各省官制(通則)
法令番号: 勅令第二號
公布年月日: 明治19年2月27日
法令の形式: 勅令
朕各省ノ官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治十九年二月二十六日
內閣總理大臣 伯爵 伊藤博文
勅令第二號
各省官制
通則
第一條 此命令中各省トアルハ外務省內務省大藏省陸軍省海軍省司法省文部省農商務省遞信省ヲ合稱ス
此通則ニ依リ難キモノハ其省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第二條 各省大臣ハ其主任ノ事務及今後法律勅令ニ依リ主任ニ屬スル事務ニ付其責ニ任スヘシ
主任ノ事務兩省以上ニ關涉スルトキハ關涉ノ各省大臣ノ間ニ協議ヲ經テ其主任ヲ定メ上奏スヘシ若シ各省大臣ノ間協議決定セサルトキハ之ヲ閣議ニ提出スヘシ
第三條 各省大臣事故アルトキハ臨時命ヲ承テ他ノ大臣其事務ヲ代理スルコトアルヘシ
第四條 凡ソ法律勅令ノ各省大臣主任ノ事務ニ屬スルモノハ各省大臣內閣總理大臣ト均シク之ニ副署ス若シ兩省以上ニ關涉スルモノアルトキハ內閣總理大臣及關涉ノ各省大臣均シク之ニ連署スヘシ
第五條 各省大臣ハ其主任ノ事務ニ付法律勅令ノ制定廢止及改正ヲ要スルコトアルトキハ案ヲ具ヘ閣議ニ提出スルコトヲ得
第六條 各省大臣ハ其主任ノ事務ニ付其職權若クハ特別ノ委任ニ依リ法律勅令ノ範圍內ニ於テ法律勅令ヲ施行シ又ハ安寧秩序ヲ保持スル爲ニ省令ヲ發スルコトヲ得
第七條 各省大臣ノ命令ニハ罰金二十五圓以下又ハ禁錮二十五日以內ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第八條 各省大臣ハ法律勅令ノ範圍內ニ於テ其省中各局課及其所轄官廳ノ處務細則ヲ定ムルコトヲ得
第九條 法律勅令ニ副署シ省務ヲ敷奏シ內閣ノ議ニ列シ及省令ヲ發スルコトヲ除クノ外各省大臣ハ其職務ヲ次官ニ代理セシメ又ハ其職務ノ一部ヲ次官ニ委任スルコトヲ得
第十條 各省大臣ハ其主任ノ事務ニ付警視總監北海道廳長官府知事縣令ニ指令又ハ訓令ヲ下スコトヲ得
第十一條 各省大臣ハ其主任ノ事務ニ付警視總監北海道廳長官府知事縣令ヲ監督スヘシ若シ警視總監北海道廳長官府知事縣令ノ處分又ハ指令ノ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其處分指令ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第十二條 各省大臣ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任官以上ノ進退ハ內閣總理大臣ヲ經テ之ヲ上奏シ判任官以下ハ之ヲ專行ス
第十三條 各省大臣ハ內閣總理大臣ヲ經テ所部官吏ノ敍位敍勳及恩給ヲ上奏スヘシ
第十四條 各省大臣ハ閣議ノ後裁可ヲ經ルニ非サレハ局課ヲ廢置分合シ又ハ定限ノ外新ニ勅奏任官ヲ增加スルコトヲ得ス
第十五條 各省大臣ハ豫算決定後臨時ニ增額又ハ別途支出ヲ請求スルコトヲ得ス但臨時ノ事變及他ノ成規ニ依リ止ムヲ得サルモノハ此限ニアラス
第十六條 各省大臣ハ俸給豫算額內ニ於テ其省限リ定員ヲ設ケ判任官ヲ任用スルコトヲ得
第十七條 各省大臣ハ臨時ノ須要ニ依リ判任官定員ノ外ニ俸給豫算定額內ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得
第十八條 各省大臣ハ其主任ノ事務ニ付時々ノ狀況ヲ內閣總理大臣ニ報吿スヘシ
第十九條 各省大臣ハ每會計年度末ニ於テ前年ノ功程ヲ具ヘ內閣總理大臣ヲ經テ報吿書ヲ上奏スヘシ
