(目的)
第一条 この法律は、我が国が世界において、歴史的にまぐろの漁獲及び消費に関し特別な地位を占めていることにかんがみ、最近におけるまぐろ資源の動向、その保存及び管理を図るための国際協力の進展その他まぐろ漁業を取り巻く環境の著しい変化に対処して、まぐろ資源の保存及び管理の強化を図るための所要の措置を講じ、もってまぐろ漁業の持続的な発展とまぐろの供給の安定に資することを目的とする。
(基本方針)
第二条 農林水産大臣は、まぐろ資源の動向を踏まえ、まぐろ資源の保存及び管理の強化を図るための基本方針(以下この条において「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 まぐろ資源の保存及び管理の強化に関する基本的な指針
二 まぐろ資源の保存及び管理の強化を図るための施策に関する基本的な事項
三 その他まぐろ資源の保存及び管理の強化に関する重要事項
3 農林水産大臣は、まぐろ資源の動向、まぐろの需給事情その他の事情の変動により必要があるときは、基本方針を変更するものとする。
4 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、外務大臣、通商産業大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(国際協力の推進)
第三条 政府は、まぐろ資源の保存及び管理を図るための国際機関(以下「国際機関」という。)の設立又はその効果的な運営を図るため、関係国と協力するように努めるとともに、国際機関への外国の加盟を促進するように努めるものとする。
2 政府は、国際機関においてまぐろ資源の保存及び管理を図るための適切な措置が取り決められるように努めるものとする。
3 政府は、前二項に定めるもののほか、まぐろ資源の保存及び管理の強化を図るために必要な国際協力を推進するように努めるものとする。
(国内における措置)
第四条 農林水産大臣は、我が国が加盟している国際機関において取り決められたまぐろ資源の保存及び管理を図るための措置(次条において「保存管理措置」という。)が我が国の漁業者によって遵守されるように必要な措置を講じなければならない。
(国際機関等に対する要請)
第五条 政府は、外国の漁業者によるまぐろ漁業の活動が、保存管理措置の有効性を減じていると認められるときは、当該保存管理措置を取り決めた国際機関に対して当該活動を抑止するために必要な措置を講ずるよう要請するとともに、当該外国に対して当該活動を改善するよう要請しなければならない。
(輸入に関する措置)
第六条 政府は、前条の規定による要請をした後、相当の期間を経過してもなお当該要請に係る活動が改善されていないと認められるときは、当該国際機関における取決めに従い、必要な限度において、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第五十二条の規定に基づき前条に規定する外国からのまぐろの輸入を制限することができる。この場合においては、我が国が締結した条約その他の国際約束を遵守するものとする。
(増殖に関する技術の開発及び普及等)
第七条 政府は、まぐろ資源の維持増大を図るため、まぐろの増殖に関する技術の開発及び普及その他の必要な事業を推進するように努めるものとする。
(保管事業に関する援助)
第八条 政府は、まぐろ漁業を営む者の組織する団体に対し、当該団体が行うまぐろの保管の事業の実施に関し必要な助言、指導その他の援助を行うように努めるものとする。
(情報の収集等)
第九条 政府は、まぐろ資源の保存及び管理の強化に資するため、輸入されるまぐろに関する情報を収集するように努めるものとする。
2 政府は、まぐろ資源の保存及び管理の強化に資するため、国際機関、外国政府、まぐろ漁業を営む者又はまぐろの流通若しくは加工の事業を行う者の組織する団体等と必要な情報を交換するように努めるものとする。
(報告の徴収)
第十条 農林水産大臣は、この法律を施行するため必要があるときは、まぐろ漁業を営む者若しくはまぐろの流通若しくは加工の事業を行う者又はこれらの者の組織する団体から、これらの事業に係る業務に関して、必要な報告をさせることができる。
(罰則)
第十一条 前条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三十万円以下の過料に処する。