地方官官制
法令番号: 勅令第五十四號
公布年月日: 明治19年7月20日
法令の形式: 勅令
朕地方官官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治十九年七月十二日
內閣總理大臣 伯爵 伊藤博文
內務大臣 伯爵 山縣有朋
勅令第五十四號
地方官官制
府縣
第一條 各府縣ニ職員ヲ置ク左ノ如シ
知事
書記官
收稅長
收稅屬
典獄
副典獄
書記
看守長
看守副長
第二條 知事ハ一人勅任二等又ハ奏任一等トス內務大臣ノ指揮監督ニ屬シ各省ノ主務ニ就テハ各省大臣ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部內ノ行政及警察ノ事務ヲ總理ス但東京府知事ハ勅任一等ニ陞ルコトヲ得
第三條 知事ハ部內ノ行政及警察事務ニ付其職權若クハ特別ノ委任ニ依リ法律命令ノ範圍內ニ於テ管內一般又ハ其一部ニ府縣令ヲ發スルコトヲ得
第四條 府縣令ハ官報其他特ニ定ムル方法ニ依リ一般ニ公布シタル後其効力アルモノトス
第五條 府縣令ハ內務大臣其他主務ノ大臣ニ於テ公益ヲ害シ成規ニ違ヒ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ之ヲ取消シ又ハ中止セラルヽコトアルヘシ
第六條 知事ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任官ノ功過ハ內務大臣及主務大臣ニ具狀シ判任官以下ノ進退ハ之ヲ專行ス
第七條 知事ハ法律命令ノ定ムル所ニ從ヒ所部ノ官吏ヲ懲戒ス其奏任官ニ係ルモノハ之ヲ內務大臣ニ具狀シ判任官以下ハ之ヲ專行ス
第八條 知事ハ非常急變ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ爲メ兵備ヲ要スルトキハ鎭臺若クハ分營ノ司令官ニ移牒シテ出兵ヲ請フコトヲ得
第九條 知事ハ各郡區內警察分署ノ配置分合ヲ定ム
第十條 知事ハ廳中處務ノ細則ヲ設クルコトヲ得
第十一條 知事ハ其須要ニ從ヒ俸給豫算定額內ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得
第十二條 知事ハ一周年末ニ其廳ノ豫算定額內ニ於テ奏任官以下特別ノ勤勞アル者ヲ賞與スルコトヲ得其奏任官ニ係ルモノハ之ヲ內務大臣ニ具狀シ判任官以下ハ之ヲ專行ス
第十三條 知事ハ其須要ニ從ヒ俸給豫算定額內ニ於テ內務大臣ノ認可ヲ經技術官官等俸給令ニ依リ技術官ヲ置クコトヲ得但地方稅ヲ以テ支辨スヘキ事業ノ經費內ニ於テスルモノハ內務大臣ノ認可ヲ經雇員トシテ之ヲ使用スルコトヲ得
第十四條 書記官ハ二人奏任二等以下トス知事ノ命ヲ承ケ部長トナリテ其所部ノ事務ヲ整理ス知事事故アルトキハ上席書記官其職務ヲ代理ス
第十五條 收稅長ハ一人奏任四等以下トス知事ノ命ヲ承ケ租稅ノ賦課徵收及徵稅費ニ關スル事務ヲ掌ル
第十六條 屬ハ判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ書記計算ノ庶務ニ從事ス
第十七條 收稅屬ハ判任トス收稅部ニ屬シ收稅長ノ指揮ヲ承ケ其主務ニ從事ス
第十八條 典獄ハ判任一等又ハ二等トス知事又ハ部長ノ命ヲ承ケ監獄ニ關スル一切ノ事務ヲ掌理シ書記看守長以下ヲ指揮ス
第十九條 副典獄ハ判任三等乃至五等トス典獄ノ事務ヲ佐ク典獄事故アルトキハ其職務ヲ代理ス
