農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第八十号
公布年月日: 昭和61年6月10日
法令の形式: 法律
農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和六十一年六月十日
内閣総理大臣 中曽根康弘
法律第八十号
農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律
農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三章 貯金保険(第四十九条―第六十一条)」を
第三章
農水産業協同組合貯金保険
第一節
保険関係(第四十九条)
第二節
保険料の納付(第五十条―第五十四条)
第三節
保険金等の支払(第五十五条―第六十条)
第四節
資金援助(第六十一条―第六十七条)
第五節
補則(第六十八条)
に、「第六十二条・第六十三条」を「第六十九条・第七十条」に、「第六十四条―第七十条」を「第七十一条―第七十七条」に改める。
第一条を次のように改める。
(目的)
第一条 農水産業協同組合貯金保険は、農水生業協同組合の貯金者等の保護を図るため、農水産業協同組合が貯金等の払戻しを停止した場合に必要な保険金等の支払を行うほか、経営困難農水産業協同組合に係る合併等に対し適切な資金援助を行い、もつて信用秩序の維持に資することを目的とする。
第二条に次の三項を加える。
4 この法律において「信用事業」とは、農水産業協同組合が行う次に掲げる事業をいう。
一 農業協同組合法第十条第一項第一号及び第二号の事業(これらの事業に附帯する事業を含む。)並びに同条第六項の事業
二 水産業協同組合法第十一条第一項第一号及び第二号の事業(これらの事業に附帯する事業を含む。)並びに同条第五項及び第六項の事業
三 水産業協同組合法第九十三条第一項第一号及び第二号の事業(これらの事業に附帯する事業を含む。)並びに同条第四項及び第五項の事業
5 この法律において「経営困難農水産業協同組合」とは、業務若しくは財産の状況に照らし貯金等の払戻しを停止するおそれがあるか、又は貯金等の払戻しを停止した農水産業協同組合(主として信用事業に係る業務に起因して経営が困難になつたことによりこれらの事態に至つたものに限る。)をいう。
6 この法律において「農水産業協同組合連合会」とは、次に掲げる者をいう。
一 農業協同組合法第十条第一項第一号及び第二号の事業を併せ行う農業協同組合連合会
二 水産業協同組合法第八十七条第一項第一号及び第二号の事業を併せ行う漁業協同組合連合会
三 水産業協同組合法第九十七条第一項第一号及び第二号の事業を併せ行う水産加工業協同組合連合会
第二十七条第一項中「及び理事」を削り、「監事」を「理事及び監事」に改める。
第三十四条中「行なう」を「行う」に改め、同条第一号中「次章」を「次章第二節」に、「保険」を「保険料の収納」に改め、同条第二号中「前号」を「前三号」に改め、同号を同条第四号とし、同条第一号の次に次の二号を加える。
二 次章第三節の規定による保険金及び仮払金の支払
三 次章第四節の規定による資金援助
第四十二条第一項中「保険金の支払に関し」を「第三十四条第二号又は第三号に掲げる業務を行うため」に改める。
「第三章 貯金保険」を「第三章 農水産業協同組合貯金保険」に改める。
第三章中第四十九条の前に次の節名を付する。
第一節 保険関係
第四十九条の次に次の節名を付する。
第二節 保険料の納付
第五十条第二項を次のように改める。
2 機構は、次の各号に掲げる場合には、前項の規定にかかわらず、定款で定めるところにより、当該各号に定める農水産業協同組合の保険料を免除することができる。
一 保険事故が発生したとき。 当該保険事故に係る農水産業協同組合
二 第六十六条第一項に規定する適格性の認定等が行われたとき。 当該適格性の認定等に係る経営困難農水産業協同組合
第五十一条第二項中「長期的に保険料収入が保険金を償う」を「保険金の支払、資金援助その他の機構の業務に要する費用の予想額に照らし、長期的に機構の財政が均衡する」に改める。
第五十四条の次に次の節名を付する。
第三節 保険金等の支払
第五十五条の見出しを「(保険金等の支払)」に改め、同条第三項中「第一項の」を「第一項又は前項の」に、「第五十九条第一項又は第三項」を「第五十九条第一項、第二項又は第四項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 機構は、保険事故が発生したときは、当該保険事故に係る貯金者等に対し、その請求に基づいて、政令で定める金額の範囲内で政令で定めるところにより、仮払金の支払をすることができる。
第五十六条の見出しを「(保険金の額等)」に改め、同条に次の二項を加える。
