全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第64号
公布年月日: 平成14年6月12日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

新幹線鉄道は国民生活・経済に不可欠な輸送機関として高い評価を受けており、その安定的輸送の確保は重要な使命である。東海道新幹線は開業から37年が経過し、15年後には巨額の費用を要する大規模改修工事が必要となる。他の路線も将来同様の改修が必要となる見込みである。新幹線は代替不可能な公共交通インフラであり、将来の大規模改修に備える必要があることから、新幹線鉄道大規模改修引当金の積立制度の創設と、大規模改修工事に係る手続の特例を設ける本法律案を提案するものである。

参照した発言:
第154回国会 参議院 国土交通委員会 第6号

審議経過

第154回国会

参議院
(平成14年4月2日)
(平成14年4月4日)
(平成14年4月5日)
衆議院
(平成14年5月29日)
(平成14年5月31日)
(平成14年6月4日)
全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十四年六月十二日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第六十四号
全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律
全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号)の一部を次のように改正する。
題名の次に次の目次及び章名を付する。
目次
第一章
総則(第一条―第三条)
第二章
新幹線鉄道の建設(第四条―第十四条の二)
第三章
新幹線鉄道の大規模改修(第十五条―第二十三条)
第四章
雑則(第二十四条)
第五章
罰則(第二十五条―第二十九条)
附則
第一章 総則
第三条の次に次の章名を付する。
第二章 新幹線鉄道の建設
第十九条中「第十六条」を「第二十五条」に改め、同条を第二十八条とする。
第十八条中「各号の一」を「各号のいずれか」に改め、同条第二号中「第十二条第七項」の下に「(第二十条において準用する場合を含む。)」を加え、同条を第二十七条とする。
第十七条を第二十六条とする。
第十六条の前の見出しを削り、同条を第二十五条とする。
第十五条を第二十四条とし、同条の次に次の章名を付する。
第五章 罰則
第十四条の二の次に次の一章及び章名を加える。
第三章 新幹線鉄道の大規模改修
(所有営業主体の指定)
第十五条 国土交通大臣は、新幹線鉄道を所有し、かつ、その営業を行う法人(以下「所有営業主体」という。)であつて、当該新幹線鉄道の一の路線のうち当該所有営業主体が所有し、かつ、営業を行う区間の営業の開始の日から経過した期間及び当該区間における車両の走行の実績並びに当該所有営業主体の財務の状況その他の事情を勘案して当該区間の大規模改修の実施に要する費用の支出に備えるため第十七条第一項に規定する新幹線鉄道大規模改修引当金を積み立てることが必要かつ適当であると認めるものを、当該区間を明らかにして指定することができる。
2 前項の「大規模改修」とは、新幹線鉄道に係る鉄道施設であつて車両の走行が直接その機能の低下をもたらすもののうち国土交通省令で定めるものの取替え又はこれと同等の効果を有すると認められる方法による改修に関する工事であつて、当該新幹線鉄道の一の路線のうち所有営業主体が所有し、かつ、営業を行う区間の全部にわたり行われ、着手から完了までの期間がおおむね十年以内であるものをいう。
(引当金積立計画)
第十六条 前条第一項の指定を受けた所有営業主体(以下「指定所有営業主体」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した新幹線鉄道大規模改修引当金積立計画(以下「引当金積立計画」という。)を作成し、国土交通大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
一 実施すべき大規模改修(前条第二項の大規模改修をいう。以下同じ。)に要する期間及び費用の総額(国土交通省令で定めるところにより算定した金額をいう。)
二 次条第一項の規定により積み立てるべき新幹線鉄道大規模改修引当金の積立期間及び総額
2 前項の引当金積立計画には、工事方法その他国土交通省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。
3 国土交通大臣は、第一項の規定による承認の申請があつた場合において、その引当金積立計画が次の基準に適合すると認めるときは、同項の規定による承認をするものとする。
一 前条第一項の指定に係る区間における同条第二項の国土交通省令で定める鉄道施設の種類、数量その他の事情から判断して、第一項第一号に掲げる事項が相当であること。
二 第一項第一号に掲げる事項並びに前条第一項の指定に係る区間の営業の開始の日から経過した期間及び当該区間における車両の走行の実績並びに指定所有営業主体の財務の状況その他の事情から判断して、第一項第二号に掲げる事項が相当であること。