第二十條 各省大臣ハ每會計年度末ニ於テ判任官以下使用ノ狀況ヲ具ヘ臨時事務ノ爲ニ使用シタル雇員ノ日數人員及金額ヲ細分統計シ內閣總理大臣ニ報吿スヘシ
第二十一條 各省大臣ハ一周年末ニ其省ノ豫算定額內ニ於テ奏任官以下特別ノ勤勞アル者ヲ賞與シ之ヲ官報ニ公錄スルコトヲ得
第二十二條 各省大臣ハ所部ノ官吏ヲシテ他省ニ涉リ又ハ他省ヨリ兼官セシムルコトヲ得ス若シ止ムヲ得サル要用アルトキハ之ヲ閣議ニ提出シテ裁可ヲ請フヘシ
第二十三條 各省大臣ハ臨時審査ノ爲メ省中定員ノ內ヲ以テ便宜委員ヲ設クルコトヲ得
第二十四條 各省大臣ハ法律勅令ノ定ムル所ニ從ヒ部下ノ官吏ヲ懲戒ス
第二十五條 各省職員ヲ置ク左ノ如シ
次官
秘書官
書記官
局長
參事官
局次長
試補
第二十六條 前條ノ外各省特別ノ職員ヲ置クモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第二十七條 各省次官一人ヲ置ク勅任トス
第二十八條 次官ハ主任大臣ノ命ヲ承ケ第九條ノ範圍內ニ於テ大臣ノ職務ヲ代理シ又ハ大臣ノ指命シタル範圍內ニ於テ委任ヲ受ク
次官事故アルトキハ大臣其省中ノ官吏ヲシテ臨時其職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第二十九條 次官ハ大臣ノ代理トシテ公文ニ署名スルコトヲ得
第三十條 次官ハ總務局長トナリ命ヲ大臣ニ承ケ各局課ノ事務ヲ監督シ省務ノ全部ヲ整理スルノ責ニ任ス
第三十一條 各省ニ大臣官房ヲ置ク大臣官房ハ機密文書ヲ掌リ大臣次官ノ官印及省印ヲ管守ス
第三十二條 大臣官房ハ大臣親展ノ文書機密事務所部官吏ノ進退身分ニ關スル事務及大臣ニ屬スル一切ノ事務ヲ掌ル
所部官吏ノ進退身分ニ關スル事務ハ各省ノ便宜ニ從ヒ總務局中ノ一課ニ於テ處理スルコトヲ得
第三十三條 秘書官ハ奏任トス大臣ニ專屬シテ官房ノ事務ヲ掌ル
秘書官ノ定員ハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第三十四條 秘書官ハ臨時命ヲ承ケ書記官及各局課ノ事務ヲ助クルコトアルヘシ
各省ノ便宜ニ依リ特ニ秘書官ノ所掌ニ屬セシムルモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第三十五條 各省中省務ノ全部ヲ統轄スル爲ニ總務局ヲ置キ省務ヲ分掌スル爲ニ各局ヲ置ク
第三十六條 各省總務局ニ文書課往復課報吿課及記錄課ヲ置キ其事務ヲ分掌セシム
第三十七條 文書課ハ省中各局成案ノ回議ヲ審査シ諸文案ヲ起草スル事ヲ掌ル
第三十八條 往復課ハ凡テ各省ニ到達スル公文書類及成案文書ヲ接受シ幷發送ノ事ヲ掌ル
第三十九條 報吿課ハ各局課ニ就キ統計報吿ノ材料ヲ採輯シ統計報吿ヲ調整シテ大臣ノ査閱ニ供シ官報揭載ノ事項ヲ官報局ニ送致スル事ヲ掌ル
第四十條 記錄課ハ其省及省中各局課一切ノ公文書類ヲ編纂保存ス
各省中記錄局ノ設ケアルモノハ別ニ記錄課ヲ置カス
第四十一條 各省ノ便宜ニ依リ特ニ總務局ノ所掌ニ屬セシムルモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第四十二條 書記官ハ奏任トス大臣又ハ總務局長ノ命ヲ承ケ各局ノ成案ヲ審査シ文書ヲ掌リ又ハ總務局中諸課ノ長ヲ兼ネ課務ヲ掌理ス
書記官ノ定員ハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第四十三條 總務局ノ外各局ニ局長局次長各一人ヲ置ク局長局次長ハ奏任トス各局ニ局長アレハ局次長ヲ置カス局次長アレハ局長ヲ置カサルコトアルヘシ
