(目的)
第一条 この法律は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策の基本となる事項について定めるとともに、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業及び臍帯血供給事業について必要な規制及び助成を行うこと等により、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図り、もって造血幹細胞移植の円滑かつ適正な実施に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「移植に用いる造血幹細胞」とは、移植に用いる骨髄、移植に用いる末梢血幹細胞及び移植に用いる臍帯血をいう。
2 この法律において「移植に用いる骨髄」とは、造血幹細胞移植(造血機能障害を伴う疾病その他の疾病であって厚生労働省令で定めるものの治療を目的として造血幹細胞を人に移植することをいう。以下同じ。)に用いるために採取される人の骨髄をいう。
3 この法律において「移植に用いる末梢血幹細胞」とは、造血幹細胞移植に用いるために厚生労働省令で定める方法により末梢血から採取される人の造血幹細胞をいう。
4 この法律において「移植に用いる臍帯血」とは、造血幹細胞移植に用いるために採取される人の臍帯血(出産の際に娩出される臍帯及び胎盤の中にある胎児の血液をいう。)をいい、当該採取の後造血幹細胞移植に適するよう調製されたものを含むものとする。
5 この法律において「骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業」とは、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の提供のあっせん(以下「骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん業務」という。)を行う事業をいう。
6 この法律において「臍帯血供給事業」とは、移植に用いる臍帯血の提供について、その採取、調製、保存、検査及び引渡し(情報管理その他これらの業務に付随し、又は関連する業務として厚生労働省令で定める業務を含む。以下「臍帯血供給業務」という。)を行う事業(移植に用いる臍帯血を採取される者の委託により当該移植に用いる臍帯血を当該者又はその親族が用いるために臍帯血供給業務を行うものを除く。)をいう。
(基本理念)
第三条 移植に用いる造血幹細胞については、造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会が十分に確保されることを旨として、その提供の促進が図られなければならない。
2 移植に用いる造血幹細胞の提供は、任意にされたものでなければならない。
3 移植に用いる造血幹細胞の提供については、造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会が公平に与えられるよう配慮されなければならない。
4 移植に用いる造血幹細胞の提供については、移植に用いる造血幹細胞が人に由来するものであることに鑑み、その安全性が確保されなければならない。
5 移植に用いる骨髄及び移植に用いる末梢血幹細胞の提供については、その採取に身体的負担を伴うことに鑑み、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供する者の健康の保護が十分に図られなければならない。
6 移植に用いる臍帯血の提供については、移植に用いる臍帯血の特性及びその提供に調製、保存等の過程を伴うことに鑑み、その安全性その他の品質の確保が図られなければならない。
(国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(造血幹細胞提供関係事業者等の責務)
第六条 第十九条に規定する骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者及び第三十二条に規定する臍帯血供給事業者(以下「造血幹細胞提供関係事業者」という。)並びに第四十四条第一項に規定する支援機関は、移植に用いる造血幹細胞の提供において中核的な役割を果たすべきことに鑑み、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に積極的に寄与するよう努めなければならない。
(医療関係者の責務)
第七条 医師その他の医療関係者は、国及び地方公共団体が講ずる移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
2 医療機関の開設者及び管理者は、第十二条の健康等の状況の把握及び分析のための取組に必要な情報の提供に努めなければならない。
(関係者の連携)
第八条 国、地方公共団体、造血幹細胞提供関係事業者、第四十四条第一項に規定する支援機関及び医療関係者は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。