公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第113号
公布年月日: 平成26年11月21日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

近年のテロの脅威に対し、国際社会との協調のもとテロ対策を強化する必要がある。我が国は2002年に公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金提供等処罰法を制定したが、FATFから資金以外の物質的支援の提供・収集やテロリスト以外の者による資金等の収集等が処罰対象とされていないなど、テロ対策が不十分との指摘を受けている。本法案は、この指摘に対応し、資金以外の土地・建物・物品・役務等の利益提供等も処罰対象とするとともに、テロ実行者への資金等提供者(一次協力者)に対する資金等提供行為等についても新たに処罰規定を設けるなど、所要の法整備を行うものである。

参照した発言:
第186回国会 衆議院 法務委員会 第22号

審議経過

第186回国会

衆議院
(平成26年6月6日)
(平成26年6月11日)

第187回国会

衆議院
(平成26年10月29日)
(平成26年10月31日)
(平成26年11月4日)
(平成26年11月6日)
参議院
(平成26年11月11日)
(平成26年11月13日)
(平成26年11月14日)
公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十六年十一月二十一日
内閣総理大臣 安倍晋三
法律第百十三号
公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律
公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律(平成十四年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律
第三条を削る。
第二条の見出しを削り、同条第一項中「情を知って、」を削り、「資金」を「これを実行しようとする者に対し、資金又はその実行に資するその他利益」に改め、同条第二項中「前項」を「前三項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。
2 公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする目的で、当該公衆等脅迫目的の犯罪行為に係る前項の罪を実行しようとする者に対し、資金又は当該公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行に資するその他利益を提供した者は、七年以下の懲役又は七百万円以下の罰金に処する。当該公衆等脅迫目的の犯罪行為に係る同項の罪を実行しようとする者が、その罪の実行のために利用する目的で、その提供を受けたときも、同様とする。
3 前項後段に規定するもののほか、第一項の罪を実行しようとする者が、その実行のために利用する目的で、資金若しくはその実行に資するその他利益の提供を勧誘し、若しくは要請し、又はその他の方法により、これらの資金又はその他利益を提供させたときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
第二条を第三条とし、同条の前に見出しとして「(公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者以外の者による資金等の提供等)」を付する。
第一条の次に次の一条を加える。
(公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者による資金等を提供させる行為)
第二条 公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者が、その実行のために利用する目的で、資金若しくはその実行に資するその他利益(資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益をいう。以下同じ。)の提供を勧誘し、若しくは要請し、又はその他の方法により、これらの資金又はその他利益を提供させたときは、十年以下の懲役又は千万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
第六条中「又は第三条」を「から第五条まで」に改め、同条を第八条とする。
第五条中「及び第三条」を「から第五条まで」に改め、同条を第七条とする。
第四条中「前二条」を「第二条から前条まで」に改め、同条を第六条とし、同条の前に次の二条を加える。
第四条 前条第一項の罪の実行を容易にする目的で、これを実行しようとする者に対し、資金又はその実行に資するその他利益を提供した者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
第五条 前二条に規定するもののほか、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行のために利用されるものとして、資金又はその他利益を提供した者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
2 第三条に規定するもののほか、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行のために利用されるものとして、資金若しくはその他利益の提供を勧誘し、若しくは要請し、又はその他の方法により、これらの資金又はその他利益を提供させた者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
附則第二項中「第五条」を「第七条」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
(出入国管理及び難民認定法の一部改正)
2 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第三号の二中「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律」を「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律」に改め、同条第四号ヘ、ト及びリ並びに同条第四号の二中「禁」を「禁錮」に改める。
(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正)
3 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項第四号を次のように改める。
四 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律(平成十四年法律第六十七号)第三条第一項若しくは第二項前段、第四条第一項若しくは第五条第一項(資金等の提供)の罪又はこれらの罪の未遂罪の犯罪行為(日本国外でした行為であって、当該行為が日本国内において行われたとしたならばこれらの罪に当たり、かつ、当該行為地の法令により罪に当たるものを含む。)により提供され、又は提供しようとした財産
第十条第一項中「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律第二条第二項に規定する罪に係る資金」を「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律第三条第一項若しくは第二項前段、第四条第一項又は第五条第一項の罪の未遂罪の犯罪行為(日本国外でした行為であって、当該行為が日本国内において行われたとしたならばこれらの罪に当たり、かつ、当該行為地の法令により罪に当たるものを含む。以下この項において同じ。)により提供しようとした財産」に、「同法第二条第二項に規定する罪に係る資金」を「同法第三条第一項若しくは第二項前段、第四条第一項又は第五条第一項の罪の未遂罪の犯罪行為により提供しようとした財産」に改める。
別表第七十五号を次のように改める。
七十五 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律第二条から第五条まで(公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者による資金等を提供させる行為、公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者以外の者による資金等の提供等)の罪
法務大臣 上川陽子
内閣総理大臣 安倍晋三