第四十四條 局長ハ大臣又ハ總務局長ノ命ヲ承ケテ其主務ヲ掌理シ及各課ノ事務ヲ指揮ス
第四十五條 局長又ハ局次長ハ其主任ノ事務ニ付其職權ニ屬シ又ハ特別ノ委任ヲ受クルノ事項ハ之ヲ專行スルコトヲ得
第四十六條 局次長ハ局長ノ事務ヲ佐ク若シ局長ナキトキ又ハ局長事故アルトキハ大臣ノ命ニ依リ局長ノ事務ヲ掌理ス
第四十七條 參事官ハ奏任トス大臣又ハ次官ノ諮詢ニ應シ意見ヲ具ヘ及審議立案ヲ掌ル
參事官ノ定員ハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第四十八條 參事官ハ其省ノ便宜ニ從ヒ局課ノ事務ヲ兼任シ若クハ臨時命ヲ承ケテ其事務ヲ助クルコトアルヘシ
各省ノ便宜ニ依リ特ニ參事官ノ所掌ニ屬セシムルモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第四十九條 試補ハ奏任ニ准シ定期間大臣ノ指命スル所ニ就キ事務ヲ練習シ任官ヲ待ツモノトス
各省試補ノ規則ハ別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十條 局中各課ニ課長一人ヲ置キ判任官ヲ以テ之ニ充ツ課長ハ命ヲ局長ニ承ク
各省中特ニ奏任官ヲ以テ課長ヲ兼子シムルモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第五十一條 屬ハ判任トス各上官ノ指揮ヲ承ケ書記簿記及計算ノ事ニ從フ
第五十二條 各省中特ニ補助員ヲ要シ又ハ顧問員ヲ要スルトキハ每次狀ヲ具ヘテ閣議ニ提出シ裁可ヲ請フヘシ
第五十三條 各省處務規程中公文ノ取扱順序ハ左ノ條項ニ依ラシム
第五十四條 各省ニ到達スル文書ハ凡テ總務局往復課ニ接受シ課長之ヲ取纒メ開封シ件名番號等ヲ簿册ニ記入シテ總務局長ノ査閱ニ供スヘシ
第五十五條 總務局長ハ其文書ヲ査閱シ事例規ナキカ又ハ重要ナリト認ムルモノハ之ヲ大臣ノ査閱ニ供シ其他尋常ノ件ハ主務ノ處ヲ指示シ之ニ檢印シテ往復課長ニ下付シ直ニ之ヲ配付セシム往復課長ヨリ各局ニ配付スル文書ハ之ヲ各局往復主任ノ屬ニ配付ス
第五十六條 大臣親展ノ文書ハ封皮ノ上ニ記號シ記簿ノ後直ニ大臣又ハ秘書官ニ送付スヘシ
第五十七條 秘書官ハ大臣親展ノ文書及往復課ヲ經スシテ各局課ヨリ送付スル文書ヲ受領シタルトキハ其番號ヲ簿册ニ記シ直ニ之ヲ大臣ニ提出ス決裁濟ノ文書ハ其主務ノ處ニ送付シ受領者ノ檢印ヲ要スヘシ
第五十八條 凡ソ送付ノ文書ハ送付記銘簿ニ受領者ノ檢印ヲ要スヘシ
第五十九條 各局長ハ大臣又ハ次官ヨリ事務ノ處分方ヲ受ケ又ハ往復課長ヨリ文書ノ配付ヲ受ケタルトキハ各其主務ニ從ヒ各課長ニ文書ヲ配付シ其緩急ヲ示シ其處分方ヲ授ケテ速ニ之ニ從事セシムヘシ
第六十條 各局課長ハ受領ノ文書ヲ處理スルニ當リ定期ヲ經過スルヲ得ス若シ事件ノ錯綜スルカ或ハ數局課ニ聯帶シテ時日ヲ要スルノ見込アルトキハ凡ソ其時日ヲ定メ豫メ次官ノ允許ヲ受クルヲ要ス但文書ヲ處理スルノ定期ハ各省ノ定ムル所ニ依ル
第六十一條 事ノ數局課ニ聯帶スル文書ハ主務ノ局課ニテ處分案ヲ起草シ關係局課ノ檢印ヲ要スヘシ若シ彼此見ヲ異ニスルトキハ面議商量シ尙ホ決セサルトキハ直ニ大臣又ハ次官ニ面陳シテ決裁ヲ請ヒ附箋ヲ以テ應答スルヲ許サス
第六十二條 各局課調査濟ノ成案ハ往復主任ノ屬ヨリ之ヲ往復課ニ回付シ往復課ハ直ニ之ヲ總務局長ニ提出シ總務局長ハ査閱ノ上大臣ノ決裁ヲ請フヘシ總務局長大臣ノ代理ヲ爲シ又ハ委任ヲ受クル事件ハ査閱ヲ經テ直ニ施行スヘシ
第六十三條 總務局長ニ於テ各局課ノ成案ニ異議アルトキハ各局長ニ命シテ之ヲ修正セシメ又ハ大臣ノ旨ヲ承テ各局長ニ指揮ヲ爲スコトアルヘシ
