国際海上物品運送法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第六十九号
公布年月日: 平成4年6月3日
法令の形式: 法律
国際海上物品運送法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成四年六月三日
内閣総理大臣 宮澤喜一
法律第六十九号
国際海上物品運送法の一部を改正する法律
国際海上物品運送法(昭和三十二年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「法律は、船舶」を「法律(第二十条の二を除く。)の規定は船舶」に、「、船積港」を「船積港」に改め、「ものに」の下に「、同条の規定は運送人及びその使用する者の不法行為による損害賠償の責任に」を加える。
第二条に次の一項を加える。
4 この法律において「一計算単位」とは、国際通貨基金協定第三条第一項に規定する特別引出権による一特別引出権に相当する金額をいう。
第九条中「船荷証券に事実と異なる記載がされた場合には、運送人は、その記載につき注意が尽されたことを証明しなければ、その」を「運送人は、船荷証券の」に改める。
第十二条の次に次の一条を加える。
(損害賠償の額)
第十二条の二 運送品に関する損害賠償の額は、荷揚げされるべき地及び時における運送品の市場価格(商品取引所の相場のある物品については、その相場)によつて定める。ただし、市場価格がないときは、その地及び時における同種類で同一の品質の物品の正常な価格によつて定める。
2 商法第五百八十条第三項の規定は、前項の場合に準用する。
第十三条第一項中「十万円」を「次に掲げる金額のうちいずれか多い金額」に改め、同項に次の各号を加える。
一 一計算単位の六百六十六・六七倍の金額
二 滅失、損傷又は延着に係る運送品の総重量について一キログラムにつき一計算単位の二倍を乗じて得た金額
第十三条第五項を同条第八項とし、同条第四項中「第二項」を「第五項」に改め、同項を同条第七項とし、同条第三項を同条第六項とし、同条第二項中「前項」を「前各項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第一項の次に次の三項を加える。
2 前項各号の一計算単位は、運送人が運送品に関する損害を賠償する日において公表されている最終のものとする。
3 運送品がコンテナー、パレットその他これらに類する輸送用器具(以下この項において「コンテナー等」という。)を用いて運送される場合における第一項の規定の適用については、その運送品の包若しくは個品の数又は容積若しくは重量が船荷証券に記載されているときを除き、コンテナー等の数を包又は単位の数とみなす。
4 運送品に関する運送人の使用する者の責任が、第二十条の二第二項の規定により、同条第一項において準用する前三項の規定により運送人の責任が軽減される限度で軽減される場合において、運送人の使用する者が損害を賠償したときは、前三項の規定による運送品に関する運送人の責任は、運送人の使用する者が賠償した金額の限度において、更に軽減される。
第十三条の次に次の一条を加える。
(損害賠償の額及び責任の限度の特例)
第十三条の二 運送人は、運送品に関する損害が、自己の故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認識しながらした自己の無謀な行為により生じたものであるときは、第十二条の二及び前条第一項から第四項までの規定にかかわらず、一切の損害を賠償する責めを負う。
第十四条ただし書を削り、同条に次の二項を加える。
2 前項の期間は、運送品に関する損害が発生した後に限り、合意により、延長することができる。
3 運送人が更に第三者に対して運送を委託した場合における運送品に関する第三者の責任は、運送人が、第一項の期間内に、損害を賠償し、又は裁判上の請求をされた場合においては、同項の期間(前項の規定により第一項の期間が運送人と当該第三者との合意により延長された場合にあつては、その延長後の期間)が満了した後にあつても、運送人が損害を賠償し、又は裁判上の請求をされた日から三月を経過する日までは、消滅しない。
第二十条第二項中「及び第五百七十八条から第五百八十三条まで」を「、第五百七十八条、第五百七十九条、第五百八十二条及び第五百八十三条」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(運送人等の不法行為責任)
第二十条の二 第三条第二項、第十一条第四項及び第十二条の二から第十四条まで並びに前条第二項において準用する商法第五百七十八条の規定は、運送品に関する運送人の荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に対する不法行為による損害賠償の責任に準用する。この場合において、第三条第二項中「前項」とあるのは、「民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十五条第一項本文及び商法第六百九十条(同法第七百四条第一項の規定により船舶賃借人が船舶所有者と同一の権利義務を有することとされる場合を含む。)」と読み替えるものとする。
2 前項の規定により運送品に関する運送人の責任が免除され、又は軽減される場合には、その責任が免除され、又は軽減される限度において、当該運送品に関する運送人の使用する者の荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に対する不法行為による損害賠償の責任も、免除され、又は軽減される。
3 第四条第二項及び第三項の規定は、運送品に関する運送人の使用する船長の荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に対する不法行為による損害賠償の責任について商法第七百五条の規定の適用がある場合に準用する。この場合において、第四条第二項中「運送人」とあるのは「船長」と、「前項」とあるのは「商法第七百五条」と、「前条」とあるのは「同条」と読み替えるものとする。
4 第十三条第四項の規定は、運送品に関する運送人の責任が同条第一項から第三項までの規定(第一項において準用する場合を含む。)により軽減される場合において、運送人が損害を賠償したときの、運送品に関する運送人の使用する者の責任に準用する。
5 前三項の規定は、運送品に関する損害が、運送人の使用する者の故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認識しながらしたその者の無謀な行為により生じたものであるときには、適用しない。
附 則
1 この法律は、千九百六十八年二月二十三日の議定書によって改正された千九百二十四年八月二十五日の船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約を改正する議定書が日本国について効力を生ずる日から施行する。
2 この法律の施行前に締結された運送契約並びにその契約に係る運送品に関する運送人及びその使用する者の不法行為による損害賠償の責任に関しては、なお従前の例による。
