合格シタル者ヨリ採用ス
第六條 少軍醫候補生ハ海軍軍醫學校ノ全學科ヲ卒業シタル者ヨリ採用ス
第七條 少藥劑官候補生ハ藥舖開業免狀藥劑師免狀或ハ醫科大學藥學科ノ卒業證書ヲ有シ少藥劑官候補生タランコトヲ志願シ身體檢査學術試驗ニ合格シタル者ヨリ採用ス
第八條 少主計候補生ハ總テ海軍少主計候補生採用規則ニ依リ採用ス
第九條 左ニ揭クル事項ノ一ニ當ル者ハ少技士候補生及少藥劑官候補生ヲ出願スルコトヲ得ス
一 年齡二十年未滿及二十八年以上ノ者
二 禁錮以上ノ刑ヲ受ケタル者
三 賭博犯ノ處分ヲ受ケタル者
四 身代限ノ處分ヲ受ケ其辨償ヲ終ヘサル者
第十條 候補生ヲ本官トスルニハ一箇年以上試用ノ後學術試驗ヲ行ヒ合格者ニ就キ海軍省ニ於テ候補名簿ヲ作リ本官ニ缺員アル每ニ順次海軍大臣ヨリ奏上シ之ヲ任ス
第十一條 候補名簿ハ學術試驗每ニ合格者ヲ武官名簿ノ順序ニ從ヒ記列ス但停年同キ者ハ試驗成績ノ順序ニ從フ
第十二條 候補生ヲ直轄スル各長官ハ一箇年以上試用セル各候補生ノ材能品行及勤惰等ノ事實ヲ詳記シ每年一囘海軍大臣ニ報吿スヘシ
第十三條 候補生ヲ直轄スル各長官ハ品行不正或ハ傷痍疾病等ノ故ヲ以テ高等武官ニ適セスト認ムル候補生アルトキハ海軍大臣ニ具申スヘシ
第十四條 候補生學術試驗ニ合格セサルトキハ六箇月ノ後再試驗ヲ行ヒ仍ホ不合格ノ者ハ之ヲ免ス
附 則
第十五條 現今海軍主計學校ニ在ル生徒ハ全學科卒業ノトキ海軍少主計候補生ニ採用ス
朕海軍高等武官任用条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十二年七月四日
内閣総理大臣 伯爵 黒田清隆
海軍大臣 伯爵 西郷従道
勅令第九十一号
海軍高等武官任用条例
第一条 海軍高等武官ハ少尉候補生少技士候補生少軍医候補生少薬剤官候補生少主計候補生ヨリ任用ス
海軍ノ官費生徒ト為リ外国ニ留学シ適当ノ卒業証書ヲ得タル者ハ其成績ニ応シ特ニ其学科相当ノ本官ニ任スルコトアルヘシ
第二条 候補生ハ現役海軍軍人トシ其身分ハ奏任ノ待遇ヲ受クルモノトス
第三条 候補生ハ各其本官ノ職務ヲ実地ニ於テ練習スルモノトス
第四条 少尉候補生ハ海軍兵学校ノ全学科ヲ卒業シタル者ヨリ採用ス
第五条 少技士候補生ハ造船造機造兵及火薬製造ノ各学科ヲ卒業シタル海軍技術学生若クハ相当ノ卒業証書ヲ有シ少技士候補生タランコトヲ志願シ身体検査学術試験ニ合格シタル者ヨリ採用ス
第六条 少軍医候補生ハ海軍軍医学校ノ全学科ヲ卒業シタル者ヨリ採用ス
第七条 少薬剤官候補生ハ薬舗開業免状薬剤師免状或ハ医科大学薬学科ノ卒業証書ヲ有シ少薬剤官候補生タランコトヲ志願シ身体検査学術試験ニ合格シタル者ヨリ採用ス
第八条 少主計候補生ハ総テ海軍少主計候補生採用規則ニ依リ採用ス
第九条 左ニ掲クル事項ノ一ニ当ル者ハ少技士候補生及少薬剤官候補生ヲ出願スルコトヲ得ス
一 年齢二十年未満及二十八年以上ノ者
二 禁錮以上ノ刑ヲ受ケタル者
三 賭博犯ノ処分ヲ受ケタル者
四 身代限ノ処分ヲ受ケ其弁償ヲ終ヘサル者
第十条 候補生ヲ本官トスルニハ一箇年以上試用ノ後学術試験ヲ行ヒ合格者ニ就キ海軍省ニ於テ候補名簿ヲ作リ本官ニ欠員アル毎ニ順次海軍大臣ヨリ奏上シ之ヲ任ス
第十一条 候補名簿ハ学術試験毎ニ合格者ヲ武官名簿ノ順序ニ従ヒ記列ス但停年同キ者ハ試験成績ノ順序ニ従フ
第十二条 候補生ヲ直轄スル各長官ハ一箇年以上試用セル各候補生ノ材能品行及勤惰等ノ事実ヲ詳記シ毎年一回海軍大臣ニ報告スヘシ
第十三条 候補生ヲ直轄スル各長官ハ品行不正或ハ傷痍疾病等ノ故ヲ以テ高等武官ニ適セスト認ムル候補生アルトキハ海軍大臣ニ具申スヘシ
第十四条 候補生学術試験ニ合格セサルトキハ六箇月ノ後再試験ヲ行ヒ仍ホ不合格ノ者ハ之ヲ免ス
附 則
第十五条 現今海軍主計学校ニ在ル生徒ハ全学科卒業ノトキ海軍少主計候補生ニ採用ス