港湾法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第45号
公布年月日: 平成28年5月20日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

近年の外航クルーズ船の寄港回数増加と船舶の大型化により、訪日外国人旅行者数が急増している。インバウンド観光の経済効果を取り込み地方創生に資するため、旅客施設の整備や官民連携体制の構築等を通じた港湾の国際競争力強化が急務となっている。また、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、港湾区域内の水域等における洋上風力発電施設の設置需要が高まっており、これらの水域を有効活用することが求められている。これらの課題に対応するため、本法律案を提案するものである。

参照した発言:
第190回国会 衆議院 国土交通委員会 第8号

審議経過

第190回国会

衆議院
(平成28年4月19日)
(平成28年4月20日)
(平成28年4月21日)
参議院
(平成28年5月10日)
(平成28年5月12日)
(平成28年5月13日)
港湾法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十八年五月二十日
内閣総理大臣 安倍晋三
法律第四十五号
港湾法の一部を改正する法律
港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第四章 港湾区域及び臨港地区(第三十七条―第四十一条)」を
第四章
港湾区域及び臨港地区(第三十七条―第四十一条)
第四章の二
港湾協力団体(第四十一条の二―第四十一条の六)
に、「第六十四条」を「第六十六条」に改める。
第二条第五項第八号の二の次に次の一号を加える。
八の三 港湾情報提供施設 案内施設、見学施設その他の港湾の利用に関する情報を提供するための施設
第三十七条第一項中「左の各号の一に掲げる」を「次の各号のいずれかに該当する」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に改め、同項第一号中「公共空地」の下に「(以下「港湾区域内水域等」という。)」を加え、同項第二号中「港湾区域内の水域又は公共空地」を「港湾区域内水域等」に改め、同項第三号中「用水きよ又は排水きよ」を「用水きよ又は排水渠」に改め、同条第四項中「港湾区域内の水域又は公共空地」を「港湾区域内水域等」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に改める。
第三十七条の三を第三十七条の十一とし、第三十七条の二の次に次の八条を加える。
(公募対象施設等の公募占用指針)
第三十七条の三 港湾管理者は、第三十七条第一項の許可(長期間にわたり使用される施設又は工作物の設置のための同項第一号の占用に係るものに限る。第三項、第三十七条の八第二項及び第三項並びに第三十七条の十第三項において同じ。)の申請を行うことができる者を公募により決定することが、港湾区域内水域等を占用する者の公平な選定を図るとともに、再生可能エネルギー源(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)第二条第四項に規定する再生可能エネルギー源をいう。)の利用その他の公共の利益の増進を図る上で有効であると認められる施設又は工作物(以下「公募対象施設等」という。)について、港湾区域内水域等の占用及び公募の実施に関する指針(以下「公募占用指針」という。)を定めることができる。
2 公募占用指針には、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 公募占用指針の対象とする公募対象施設等の種類
二 当該公募対象施設等のための港湾区域内水域等の占用の区域
三 当該公募対象施設等のための港湾区域内水域等の占用の開始の時期
四 港湾区域内水域等の占用の期間が満了した場合その他の事由により港湾区域内水域等の占用をしないこととなつた場合における当該公募対象施設等の撤去に関する事項
五 第三十七条の六第一項の認定の有効期間
六 占用料の額の最低額
七 占用予定者を選定するための評価の基準
八 前各号に掲げるもののほか、公募の実施に関する事項その他必要な事項
3 前項第二号の区域は、港湾管理者の管理する水域施設の区域その他の第三十七条第一項の許可の申請を行うことができる者を公募により決定することが港湾の開発、利用、保全又は管理上適切でない区域として国土交通省令で定める区域については定めないものとする。
4 第二項第五号の有効期間は、二十年を超えないものとする。
5 第二項第六号の占用料の額の最低額は、第三十七条第四項の規定により条例又は第十二条の二の規程で定める額を下回つてはならないものとする。
6 港湾管理者は、第二項第七号の評価の基準を定めようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、学識経験者の意見を聴かなければならない。
