海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法
法令番号: 法律第七十五号
公布年月日: 平成25年11月20日
法令の形式: 法律
海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
平成二十五年十一月二十日
内閣総理大臣 安倍晋三
法律第七十五号
海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
特定警備実施要領(第三条)
第三章
特定警備計画の認定(第四条―第六条)
第四章
特定警備に従事する者の確認等(第七条―第十条)
第五章
特定警備の実施等
第一節
通則(第十一条・第十二条)
第二節
特定警備の実施(第十三条―第十七条)
第三節
雑則(第十八条―第二十条)
第六章
雑則(第二十一条―第二十三条)
第七章
罰則(第二十四条―第二十七条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、海賊多発海域において、原油その他の国民生活に不可欠な物資であって輸入に依存するものの輸送の用に供する日本船舶の航行に危険が生じていることに鑑み、その航行の安全を確保するため、国土交通大臣の認定を受けた計画に係る日本船舶において、特定警備を実施することができる等の特別の措置について定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 海賊行為 船舶(軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶を除く。)に乗り組み又は乗船した者が、私的目的で、公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)において行う海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(平成二十一年法律第五十五号。第十五条第四項において「海賊処罰対処法」という。)第二条各号のいずれかの行為をいう。
二 海賊多発海域 海賊行為が多発している海域のうち、海賊行為による日本船舶の被害の防止を図ることが特に必要なものとして政令で定める海域をいう。
三 日本船舶 船舶法(明治三十二年法律第四十六号)第一条に規定する日本船舶をいう。
四 特定日本船舶 原油その他の国民生活に不可欠であり、かつ、輸入に依存する物資として政令で定めるものの輸送の用に供する日本船舶であって、当該船舶の速力、船舷の高さその他の当該船舶に関する事項が海賊行為の対象となるおそれが大きいものとして国土交通省令で定める要件に適合し、かつ、当該船舶において乗組員及び乗船している者が避難するための設備の設置その他の国土交通省令で定める海賊行為による被害を低減するために必要な措置を講じているものをいう。
五 特定警備 海賊多発海域において、海賊行為による被害を防止するために特定日本船舶において小銃を用いて実施される警備をいう。
第二章 特定警備実施要領
第三条 国土交通大臣は、特定警備がその目的の達成に必要な範囲内において適正に実施されることを確保するために遵守すべき事項を定めた特定警備実施要領を策定するものとする。
2 特定警備実施要領に定める事項は、次のとおりとする。
一 特定警備の実施に関する基本原則
二 小銃の使用その他の海賊行為の態様に応じてとるべき特定警備の具体的内容及びその手順に関する事項
三 特定警備の用に供する小銃及び実包(以下「小銃等」という。)の管理に関する事項
四 海賊行為により航行に危険が生じた場合その他の緊急の場合における関係機関との連絡に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、特定警備がその目的の達成に必要な範囲内において適正に実施されることを確保するために必要な事項
3 国土交通大臣は、特定警備実施要領を策定する場合には、あらかじめ、関係行政機関の長(関係行政機関が国家公安委員会である場合にあっては、国家公安委員会)に協議しなければならない。
4 国土交通大臣は、特定警備実施要領を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、特定警備実施要領の変更について準用する。
第三章 特定警備計画の認定
(特定警備計画の認定)
第四条 特定日本船舶の所有者は、国土交通省令で定めるところにより、当該特定日本船舶における特定警備に関する計画(以下「特定警備計画」という。)を船舶ごとに作成し、これを国土交通大臣に提出して、当該特定警備計画が適当である旨の認定を受けることができる。
2 特定警備計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 申請者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 特定日本船舶の名称及び船種
三 特定警備の用に供する小銃等の保管のための設備及びその管理の方法(当該小銃等を管理することとなる船長の選任に関する事項を含む。)
四 申請者の依頼を受けて特定警備を実施する事業者に関する事項
五 特定警備の実施の方法
六 その他国土交通省令で定める事項
3 国土交通大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、その特定警備計画が次に掲げる要件の全てに適合すると認めるときでなければ、その認定をしてはならない。
一 特定警備実施要領に照らし適切なものであること。
二 前項第三号に掲げる事項が、小銃等の管理が適切に行われるために必要なものとして国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
三 前項第四号に規定する事業者が、特定警備を適確に実施するに足りる能力を有する者として国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
四 申請者が次のいずれにも該当しないこと。