4 保険事故に係る貯金者等が当該保険事故について前条第三項の仮払金の支払を受けている場合におけるその者の保険金の額は、前三項の規定にかかわらず、これらの規定による金額から当該仮払金の支払を受けた額を控除した金額に相当する金額とする。
5 保険事故について保険金の支払が行われる場合に、当該保険事故に係る貯金者等について支払われた前条第三項の仮払金の額が、第一項から第三項までの規定により支払われるべき保険金の額を超えるときは、その者は、その超える金額を機構に払い戻さなければならない。
第五十八条第一項に次の二号を加える。
三 第一種保険事故の発生した農水産業協同組合を一部の当事者とする合併に係る第六十七条第一項の決議又は賛成が得られなかつた旨の同項の規定による通知があつたとき。 その通知があつた日
四 前号に掲げる場合のほか、第一種保険事故の発生した農水産業協同組合を一部の当事者とする合併に係る第六十七条第一項の決議又は賛成が得られなかつたことを機構が知つたとき。 その知つた日
第五十八条第二項中「前項」を「第一項又は前項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。
2 主務大臣は、機構が、委員会の議決を経て、前項の期限の延長を申請した場合には、一月を超えない期間を限り、同項の期限を延長することができる。
3 機構は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる日から一週間以内に、委員会の議決を経て、当該各号の保険事故につき第五十五条第三項の仮払金の支払をするかどうかを決定しなければならない。
一 保険事故に関して前条第一項又は第三項の規定による通知があつたとき。 その通知があつた日
二 前号に掲げる場合のほか、保険事故が発生したことを機構が知つたとき。 その知つた日
三 第一種保険事故の発生した農水産業協同組合を一部の当事者とする合併に係る第六十七条第一項の決議又は賛成が得られなかつた旨の同項の規定による通知があつたとき。 その通知があつた日
四 前号に掲げる場合のほか、第一種保険事故の発生した農水産業協同組合を一部の当事者とする合併に係る第六十七条第一項の決議又は賛成が得られなかつたことを機構が知つたとき。 その知つた日
第五十九条第四項中「前条第二項」を「前条第四項」に改め、「第一項」の下に「又は第二項」を加え、「及び第二項」を「及び第三項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 機構は、前条第三項の規定により第五十五条第三項の仮払金の支払をする旨の決定をしたときは、速やかに、委員会の議決を経て当該仮払金の支払期間、支払場所その他政令で定める事項を定め、これを公告しなければならない。
第六十条中「除く」の下に「。次項において同じ」を加え、同条に次の一項を加える。
2 機構は、第五十五条第三項の仮払金の支払をしたときは、その支払金額(第五十六条第五項の規定により機構に払い戻されるべき金額を除く。)に応じ、貯金者等が農水産業協同組合に対して有する当該貯金等に係る債権を取得する。
第七十条中「第六十二条」を「第六十九条」に、「一万円」を「十万円」に改め、同条を第七十七条とする。
第六十九条を削る。
第六十八条中「三万円」を「十万円」に改め、同条第一号中「主務大臣の認可」の下に「(第六十五条第三項の規定によるものを除く。)」を加え、同条第三号中「行なつた」を「行つた」に改め、同条を第七十六条とする。
第六十七条を第七十四条とし、同条の次に次の一条を加える。
第七十五条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした農水産業協同組合若しくは農水産業協同組合連合会の理事又は農林中央金庫の理事長は、三十万円以下の過料に処する。
一 第五十七条第一項又は第六十七条第一項の規定による通知をせず、又は不正の通知をしたとき。
二 第六十六条第一項又は第六十七条第一項の規定による報告をせず、又は不正の報告をしたとき。
第六十六条中「三万円」を「三十万円」に改め、同条を第七十三条とする。
第六十五条中「五万円」を「五十万円」に改め、同条第二号中「第五十八条第二項(第五十九条第四項」を「第五十八条第四項(第五十九条第五項」に改め、「含む。)」の下に「又は第六十五条第四項」を加え、同条に次の一項を加える。
2 第六十五条第三項の規定による主務大臣の認可を受けないで同条第一項の規定による決定をした機構の役員は、五十万円以下の罰金に処する。
第六十五条を第七十二条とする。
第六十四条中「五万円」を「五十万円」に改め、第五章中同条を第七十一条とする。
第六十三条を第七十条とし、第四章中第六十二条を第六十九条とする。