7 港湾管理者は、公募占用指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公示しなければならない。
(公募占用計画の提出)
第三十七条の四 公募対象施設等を設置するため港湾区域内水域等を占用しようとする者は、公募対象施設等のための港湾区域内水域等の占用に関する計画(以下「公募占用計画」という。)を作成し、その公募占用計画が適当である旨の認定を受けるための選定の手続に参加するため、これを港湾管理者に提出することができる。
2 公募占用計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 港湾区域内水域等の占用の目的
二 港湾区域内水域等の占用の区域
三 港湾区域内水域等の占用の期間
四 公募対象施設等の構造
五 工事実施の方法
六 工事の時期
七 当該公募対象施設等の維持管理の方法
八 港湾区域内水域等の占用の期間が満了した場合その他の事由により港湾区域内水域等の占用をしないこととなつた場合における当該公募対象施設等の撤去の方法
九 占用料の額
十 資金計画及び収支計画
十一 その他国土交通省令で定める事項
3 公募占用計画の提出は、港湾管理者が公示する一月を下らない期間内に行わなければならない。
(占用予定者の選定)
第三十七条の五 港湾管理者は、前条第一項の規定により港湾区域内水域等を占用しようとする者から公募占用計画が提出されたときは、当該公募占用計画が次に掲げる基準に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 当該公募占用計画が公募占用指針に照らし適切なものであること。
二 当該公募対象施設等のための港湾区域内水域等の占用が第三十七条第二項の許可をしてはならない場合に該当しないものであること。
三 当該公募対象施設等及びその維持管理の方法が国土交通省令で定める基準に適合すること。
四 当該公募占用計画を提出した者が不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。
2 港湾管理者は、前項の規定により審査した結果、公募占用計画が同項各号に掲げる基準に適合していると認められるときは、第三十七条の三第二項第七号の評価の基準に従つて、その適合していると認められた全ての公募占用計画について評価を行うものとする。
3 港湾管理者は、前項の評価に従い、港湾の機能を損なうことなく公共の利益の増進を図る上で最も適切であると認められる公募占用計画を提出した者を占用予定者として選定するものとする。
4 港湾管理者は、前項の規定により占用予定者を選定しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、学識経験者の意見を聴かなければならない。
5 港湾管理者は、第三項の規定により占用予定者を選定したときは、その者にその旨を通知しなければならない。
(公募占用計画の認定)
第三十七条の六 港湾管理者は、前条第五項の規定により通知した占用予定者が提出した公募占用計画について、港湾区域内水域等の区域及び占用の期間を指定して、当該公募占用計画が適当である旨の認定をするものとする。
2 港湾管理者は、前項の認定をしたときは、当該認定をした日及び認定の有効期間並びに同項の規定により指定した港湾区域内水域等の区域及び占用の期間を公示しなければならない。
(公募占用計画の変更等)
第三十七条の七 前条第一項の認定を受けた者(以下「認定計画提出者」という。)は、当該認定を受けた公募占用計画を変更しようとする場合においては、港湾管理者の認定を受けなければならない。
2 港湾管理者は、前項の変更の認定の申請があつたときは、次に掲げる基準に適合すると認める場合に限り、同項の認定をするものとする。
一 変更後の公募占用計画が第三十七条の五第一項第一号から第三号までに掲げる基準を満たしていること。
二 当該公募占用計画の変更をすることについて、公共の利益の一層の増進に寄与するものであると見込まれること又はやむを得ない事情があること。
3 前条第二項の規定は、第一項の変更の認定をした場合について準用する。
(公募を行つた場合における港湾区域内水域等の占用の許可等)
第三十七条の八 認定計画提出者は、第三十七条の六第一項の認定(前条第一項の変更の認定を含む。以下「計画の認定」という。)を受けた公募占用計画(変更があつたときは、その変更後のもの。以下「認定公募占用計画」という。)に従つて公募対象施設等の設置及び維持管理をしなければならない。
2 港湾管理者は、認定計画提出者から認定公募占用計画に基づき第三十七条第一項の許可の申請があつた場合においては、同項の許可を与えなければならない。
3 港湾管理者が前項の規定により第三十七条第一項の許可を与えた場合においては、当該許可に係る占用料の額は、同条第四項の規定にかかわらず、認定公募占用計画に記載された占用料の額(当該額が第三十七条第四項の規定により条例又は第十二条の二の規程で定める額を下回る場合にあつては、当該条例又は当該規程で定める額)とする。