第六十四條 大臣及次官ノ決裁ヲ經タル文書ハ往復課ニ於テ淨書シ秘書官ニ就キ大臣ノ印ヲ鈐シ件名番號等ヲ簿册ニ記入シテ直ニ發送ス其原文書ニハ交付發送ノ年月日ヲ記シ往復課長之ニ檢印シテ主務ノ處ニ返付スヘシ
各局課長ノ名ヲ以テ施行スルモノハ其局課ニ於テ淨寫押印シ之ヲ往復課ニ移ス往復課ハ其件名番號等ヲ簿册ニ記入シテ之ヲ發送ス
第六十五條 總務局ニ於テ起草シタル文案ハ總務局長直ニ大臣ニ提出シ決裁ヲ請フヘシ
第六十六條 事ノ急施ヲ要シ又ハ機密ニ係ルモノハ通常ノ手續ニ依ラス直ニ大臣ノ決裁ヲ請フコトアルヘシ
第六十七條 至急又ハ機密ノ文書ハ通常ノ手續ニ依ラス便宜主任者ニ於テ自ラ携帶シテ諸局ノ議ヲ取リ幷官房ニ提出スルコトヲ得其決裁濟施行ニ至ル迄ノ順序モ亦便宜ニ從ヒ別ニ至急機密文書ノ件名簿ヲ調整シテ之ヲ登錄スルコトヲ得
第六十八條 文書調査ノ爲メ他ノ官署ニ照會ヲ要スルトキハ往復課ヲ經ス各局課長ノ名ヲ以テ往復スルコトヲ得
第六十九條 往復課長ハ各局課ニ配付シタル文書ノ日限ヲ計算シ若シ故ナクシテ日限內ニ往復課ニ回付セサルモノアルトキハ其件名及局名ヲ總務局長ニ報吿スヘシ
第七十條 大臣ノ命ニ依リ一時處分ヲ爲スヲ要セスシテ留置クヘキ文書ハ總テ總務局ニ於テ之ヲ保管スヘシ
第七十一條 各局課ノ文書處分濟ノモノハ之ヲ記錄局又ハ記錄課ニ送付ス其機密ニ屬スル文書ハ別ニ大臣ノ命スル所ニ依リ秘書官之ヲ保管スルコトアルヘシ
第七十二條 各省ノ會計事務ニシテ別段ノ法律命令ニ依テ定メタルモノヲ除クノ外金錢出納ニ關シテハ左ノ條項ニ依ラシム
第七十三條 各省會計局ハ其省及所轄廳費ノ豫算決算省中ノ會計事務及所轄ノ地所建物ニ關スル事務ヲ掌ラシム局中出納課檢査課及用度課ヲ置キ其事務ヲ分掌セシム
第七十四條 出納課ハ其省及所轄廳費ノ豫算決算金錢ノ出納諸帳簿ノ整頓幷計算表ノ調整ヲ掌ル
第七十五條 檢査課ハ金錢出納ノ當否及各般ノ證書ヲ檢査スルコトヲ掌ル
用度課購入ノ物品ハ臨時局長ノ命ヲ承ケテ檢査スルコトアルヘシ
第七十六條 用度課ハ所轄ノ地所建物其他一切ノ需用品ニ關スル事務ヲ掌ル
第七十七條 俸給並旅費其他一切ノ經費幷收入ニ關スル事ハ出納課ニ於テ之ヲ管理シ其都度仕出文書ニ依リ出納傳票ニ事由ヲ摘要シテ局長ニ差出シ局長ニ於テ相當ナリト思惟スルトキハ檢査課ヲシテ檢査セシメ然ル後大臣又ハ次官ノ決裁ヲ請ヒ收入及支出ノ手續ヲ爲サシムヘシ
第七十八條 出納課ニ於テハ出納傳票ニ捺スル局長幷各課經由ノ檢印ヲ認メテ其出納ヲ帳簿ニ登記シ每日殘額表ヲ製シテ局長ノ査閱ニ供スヘシ
第七十九條 凡ソ記簿上ニ誤寫脫字アルモ一切改描塗抹スルコトヲ許サス其事由ヲ詳記シテ主務者之ニ捺印スヘシ
第八十條 檢査課長ハ局長ノ命ヲ受ケ臨時局中各般ノ帳簿證書ヲ檢査スルコトアルヘシ
第八十一條 凡ソ金錢出納ニ關スル仕出文書ハ定期間ニ於テ之ヲ處理スヘシ其錯綜スル事件ト雖トモ豫メ局長ノ許可ヲ得スシテ定期ヲ經過スルコトヲ得ス但仕出文書ヲ處理スルノ定期ハ各省定ムル所ニ依ル
第八十二條 營繕ハ用度課ヨリ其申立ヲ爲シ局長ニ於テ相當ナリト思惟スルトキハ檢査課ノ檢査ヲ經大臣又ハ次官ノ許可ヲ得タル後用度課ニ於テ之ヲ掌理セシム但從前閣議ヲ經テ施行スルモノハ仍ホ舊ニ依ル
第八十三條 廳中日常須要ノ物品ハ總テ用度課ニ於テ管守シ需用アル每ニ各局課長ノ證票ヲ以テ之ヲ請求セシムヘシ
第八十四條 用度課ハ省中取締ニ關スル事務ヲ掌リ及各種ノ物品ニ關スル出入帳簿ヲ製シ其出入ヲ明確ナラシムヘシ