第二十條 書記ハ判任六等以下トス典獄ノ命ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第二十一條 看守長ハ判任五等乃至七等トス典獄ノ命ヲ承ケ監獄ノ看守ヲ掌リ兼テ看守ノ勤惰ヲ視察ス
第二十二條 看守副長ハ判任八等以下トス看守長ノ職掌ヲ佐ク
第二十三條 看守ニ關スル規程ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第二十四條 府縣廳ノ事務ヲ分掌セシムル爲ニ第一部第二部ヲ置キ部中便宜課ヲ設ケ書記官ヲシテ各一部ノ長タラシム
第一部
一、 府縣會水利土功會區町村會ノ會議ニ關スル事項
二、 地方稅區町村費備荒儲蓄ニ關スル事項
三、 外國人ニ關スル事項
四、 文書往復ニ關スル事項及官印府縣印ヲ管守スル事
五、 農工商務ニ關スル事項
六、 他部ノ主掌ニ屬セサル事項
第二部
一、 土木ニ關スル事項
二、 兵事ニ關スル事項
三、 學務ニ關スル事項
四、 監獄ニ關スル事項
五、 衞生ニ關スル事項
六、 會計及公債證書ニ關スル事項
第二十五條 前條ノ外府縣廳中ニ收稅部ヲ置キ租稅ノ賦課徵收及徵稅費ニ關スル一切ノ事務ヲ分掌セシム部中課ヲ設クルハ第二十四條ノ例ニ依ル
第二十六條 前條ニ指定スル外臨時ノ事務ハ知事ニ於テ便宜其主掌ヲ定ムルコトヲ得
警察官
第二十七條 各府縣ニ左ノ警察官ヲ置ク
警部長
警部
警部補
第二十八條 警部長ハ一人奏任四等以下トス知事ノ指揮監督ヲ承ケ左ノ職務ヲ掌ル
一、 管內高等警察ノ事
二、 管內ノ警察ニ關スル一切ノ事務及警察ノ會計ニ關スル事務ヲ整理スル事
三、 管內各部ノ警察官ヲ指揮監督シ非常急變ノ場合ニ於テ管內ノ警察官ヲ統一指揮スル事
四、 管內各警察署及各警察分署ニ必要ノ警察官ヲ分配スル事
第二十九條 警部ハ判任一等乃至七等警部補ハ判任八等以下トス警部長ノ指揮監督ヲ承ケ各其主任ニ屬スル警察事務ヲ掌リ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第三十條 各府縣ニ警察本部ヲ置キ前第二十四條ニ指定スルノ外府縣廳中ノ一部トシ警部長ヲシテ其長ニ充テ部中課ヲ設ケ前第二十八條ノ事務ヲ掌理セシム
第三十一條 府縣內各郡區ニ警察署一箇所ヲ置キ警察署ノ下其部內ニ於テ警察分署ヲ配置シ警察署ハ警部ヲ以テ其長ニ充テ警察分署ハ便宜警部又ハ警部補ヲ以テ之ニ充テ部內ノ高等警察行政警察及司法警察ヲ掌リ法律命令ノ厲行ヲ監督ス其項目左ノ如シ
一、 諸營業市場會社製造所度量衡敎會講社說敎及拜禮ニ關スル事項
二、 演藝遊觀場遊戱場遊憩場徽章祭典葬儀賭博富籤其他風俗ニ關スル事項
三、 船舶堤防河岸地道路橋梁渡船場鐵道電信公園車馬諸建築田野漁獵採藻ニ關スル事項
四、 人命痍傷群集喧噪銃砲火藥爆發物發火物刀劍水災火災難破船遺流失物埋藏物ニ關スル事項
五、 傳染病豫防消毒檢疫種痘飮食物飮料水醫療藥品家畜屠畜場墓地火葬場其他衞生ニ關スル事項
六、 諸般ノ犯罪人ヲ搜索拿捕シ證據物件ヲ拾集シ之ヲ檢察官ニ交付スル等ニ關スル事項
七、 失踪者瘋顛者棄兒迷兒被監視者ニ關スル事項
八、 政治ニ關スル結社集會新聞雜誌圖畫及其他ノ出板ニ關スル事項
第三十二條 各警察官ハ其職權ニ依リ又ハ上官ノ命ニ依リ若クハ部長收稅長郡區長戶長及其他行政官ノ請求ニ應シ又司法警察ニ關シテハ檢察官ノ命ヲ承ケ其職務ヲ執行スヘシ
第三十三條 警察官ハ總テノ場合ニ於テ行政官又ハ司法官ノ自ラ其責任ニ當リテ警察官ニ請求ヲ爲ストキハ警察官ハ其請求ニ應スルノ義務アルモノトス
