特定石油製品輸入暫定措置法
法令番号: 法律第九十五号
公布年月日: 昭和60年12月20日
法令の形式: 法律
特定石油製品輸入暫定措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和六十年十二月二十日
内閣総理大臣 中曽根康弘
法律第九十五号
特定石油製品輸入暫定措置法
(趣旨)
第一条 この法律は、最近における石油製品貿易をめぐる国際環境の著しい変化等に対応し、特定石油製品の輸入を円滑に進めるため、特定石油製品の輸入の事業に関し必要な暫定措置を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「特定石油製品」とは、揮発油、灯油及び軽油をいう。
(登録)
第三条 特定石油製品の輸入の事業を行おうとする者は、通商産業省令で定めるところにより、特定石油製品の種類ごとに、通商産業大臣の登録を受けなければならない。
(登録の欠格条項)
第四条 次の各号の一に該当する者は、前条の登録を受けることができない。
一 前条の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
二 第八条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
三 法人であつて、その業務を行う役員のうちに前二号の一に該当する者があるもの
(登録の基準)
第五条 通商産業大臣は、第三条の登録の申請が次の各号に適合すると認めるときは、登録をしなければならない。
一 申請に係る特定石油製品の輸入量が変動した場合にその他の石油製品(石油業法(昭和三十七年法律第百二十八号)第二条第二項の石油製品をいう。)の生産量に影響を及ぼすことなく当該特定石油製品の生産量を変更するために必要な設備として通商産業省令で定める設備を有すること。
二 申請に係る特定石油製品若しくは原油を貯蔵するために必要な施設であつて通商産業省令で定める基準に適合するものを有すること又はこれに準ずるものとして通商産業省令で定める要件に適合する措置が講じられていること。
三 申請に係る特定石油製品で輸入されるものについてその品質を調整し当該特定石油製品の使用者の需要に適合させるために必要な設備として通商産業省令で定める設備を備えていること。
(承継)
第六条 第三条の登録を受けた者(以下「特定石油製品輸入業者」という。)について相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、その特定石油製品輸入業者の地位を承継する。ただし、当該相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人が第四条各号の一に該当するときは、この限りでない。
2 前項の規定により特定石油製品輸入業者の地位を承継した者は、通商産業省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(事業の廃止の届出)
第七条 特定石油製品輸入業者は、当該特定石油製品の輸入の事業を廃止したときは、通商産業省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(登録の取消し)
第八条 通商産業大臣は、特定石油製品輸入業者が次の各号の一に該当するときは、その登録を取り消すことができる。
一 第四条第一号又は第三号に該当するに至つたとき。
二 第五条各号の一に適合しなくなつたとき。
三 不正の手段により第三条の登録を受けたとき。
(品質に関する勧告)
第九条 通商産業大臣は、特定石油製品輸入業者が輸入した特定石油製品で販売しようとするものの品質が当該特定石油製品の使用者の需要に適合していないと認めるときは、当該特定石油製品輸入業者に対し、その輸入に係る特定石油製品の品質の確保に関し必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
(特定石油製品輸入業者の努力)
第十条 特定石油製品輸入業者は、国際的な石油製品市場の動向に応じて特定石油製品の円滑な輸入に努めなければならない。
(報告徴収及び立入検査)
第十一条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、特定石油製品輸入業者に対し、その事業に関し報告をさせることができる。
2 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、特定石油製品輸入業者の事務所又は事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
3 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(石油業法の特例)
第十二条 石油業法第十二条第一項及び第十四条の規定は、特定石油製品の輸入の事業については、適用しない。
2 特定石油製品輸入業者に係る石油業法第十二条第二項及び第三項、第十五条第一項並びに第二十一条の規定の適用については、特定石油製品輸入業者は、同法第十二条第二項に規定する石油輸入業者とみなす。
(罰則)
第十三条 第三条の登録を受けないで特定石油製品の輸入の事業を行つた者は、五十万円以下の罰金に処する。
第十四条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第六条第二項又は第七条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十一条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三 第十一条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対し陳述せず、若しくは虚偽の陳述をした者
第十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(廃止)
2 この法律は、昭和七十一年三月三十一日までに廃止するものとする。
(罰則に関する経過措置)
3 この法律の施行前にした石油業法第十二条第一項の規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(登録免許税法の一部改正)
4 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一中第三十三号の二を第三十三号の三とし、第三十三号の次に次のように加える。
三十三の二 特定石油製品輸入業者の登録
特定石油製品輸入暫定措置法(昭和六十年法律第九十五号)第三条(登録)の特定石油製品輸入業者の登録
登録件数
一件につき十五万円
大蔵大臣 竹下登
通商産業大臣 村田敬次郎
内閣総理大臣 中曽根康弘