(課徴金納付命令)
第八条 事業者が、第五条の規定に違反する行為(同条第三号に該当する表示に係るものを除く。以下「課徴金対象行為」という。)をしたときは、内閣総理大臣は、当該事業者に対し、当該課徴金対象行為に係る課徴金対象期間に取引をした当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額に百分の三を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。ただし、当該事業者が当該課徴金対象行為をした期間を通じて当該課徴金対象行為に係る表示が次の各号のいずれかに該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められるとき、又はその額が百五十万円未満であるときは、その納付を命ずることができない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であること又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であることを示す表示
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であること又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であることを示す表示
2 前項に規定する「課徴金対象期間」とは、課徴金対象行為をした期間(課徴金対象行為をやめた後そのやめた日から六月を経過する日(同日前に、当該事業者が当該課徴金対象行為に係る表示が不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれを解消するための措置として内閣府令で定める措置をとつたときは、その日)までの間に当該事業者が当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の取引をしたときは、当該課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間を加えた期間とし、当該期間が三年を超えるときは、当該期間の末日から遡つて三年間とする。)をいう。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による命令(以下「課徴金納付命令」という。)に関し、事業者がした表示が第五条第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、同項の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示と推定する。
(課徴金対象行為に該当する事実の報告による課徴金の額の減額)
第九条 前条第一項の場合において、内閣総理大臣は、当該事業者が課徴金対象行為に該当する事実を内閣府令で定めるところにより内閣総理大臣に報告したときは、同項の規定により計算した課徴金の額に百分の五十を乗じて得た額を当該課徴金の額から減額するものとする。ただし、その報告が、当該課徴金対象行為についての調査があつたことにより当該課徴金対象行為について課徴金納付命令があるべきことを予知してされたものであるときは、この限りでない。
(返金措置の実施による課徴金の額の減額等)
第十条 第十五条第一項の規定による通知を受けた者は、第八条第二項に規定する課徴金対象期間において当該商品又は役務の取引を行つた一般消費者であつて政令で定めるところにより特定されているものからの申出があつた場合に、当該申出をした一般消費者の取引に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した購入額に百分の三を乗じて得た額以上の金銭を交付する措置(以下この条及び次条において「返金措置」という。)を実施しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、その実施しようとする返金措置(以下この条において「実施予定返金措置」という。)に関する計画(以下この条において「実施予定返金措置計画」という。)を作成し、これを第十五条第一項に規定する弁明書の提出期限までに内閣総理大臣に提出して、その認定を受けることができる。
2 実施予定返金措置計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
二 実施予定返金措置の対象となる者が当該実施予定返金措置の内容を把握するための周知の方法に関する事項
三 実施予定返金措置の実施に必要な資金の額及びその調達方法
3 実施予定返金措置計画には、第一項の認定の申請前に既に実施した返金措置の対象となつた者の氏名又は名称、その者に対して交付した金銭の額及びその計算方法その他の当該申請前に実施した返金措置に関する事項として内閣府令で定めるものを記載することができる。
4 第一項の認定の申請をした者は、当該申請後これに対する処分を受けるまでの間に返金措置を実施したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、当該返金措置の対象となつた者の氏名又は名称、その者に対して交付した金銭の額及びその計算方法その他の当該返金措置に関する事項として内閣府令で定めるものについて、内閣総理大臣に報告しなければならない。
5 内閣総理大臣は、第一項の認定の申請があつた場合において、その実施予定返金措置計画が次の各号のいずれにも適合すると認める場合でなければ、その認定をしてはならない。
一 当該実施予定返金措置計画に係る実施予定返金措置が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。
二 当該実施予定返金措置計画に係る実施予定返金措置の対象となる者(当該実施予定返金措置計画に第三項に規定する事項が記載されている場合又は前項の規定による報告がされている場合にあつては、当該記載又は報告に係る返金措置が実施された者を含む。)のうち特定の者について不当に差別的でないものであること。
三 当該実施予定返金措置計画に記載されている第二項第一号に規定する実施期間が、当該課徴金対象行為による一般消費者の被害の回復を促進するため相当と認められる期間として内閣府令で定める期間内に終了するものであること。
6 第一項の認定を受けた者(以下この条及び次条において「認定事業者」という。)は、当該認定に係る実施予定返金措置計画を変更しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
