地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第61号
公布年月日: 平成14年6月7日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

地球温暖化は地球環境に深刻な影響を及ぼす人類共通の課題であり、気候変動に関する国際連合枠組条約及び京都議定書が採択された。昨年11月の第7回締約国会議で京都議定書の運用細目が合意されたことを受け、今国会での京都議定書締結の承認を目指すこととなった。このような状況下で、京都議定書の的確かつ円滑な実施を確保するため、京都議定書の締結に必要な国内法として本法律案を提案するものである。

参照した発言:
第154回国会 衆議院 本会議 第25号

審議経過

第154回国会

衆議院
(平成14年4月18日)
(平成14年4月19日)
(平成14年4月23日)
(平成14年5月14日)
(平成14年5月17日)
(平成14年5月21日)
(平成14年5月21日)
参議院
(平成14年5月22日)
(平成14年5月23日)
(平成14年5月29日)
(平成14年5月30日)
(平成14年5月31日)
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十四年六月七日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第六十一号
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律
地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)の一部を次のように改正する。
題名の次に次の目次及び章名を付する。
目次
第一章
総則(第一条―第七条)
第二章
京都議定書目標達成計画(第八条・第九条)
第三章
地球温暖化対策推進本部(第十条―第十九条)
第四章
温室効果ガスの排出の抑制等のための施策(第二十条―第二十七条)
第五章
森林等による吸収作用の保全等(第二十八条)
第六章
雑則(第二十九条―第三十二条)
附則
第一章 総則
第一条中「、気候変動に関する国際連合枠組条約及び気候変動に関する国際連合枠組条約第三回締約国会議の経過を踏まえ」を削り、「地球温暖化対策に関する基本方針を定めること」を「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(以下「京都議定書」という。)の的確かつ円滑な実施を確保すること」に改める。
第二条第二項中「動植物による二酸化炭素の」を削り、同条第五項中「たる物質」を「である物質」に改める。
第三条第一項中「総合的な」を「総合的かつ計画的な」に改め、同条第三項中「第五項において」を「以下」に改める。
第十六条中「第十一条第五項」を「第二十四条第五項」に改め、同条を第三十二条とする。
第十五条を第三十一条とし、第十四条を第三十条とし、第十三条を削り、第十二条を第二十五条とし、同条の次に次の二条、一章、章名及び一条を加える。
(地球温暖化対策地域協議会)
第二十六条 地方公共団体、都道府県センター、地球温暖化防止活動推進員、事業者、住民その他の地球温暖化対策の推進を図るための活動を行う者は、日常生活に関する温室効果ガスの排出の抑制等に関し必要となるべき措置について協議するため、地球温暖化対策地域協議会(以下「地域協議会」という。)を組織することができる。
2 前項の協議を行うための会議において協議が調った事項については、地域協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、地域協議会の運営に関し必要な事項は、地域協議会が定める。
(環境大臣による地球温暖化防止活動の促進)
第二十七条 環境大臣は、全国センター、地方公共団体、地域協議会その他関係団体と連携を図りつつ、地球温暖化の現状及び地球温暖化対策に関する知識の普及並びに地球温暖化対策の推進を図るための活動の促進に努めるものとする。
第五章 森林等による吸収作用の保全等
第二十八条 政府及び地方公共団体は、京都議定書目標達成計画に定められた温室効果ガスの吸収の量に関する目標を達成するため、森林・林業基本法(昭和三十九年法律第百六十一号)第十一条第一項に規定する森林・林業基本計画その他の森林の整備及び保全又は緑地の保全及び緑化の推進に関する計画に基づき、温室効果ガスの吸収作用の保全及び強化を図るものとする。
第六章 雑則
(措置の実施の状況の把握等)
第二十九条 政府は、地方公共団体及び民間団体等が温室効果ガスの排出の抑制等のための措置(他の者の温室効果ガスの排出の抑制等に寄与するための措置を含む。)の実施の状況を自ら把握し、及び評価することに資するため、把握及び評価の手法の開発並びにその成果の普及に努めるものとする。
第十一条第一項中「法人」の下に「又は特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項の特定非営利活動法人」を加え、同条を第二十四条とする。
第十条第二項第二号中「のため必要な」を「のための措置について調査を行い、当該調査に基づく指導及び」に改め、同条を第二十三条とする。
第九条中「基本方針」を「京都議定書目標達成計画」に改め、同条を第二十二条とする。
第八条第一項中「基本方針」を「京都議定書目標達成計画」に改め、同条を第二十一条とする。
