地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第57号
公布年月日: 平成18年6月7日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

地球温暖化対策は人類共通の課題であり、京都議定書発効により世界の取り組みは新段階に入った。我が国は温室効果ガスの6%削減約束を達成するため、京都議定書目標達成計画を閣議決定し、国内対策に加え京都メカニズムの活用を定めた。諸外国でも制度整備が進む中、政府・国内法人による京都メカニズム活用の基盤となる割り当て量口座簿の法制化が必要なため、本法律案を提案する。

参照した発言:
第164回国会 衆議院 環境委員会 第7号

審議経過

第164回国会

衆議院
(平成18年3月17日)
(平成18年3月24日)
(平成18年4月28日)
(平成18年5月9日)
参議院
(平成18年5月12日)
(平成18年5月16日)
(平成18年5月18日)
(平成18年5月23日)
(平成18年5月30日)
(平成18年5月31日)
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十八年六月七日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第五十七号
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律
地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第六章 雑則(第二十九条―第三十三条)」を
第六章
割当量口座簿等(第二十九条―第四十一条)
第七章
雑則(第四十二条―第四十七条)
第八章
罰則(第四十八条―第五十条)
に改める。
第二条に次の一項を加える。
6 この法律において「算定割当量」とは、次に掲げる数量で、二酸化炭素一トンを表す単位により表記されるものをいう。
一 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(以下「京都議定書」という。)第三条7に規定する割当量
二 京都議定書第三条3に規定する純変化に相当する量の割当量
三 京都議定書第六条1に規定する排出削減単位
四 京都議定書第十二条3(b)に規定する認証された排出削減量
五 前各号に掲げるもののほか、京都議定書第三条の規定に基づく約束を履行する場合において同条1の算定される割当量として認められるものの数量
第三条中第五項を第六項とし、第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。
4 国は、前条第六項第三号及び第四号に掲げる数量の取得、京都議定書第十七条に規定する排出量取引への参加その他の京都議定書第三条の規定に基づく約束の履行のために必要な措置を講ずるものとする。
第七条中「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(以下「京都議定書」という。)」を「京都議定書」に改める。
第八条第二項中第八号を第九号とし、第七号の次に次の一号を加える。
八 第三条第四項に規定する措置に関する基本的事項
第二十一条の十中「第三十条の三」を「第四十五条」に、「第三十一条の二」を「第四十七条」に改める。
第三十三条を削る。
第三十二条の前の見出しを削り、同条を第四十九条とし、同条の次に次の一条を加える。
第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する。
一 第二十一条の二第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第三十三条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
第六章中第三十一条の二を第四十七条とし、同条の次に次の章名及び一条を加える。
第八章 罰則
第四十八条 第三十二条第三項の規定による申請に関し虚偽の申請をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対しても、同項の刑を科する。
第三十一条を第四十六条とする。
第三十条の三第一項中「(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)」を削り、同条を第四十五条とする。
第三十条の二を削り、第三十条を第四十三条とし、同条の次に次の一条を加える。
(手数料)
第四十四条 次に掲げる者は、政令で定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
一 第二十一条の六第一項のファイル記録事項の開示を受ける者
二 第三十二条第三項の管理口座の開設の申請をする者
三 第三十四条第二項の振替の申請をする者
四 第四十条の書面の交付を請求する者
第二十九条を第四十二条とする。
第六章を第七章とし、第五章の次に次の一章を加える。
第六章 割当量口座簿等
(割当量口座簿の作成等)
第二十九条 環境大臣及び経済産業大臣は、京都議定書第七条4に基づく割当量の計算方法に関する国際的な決定(以下「国際的な決定」という。)に従い、割当量口座簿を作成し、算定割当量の取得、保有及び移転(以下「算定割当量の管理」という。)を行うための口座(以下「管理口座」という。)を開設するものとする。
2 割当量口座簿は、その全部を磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもって調製するものとする。
(算定割当量の帰属)
第三十条 算定割当量の帰属は、この章の規定による割当量口座簿の記録により定まるものとする。
(割当量口座簿の記録事項)
第三十一条 割当量口座簿は、次に掲げる口座に区分する。
一 国の管理口座
二 国内に本店又は主たる事務所(以下「本店等」という。)を有する法人(以下「内国法人」という。)の管理口座
2 前項第二号の管理口座は、当該管理口座の名義人(当該管理口座の開設を受けた者をいう。以下「口座名義人」という。)ごとに区分する。
3 第一項第二号の管理口座には、次に掲げる事項を記録する。
一 口座名義人の名称、代表者の氏名、本店等の所在地その他環境省令・経済産業省令で定める事項