第八十五條 前條揭クル外特ニ會計局ノ所掌ニ屬セシムルモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
朕各省ノ官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治十九年二月二十六日
内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
勅令第二号
各省官制
通則
第一条 此命令中各省トアルハ外務省内務省大蔵省陸軍省海軍省司法省文部省農商務省逓信省ヲ合称ス
此通則ニ依リ難キモノハ其省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第二条 各省大臣ハ其主任ノ事務及今後法律勅令ニ依リ主任ニ属スル事務ニ付其責ニ任スヘシ
主任ノ事務両省以上ニ関渉スルトキハ関渉ノ各省大臣ノ間ニ協議ヲ経テ其主任ヲ定メ上奏スヘシ若シ各省大臣ノ間協議決定セサルトキハ之ヲ閣議ニ提出スヘシ
第三条 各省大臣事故アルトキハ臨時命ヲ承テ他ノ大臣其事務ヲ代理スルコトアルヘシ
第四条 凡ソ法律勅令ノ各省大臣主任ノ事務ニ属スルモノハ各省大臣内閣総理大臣ト均シク之ニ副署ス若シ両省以上ニ関渉スルモノアルトキハ内閣総理大臣及関渉ノ各省大臣均シク之ニ連署スヘシ
第五条 各省大臣ハ其主任ノ事務ニ付法律勅令ノ制定廃止及改正ヲ要スルコトアルトキハ案ヲ具ヘ閣議ニ提出スルコトヲ得
第六条 各省大臣ハ其主任ノ事務ニ付其職権若クハ特別ノ委任ニ依リ法律勅令ノ範囲内ニ於テ法律勅令ヲ施行シ又ハ安寧秩序ヲ保持スル為ニ省令ヲ発スルコトヲ得
第七条 各省大臣ノ命令ニハ罰金二十五円以下又ハ禁錮二十五日以内ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第八条 各省大臣ハ法律勅令ノ範囲内ニ於テ其省中各局課及其所轄官庁ノ処務細則ヲ定ムルコトヲ得
第九条 法律勅令ニ副署シ省務ヲ敷奏シ内閣ノ議ニ列シ及省令ヲ発スルコトヲ除クノ外各省大臣ハ其職務ヲ次官ニ代理セシメ又ハ其職務ノ一部ヲ次官ニ委任スルコトヲ得
第十条 各省大臣ハ其主任ノ事務ニ付警視総監北海道庁長官府知事県令ニ指令又ハ訓令ヲ下スコトヲ得
第十一条 各省大臣ハ其主任ノ事務ニ付警視総監北海道庁長官府知事県令ヲ監督スヘシ若シ警視総監北海道庁長官府知事県令ノ処分又ハ指令ノ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其処分指令ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第十二条 各省大臣ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任官以上ノ進退ハ内閣総理大臣ヲ経テ之ヲ上奏シ判任官以下ハ之ヲ専行ス
第十三条 各省大臣ハ内閣総理大臣ヲ経テ所部官吏ノ叙位叙勲及恩給ヲ上奏スヘシ
第十四条 各省大臣ハ閣議ノ後裁可ヲ経ルニ非サレハ局課ヲ廃置分合シ又ハ定限ノ外新ニ勅奏任官ヲ増加スルコトヲ得ス
第十五条 各省大臣ハ予算決定後臨時ニ増額又ハ別途支出ヲ請求スルコトヲ得ス但臨時ノ事変及他ノ成規ニ依リ止ムヲ得サルモノハ此限ニアラス
第十六条 各省大臣ハ俸給予算額内ニ於テ其省限リ定員ヲ設ケ判任官ヲ任用スルコトヲ得
第十七条 各省大臣ハ臨時ノ須要ニ依リ判任官定員ノ外ニ俸給予算定額内ニ於テ雇員ヲ使用スルコトヲ得
第十八条 各省大臣ハ其主任ノ事務ニ付時々ノ状況ヲ内閣総理大臣ニ報告スヘシ
第十九条 各省大臣ハ毎会計年度末ニ於テ前年ノ功程ヲ具ヘ内閣総理大臣ヲ経テ報告書ヲ上奏スヘシ