第六十一条中「保険」を「農水産業協同組合貯金保険」に改め、同条を第六十八条とする。
第六十条の次に次の一節及び節名を加える。
第四節 資金援助
(資金援助の申込み)
第六十一条 合併(経営困難農水産業協同組合と合併する農水産業協同組合が存続するものに限る。以下同じ。)を行う農水産業協同組合で経営困難農水産業協同組合でないもの(以下「救済農水産業協同組合」という。)は、機構が、合併を援助するため、金銭の贈与、資金の貸付け若しくは預入れ、資産の買取り又は債務の保証若しくは引受け(以下「資金援助」という。)を行うことを、機構に申し込むことができる。
2 前項の規定による申込みを行つた農水産業協同組合は、速やかに、その旨を都道府県知事(主務大臣の監督に係る農水産業協同組合にあつては、主務大臣)に報告しなければならない。
第六十二条 農水産業協同組合連合会又は農林中央金庫(以下「農水産業協同組合連合会等」という。)が、農水産業協同組合に係る相互援助取決めにより合併又は信用事業再建措置(経営困難農水産業協同組合が信用事業に係る業務の健全かつ適切な運営を回復するために行う主務省令で定める措置をいう。以下同じ。)について資金の貸付けその他の援助を行う場合において、当該農水産業協同組合連合会等は、機構が当該援助について資金援助(資産の買取り及び債務の引受けを除く。)を行うことを、機構に申し込むことができる。
2 前項の農水産業協同組合に係る相互援助取決めとは、次の各号の一に掲げるものをいう。
一 農水産業協同組合の相互扶助に資することを目的として、全国の区域を対象に農水産業協同組合、農水産業協同組合連合会及び農林中央金庫が行う取決めであつて、農水産業協同組合が当該目的のため農水産業協同組合連合会等に預け入れた貯金その他の資金を原資として、農水産業協同組合連合会等が救済農水産業協同組合又は経営困難農水産業協同組合に対し資金の貸付けその他の援助を行うことを定めるもの
二 前号に掲げる取決めに準ずる取決めであつて主務省令で定める要件に適合するもの。
3 第一項の規定による申込みを行つた農水産業協同組合連合会等は、速やかに、その旨を主務大臣に報告しなければならない。
(適格性の認定)
第六十三条 第六十一条第一項又は前条第一項の規定による申込みに係る合併については、当該合併に係る農水産業協同組合は、これらの規定による申込みが行われる時までに、当該合併について、都道府県知事(当該合併後存続する農水産業協同組合が主務大臣の監督に係るものであるときは、主務大臣。第七項及び次条第一項において同じ。)の認定を受けなければならない。
2 前条第一項の規定による申込みに係る信用事業再建措置については、当該措置に係る経営困難農水産業協同組合及び同項の規定により当該措置について援助を行う農水産業協同組合連合会等は、同項の規定による申込みが行われる時までに、当該措置について、都道府県知事(当該経営困難農水産業協同組合が主務大臣の監督に係るものであるときは、主務大臣)の認定を受けなければならない。
3 前二項の認定の申請は、第一項の場合にあつては同項の合併に係る農水産業協同組合の連名で、前項の場合にあつては同項の経営困難農水産業協同組合と農水産業協同組合連合会等との連名で行わなければならない。
4 第一項及び第二項の認定は、次に掲げる要件のすべてに該当する場合に限り、行うことができる。
一 当該合併又は信用事業再建措置(以下「合併等」という。)が行われることが、貯金者等の保護に資すること。
二 機構による資金援助が行われることが、当該合併等を行うために不可欠であること。
三 当該合併等に係る経営困難農水産業協同組合について、合併等が行われることなく、その信用事業に係る業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該経営困難農水産業協同組合が信用事業に係る業務を行つている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。
四 機構による資金援助(前条第一項の資金援助にあつては、当該資金援助に係る同項に規定する援助。次条第一項において同じ。)が、合併後存続する農水産業協同組合又は信用事業再建措置に係る経営困難農水産業協同組合の信用事業に係る業務の健全かつ適切な運営のために活用されることが確実であると認められること。
5 都道府県知事は、第一項又は第二項の認定を行うときは、主務大臣の承認を得なければならない。
6 主務大臣は、都道府県知事の監督に係る農水産業協同組合に対し第一項の認定を行うときは、当該都道府県知事に協議しなければならない。
7 都道府県知事は、第一項の認定を行うときは、当該認定に係る農水産業協同組合のうち、いずれが経営困難農水産業協同組合であるかを明らかにしなければならない。