4 国土交通大臣は、第一項の承認をした引当金積立計画が大規模改修の実施に要する費用の支出に備える上で不適当なものとなつたと認めるときは、指定所有営業主体に対し、その変更を命ずることができる。
(新幹線鉄道大規模改修引当金の積立て)
第十七条 指定所有営業主体は、前条第一項の規定により承認を受けた引当金積立計画(同項の規定により変更の承認を受けたときは、その変更後のもの)に従い、当該引当金積立計画に記載された積立期間内の日の属する各事業年度において、国土交通省令で定める金額を新幹線鉄道大規模改修引当金として積み立てなければならない。
2 前条及び前項に定めるもののほか、新幹線鉄道大規模改修引当金の積立て及び取崩しに関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
(大規模改修実施計画の認定)
第十八条 所有営業主体は、大規模改修を実施しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、路線名、工事の区間、工事方法その他国土交通省令で定める事項を記載した新幹線鉄道大規模改修実施計画(以下「大規模改修実施計画」という。)を作成し、これを国土交通大臣に提出して、その認定を受けることができる。
2 国土交通大臣は、前項の規定による認定の申請があつた場合において、その大規模改修実施計画が次の基準に適合すると認めるときは、同項の規定による認定をするものとする。
一 当該大規模改修実施計画に記載された改修が大規模改修であること。
二 当該大規模改修実施計画が鉄道営業法(明治三十三年法律第六十五号)第一条の国土交通省令で定める規程に適合するものであること。
(大規模改修実施計画の変更)
第十九条 前条第一項の規定による認定を受けた所有営業主体(以下「認定所有営業主体」という。)は、当該認定を受けた大規模改修実施計画を変更しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣の認定を受けなければならない。ただし、国土交通省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
2 前条第二項の規定は、前項の規定による変更の認定について準用する。
3 認定所有営業主体は、第一項ただし書の国土交通省令で定める軽微な変更をしようとするときは、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
(他人の土地の立入り又は一時使用に係る規定の準用)
第二十条 第十二条の規定は、認定所有営業主体又はその委任を受けた者が大規模改修を行う場合について準用する。
(鉄道事業法の適用の特例)
第二十一条 認定所有営業主体が大規模改修を実施するに当たり鉄道事業法第十二条第一項の認可を受け、又は同条第二項の規定による届出をしなければならない場合においては、当該認定所有営業主体は、これらの規定による認可を受け、又は届出をしたものとみなす。
2 認定所有営業主体が大規模改修を実施するに当たり鉄道事業法第十二条第四項において準用する同法第九条第一項の認可を受け、又は同条第三項の規定による届出をしなければならない場合において、その大規模改修実施計画について第十九条第一項の認定を受け、又は同条第三項の規定による届出をしたときは、当該認定所有営業主体は、鉄道事業法のこれらの規定による認可を受け、又は届出をしたものとみなす。
(大規模改修実施計画の認定の取消し)
第二十二条 国土交通大臣は、認定所有営業主体が正当な理由なく大規模改修実施計画(第十九条の規定により大規模改修実施計画を変更したときは、その変更後のもの)に記載された大規模改修を当該大規模改修実施計画に従つて実施していないと認めるときは、当該認定を取り消すことができる。
(鉄道事業の譲渡等)
第二十三条 指定所有営業主体若しくは認定所有営業主体が第十五条第一項の指定若しくは第十八条第一項若しくは第十九条第一項の認定に係る新幹線鉄道に係る鉄道事業の全部を譲り渡し、又は指定所有営業主体若しくは認定所有営業主体について合併若しくは分割(当該鉄道事業の全部を承継させるものに限る。)があつたときは、当該鉄道事業の全部を譲り受けた法人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人若しくは分割により当該鉄道事業の全部を承継した法人は、この法律の適用については、指定所有営業主体又は認定所有営業主体とみなす。
第四章 雑則
本則に次の一条を加える。
第二十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の過料に処する。
一 第十六条第一項の規定による承認を受けなかつた者
二 第十六条第四項の規定による命令に違反した者
三 第十七条第一項の規定に違反した者
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
国土交通大臣 林寛子
内閣総理大臣 小泉純一郎