農地法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第五十六号
公布年月日: 平成10年5月8日
法令の形式: 法律
農地法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十年五月八日
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法律第五十六号
農地法の一部を改正する法律
農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「二へクタール」を「四へクタール」に改め、同項ただし書中「各号の一」を「各号のいずれか」に改め、同条第三項中「つけて」を「付けて」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に、「聞かなければ」を「聴かなければ」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。ただし、第一号及び第二号に掲げる場合において、土地収用法第二十六条第一項の規定による告示(他の法律の規定による告示又は公告で同項の規定による告示とみなされるものを含む。次条第二項において同じ。)に係る事業の用に供するため農地を農地以外のものにしようとするとき、第一号イに掲げる農地を農業振興地域の整備に関する法律第十条第三項に規定する農用地利用計画(以下単に「農用地利用計画」という。)において指定された用途に供するため農地以外のものにしようとするときその他政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。
一 次に掲げる農地を農地以外のものにしようとする場合
イ 農用地区域(農業振興地域の整備に関する法律第八条第二項第一号に規定する農用地区域をいう。以下同じ。)内にある農地
ロ イに掲げる農地以外の農地で、集団的に存在する農地その他の良好な営農条件を備えている農地として政令で定めるもの(市街化調整区域(都市計画法第七条第一項の市街化調整区域をいう。以下同じ。)内にある政令で定める農地以外の農地にあつては、次に掲げる農地を除く。)
(1) 市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地で政令で定めるもの
(2) (1)の区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地で政令で定めるもの
二 前号イ及びロに掲げる農地(同号ロ(1)に掲げる農地を含む。)以外の農地を農地以外のものにしようとする場合において、申請に係る農地に代えて周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することができると認められるとき。
三 申請者に申請に係る農地を農地以外のものにする行為を行うために必要な資力及び信用があると認められないこと、申請に係る農地を農地以外のものにする行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていないことその他省令で定める事由により、申請に係る農地のすべてを住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の当該申請に係る用途に供することが確実と認められない場合
四 申請に係る農地を農地以外のものにすることにより、土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあると認められる場合、農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合その他の周辺の農地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
五 仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため農地を農地以外のものにしようとする場合において、その利用に供された後にその土地が耕作の目的に供されることが確実と認められないとき。
第五条第一項中「農地を除く」の下に「。次項において同じ」を加え、「二へクタール」を「四へクタール」に改め、同項ただし書中「各号の一」を「各号のいずれか」に改め、同条第二項中「前条第二項」を「前条第三項」に、「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。ただし、第一号及び第二号に掲げる場合において、土地収用法第二十六条第一項の規定による告示に係る事業の用に供するため第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとするとき、第一号イに掲げる農地又は採草放牧地につき農用地利用計画において指定された用途に供するためこれらの権利を取得しようとするときその他政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。
一 次に掲げる農地又は採草放牧地につき第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合
イ 農用地区域内にある農地又は採草放牧地
ロ イに掲げる農地又は採草放牧地以外の農地又は採草放牧地で、集団的に存在する農地又は採草放牧地その他の良好な営農条件を備えている農地又は採草放牧地として政令で定めるもの(市街化調整区域内にある政令で定める農地又は採草放牧地以外の農地又は採草放牧地にあつては、次に掲げる農地又は採草放牧地を除く。)
(1) 市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地又は採草放牧地で政令で定めるもの
(2) (1)の区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地又は採草放牧地で政令で定めるもの
二 前号イ及びロに掲げる農地(同号ロ(1)に掲げる農地を含む。)以外の農地を農地以外のものにするため第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合又は同号イ及びロに掲げる採草放牧地(同号ロ(1)に掲げる採草放牧地を含む。)以外の採草放牧地を採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得しようとする場合において、申請に係る農地又は採草放牧地に代えて周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することができると認められるとき。
三 第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする者に申請に係る農地を農地以外のものにする行為又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のものにする行為を行うために必要な資力及び信用があると認められないこと、申請に係る農地を農地以外のものにする行為又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のものにする行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていないことその他省令で定める事由により、申請に係る農地又は採草放牧地のすべてを住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の当該申請に係る用途に供することが確実と認められない場合
四 申請に係る農地を農地以外のものにすること又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のものにすることにより、土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあると認められる場合、農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合その他の周辺の農地又は採草放牧地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
五 仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため所有権を取得しようとする場合
六 仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため、農地につき所有権以外の第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合においてその利用に供された後にその土地が耕作の目的に供されることが確実と認められないとき、又は採草放牧地につきこれらの権利を取得しようとする場合においてその利用に供された後にその土地が耕作の目的若しくは主として耕作若しくは養畜の事業のための採草若しくは家畜の放牧の目的に供されることが確実と認められないとき。
七 農地を採草放牧地にするため第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合において、同条第二項の規定により同条第一項の許可をすることができない場合に該当すると認められるとき。
第七十三条第一項中「二へクタール」を「四へクタール」に改め、同項ただし書中「各号の一」を「各号のいずれか」に改める。
附則中「こえない」を「超えない」に改め、附則を附則第一項とし、同項に見出しとして「(施行期日)」を付し、附則に次の一項を加える。
(農林水産大臣に対する協議)
2 都道府県知事は、当分の間、次に掲げる場合には、あらかじめ、農林水産大臣に協議しなければならない。
一 同一の事業の目的に供するため二へクタールを超える農地を農地以外のものにする行為(地域整備法の定めるところに従つて農地を農地以外のものにする行為で第四条第一項の政令で定める要件に該当するものを除く。)に係る同項の許可をしようとする場合
二 同一の事業の目的に供するため二ヘクタールを超える農地又はその農地と併せて採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得する行為(地域整備法の定めるところに従つてこれらの権利を取得する行為で第五条第一項の政令で定める要件に該当するものを除く。)に係る第五条第一項の許可をしようとする場合
三 同一の事業の用に供するため二へクタールを超える農地を農地以外のものにすることを目的としてその農地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得する場合(地域整備法の定めるところに従つてこれらの権利を取得する場合で第七十三条第一項の政令で定める要件に該当するものを除く。)において、当該事業の用に供するため第六十一条の規定により売り渡された土地等の権利を取得する行為に係る第七十三条第一項の許可をしようとするとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行前に改正前の第四条第一項、第五条第一項若しくは第七十三条第一項の規定又はこれらの規定に基づく命令の規定によってした処分、手続その他の行為は、改正後の第四条第一項、第五条第一項若しくは第七十三条第一項の規定又はこれらの規定に基づく命令の相当規定によってしたものとみなす。
第三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
農林水産大臣 島村宜伸
内閣総理大臣 橋本龍太郎