イ この法律又はこれに基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
ロ 第六条の規定により第一項の認定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
ハ 法人であって、その業務を行う役員のうちにイ又はロのいずれかに該当する者があるもの
五 その他特定警備が適正に実施されるものとして国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
(特定警備計画の変更)
第五条 前条第一項の認定を受けた特定日本船舶の所有者(以下「認定船舶所有者」という。)は、当該認定に係る特定警備計画を変更しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣の認定を受けなければならない。ただし、国土交通省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
2 認定船舶所有者は、前項ただし書の国土交通省令で定める軽微な変更をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
3 前条第三項の規定は、第一項の規定による変更の認定について準用する。
(認定の取消し)
第六条 国土交通大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、第四条第一項の認定を取り消すことができる。
一 認定船舶所有者又は第四条第二項第四号に規定する事業者が、同条第一項の認定に係る特定警備計画(前条第一項の規定による変更又は同条第二項の規定による届出に係る変更があったときは、その変更後のもの。以下「認定計画」という。)に従って特定警備を実施させ、又は実施していないとき。
二 第四条第二項第三号に掲げる事項が、同条第三項第二号の国土交通省令で定める基準に適合しなくなったとき。
三 第四条第二項第四号に規定する事業者が、同条第三項第三号の国土交通省令で定める基準に適合しなくなったとき。
四 認定船舶所有者が、第四条第三項第四号イ又はハに該当するに至ったとき。
五 第四条第三項第五号の国土交通省令で定める基準に適合しなくなったとき。
六 前各号に掲げるもののほか、認定船舶所有者が、この法律若しくはこれに基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき。
第四章 特定警備に従事する者の確認等
(特定警備に従事する者の確認)
第七条 認定船舶所有者は、認定計画に記載された第四条第二項第四号に規定する事業者(以下「特定警備事業者」という。)に当該認定計画に係る特定警備を実施させようとするときは、当該特定警備事業者に雇用されている者であって当該特定警備に従事するものが次に掲げる要件の全てに適合することについて、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣の確認を受けなければならない。
一 特定警備を適正に行うために必要な小銃等の取扱いに関する知識及び技能を有する者として国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
二 次のイからワまでのいずれにも該当しない者であること。
イ 二十歳に満たない者
ロ 精神障害若しくは発作による意識障害をもたらしその他小銃の適正な取扱いに支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものにかかっている者又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第五条の二に規定する認知症である者
ハ アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
ニ 自己の行為の是非を判別し、又はその判別に従って行動する能力がなく、又は著しく低い者(イからハまでのいずれかに該当する者を除く。)
ホ 第九条第二号(第七条第二号ト、チ、ヲ又はワに係るものに限る。)又は第三号に該当したことにより第九条の規定により確認を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者
ヘ 第九条第二号(第七条第二号ヌ又はルに係るものに限る。)に該当したことにより第九条の規定により確認を取り消され、その取消しの日から起算して十年を経過しない者
ト 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
チ この法律若しくはこれに基づく命令若しくは銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに相当する外国の法令の規定若しくはこれらに基づく処分に違反し、又は火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第五十条の二第一項の規定の適用を受ける火薬類について同法若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに相当する外国の法令の規定若しくはこれらに基づく処分に違反して罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
リ ヌ又はルに規定する行為をして罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者(チに該当する者を除く。)
ヌ 人の生命又は身体を害する罪(死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たるものに限る。)で政令で定めるものの犯罪行為(日本国外でした行為であって、当該行為が日本国内において行われたとしたならばこれらの罪に当たり、かつ、当該行為地の法令により罪に当たるものを含む。)をした日から起算して十年を経過しない者