第三十四條 他府縣ヨリ警察ノ事務ニ關スル照會ハ必ス知事ヲ經ヘシ但急施ヲ要スル場合ニ於テハ警部長又ハ其事ノ執行ヲ要スル地ノ警察官ニ宛直ニ照會スルコトヲ得
第三十五條 巡査ニ關スル規程ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第三十六條 東京府下ノ警察及監獄ニ關スル事務ハ勅令第四十二號警視廳官制ニ依リ本令中ノ條項ニ指定スル限ニアラス
郡區
第三十七條 每郡若クハ數郡ニ郡長一人每區ニ區長一人及書記若干人ヲ置ク
第三十八條 郡區長ハ奏任四等以下書記ハ判任三等以下トス
第三十九條 郡區長ハ知事ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ部內ニ執行シ部內ノ行政事務ヲ掌理ス
第四十條 郡區長ハ法律命令ヲ以テ委任シ及知事ヨリ特ニ分任スル條件ハ便宜施行シテ後知事ニ報吿スルヲ得
第四十一條 郡長ハ行政事務ニ就テ其部內町村ノ戶長ヲ指揮シ其公同事務ニ就テハ之ヲ監督ス
第四十二條 郡區長ハ郡區書記ノ任免ヲ知事ニ具申ス
第四十三條 郡區長ハ法律命令若クハ知事ヨリ委任セラレタル事件ニ付部內一般ニ吿示スルコトヲ得
第四十四條 郡區長ハ部內ノ行政處分ニ關シ警察官ニ請求シテ之ヲ執行セシムルコトヲ得
第四十五條 郡區書記ハ郡區長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ分掌ス
島地
第四十六條 長崎縣鹿兒島縣其他今後指定セラルヘキ府縣ニ特ニ島司ヲ置キ部內行政事務ヲ掌理シ知事ノ委任スル條項ハ便宜之ヲ施行スルコトヲ得
第四十七條 島司ハ奏任三等以下トス
朕地方官官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治十九年七月十二日
内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
内務大臣 伯爵 山県有朋
勅令第五十四号
地方官官制
府県
第一条 各府県ニ職員ヲ置ク左ノ如シ
知事
書記官
収税長
収税属
典獄
副典獄
書記
看守長
看守副長
第二条 知事ハ一人勅任二等又ハ奏任一等トス内務大臣ノ指揮監督ニ属シ各省ノ主務ニ就テハ各省大臣ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部内ノ行政及警察ノ事務ヲ総理ス但東京府知事ハ勅任一等ニ陞ルコトヲ得
第三条 知事ハ部内ノ行政及警察事務ニ付其職権若クハ特別ノ委任ニ依リ法律命令ノ範囲内ニ於テ管内一般又ハ其一部ニ府県令ヲ発スルコトヲ得
第四条 府県令ハ官報其他特ニ定ムル方法ニ依リ一般ニ公布シタル後其効力アルモノトス
第五条 府県令ハ内務大臣其他主務ノ大臣ニ於テ公益ヲ害シ成規ニ違ヒ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ之ヲ取消シ又ハ中止セラルヽコトアルヘシ
第六条 知事ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任官ノ功過ハ内務大臣及主務大臣ニ具状シ判任官以下ノ進退ハ之ヲ専行ス
第七条 知事ハ法律命令ノ定ムル所ニ従ヒ所部ノ官吏ヲ懲戒ス其奏任官ニ係ルモノハ之ヲ内務大臣ニ具状シ判任官以下ハ之ヲ専行ス