8 内閣総理大臣は、認定事業者による返金措置が第一項の認定を受けた実施予定返金措置計画(第六項の規定による変更の認定があつたときは、その変更後のもの。次条第一項及び第二項において「認定実施予定返金措置計画」という。)に適合して実施されていないと認めるときは、第一項の認定(第六項の規定による変更の認定を含む。次項及び第十項ただし書において単に「認定」という。)を取り消さなければならない。
9 内閣総理大臣は、認定をしたとき又は前項の規定により認定を取り消したときは、速やかに、これらの処分の対象者に対し、文書をもつてその旨を通知するものとする。
10 内閣総理大臣は、第一項の認定をしたときは、第八条第一項の規定にかかわらず、次条第一項に規定する報告の期限までの間は、認定事業者に対し、課徴金の納付を命ずることができない。ただし、第八項の規定により認定を取り消した場合には、この限りでない。
第十一条 認定事業者(前条第八項の規定により同条第一項の認定(同条第六項の規定による変更の認定を含む。)を取り消されたものを除く。第三項において同じ。)は、同条第一項の認定後に実施された認定実施予定返金措置計画に係る返金措置の結果について、当該認定実施予定返金措置計画に記載されている同条第二項第一号に規定する実施期間の経過後一週間以内に、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に報告しなければならない。
2 内閣総理大臣は、第八条第一項の場合において、前項の規定による報告に基づき、前条第一項の認定後に実施された返金措置が認定実施予定返金措置計画に適合して実施されたと認めるときは、当該返金措置(当該認定実施予定返金措置計画に同条第三項に規定する事項が記載されている場合又は同条第四項の規定による報告がされている場合にあつては、当該記載又は報告に係る返金措置を含む。)において交付された金銭の額として内閣府令で定めるところにより計算した額を第八条第一項又は第九条の規定により計算した課徴金の額から減額するものとする。この場合において、当該内閣府令で定めるところにより計算した額を当該課徴金の額から減額した額が零を下回るときは、当該額は、零とする。
3 内閣総理大臣は、前項の規定により計算した課徴金の額が一万円未満となつたときは、第八条第一項の規定にかかわらず、認定事業者に対し、課徴金の納付を命じないものとする。この場合において、内閣総理大臣は、速やかに、当該認定事業者に対し、文書をもつてその旨を通知するものとする。
(課徴金の納付義務等)
第十二条 課徴金納付命令を受けた者は、第八条第一項、第九条又は前条第二項の規定により計算した課徴金を納付しなければならない。
2 第八条第一項、第九条又は前条第二項の規定により計算した課徴金の額に一万円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
3 課徴金対象行為をした事業者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときは、当該法人がした課徴金対象行為は、合併後存続し、又は合併により設立された法人がした課徴金対象行為とみなして、第八条から前条まで並びに前二項及び次項の規定を適用する。
4 課徴金対象行為をした事業者が法人である場合において、当該法人が当該課徴金対象行為に係る事案について報告徴収等(第二十九条第一項の規定による報告の徴収、帳簿書類その他の物件の提出の命令、立入検査又は質問をいう。以下この項において同じ。)が最初に行われた日(当該報告徴収等が行われなかつたときは、当該法人が当該課徴金対象行為について第十五条第一項の規定による通知を受けた日。以下この項において「調査開始日」という。)以後においてその一若しくは二以上の子会社等(事業者の子会社若しくは親会社(会社を子会社とする他の会社をいう。以下この項において同じ。)又は当該事業者と親会社が同一である他の会社をいう。以下この項において同じ。)に対して当該課徴金対象行為に係る事業の全部を譲渡し、又は当該法人(会社に限る。)が当該課徴金対象行為に係る事案についての調査開始日以後においてその一若しくは二以上の子会社等に対して分割により当該課徴金対象行為に係る事業の全部を承継させ、かつ、合併以外の事由により消滅したときは、当該法人がした課徴金対象行為は、当該事業の全部若しくは一部を譲り受け、又は分割により当該事業の全部若しくは一部を承継した子会社等(以下この項において「特定事業承継子会社等」という。)がした課徴金対象行為とみなして、第八条から前条まで及び前三項の規定を適用する。この場合において、当該特定事業承継子会社等が二以上あるときは、第八条第一項中「当該事業者に対し」とあるのは「特定事業承継子会社等(第十二条第四項に規定する特定事業承継子会社等をいう。以下この項において同じ。)に対し、この項の規定による命令を受けた他の特定事業承継子会社等と連帯して」と、第一項中「受けた者は、第八条第一項」とあるのは「受けた特定事業承継子会社等(第四項に規定する特定事業承継子会社等をいう。以下この項において同じ。)は、第八条第一項の規定による命令を受けた他の特定事業承継子会社等と連帯して、同項」とする。
5 前項に規定する「子会社」とは、会社がその総株主(総社員を含む。以下この項において同じ。)の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。以下この項において同じ。)の過半数を有する他の会社をいう。この場合において、会社及びその一若しくは二以上の子会社又は会社の一若しくは二以上の子会社がその総株主の議決権の過半数を有する他の会社は、当該会社の子会社とみなす。
6 第三項及び第四項の場合において、第八条第二項及び第三項並びに第九条から前条までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
7 課徴金対象行為をやめた日から五年を経過したときは、内閣総理大臣は、当該課徴金対象行為に係る課徴金の納付を命ずることができない。
(課徴金納付命令に対する弁明の機会の付与)
第十三条 内閣総理大臣は、課徴金納付命令をしようとするときは、当該課徴金納付命令の名宛人となるべき者に対し、弁明の機会を与えなければならない。
(弁明の機会の付与の方式)
第十四条 弁明は、内閣総理大臣が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(次条第一項において「弁明書」という。)を提出してするものとする。
2 弁明をするときは、証拠書類又は証拠物を提出することができる。
(弁明の機会の付与の通知の方式)
第十五条 内閣総理大臣は、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、課徴金納付命令の名宛人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