第二十条 各省大臣ハ毎会計年度末ニ於テ判任官以下使用ノ状況ヲ具ヘ臨時事務ノ為ニ使用シタル雇員ノ日数人員及金額ヲ細分統計シ内閣総理大臣ニ報告スヘシ
第二十一条 各省大臣ハ一周年末ニ其省ノ予算定額内ニ於テ奏任官以下特別ノ勤労アル者ヲ賞与シ之ヲ官報ニ公録スルコトヲ得
第二十二条 各省大臣ハ所部ノ官吏ヲシテ他省ニ渉リ又ハ他省ヨリ兼官セシムルコトヲ得ス若シ止ムヲ得サル要用アルトキハ之ヲ閣議ニ提出シテ裁可ヲ請フヘシ
第二十三条 各省大臣ハ臨時審査ノ為メ省中定員ノ内ヲ以テ便宜委員ヲ設クルコトヲ得
第二十四条 各省大臣ハ法律勅令ノ定ムル所ニ従ヒ部下ノ官吏ヲ懲戒ス
第二十五条 各省職員ヲ置ク左ノ如シ
次官
秘書官
書記官
局長
参事官
局次長
試補
第二十六条 前条ノ外各省特別ノ職員ヲ置クモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第二十七条 各省次官一人ヲ置ク勅任トス
第二十八条 次官ハ主任大臣ノ命ヲ承ケ第九条ノ範囲内ニ於テ大臣ノ職務ヲ代理シ又ハ大臣ノ指命シタル範囲内ニ於テ委任ヲ受ク
次官事故アルトキハ大臣其省中ノ官吏ヲシテ臨時其職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第二十九条 次官ハ大臣ノ代理トシテ公文ニ署名スルコトヲ得
第三十条 次官ハ総務局長トナリ命ヲ大臣ニ承ケ各局課ノ事務ヲ監督シ省務ノ全部ヲ整理スルノ責ニ任ス
第三十一条 各省ニ大臣官房ヲ置ク大臣官房ハ機密文書ヲ掌リ大臣次官ノ官印及省印ヲ管守ス
第三十二条 大臣官房ハ大臣親展ノ文書機密事務所部官吏ノ進退身分ニ関スル事務及大臣ニ属スル一切ノ事務ヲ掌ル
所部官吏ノ進退身分ニ関スル事務ハ各省ノ便宜ニ従ヒ総務局中ノ一課ニ於テ処理スルコトヲ得
第三十三条 秘書官ハ奏任トス大臣ニ専属シテ官房ノ事務ヲ掌ル
秘書官ノ定員ハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第三十四条 秘書官ハ臨時命ヲ承ケ書記官及各局課ノ事務ヲ助クルコトアルヘシ
各省ノ便宜ニ依リ特ニ秘書官ノ所掌ニ属セシムルモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第三十五条 各省中省務ノ全部ヲ統轄スル為ニ総務局ヲ置キ省務ヲ分掌スル為ニ各局ヲ置ク
第三十六条 各省総務局ニ文書課往復課報告課及記録課ヲ置キ其事務ヲ分掌セシム
第三十七条 文書課ハ省中各局成案ノ回議ヲ審査シ諸文案ヲ起草スル事ヲ掌ル
第三十八条 往復課ハ凡テ各省ニ到達スル公文書類及成案文書ヲ接受シ並発送ノ事ヲ掌ル
第三十九条 報告課ハ各局課ニ就キ統計報告ノ材料ヲ採輯シ統計報告ヲ調整シテ大臣ノ査閲ニ供シ官報掲載ノ事項ヲ官報局ニ送致スル事ヲ掌ル
第四十条 記録課ハ其省及省中各局課一切ノ公文書類ヲ編纂保存ス
各省中記録局ノ設ケアルモノハ別ニ記録課ヲ置カス
第四十一条 各省ノ便宜ニ依リ特ニ総務局ノ所掌ニ属セシムルモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第四十二条 書記官ハ奏任トス大臣又ハ総務局長ノ命ヲ承ケ各局ノ成案ヲ審査シ文書ヲ掌リ又ハ総務局中諸課ノ長ヲ兼ネ課務ヲ掌理ス
書記官ノ定員ハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第四十三条 総務局ノ外各局ニ局長局次長各一人ヲ置ク局長局次長ハ奏任トス各局ニ局長アレハ局次長ヲ置カス局次長アレハ局長ヲ置カサルコトアルヘシ