第八条 知事ハ非常急変ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ為メ兵備ヲ要スルトキハ鎮台若クハ分営ノ司令官ニ移牒シテ出兵ヲ請フコトヲ得
第九条 知事ハ各郡区内警察分署ノ配置分合ヲ定ム
第十条 知事ハ庁中処務ノ細則ヲ設クルコトヲ得
第十一条 知事ハ其須要ニ従ヒ俸給予算定額内ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得
第十二条 知事ハ一周年末ニ其庁ノ予算定額内ニ於テ奏任官以下特別ノ勤労アル者ヲ賞与スルコトヲ得其奏任官ニ係ルモノハ之ヲ内務大臣ニ具状シ判任官以下ハ之ヲ専行ス
第十三条 知事ハ其須要ニ従ヒ俸給予算定額内ニ於テ内務大臣ノ認可ヲ経技術官官等俸給令ニ依リ技術官ヲ置クコトヲ得但地方税ヲ以テ支弁スヘキ事業ノ経費内ニ於テスルモノハ内務大臣ノ認可ヲ経雇員トシテ之ヲ使用スルコトヲ得
第十四条 書記官ハ二人奏任二等以下トス知事ノ命ヲ承ケ部長トナリテ其所部ノ事務ヲ整理ス知事事故アルトキハ上席書記官其職務ヲ代理ス
第十五条 収税長ハ一人奏任四等以下トス知事ノ命ヲ承ケ租税ノ賦課徴収及徴税費ニ関スル事務ヲ掌ル
第十六条 属ハ判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ書記計算ノ庶務ニ従事ス
第十七条 収税属ハ判任トス収税部ニ属シ収税長ノ指揮ヲ承ケ其主務ニ従事ス
第十八条 典獄ハ判任一等又ハ二等トス知事又ハ部長ノ命ヲ承ケ監獄ニ関スル一切ノ事務ヲ掌理シ書記看守長以下ヲ指揮ス
第十九条 副典獄ハ判任三等乃至五等トス典獄ノ事務ヲ佐ク典獄事故アルトキハ其職務ヲ代理ス
第二十条 書記ハ判任六等以下トス典獄ノ命ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第二十一条 看守長ハ判任五等乃至七等トス典獄ノ命ヲ承ケ監獄ノ看守ヲ掌リ兼テ看守ノ勤惰ヲ視察ス
第二十二条 看守副長ハ判任八等以下トス看守長ノ職掌ヲ佐ク
第二十三条 看守ニ関スル規程ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第二十四条 府県庁ノ事務ヲ分掌セシムル為ニ第一部第二部ヲ置キ部中便宜課ヲ設ケ書記官ヲシテ各一部ノ長タラシム
第一部
一、 府県会水利土功会区町村会ノ会議ニ関スル事項
二、 地方税区町村費備荒儲蓄ニ関スル事項
三、 外国人ニ関スル事項
四、 文書往復ニ関スル事項及官印府県印ヲ管守スル事
五、 農工商務ニ関スル事項
六、 他部ノ主掌ニ属セサル事項
第二部
一、 土木ニ関スル事項
二、 兵事ニ関スル事項
三、 学務ニ関スル事項
四、 監獄ニ関スル事項
五、 衛生ニ関スル事項
六、 会計及公債証書ニ関スル事項
第二十五条 前条ノ外府県庁中ニ収税部ヲ置キ租税ノ賦課徴収及徴税費ニ関スル一切ノ事務ヲ分掌セシム部中課ヲ設クルハ第二十四条ノ例ニ依ル
第二十六条 前条ニ指定スル外臨時ノ事務ハ知事ニ於テ便宜其主掌ヲ定ムルコトヲ得
警察官
第二十七条 各府県ニ左ノ警察官ヲ置ク
警部長
警部
警部補
第二十八条 警部長ハ一人奏任四等以下トス知事ノ指揮監督ヲ承ケ左ノ職務ヲ掌ル
一、 管内高等警察ノ事
二、 管内ノ警察ニ関スル一切ノ事務及警察ノ会計ニ関スル事務ヲ整理スル事
三、 管内各部ノ警察官ヲ指揮監督シ非常急変ノ場合ニ於テ管内ノ警察官ヲ統一指揮スル事
四、 管内各警察署及各警察分署ニ必要ノ警察官ヲ分配スル事