二 保有する算定割当量の種別(第二条第六項各号の種別をいう。以下同じ。)ごとの数量及び識別番号(算定割当量を一単位ごとに識別するために京都議定書の締約国又は気候変動に関する国際連合枠組条約の事務局(以下「事務局」という。)により付された文字及び数字をいう。以下同じ。)
三 前号の算定割当量の全部又は一部が信託財産であるときは、その旨
四 その他政令で定める事項
(管理口座の開設)
第三十二条 算定割当量の管理を行おうとする内国法人は、環境大臣及び経済産業大臣による管理口座の開設を受けなければならない。
2 管理口座は、一の内国法人につき一に限り開設を受けることができるものとする。
3 管理口座の開設を受けようとする内国法人は、その名称、代表者の氏名、本店等の所在地その他環境省令・経済産業省令で定める事項を記載した申請書を環境大臣及び経済産業大臣に提出しなければならない。
4 前項の申請書には、定款、登記事項証明書その他環境省令・経済産業省令で定める書類を添付しなければならない。
5 環境大臣及び経済産業大臣は、第三項の規定による管理口座の開設の申請があった場合には、当該申請書又はその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があるときを除き、遅滞なく、管理口座を開設しなければならない。
6 環境大臣及び経済産業大臣は、前項の規定により管理口座を開設したときは、遅滞なく、当該管理口座において算定割当量の管理を行うために必要な事項をその口座名義人に通知しなければならない。
(変更の届出)
第三十三条 口座名義人は、その名称、代表者の氏名、本店等の所在地その他環境省令・経済産業省令で定める事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を環境大臣及び経済産業大臣に届け出なければならない。
2 前項の届出があった場合には、環境大臣及び経済産業大臣は、遅滞なく、当該記録を変更するものとする。
3 前条第六項の規定は、前項の記録の変更について準用する。
(振替手続)
第三十四条 算定割当量の取得及び移転(以下「振替」という。)は、この条に定めるところにより、環境大臣及び経済産業大臣が、割当量口座簿において、当該算定割当量についての減少又は増加の記録をすることにより行うものとする。
2 算定割当量の振替の申請は、振替によりその管理口座において減少の記録がされる口座名義人が、環境大臣及び経済産業大臣に対して行うものとする。
3 前項の申請をする口座名義人(以下「申請人」という。)は、当該申請において、次に掲げる事項を示さなければならない。
一 当該振替において減少又は増加の記録がされるべき算定割当量の種別ごとの数量及び識別番号
二 当該振替により増加の記録がされるべき管理口座(次号に規定する場合を除く。以下「振替先口座」という。)
三 京都議定書の他の締約国(以下「他の締約国」という。)に存在する口座への算定割当量の振替を申請する場合には、当該他の締約国名及び当該振替により増加の記録がされるべき口座
4 第二項の申請があった場合には、前項第三号に規定する場合その他環境省令・経済産業省令で定める場合を除き、環境大臣及び経済産業大臣は、遅滞なく、次に掲げる措置をとらなければならない。
一 申請人の管理口座の前項第一号の算定割当量についての減少の記録
二 振替先口座の前項第一号の算定割当量についての増加の記録
5 申請人から第三項第三号に掲げる事項を示す申請があった場合には、環境省令・経済産業省令で定める場合を除き、国際的な決定に基づき、環境大臣及び経済産業大臣は、当該他の締約国及び事務局に対し当該振替に係る通知を発するとともに、当該他の締約国及び事務局から当該振替の完了の通知を受けた後に、当該申請人の管理口座の同項第一号の算定割当量についての減少の記録をするものとする。
6 他の締約国又は事務局から割当量口座簿における管理口座への算定割当量の振替を行う旨の通知があった場合には、国際的な決定に基づき、環境大臣及び経済産業大臣は、当該管理口座の当該算定割当量についての増加の記録をするものとする。
7 算定割当量の振替は、第二項から前項までの規定によるもののほか、環境省令・経済産業省令で定めるところにより、環境大臣及び経済産業大臣に対する官庁又は公署の嘱託により行うことができる。
(算定割当量の譲渡の効力発生要件)
第三十五条 算定割当量の譲渡は、前条の規定に基づく振替により、譲受人がその管理口座に当該譲渡に係る算定割当量の増加の記録を受けなければ、その効力を生じない。
2 他の締約国に存在する口座への算定割当量の振替に関する前項の規定の適用については、当該他の締約国及び事務局からの当該振替の完了の通知を受けたことをもって、同項の増加の記録を受けたものとみなす。
(質権設定の禁止)
第三十六条 算定割当量は、質権の目的とすることができない。
(算定割当量の信託の対抗要件)
第三十七条 算定割当量については、信託は、政令で定めるところにより、当該信託の受託者がその管理口座において第三十一条第三項第三号の規定による記録を受けなければ、第三者に対抗することができない。
(保有の推定)
第三十八条 国又は口座名義人は、その管理口座における記録がされた算定割当量を適法に保有するものと推定する。
(善意取得)
第三十九条 第三十四条(第六項を除く。)の規定に基づく振替によりその管理口座において算定割当量の増加の記録を受けた国又は口座名義人は、当該算定割当量を取得する。ただし、国又は当該口座名義人に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
(割当量口座簿に記録されている事項の証明の請求)
第四十条 口座名義人は、環境大臣及び経済産業大臣に対し、割当量口座簿の自己の管理口座に記録されている事項を証明した書面の交付を請求することができる。
(環境省令・経済産業省令への委任)
第四十一条 この章に定めるもののほか、割当量口座簿における管理口座の開設及び算定割当量の管理その他この章の規定の施行に関し必要な事項は、環境省令・経済産業省令で定める。
附 則
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第二条、第三条、第七条及び第八条の改正規定は、公布の日から施行する。
内閣総理大臣 小泉純一郎
経済産業大臣 二階俊博
環境大臣 小池百合子