第四十四条 局長ハ大臣又ハ総務局長ノ命ヲ承ケテ其主務ヲ掌理シ及各課ノ事務ヲ指揮ス
第四十五条 局長又ハ局次長ハ其主任ノ事務ニ付其職権ニ属シ又ハ特別ノ委任ヲ受クルノ事項ハ之ヲ専行スルコトヲ得
第四十六条 局次長ハ局長ノ事務ヲ佐ク若シ局長ナキトキ又ハ局長事故アルトキハ大臣ノ命ニ依リ局長ノ事務ヲ掌理ス
第四十七条 参事官ハ奏任トス大臣又ハ次官ノ諮詢ニ応シ意見ヲ具ヘ及審議立案ヲ掌ル
参事官ノ定員ハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第四十八条 参事官ハ其省ノ便宜ニ従ヒ局課ノ事務ヲ兼任シ若クハ臨時命ヲ承ケテ其事務ヲ助クルコトアルヘシ
各省ノ便宜ニ依リ特ニ参事官ノ所掌ニ属セシムルモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第四十九条 試補ハ奏任ニ准シ定期間大臣ノ指命スル所ニ就キ事務ヲ練習シ任官ヲ待ツモノトス
各省試補ノ規則ハ別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十条 局中各課ニ課長一人ヲ置キ判任官ヲ以テ之ニ充ツ課長ハ命ヲ局長ニ承ク
各省中特ニ奏任官ヲ以テ課長ヲ兼子シムルモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム
第五十一条 属ハ判任トス各上官ノ指揮ヲ承ケ書記簿記及計算ノ事ニ従フ
第五十二条 各省中特ニ補助員ヲ要シ又ハ顧問員ヲ要スルトキハ毎次状ヲ具ヘテ閣議ニ提出シ裁可ヲ請フヘシ
第五十三条 各省処務規程中公文ノ取扱順序ハ左ノ条項ニ依ラシム
第五十四条 各省ニ到達スル文書ハ凡テ総務局往復課ニ接受シ課長之ヲ取纒メ開封シ件名番号等ヲ簿冊ニ記入シテ総務局長ノ査閲ニ供スヘシ
第五十五条 総務局長ハ其文書ヲ査閲シ事例規ナキカ又ハ重要ナリト認ムルモノハ之ヲ大臣ノ査閲ニ供シ其他尋常ノ件ハ主務ノ処ヲ指示シ之ニ検印シテ往復課長ニ下付シ直ニ之ヲ配付セシム往復課長ヨリ各局ニ配付スル文書ハ之ヲ各局往復主任ノ属ニ配付ス
第五十六条 大臣親展ノ文書ハ封皮ノ上ニ記号シ記簿ノ後直ニ大臣又ハ秘書官ニ送付スヘシ
第五十七条 秘書官ハ大臣親展ノ文書及往復課ヲ経スシテ各局課ヨリ送付スル文書ヲ受領シタルトキハ其番号ヲ簿冊ニ記シ直ニ之ヲ大臣ニ提出ス決裁済ノ文書ハ其主務ノ処ニ送付シ受領者ノ検印ヲ要スヘシ
第五十八条 凡ソ送付ノ文書ハ送付記銘簿ニ受領者ノ検印ヲ要スヘシ
第五十九条 各局長ハ大臣又ハ次官ヨリ事務ノ処分方ヲ受ケ又ハ往復課長ヨリ文書ノ配付ヲ受ケタルトキハ各其主務ニ従ヒ各課長ニ文書ヲ配付シ其緩急ヲ示シ其処分方ヲ授ケテ速ニ之ニ従事セシムヘシ
第六十条 各局課長ハ受領ノ文書ヲ処理スルニ当リ定期ヲ経過スルヲ得ス若シ事件ノ錯綜スルカ或ハ数局課ニ連帯シテ時日ヲ要スルノ見込アルトキハ凡ソ其時日ヲ定メ予メ次官ノ允許ヲ受クルヲ要ス但文書ヲ処理スルノ定期ハ各省ノ定ムル所ニ依ル
第六十一条 事ノ数局課ニ連帯スル文書ハ主務ノ局課ニテ処分案ヲ起草シ関係局課ノ検印ヲ要スヘシ若シ彼此見ヲ異ニスルトキハ面議商量シ尚ホ決セサルトキハ直ニ大臣又ハ次官ニ面陳シテ決裁ヲ請ヒ附箋ヲ以テ応答スルヲ許サス
第六十二条 各局課調査済ノ成案ハ往復主任ノ属ヨリ之ヲ往復課ニ回付シ往復課ハ直ニ之ヲ総務局長ニ提出シ総務局長ハ査閲ノ上大臣ノ決裁ヲ請フヘシ総務局長大臣ノ代理ヲ為シ又ハ委任ヲ受クル事件ハ査閲ヲ経テ直ニ施行スヘシ
第六十三条 総務局長ニ於テ各局課ノ成案ニ異議アルトキハ各局長ニ命シテ之ヲ修正セシメ又ハ大臣ノ旨ヲ承テ各局長ニ指揮ヲ為スコトアルヘシ