4 計画の認定がされた場合においては、認定計画提出者以外の者は、第三十七条の六第二項の占用の期間(前条第一項の変更の認定があつたときは、同条第三項において準用する第三十七条の六第二項の占用の期間)内は、第三十七条の六第二項の港湾区域内水域等の区域(前条第一項の変更の認定があつたときは、同条第三項において準用する第三十七条の六第二項の港湾区域内水域等の区域)については、第三十七条第一項の許可(同項第一号に係るものに限る。)の申請をすることができない。
(地位の承継)
第三十七条の九 次に掲げる者は、港湾管理者の承認を受けて、認定計画提出者が有していた計画の認定に基づく地位を承継することができる。
一 認定計画提出者の一般承継人
二 認定計画提出者から、認定公募占用計画に基づき設置及び維持管理が行われ、又は行われた施設又は工作物の所有権その他当該施設又は工作物の設置及び維持管理に必要な権原を取得した者
(計画の認定の取消し)
第三十七条の十 港湾管理者は、次に掲げる場合には、計画の認定を取り消すことができる。
一 認定計画提出者が第三十七条の八第一項の規定に違反したとき。
二 認定計画提出者が詐欺その他不正な手段により計画の認定を受けたとき。
2 港湾管理者は、前項の規定により計画の認定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
3 第一項の規定により計画の認定が取り消されたときは、当該計画の認定に係る認定公募占用計画に基づき与えられた第三十七条第一項の許可は、その効力を失う。
第四章の次に次の一章を加える。
第四章の二 港湾協力団体
(港湾協力団体の指定)
第四十一条の二 港湾管理者は、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められる法人その他これに準ずるものとして国土交通省令で定める団体を、その申請により、港湾協力団体として指定することができる。
2 港湾管理者は、前項の規定による指定をしたときは、当該港湾協力団体の名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
3 港湾協力団体は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を港湾管理者に届け出なければならない。
4 港湾管理者は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(港湾協力団体の業務)
第四十一条の三 港湾協力団体は、当該港湾協力団体を指定した港湾管理者が管理する港湾について、次に掲げる業務を行うものとする。
一 港湾管理者に協力して、港湾情報提供施設その他の港湾施設の整備又は管理を行うこと。
二 港湾の開発、利用、保全及び管理に関する情報又は資料を収集し、及び提供すること。
三 港湾の開発、利用、保全及び管理に関する調査研究を行うこと。
四 港湾の開発、利用、保全及び管理に関する知識の普及及び啓発を行うこと。
五 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
(監督等)
第四十一条の四 港湾管理者は、前条各号に掲げる業務の適正かつ確実な実施を確保するため必要があると認めるときは、港湾協力団体に対し、その業務に関し報告をさせることができる。
2 港湾管理者は、港湾協力団体が前条各号に掲げる業務を適正かつ確実に実施していないと認めるときは、港湾協力団体に対し、その業務の運営の改善に関し必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
3 港湾管理者は、港湾協力団体が前項の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。
4 港湾管理者は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
(情報の提供等)
第四十一条の五 国土交通大臣又は港湾管理者は、港湾協力団体に対し、その業務の実施に関し必要な情報の提供又は指導若しくは助言をするものとする。
(港湾協力団体に対する許可の特例)
第四十一条の六 港湾協力団体が第四十一条の三各号に掲げる業務として行う国土交通省令で定める行為についての第三十七条第一項の規定の適用については、港湾協力団体と港湾管理者との協議が成立することをもつて、当該規定による許可があつたものとみなす。
第四十五条の三の次に次の三条を加える。
(特定港湾情報提供施設協定の締結等)
第四十五条の四 港湾管理者は、港湾の利用に関する情報の効率的かつ効果的な提供を図るため、その管理する港湾において港湾管理者以外の者が所有する港湾情報提供施設(これに附帯する港湾情報提供施設以外の港湾施設を含む。以下この項において「特定港湾情報提供施設」という。)を自ら管理する必要があると認めるときは、特定港湾情報提供施設所有者等(当該特定港湾情報提供施設の所有者又は当該特定港湾情報提供施設の敷地である土地(建築物その他の工作物に特定港湾情報提供施設が設けられている場合にあつては、当該建築物その他の工作物のうち当該特定港湾情報提供施設に係る部分)の所有者若しくは使用及び収益を目的とする権利(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者をいう。次項及び第四十五条の六において同じ。)との間において、次に掲げる事項を定めた協定(以下「特定港湾情報提供施設協定」という。)を締結して、当該特定港湾情報提供施設の管理を行うことができる。