ル 銃砲刀剣類所持等取締法第五条の二第二項第三号に規定する銃砲刀剣類等を使用して、ヌに規定する罪以外の凶悪な罪(死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たるものに限る。)で政令で定めるものの犯罪行為(日本国外でした行為であって、当該行為が日本国内において行われたとしたならばこれらの罪に当たり、かつ、当該行為地の法令により罪に当たるものを含む。)をした日から起算して十年を経過しない者
ヲ 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国土交通省令で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
ワ 他人の生命、身体又は財産を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者(ヲに該当する者を除く。)
(変更の届出)
第八条 認定船舶所有者は、前条の確認を受けた特定警備に従事する者(以下「確認特定警備従事者」という。)について、次の各号のいずれかに該当する事実が生じたときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
一 前条第一号の国土交通省令で定める基準に適合しなくなったとき。
二 前条第二号ロからニまで、ト、チ又はヌからワまでのいずれかに該当するに至ったとき。
三 特定警備事業者に雇用されなくなったとき。
四 その他国土交通省令で定めるとき。
(確認の取消し)
第九条 国土交通大臣は、確認特定警備従事者が次の各号のいずれかに該当するときは、第七条の確認を取り消すことができる。
一 第七条第一号の国土交通省令で定める基準に適合しなくなったとき。
二 第七条第二号ロからニまで、ト、チ又はヌからワまでのいずれかに該当するに至ったとき。
三 前二号に掲げるもののほか、この法律若しくはこれに基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき。
(確認の失効)
第十条 確認特定警備従事者について、次のいずれかに掲げる事由が生じたときは、第七条の確認は、その効力を失う。
一 当該確認を受けた日から三年を経過したとき。
二 確認特定警備従事者が当該確認に係る特定警備事業者に雇用されなくなったとき。
三 第六条の規定により第四条第一項の認定が取り消されたとき。
四 第五条第一項の規定による認定計画の変更により、当該確認に係る特定警備事業者が当該認定計画に記載されなくなったとき。
第五章 特定警備の実施等
第一節 通則
(特定警備の適正な実施)
第十一条 認定船舶所有者は、特定警備実施要領及び認定計画に従って、特定警備事業者に特定警備を実施させなければならない。
2 認定船舶所有者は、確認特定警備従事者以外の者を特定警備に従事させてはならない。
3 認定船舶所有者は、確認特定警備従事者が、特定警備実施要領に従って特定警備を行うことを確保するために必要な措置を講じなければならない。
第十二条 確認特定警備従事者は、特定警備実施要領に従って特定警備を行わなければならない。
第二節 特定警備の実施
(特定警備実施計画)
第十三条 認定船舶所有者は、特定警備事業者に認定計画に係る特定警備を実施させようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、当該特定警備を実施させようとする航海ごとに、次に掲げる事項を記載した特定警備の実施に関する計画を定め、あらかじめ、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
一 特定日本船舶の名称
二 特定警備を実施する特定警備事業者の氏名又は名称
三 確認特定警備従事者の氏名
四 特定警備の実施期間
五 積み込まれる予定の小銃等の数量
六 その他国土交通省令で定める事項
(小銃等の所持)
第十四条 確認特定警備従事者は、認定計画に係る特定警備に従事するため特定日本船舶に乗船している場合には、当該特定日本船舶が海賊多発海域(通過海域(海賊多発海域が外国の領海により二以上の海域に隔てられている場合において、当該領海のうち当該特定日本船舶が当該海域相互間を航行するために通過する必要があるものとして政令で定めるものをいう。)を含む。)にあるときに限り、小銃等を所持することができる。
2 第十六条第一項の規定による小銃等の保管の委託を受けた者は、その委託に係る小銃等を同条第二項の規定による保管のため所持することができる。
(小銃等の所持の態様についての制限)
第十五条 確認特定警備従事者は、小銃等の積卸しを行う場合並びに第三項、第四項及び第六項の規定による場合を除いては、小銃等を携帯してはならない。
2 確認特定警備従事者は、次項、第四項及び第六項の規定による場合を除いては、小銃を発射してはならない。
3 確認特定警備従事者は、海賊多発海域において、当該特定日本船舶において次項又は第六項の規定による小銃の発射を安全かつ適確に行うために必要な最小限度の範囲に限り、周囲に他の船舶がないことを確認した上で、海面に向けて小銃を試験的に発射することができる。
4 確認特定警備従事者は、海賊多発海域において、海賊行為(海賊処罰対処法第二条第一号から第四号までのいずれかに係るものに限る。)をする目的で、船舶を航行させて、航行中の当該特定日本船舶に著しく接近し、若しくはつきまとい、又はその進行を妨げる行為であって、現に行われているものの制止に当たり、当該行為を行っている者が、他の制止の措置に従わず、なお船舶を航行させて当該行為を継続しようとする場合において、当該船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じ警告を行うため合理的に必要と判断される限度において、当該者が乗り組み又は乗船している船舶に向けて小銃を所持していることを顕示し、小銃を構え、又は当該船舶の上空若しくは海面に向けて小銃を発射することができる。
5 確認特定警備従事者は、前二項の規定により小銃を発射する場合においては、あらかじめ周囲の確認その他の必要な措置を講ずることにより、人の生命、身体又は財産に危害を及ぼさないよう注意しなければならない。