二 課徴金の計算の基礎及び当該課徴金に係る課徴金対象行為
三 弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)
2 内閣総理大臣は、課徴金納付命令の名宛人となるべき者の所在が判明しない場合においては、前項の規定による通知を、その者の氏名(法人にあつては、その名称及び代表者の氏名)、同項第三号に掲げる事項及び内閣総理大臣が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を消費者庁の事務所の掲示場に掲示することによつて行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。
(代理人)
第十六条 前条第一項の規定による通知を受けた者(同条第二項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる者を含む。次項及び第四項において「当事者」という。)は、代理人を選任することができる。
2 代理人は、各自、当事者のために、弁明に関する一切の行為をすることができる。
3 代理人の資格は、書面で証明しなければならない。
4 代理人がその資格を失つたときは、当該代理人を選任した当事者は、書面でその旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
(課徴金納付命令の方式等)
第十七条 課徴金納付命令は、文書によつて行い、課徴金納付命令書には、納付すべき課徴金の額、課徴金の計算の基礎及び当該課徴金に係る課徴金対象行為並びに納期限を記載しなければならない。
2 課徴金納付命令は、その名宛人に課徴金納付命令書の謄本を送達することによつて、その効力を生ずる。
3 第一項の課徴金の納期限は、課徴金納付命令書の謄本を発する日から七月を経過した日とする。
(納付の督促)
第十八条 内閣総理大臣は、課徴金をその納期限までに納付しない者があるときは、督促状により期限を指定してその納付を督促しなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による督促をしたときは、その督促に係る課徴金の額につき年十四・五パーセントの割合で、納期限の翌日からその納付の日までの日数により計算した延滞金を徴収することができる。ただし、延滞金の額が千円未満であるときは、この限りでない。
3 前項の規定により計算した延滞金の額に百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
(課徴金納付命令の執行)
第十九条 前条第一項の規定により督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、内閣総理大臣の命令で、課徴金納付命令を執行する。この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
2 課徴金納付命令の執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従つてする。
3 内閣総理大臣は、課徴金納付命令の執行に関して必要があると認めるときは、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
(課徴金等の請求権)
第二十条 破産法(平成十六年法律第七十五号)、民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成八年法律第九十五号)の規定の適用については、課徴金納付命令に係る課徴金の請求権及び第十八条第二項の規定による延滞金の請求権は、過料の請求権とみなす。
(送達書類)
第二十一条 送達すべき書類は、この節に規定するもののほか、内閣府令で定める。
(送達に関する民事訴訟法の準用)
第二十二条 書類の送達については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第九十九条、第百一条、第百三条、第百五条、第百六条、第百八条及び第百九条の規定を準用する。この場合において、同法第九十九条第一項中「執行官」とあるのは「消費者庁の職員」と、同法第百八条中「裁判長」とあり、及び同法第百九条中「裁判所」とあるのは「内閣総理大臣」と読み替えるものとする。
(公示送達)
第二十三条 内閣総理大臣は、次に掲げる場合には、公示送達をすることができる。
一 送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
二 外国においてすべき送達について、前条において準用する民事訴訟法第百八条の規定によることができず、又はこれによつても送達をすることができないと認めるべき場合
三 前条において準用する民事訴訟法第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
2 公示送達は、送達すべき書類を送達を受けるべき者にいつでも交付すべき旨を消費者庁の事務所の掲示場に掲示することにより行う。
3 公示送達は、前項の規定による掲示を始めた日から二週間を経過することによつて、その効力を生ずる。
4 外国においてすべき送達についてした公示送達にあつては、前項の期間は、六週間とする。
(電子情報処理組織の使用)
第二十四条 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第二条第七号に規定する処分通知等であつて、この節又は内閣府令の規定により書類の送達により行うこととしているものについては、同法第四条第一項の規定にかかわらず、当該処分通知等の相手方が送達を受ける旨の内閣府令で定める方式による表示をしないときは、電子情報処理組織(同項に規定する電子情報処理組織をいう。次項において同じ。)を使用して行うことができない。
2 消費者庁の職員が前項に規定する処分通知等に関する事務を電子情報処理組織を使用して行つたときは、第二十二条において準用する民事訴訟法第百九条の規定による送達に関する事項を記載した書面の作成及び提出に代えて、当該事項を電子情報処理組織を使用して消費者庁の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)に備えられたファイルに記録しなければならない。
(行政手続法の適用除外)
第二十五条 内閣総理大臣がする課徴金納付命令その他のこの節の規定による処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。ただし、第十条第八項の規定に係る同法第十二条及び第十四条の規定の適用については、この限りでない。