一 特定港湾情報提供施設協定の目的となる特定港湾情報提供施設(以下「協定特定港湾情報提供施設」という。)
二 協定特定港湾情報提供施設の管理の方法
三 特定港湾情報提供施設協定の有効期間
四 特定港湾情報提供施設協定に違反した場合の措置
五 特定港湾情報提供施設協定の掲示方法
六 その他協定特定港湾情報提供施設の管理に関し必要な事項
2 特定港湾情報提供施設協定については、特定港湾情報提供施設所有者等の全員の合意がなければならない。
(特定港湾情報提供施設協定の縦覧等)
第四十五条の五 港湾管理者は、特定港湾情報提供施設協定を締結しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該特定港湾情報提供施設協定を当該公告の日から二週間利害関係人の縦覧に供さなければならない。
2 前項の規定による公告があつたときは、利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、当該特定港湾情報提供施設協定について、港湾管理者に意見書を提出することができる。
3 港湾管理者は、特定港湾情報提供施設協定を締結したときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公示し、かつ、当該特定港湾情報提供施設協定の写しを港湾管理者の事務所に備えて一般の閲覧に供するとともに、特定港湾情報提供施設協定において定めるところにより、協定特定港湾情報提供施設又はその敷地内の見やすい場所に、港湾管理者の事務所においてこれを閲覧に供している旨を掲示しなければならない。
4 前条第二項及び前三項の規定は、特定港湾情報提供施設協定において定めた事項の変更について準用する。
(特定港湾情報提供施設協定の効力)
第四十五条の六 前条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定による公示のあつた特定港湾情報提供施設協定は、その公示のあつた後において協定特定港湾情報提供施設の特定港湾情報提供施設所有者等となつた者に対しても、その効力があるものとする。
第五十五条の七第二項に次の一号を加える。
三 政令で定める用途に供する旅客施設及びこれに附帯する政令で定める駐車場その他の港湾施設
第五十六条の二第二項中「第三十七条の三第二項」を「第三十七条の十一第二項」に改める。
第五十六条の二の十第一項中「第六十四条第二項」を「第六十六条第二項」に改める。
第五十六条の四第一項第一号ハ中「第三十七条の三第一項」を「第三十七条の十一第一項」に改める。
第六十四条を第六十六条とする。
第六十三条中「第六十一条第三項」を「第六十二条又は第六十三条第三項」に、「又は第八項」を「若しくは第八項」に、「各本項」を「各本条」に改め、同条を第六十五条とし、第六十二条を第六十四条とする。
第六十一条の前の見出しを削り、同条第四項第二号中「第三十七条の三第一項」を「第三十七条の十一第一項」に改め、同条を第六十三条とする。
第六十条の五の次に次の見出し及び二条を加える。
(罰則)
第六十一条 地方公共団体の職員又は港務局の委員、監事若しくは職員が、第三十七条の六第一項の規定による認定に関し、その職務に反し、当該認定を受けようとする者に談合を唆すこと、当該認定を受けようとする者に当該認定に係る公募(以下「占用公募」という。)に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該占用公募の公正を害すべき行為を行つたときは、五年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。
第六十二条 偽計又は威力を用いて、占用公募の公正を害すべき行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 占用公募につき、公正な価額を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、前項と同様とする。
附則第二十六項及び第三十一項中「第六十四条第一項第三号」を「第六十六条第一項第三号」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(政令への委任)
2 この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(検討)
3 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の港湾法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
国土交通大臣 石井啓一
内閣総理大臣 安倍晋三