(廃炉等積立金の積立て及び管理)
第五十五条の三 廃炉等を実施する認定事業者(以下「廃炉等実施認定事業者」という。)は、廃炉等の適正かつ着実な実施を確保するため、機構の事業年度ごとに、主務省令で定めるところにより、機構が次条第五項の規定により通知する額の金銭を廃炉等積立金として積み立てなければならない。
2 廃炉等積立金の積立ては、当該事業年度の終了後三月以内に機構にしなければならない。ただし、当該積立金の額の二分の一に相当する金額については、当該事業年度終了の日の翌日以後六月を経過した日から三月以内に積み立てることができる。
(廃炉等積立金の額)
第五十五条の四 廃炉等積立金の額は、機構の事業年度ごとに廃炉等実施認定事業者が機構に積み立てるべき額として機構が運営委員会の議決を経て定める額とする。
2 廃炉等積立金の額は、次に掲げる要件を満たすために必要なものとして主務省令で定める基準に従って定められなければならない。
一 廃炉等の実施に関する長期的な見通しに照らし、廃炉等を適正かつ着実に実施するために十分なものであること。
二 廃炉等実施認定事業者の収支の状況に照らし、電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営に支障を来し、又は当該事業の利用者に著しい負担を及ぼすおそれのないものであること。
3 機構は、廃炉等積立金の額を定め、又はこれを変更しようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。
4 主務大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
5 機構は、第三項の認可を受けたときは、遅滞なく、当該認可に係る廃炉等積立金の額を廃炉等実施認定事業者に通知しなければならない。
6 主務大臣は、廃炉等実施認定事業者の廃炉等の実施の状況、廃炉等を実施するために必要な技術に関する研究及び開発の状況その他の事情に照らし必要と認めるときは、機構に対し、廃炉等積立金の額の変更をすべきことを命ずることができる。
(廃炉等実施認定事業者の届出)
第五十五条の五 廃炉等実施認定事業者は、毎年度、主務省令で定めるところにより、廃炉等の実施の状況、廃炉等の実施に関する計画その他主務省令で定める事項を機構を経由して主務大臣に届け出なければならない。その届け出た事項に変更(主務省令で定める軽微な変更を除く。)が生じたときも、同様とする。
(利息)
第五十五条の六 機構は、主務省令で定めるところにより、廃炉等積立金に利息を付さなければならない。
(廃炉等積立金の運用)
第五十五条の七 機構は、次の方法によるほか、廃炉等積立金を運用してはならない。
(帳簿)
第五十五条の八 機構は、主務省令で定めるところにより、帳簿を備え、廃炉等積立金管理業務に関し主務省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
(取戻し)
第五十五条の九 廃炉等実施認定事業者は、廃炉等の実施に要する費用に充てる場合又は廃炉等積立金を積み立てておく必要がないものとして主務省令で定める場合には、主務省令で定めるところにより、次項の規定により承認を受けた計画に従って廃炉等積立金を取り戻すことができる。
2 廃炉等実施認定事業者は、廃炉等積立金の取戻しをするに当たっては、機構の事業年度ごとに、主務省令で定めるところにより、機構と共同して、廃炉等積立金の取戻しに関する計画を作成し、主務大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(立入検査)
第五十五条の十 主務大臣は、この節の規定を施行するため必要があると認めるときは、その職員に、廃炉等実施認定事業者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 主務大臣は、必要があると認めるときは、機構に、第一項の規定による立入検査を行わせることができる。
4 主務大臣は、前項の規定により機構に立入検査を行わせる場合には、機構に対し、当該立入検査の場所その他必要な事項を示してこれを実施すべきことを指示するものとする。
5 機構は、前項の規定による指示に従って第三項に規定する立入検査を行ったときは、その結果を主務大臣に報告しなければならない。
6 第三項の規定により機構の職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
7 第一項及び第三項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。