法務大臣 田原隆
内閣総理大臣 宮澤喜一
国際海上物品運送法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成四年六月三日
内閣総理大臣 宮沢喜一
法律第六十九号
国際海上物品運送法の一部を改正する法律
国際海上物品運送法(昭和三十二年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「法律は、船舶」を「法律(第二十条の二を除く。)の規定は船舶」に、「、船積港」を「船積港」に改め、「ものに」の下に「、同条の規定は運送人及びその使用する者の不法行為による損害賠償の責任に」を加える。
第二条に次の一項を加える。
4 この法律において「一計算単位」とは、国際通貨基金協定第三条第一項に規定する特別引出権による一特別引出権に相当する金額をいう。
第九条中「船荷証券に事実と異なる記載がされた場合には、運送人は、その記載につき注意が尽されたことを証明しなければ、その」を「運送人は、船荷証券の」に改める。
第十二条の次に次の一条を加える。
(損害賠償の額)
第十二条の二 運送品に関する損害賠償の額は、荷揚げされるべき地及び時における運送品の市場価格(商品取引所の相場のある物品については、その相場)によつて定める。ただし、市場価格がないときは、その地及び時における同種類で同一の品質の物品の正常な価格によつて定める。
2 商法第五百八十条第三項の規定は、前項の場合に準用する。
第十三条第一項中「十万円」を「次に掲げる金額のうちいずれか多い金額」に改め、同項に次の各号を加える。
一 一計算単位の六百六十六・六七倍の金額
二 滅失、損傷又は延着に係る運送品の総重量について一キログラムにつき一計算単位の二倍を乗じて得た金額
第十三条第五項を同条第八項とし、同条第四項中「第二項」を「第五項」に改め、同項を同条第七項とし、同条第三項を同条第六項とし、同条第二項中「前項」を「前各項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第一項の次に次の三項を加える。
2 前項各号の一計算単位は、運送人が運送品に関する損害を賠償する日において公表されている最終のものとする。
3 運送品がコンテナー、パレットその他これらに類する輸送用器具(以下この項において「コンテナー等」という。)を用いて運送される場合における第一項の規定の適用については、その運送品の包若しくは個品の数又は容積若しくは重量が船荷証券に記載されているときを除き、コンテナー等の数を包又は単位の数とみなす。
4 運送品に関する運送人の使用する者の責任が、第二十条の二第二項の規定により、同条第一項において準用する前三項の規定により運送人の責任が軽減される限度で軽減される場合において、運送人の使用する者が損害を賠償したときは、前三項の規定による運送品に関する運送人の責任は、運送人の使用する者が賠償した金額の限度において、更に軽減される。
第十三条の次に次の一条を加える。
(損害賠償の額及び責任の限度の特例)
第十三条の二 運送人は、運送品に関する損害が、自己の故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認識しながらした自己の無謀な行為により生じたものであるときは、第十二条の二及び前条第一項から第四項までの規定にかかわらず、一切の損害を賠償する責めを負う。
第十四条ただし書を削り、同条に次の二項を加える。
2 前項の期間は、運送品に関する損害が発生した後に限り、合意により、延長することができる。
3 運送人が更に第三者に対して運送を委託した場合における運送品に関する第三者の責任は、運送人が、第一項の期間内に、損害を賠償し、又は裁判上の請求をされた場合においては、同項の期間(前項の規定により第一項の期間が運送人と当該第三者との合意により延長された場合にあつては、その延長後の期間)が満了した後にあつても、運送人が損害を賠償し、又は裁判上の請求をされた日から三月を経過する日までは、消滅しない。
第二十条第二項中「及び第五百七十八条から第五百八十三条まで」を「、第五百七十八条、第五百七十九条、第五百八十二条及び第五百八十三条」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(運送人等の不法行為責任)
第二十条の二 第三条第二項、第十一条第四項及び第十二条の二から第十四条まで並びに前条第二項において準用する商法第五百七十八条の規定は、運送品に関する運送人の荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に対する不法行為による損害賠償の責任に準用する。この場合において、第三条第二項中「前項」とあるのは、「民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十五条第一項本文及び商法第六百九十条(同法第七百四条第一項の規定により船舶賃借人が船舶所有者と同一の権利義務を有することとされる場合を含む。)」と読み替えるものとする。
2 前項の規定により運送品に関する運送人の責任が免除され、又は軽減される場合には、その責任が免除され、又は軽減される限度において、当該運送品に関する運送人の使用する者の荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に対する不法行為による損害賠償の責任も、免除され、又は軽減される。
3 第四条第二項及び第三項の規定は、運送品に関する運送人の使用する船長の荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に対する不法行為による損害賠償の責任について商法第七百五条の規定の適用がある場合に準用する。この場合において、第四条第二項中「運送人」とあるのは「船長」と、「前項」とあるのは「商法第七百五条」と、「前条」とあるのは「同条」と読み替えるものとする。
4 第十三条第四項の規定は、運送品に関する運送人の責任が同条第一項から第三項までの規定(第一項において準用する場合を含む。)により軽減される場合において、運送人が損害を賠償したときの、運送品に関する運送人の使用する者の責任に準用する。
5 前三項の規定は、運送品に関する損害が、運送人の使用する者の故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認識しながらしたその者の無謀な行為により生じたものであるときには、適用しない。
附 則
1 この法律は、千九百六十八年二月二十三日の議定書によって改正された千九百二十四年八月二十五日の船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約を改正する議定書が日本国について効力を生ずる日から施行する。
2 この法律の施行前に締結された運送契約並びにその契約に係る運送品に関する運送人及びその使用する者の不法行為による損害賠償の責任に関しては、なお従前の例による。
法務大臣 田原隆
内閣総理大臣 宮沢喜一