第六十四条 大臣及次官ノ決裁ヲ経タル文書ハ往復課ニ於テ浄書シ秘書官ニ就キ大臣ノ印ヲ鈐シ件名番号等ヲ簿冊ニ記入シテ直ニ発送ス其原文書ニハ交付発送ノ年月日ヲ記シ往復課長之ニ検印シテ主務ノ処ニ返付スヘシ
各局課長ノ名ヲ以テ施行スルモノハ其局課ニ於テ浄写押印シ之ヲ往復課ニ移ス往復課ハ其件名番号等ヲ簿冊ニ記入シテ之ヲ発送ス
第六十五条 総務局ニ於テ起草シタル文案ハ総務局長直ニ大臣ニ提出シ決裁ヲ請フヘシ
第六十六条 事ノ急施ヲ要シ又ハ機密ニ係ルモノハ通常ノ手続ニ依ラス直ニ大臣ノ決裁ヲ請フコトアルヘシ
第六十七条 至急又ハ機密ノ文書ハ通常ノ手続ニ依ラス便宜主任者ニ於テ自ラ携帯シテ諸局ノ議ヲ取リ並官房ニ提出スルコトヲ得其決裁済施行ニ至ル迄ノ順序モ亦便宜ニ従ヒ別ニ至急機密文書ノ件名簿ヲ調整シテ之ヲ登録スルコトヲ得
第六十八条 文書調査ノ為メ他ノ官署ニ照会ヲ要スルトキハ往復課ヲ経ス各局課長ノ名ヲ以テ往復スルコトヲ得
第六十九条 往復課長ハ各局課ニ配付シタル文書ノ日限ヲ計算シ若シ故ナクシテ日限内ニ往復課ニ回付セサルモノアルトキハ其件名及局名ヲ総務局長ニ報告スヘシ
第七十条 大臣ノ命ニ依リ一時処分ヲ為スヲ要セスシテ留置クヘキ文書ハ総テ総務局ニ於テ之ヲ保管スヘシ
第七十一条 各局課ノ文書処分済ノモノハ之ヲ記録局又ハ記録課ニ送付ス其機密ニ属スル文書ハ別ニ大臣ノ命スル所ニ依リ秘書官之ヲ保管スルコトアルヘシ
第七十二条 各省ノ会計事務ニシテ別段ノ法律命令ニ依テ定メタルモノヲ除クノ外金銭出納ニ関シテハ左ノ条項ニ依ラシム
第七十三条 各省会計局ハ其省及所轄庁費ノ予算決算省中ノ会計事務及所轄ノ地所建物ニ関スル事務ヲ掌ラシム局中出納課検査課及用度課ヲ置キ其事務ヲ分掌セシム
第七十四条 出納課ハ其省及所轄庁費ノ予算決算金銭ノ出納諸帳簿ノ整頓並計算表ノ調整ヲ掌ル
第七十五条 検査課ハ金銭出納ノ当否及各般ノ証書ヲ検査スルコトヲ掌ル
用度課購入ノ物品ハ臨時局長ノ命ヲ承ケテ検査スルコトアルヘシ
第七十六条 用度課ハ所轄ノ地所建物其他一切ノ需用品ニ関スル事務ヲ掌ル
第七十七条 俸給並旅費其他一切ノ経費並収入ニ関スル事ハ出納課ニ於テ之ヲ管理シ其都度仕出文書ニ依リ出納伝票ニ事由ヲ摘要シテ局長ニ差出シ局長ニ於テ相当ナリト思惟スルトキハ検査課ヲシテ検査セシメ然ル後大臣又ハ次官ノ決裁ヲ請ヒ収入及支出ノ手続ヲ為サシムヘシ
第七十八条 出納課ニ於テハ出納伝票ニ捺スル局長並各課経由ノ検印ヲ認メテ其出納ヲ帳簿ニ登記シ毎日残額表ヲ製シテ局長ノ査閲ニ供スヘシ
第七十九条 凡ソ記簿上ニ誤写脱字アルモ一切改描塗抹スルコトヲ許サス其事由ヲ詳記シテ主務者之ニ捺印スヘシ
第八十条 検査課長ハ局長ノ命ヲ受ケ臨時局中各般ノ帳簿証書ヲ検査スルコトアルヘシ
第八十一条 凡ソ金銭出納ニ関スル仕出文書ハ定期間ニ於テ之ヲ処理スヘシ其錯綜スル事件ト雖トモ予メ局長ノ許可ヲ得スシテ定期ヲ経過スルコトヲ得ス但仕出文書ヲ処理スルノ定期ハ各省定ムル所ニ依ル
第八十二条 営繕ハ用度課ヨリ其申立ヲ為シ局長ニ於テ相当ナリト思惟スルトキハ検査課ノ検査ヲ経大臣又ハ次官ノ許可ヲ得タル後用度課ニ於テ之ヲ掌理セシム但従前閣議ヲ経テ施行スルモノハ仍ホ旧ニ依ル
第八十三条 庁中日常須要ノ物品ハ総テ用度課ニ於テ管守シ需用アル毎ニ各局課長ノ証票ヲ以テ之ヲ請求セシムヘシ
第八十四条 用度課ハ省中取締ニ関スル事務ヲ掌リ及各種ノ物品ニ関スル出入帳簿ヲ製シ其出入ヲ明確ナラシムヘシ
第八十五条 前条掲クル外特ニ会計局ノ所掌ニ属セシムルモノハ各省ノ部ニ就テ之ヲ定ム