執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第15号
公布年月日: 平成18年3月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

保護観察付き執行猶予者による少女監禁事件の発生を受け、現行の保護観察制度の検証を行った結果、制度上の課題が明らかになった。具体的には、転居や旅行が届出制で、一カ月未満の旅行は届出不要であるため所在把握が不十分であること、また一般的な遵守事項しか定められていないため個々の対象者に適した処遇が困難であることが判明した。そこで、七日以上の旅行や住居移転について保護観察所長の事前許可制を導入するとともに、保護観察所長が裁判所の意見を聴取した上で個別の遵守事項を定める制度を新設することで、保護観察制度の実効性を高め、再犯防止と改善更生の促進を図るものである。

参照した発言:
第164回国会 衆議院 法務委員会 第5号

審議経過

第164回国会

衆議院
(平成18年3月14日)
(平成18年3月16日)
参議院
(平成18年3月28日)
(平成18年3月30日)
(平成18年3月31日)
執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十八年三月三十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第十五号
執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律
執行猶予者保護観察法(昭和二十九年法律第五十八号)の一部を次のように改正する。
第二条中「第五条」を「第五条第一項」に改める。
第五条中「すみやか」を「速やか」に、「左に掲げる事項」を「次に掲げる事項及び次項の規定により定められた特別の事項」に改め、同条第二号中「一箇月」を「七日」に、「に届け出る」を「の許可を受ける」に改め、同条に次の二項を加える。
2 保護観察所の長は、刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しがあつたときは、法務省令で定めるところにより、その言渡しをした裁判所の意見を聴き、これに基づいて、その者が保護観察の期間中遵守すべき特別の事項を定めなければならない。
3 保護観察所の長は、前項の特別の事項を定めたときは、本人に対し、書面で、保護観察の期間中遵守すべき事項を指示し、署名又は押印をもつて、その事項を遵守する旨を誓約させなければならない。ただし、本人が重病又は重傷である場合には、この限りでない。
第十三条第一項中「、同法第五十五条の二第四項中「第三十四条第二項の規定により本人が居住すべき場所」とあるのは、「第五条の規定により本人が届け出た住居」と」及び「それぞれ」を削る。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
2 この法律による改正後の執行猶予者保護観察法第五条の規定は、この法律の施行の日以後に刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しを受けた者について適用し、この法律の施行の際現に同項の規定により保護観察に付する旨の言渡しを受けている者については、なお従前の例による。
法務大臣 杉浦正健
内閣総理大臣 小泉純一郎