刑事訴訟法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第138号
公布年月日: 平成11年8月18日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

刑事訴訟法の一部改正は、主に二つの目的で提案された。第一に、犯罪捜査のための電気通信の傍受に関する強制処分の根拠規定を設けることである。第二に、証人等の保護に関する規定の整備である。具体的には、証人や親族への脅迫・威迫等が刑事手続への協力を妨げている現状を踏まえ、証人等の身体・財産への加害行為等を防止し、不安を軽減・除去するため、証人等の住居等が特定される事項についての尋問制限等の措置を定めるものである。これらの改正により、刑事手続の円滑かつ適正な実施を確保することを目指している。

参照した発言:
第142回国会 衆議院 法務委員会 第14号

審議経過

第142回国会

衆議院
(平成10年5月8日)
(平成10年5月13日)
(平成10年5月15日)
(平成10年5月19日)
(平成10年5月22日)

第145回国会

衆議院
(平成11年4月28日)
(平成11年5月18日)
(平成11年5月19日)
(平成11年5月21日)
(平成11年5月25日)
(平成11年5月27日)
(平成11年5月28日)
(平成11年6月1日)
参議院
(平成11年6月9日)
(平成11年6月10日)
(平成11年6月29日)
(平成11年7月1日)
(平成11年7月6日)
(平成11年7月13日)
(平成11年7月22日)
(平成11年7月27日)
(平成11年7月29日)
(平成11年8月3日)
(平成11年8月4日)
(平成11年8月6日)
(平成11年8月9日)
(平成11年8月12日)
刑事訴訟法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十一年八月十八日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第百三十八号
刑事訴訟法の一部を改正する法律
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第二百二十二条の次に次の一条を加える。
第二百二十二条の二 通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分については、別に法律で定めるところによる。
第二百九十五条に次の一項を加える。
裁判長は、証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人を尋問する場合において、証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあり、これらの者の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定される事項が明らかにされたならば証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人が十分な供述をすることができないと認めるときは、当該事項についての尋問を制限することができる。ただし、検察官のする尋問を制限することにより犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがあるとき、又は被告人若しくは弁護人のする尋問を制限することにより被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。
第二百九十九条の次に次の一条を加える。
第二百九十九条の二 検察官又は弁護人は、前条第一項の規定により証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人の氏名及び住居を知る機会を与え又は証拠書類若しくは証拠物を閲覧する機会を与えるに当たり、証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人若しくは証拠書類若しくは証拠物にその氏名が記載されている者若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、相手方に対し、その旨を告げ、これらの者の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定される事項が、犯罪の証明若しくは犯罪の捜査又は被告人の防御に関し必要がある場合を除き、関係者(被告人を含む。)に知られないようにすることその他これらの者の安全が脅かされることがないように配慮することを求めることができる。
附 則
この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
法務大臣 陣内孝雄
内閣総理大臣 小渕恵三