第二十九条 警部ハ判任一等乃至七等警部補ハ判任八等以下トス警部長ノ指揮監督ヲ承ケ各其主任ニ属スル警察事務ヲ掌リ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第三十条 各府県ニ警察本部ヲ置キ前第二十四条ニ指定スルノ外府県庁中ノ一部トシ警部長ヲシテ其長ニ充テ部中課ヲ設ケ前第二十八条ノ事務ヲ掌理セシム
第三十一条 府県内各郡区ニ警察署一箇所ヲ置キ警察署ノ下其部内ニ於テ警察分署ヲ配置シ警察署ハ警部ヲ以テ其長ニ充テ警察分署ハ便宜警部又ハ警部補ヲ以テ之ニ充テ部内ノ高等警察行政警察及司法警察ヲ掌リ法律命令ノ厲行ヲ監督ス其項目左ノ如シ
一、 諸営業市場会社製造所度量衡教会講社説教及拝礼ニ関スル事項
二、 演芸遊観場遊戲場遊憩場徽章祭典葬儀賭博富籤其他風俗ニ関スル事項
三、 船舶堤防河岸地道路橋梁渡船場鉄道電信公園車馬諸建築田野漁猟採藻ニ関スル事項
四、 人命痍傷群集喧噪銃砲火薬爆発物発火物刀剣水災火災難破船遺流失物埋蔵物ニ関スル事項
五、 伝染病予防消毒検疫種痘飲食物飲料水医療薬品家畜屠畜場墓地火葬場其他衛生ニ関スル事項
六、 諸般ノ犯罪人ヲ捜索拿捕シ証拠物件ヲ拾集シ之ヲ検察官ニ交付スル等ニ関スル事項
七、 失踪者瘋顛者棄児迷児被監視者ニ関スル事項
八、 政治ニ関スル結社集会新聞雑誌図画及其他ノ出板ニ関スル事項
第三十二条 各警察官ハ其職権ニ依リ又ハ上官ノ命ニ依リ若クハ部長収税長郡区長戸長及其他行政官ノ請求ニ応シ又司法警察ニ関シテハ検察官ノ命ヲ承ケ其職務ヲ執行スヘシ
第三十三条 警察官ハ総テノ場合ニ於テ行政官又ハ司法官ノ自ラ其責任ニ当リテ警察官ニ請求ヲ為ストキハ警察官ハ其請求ニ応スルノ義務アルモノトス
第三十四条 他府県ヨリ警察ノ事務ニ関スル照会ハ必ス知事ヲ経ヘシ但急施ヲ要スル場合ニ於テハ警部長又ハ其事ノ執行ヲ要スル地ノ警察官ニ宛直ニ照会スルコトヲ得
第三十五条 巡査ニ関スル規程ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第三十六条 東京府下ノ警察及監獄ニ関スル事務ハ勅令第四十二号警視庁官制ニ依リ本令中ノ条項ニ指定スル限ニアラス
郡区
第三十七条 毎郡若クハ数郡ニ郡長一人毎区ニ区長一人及書記若干人ヲ置ク
第三十八条 郡区長ハ奏任四等以下書記ハ判任三等以下トス
第三十九条 郡区長ハ知事ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ部内ニ執行シ部内ノ行政事務ヲ掌理ス
第四十条 郡区長ハ法律命令ヲ以テ委任シ及知事ヨリ特ニ分任スル条件ハ便宜施行シテ後知事ニ報告スルヲ得
第四十一条 郡長ハ行政事務ニ就テ其部内町村ノ戸長ヲ指揮シ其公同事務ニ就テハ之ヲ監督ス
第四十二条 郡区長ハ郡区書記ノ任免ヲ知事ニ具申ス
第四十三条 郡区長ハ法律命令若クハ知事ヨリ委任セラレタル事件ニ付部内一般ニ告示スルコトヲ得
第四十四条 郡区長ハ部内ノ行政処分ニ関シ警察官ニ請求シテ之ヲ執行セシムルコトヲ得
第四十五条 郡区書記ハ郡区長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ分掌ス
島地
第四十六条 長崎県鹿児島県其他今後指定セラルヘキ府県ニ特ニ島司ヲ置キ部内行政事務ヲ掌理シ知事ノ委任スル条項ハ便宜之ヲ施行スルコトヲ得
第四十七条 島司ハ奏任三等以下トス