6 第四項に規定するもののほか、確認特定警備従事者は、同項に規定する場合において、自己又は自己と共に乗船し、若しくは当該特定日本船舶に乗り組んでいる者の生命又は身体を防護するためやむを得ない必要があると認める相当な理由のあるときには、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、小銃を使用することができる。
7 確認特定警備従事者は、前項の規定により小銃を発射する場合においては、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
8 確認特定警備従事者は、第三項、第四項及び第六項の規定により小銃を発射する場合を除き、当該小銃に実包を装填しておいてはならない。
(小銃等の保管の委託等)
第十六条 確認特定警備従事者は、前条第一項の規定により携帯する場合を除き、特定日本船舶の船長(船長以外の者が船長に代わってその職務を行うべきときは、その者。以下単に「船長」という。)に小銃等の保管を委託しなければならない。
2 船長は、前項の規定により委託を受けて保管する小銃等を、国土交通省令で定める基準に適合する設備及び方法により保管しなければならない。
3 船長は、認定計画に係る特定警備が実施されている特定日本船舶内において、小銃等が亡失し、又は盗み取られた場合においては、国土交通省令で定めるところにより、直ちにその旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
4 国土交通大臣は、前項の規定による届出を受けたときは、国土交通省令・内閣府令で定めるところにより、速やかに、その旨を都道府県公安委員会に通知しなければならない。
(措置命令)
第十七条 国土交通大臣は、特定警備の適正な実施に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、認定船舶所有者に対し、特定警備の停止その他危害予防上必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第三節 雑則
(記録簿)
第十八条 認定船舶所有者は、特定警備事業者に認定計画に係る特定警備を実施させる場合においては、国土交通省令で定めるところにより、記録簿を備え、小銃等の積卸し、小銃の発射その他の国土交通省令で定める事由が生じたときは、当該記録簿に国土交通省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
(入港時の確認)
第十九条 認定計画に係る特定警備の実施後初めて本邦の港に入港をしようとする特定日本船舶については、当該特定日本船舶内に小銃等が存在しないことについての国土交通大臣の確認を受けた後でなければ、何人も、当該特定日本船舶から本邦に上陸し、又は物を陸揚げしてはならない。ただし、小銃等が本邦に陸揚げされるおそれがないものとして国土交通省令で定める場合に該当するときは、この限りでない。
(他の法律の適用除外)
第二十条 特定日本船舶において実施される認定計画に係る特定警備については、警備業法(昭和四十七年法律第百十七号)の規定は、適用しない。
2 認定計画に係る特定警備の用に供する小銃については、銃砲刀剣類所持等取締法第二十八条の規定は、適用しない。
第六章 雑則
(報告の徴収)
第二十一条 国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、認定船舶所有者又は船長に対し、特定警備の実施の状況その他必要な事項に関し報告をさせることができる。
(立入検査)
第二十二条 国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、認定船舶所有者の事務所、事業場、船舶その他の場所に立ち入り、設備、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は乗組員その他の関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(国土交通省令への委任)
第二十三条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、国土交通省令で定める。
第七章 罰則
第二十四条 第十五条第二項の規定に違反した者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第二十五条 第十五条第一項の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第二十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第十五条第八項、第十六条第二項又は第十九条の規定に違反した者
二 第十六条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第十八条の規定に違反して、記録簿を備えず、記録簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は記録簿を保存しなかった者
四 第二十一条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
五 第二十二条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第二十七条 認定船舶所有者の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、認定船舶所有者の業務に関して、前条第三号から第五号までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その認定船舶所有者に対して、同条の刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(検討)
2 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
内閣総理大臣 安倍晋三
国土交通大臣 太田昭宏