8 都道府県知事又は主務大臣は、第一項又は第二項の認定を行つたときは、その旨を機構に通知しなければならない。
(合併のあつせん)
第六十四条 都道府県知事は、前条第一項の認定に係る同条第三項の申請が行われない場合においても、農水産業協同組合が経営困難農水産業協同組合に該当し、かつ、当該経営困難農水産業協同組合が同条第四項第三号に掲げる要件に該当すると認めるときは、当該経営困難農水産業協同組合及び他の農水産業協同組合に対し、書面により、合併(当該合併が同項第一号に掲げる要件に該当するものであり、かつ、機構による資金援助が同項第二号及び第四号に掲げる要件に該当するものに限る。)のあつせんを行うことができる。
2 前項のあつせんを受けた同項の他の農水産業協同組合は、前条第一項の規定にかかわらず、第六十一条第一項の規定による申込みを行うことができる。
3 農水産業協同組合連合会等で、第一項のあつせんを受けた同項の他の農水産業協同組合に対し合併について資金の貨付けその他の援助を行うものは、前条第一項の規定にかかわらず、第六十二条第一項の規定による申込みを行うことができる。
4 前条第五項から第八項までの規定は、第一項のあつせんを行う場合について準用する。
(資金援助)
第六十五条 機構は、第六十一条第一項又は第六十二条第一項の規定による申込みがあつたときは、遅滞なく、委員会の議決を経て、当該申込みを行つた農水産業協同組合又は農水産業協同組合連合会等に対する資金援助を行うかどうかを決定しなければならない。
2 委員会は、前項の議決を行う場合には、機構の財務の状況並びに当該議決に係る資金援助に要すると見込まれる費用及び当該資金援助に係る経営困難農水産業協同組合の保険事故につき保険金の支払を行うときに要すると見込まれる費用を考慮し、機構の資産の効率的な利用に配意しなければならない。
3 機構は、第一項の規定による決定をしようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。
4 機構は、都道府県知事の監督に係る農水産業協同組合を当事者とする合併等に係る第一項の規定による決定をしたときは、直ちに、その決定に係る事項を当該都道府県知事に報告しなければならない。
5 機構は、第一項の規定による資金援助を行う旨の決定をしたときは、同項に規定する農水産業協同組合又は農水産業協同組合連合会等とこれらの者に対する資金援助に関する契約を締結するものとする。
(合併等の契約の報告等)
第六十六条 第六十三条第一項若しくは第二項の認定又は第六十四条第一項のあつせん(以下「適格性の認定等」という。)を受けた農水産業協同組合又は農水産業協同組合連合会等は、当該適格性の認定等に係る合併の契約又は当該適格性の認定等に係る信用事業再建措置に係る援助(以下この項において「特定援助」という。)の契約を締結したときは、直ちに、その適格性の認定等を行つた都道府県知事又は主務大臣に、その旨を報告し、かつ、当該合併又は特定援助の契約書(救済農水産業協同組合にあつては当該合併の契約書及び当該合併に係る資金援助に関する契約の内容を記載した書面、農水産業協同組合連合会等にあつては当該特定援助の契約書及び当該特定援助に係る資金援助に関する契約の内容を記載した書面)を提出しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、主務大臣に、その旨を報告し、かつ、同項の契約書又は書面の写しを送付しなければならない。
(総会の決議等の報告等)
第六十七条 適格性の認定等を受けた農水産業協同組合は、農業協同組合法又は水産業協同組合法の規定に基づき当該適格性の認定等に係る合併について必要とされる総会若しくは総代会の決議又は組合員の投票における必要な数の賛成を得たとき又は得られなかつたときは、直ちに、都道府県知事(主務大臣の監督に係る農水産業協同組合にあつては、主務大臣)に、その旨を報告し、かつ、当該総会若しくは総代会の議事録又は当該投票の結果を証する書面を提出し、あわせて、機構にその旨を通知しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、主務大臣にその旨を報告しなければならない。
第五節 補則
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(役員の任期に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に農水産業協同組合貯金保険機構の理事である者の任期については、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
大蔵大臣 竹下登
農林水産大臣 羽田孜
内閣総理大臣 中曽根康弘