がん対策基本法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百七号
公布年月日: 平成28年12月16日
法令の形式: 法律
がん対策基本法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十八年十二月十六日
内閣総理大臣 安倍晋三
法律第百七号
がん対策基本法の一部を改正する法律
がん対策基本法(平成十八年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第八条」を「第九条」に、「第九条―第十一条」を「第十条―第十二条」に、「第十二条・第十三条」を「第十三条・第十四条」に、「第十四条―第十七条」を「第十五条―第十八条」に、「第三節 研究の推進等(第十八条)」を
第三節
研究の推進等(第十九条)
第四節
がん患者の就労等(第二十条―第二十二条)
第五節
がんに関する教育の推進(第二十三条)
に、「第十九条・第二十条」を「第二十四条・第二十五条」に改める。
第一条中「にかんがみ」を「並びにがん対策においてがん患者(がん患者であった者を含む。以下同じ。)がその状況に応じて必要な支援を総合的に受けられるようにすることが課題となっていることに鑑み」に、「及び医師等」を「、医師等及び事業主」に改める。
第二条に次の五号を加える。
四 がん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる社会の構築を目指し、がん患者が、その置かれている状況に応じ、適切ながん医療のみならず、福祉的支援、教育的支援その他の必要な支援を受けることができるようにするとともに、がん患者に関する国民の理解が深められ、がん患者が円滑な社会生活を営むことができる社会環境の整備が図られること。
五 それぞれのがんの特性に配慮したものとなるようにすること。
六 保健、福祉、雇用、教育その他の関連施策との有機的な連携に配慮しつつ、総合的に実施されること。
七 国、地方公共団体、第五条に規定する医療保険者、医師、事業主、学校、がん対策に係る活動を行う民間の団体その他の関係者の相互の密接な連携の下に実施されること。
八 がん患者の個人情報(個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。)の保護について適正な配慮がなされるようにすること。
第五条中「介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第七項に規定する医療保険者」を「高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第七条第二項に規定する保険者及び同法第四十八条に規定する後期高齢者医療広域連合」に改め、「がん検診」の下に「(その結果に基づく必要な対応を含む。)」を加える。
第六条中「影響」の下に「、がんの原因となるおそれのある感染症」を加え、「払うよう努めるとともに」を「払い」に改め、「受けるよう」の下に「努めるほか、がん患者に関する理解を深めるよう」を加える。
第二十条を第二十五条とする。
第十九条中「第九条第四項」を「第十条第四項」に改め、同条を第二十四条とする。
第三章第三節の次に次の二節を加える。
第四節 がん患者の就労等
(がん患者の雇用の継続等)
第二十条 国及び地方公共団体は、がん患者の雇用の継続又は円滑な就職に資するよう、事業主に対するがん患者の就労に関する啓発及び知識の普及その他の必要な施策を講ずるものとする。
(がん患者における学習と治療との両立)
第二十一条 国及び地方公共団体は、小児がんの患者その他のがん患者が必要な教育と適切な治療とのいずれをも継続的かつ円滑に受けることができるよう、必要な環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。
(民間団体の活動に対する支援)
第二十二条 国及び地方公共団体は、民間の団体が行うがん患者の支援に関する活動、がん患者の団体が行う情報交換等の活動等を支援するため、情報提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
第五節 がんに関する教育の推進
第二十三条 国及び地方公共団体は、国民が、がんに関する知識及びがん患者に関する理解を深めることができるよう、学校教育及び社会教育におけるがんに関する教育の推進のために必要な施策を講ずるものとする。
第十八条第一項中「事項」の下に「並びにがんの治療に伴う副作用、合併症及び後遺症の予防及び軽減に関する方法の開発その他のがん患者の療養生活の質の維持向上に資する事項」を加え、同条第二項中「標準的な」を「有効な」に、「臨床研究」を「臨床研究等」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の施策を講ずるに当たっては、罹患している者の少ないがん及び治癒が特に困難であるがんに係る研究の促進について必要な配慮がなされるものとする。
第三章第三節中第十八条を第十九条とする。
第十七条第一項中「及びその家族」を「(その家族を含む。第二十条及び第二十二条において同じ。)」に改め、同条第二項中「がん患者のがんの患、転帰その他の状況を把握し、分析するための取組を支援するために必要な施策を講ずる」を「がんに係る調査研究の促進のため、がん登録等の推進に関する法律(平成二十五年法律第百十一号)第二条第二項に規定するがん登録(その他のがんの罹患、診療、転帰等の状況の把握、分析等のための取組を含む。以下この項において同じ。)、当該がん登録により得られた情報の活用等を推進する」に改め、第三章第二節中同条を第十八条とする。
第十六条中「とう痛等の緩和を目的とする医療が早期から適切に行われる」を「緩和ケアが診断の時から適切に提供されるようにすること、がん患者の状況に応じた良質なリハビリテーションの提供が確保される」に改め、「対するがん患者の療養生活」の下に「(これに係るその家族の生活を含む。以下この条において同じ。)」を加え、同条を第十七条とし、第十五条を第十六条とする。
第十四条中「化学療法」の下に「、緩和ケア(がんその他の特定の疾病に罹患した者に係る身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安を緩和することによりその療養生活の質の維持向上を図ることを主たる目的とする治療、看護その他の行為をいう。第十七条において同じ。)のうち医療として提供されるもの」を加え、同条を第十五条とする。
第十三条に次の二項を加える。
2 国及び地方公共団体は、がん検診によってがんに患している疑いがあり、又は罹患していると判定された者が必要かつ適切な診療を受けることを促進するため、必要な環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。
3 国及び地方公共団体は、前二項に規定する施策を効果的に実施するため、がん検診の実態の把握のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第三章第一節中第十三条を第十四条とする。
第十二条中「影響」の下に「、がんの原因となるおそれのある感染症並びに性別、年齢等に係る特定のがん及びその予防等」を加え、同条を第十三条とする。
第十一条第二項中「介護保険法」の下に「(平成九年法律第百二十三号)」を加え、「保健、医療又は福祉に関する」を「がん対策に関連する」に改め、同条第三項中「五年」を「六年」に改め、第二章中同条を第十二条とし、第十条を第十一条とする。
第九条第七項中「五年」を「六年」に改め、同条を第十条とする。
第一章中第八条を第九条とし、第七条の次に次の一条を加える。
(事業主の責務)
第八条 事業主は、がん患者の雇用の継続等に配慮するよう努めるとともに、国及び地方公共団体が講ずるがん対策に協力するよう努めるものとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(厚生労働省設置法の一部改正)
2 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十七号の二中「第九条第一項」を「第十条第一項」に改める。
厚生労働大臣 塩崎恭久
内閣総理大臣 安倍晋三