第七条の見出しを「(京都議定書目標達成計画)」に改め、同条第一項中「地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球温暖化対策に関する基本方針(以下「基本方針」を「京都議定書第三条の規定に基づく約束を履行するために必要な目標の達成に関する計画(以下「京都議定書目標達成計画」に改め、同条第二項中「基本方針」を「京都議定書目標達成計画」に改め、同項第五号中「基本的事項」を「重要事項」に改め、同号を同項第八号とし、同項第四号を同項第七号とし、同項第三号を同項第六号とし、同項第二号の次に次の三号を加える。
三 温室効果ガスである物質の種類その他の区分ごとの温室効果ガスの排出の抑制及び吸収の量に関する目標
四 前号の目標を達成するために必要な措置の実施に関する目標
五 前号の目標を達成するために必要な国及び地方公共団体の施策に関する事項
第七条第三項中「環境大臣は、基本方針の案を作成し、」を「内閣総理大臣は、京都議定書目標達成計画の案につき」に改め、同条第四項を削り、同条第五項中「環境大臣は、第三項」を「内閣総理大臣は、前項」に、「基本方針」を「京都議定書目標達成計画」に改め、同項を同条第四項とし、同条第六項を削り、同条を第八条とし、同条の次に次の一条、一章、章名及び一条を加える。
(京都議定書目標達成計画の変更)
第九条 政府は、平成十六年及び平成十九年において、我が国における温室効果ガスの排出及び吸収の量の状況その他の事情を勘案して、京都議定書目標達成計画に定められた目標及び施策について検討を加えるものとする。
2 政府は、前項の規定による検討の結果に基づき、必要があると認めるときは、速やかに、京都議定書目標達成計画を変更しなければならない。
3 前条第三項及び第四項の規定は、京都議定書目標達成計画の変更について準用する。
第三章 地球温暖化対策推進本部
(地球温暖化対策推進本部の設置)
第十条 地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、地球温暖化対策推進本部(以下「本部」という。)を置く。
(所掌事務)
第十一条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 京都議定書目標達成計画の案の作成に関すること。
二 京都議定書目標達成計画の実施の推進に関すること。
(組織)
第十二条 本部は、地球温暖化対策推進本部長、地球温暖化対策推進副本部長及び地球温暖化対策推進本部員をもって組織する。
(地球温暖化対策推進本部長)
第十三条 本部の長は、地球温暖化対策推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
(地球温暖化対策推進副本部長)
第十四条 本部に、地球温暖化対策推進副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、内閣官房長官、環境大臣及び経済産業大臣をもって充てる。
2 副本部長は、本部長の職務を助ける。
(地球温暖化対策推進本部員)
第十五条 本部に、地球温暖化対策推進本部員(以下「本部員」という。)を置く。
2 本部員は、本部長及び副本部長以外のすべての国務大臣をもって充てる。
(幹事)
第十六条 本部に、幹事を置く。
2 幹事は、関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
3 幹事は、本部の所掌事務について、本部長、副本部長及び本部員を助ける。
(事務)
第十七条 本部に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。
(主任の大臣)
第十八条 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。
(政令への委任)
第十九条 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。
第四章 温室効果ガスの排出の抑制等のための施策
(地方公共団体の施策)
第二十条 都道府県及び市町村は、京都議定書目標達成計画を勘案し、その区域の自然的社会的条件に応じて、温室効果ガスの排出の抑制等のための総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するように努めるものとする。
第六条の次に次の一条及び章名を加える。
(温室効果ガスの排出量等の算定等)
第七条 政府は、温室効果ガスの排出及び吸収に関し、気候変動に関する国際連合枠組条約第四条1(a)に規定する目録及び京都議定書第七条1に規定する年次目録を作成するため、毎年、我が国における温室効果ガスの排出量及び吸収量を算定し、環境省令で定めるところにより、これを公表するものとする。
第二章 京都議定書目標達成計画
附則第一条中「並びに附則第三条」を削る。
附則第二条及び第三条を次のように改める。
(検討)
第二条 政府は、京都議定書第六条1に規定する事業、京都議定書第十二条1に規定する低排出型の開発の制度及び京都議定書第十七条に規定する排出量取引を活用するための制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第三条 政府は、平成十七年までに、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
附 則
この法律は、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書が日本国について効力を生ずる日から施行する。ただし、第十六条を第三十二条とし、第十五条を第三十一条とし、第十四条を第三十条とする改正規定、第十二条の次に二条、一章、章名及び一条を加える改正規定(第二十六条、第二十七条及び第二十九条に係る部分に限る。)並びに第十一条及び第十条の改正規定は、公布の日から施行する。
内閣総理大臣 小泉純一郎
農林水産大臣 武部勤
経済産業大臣 平沼赳夫
国土交通大臣 林寛子
環境大臣臨時代理 国務大臣 武部勤