果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第27号
公布年月日: 昭和60年4月26日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

果樹農業振興特別措置法は、昭和36年に果実需要の増大に対応して制定されたが、近年は需要の減少・停滞傾向、少量多品目化、良質志向の強まり、温州ミカンをはじめとする生産過剰、果実及び果実加工品の輸入拡大要請など、情勢が大きく変化している。このような状況を踏まえ、果樹農業の健全な発展を図るため、現行制度を整備強化する必要があることから、本法律案を提出することとした。

参照した発言:
第102回国会 参議院 農林水産委員会 第5号

審議経過

第102回国会

参議院
(昭和60年3月26日)
(昭和60年3月27日)
(昭和60年3月28日)
(昭和60年3月29日)
衆議院
(昭和60年4月10日)
(昭和60年4月17日)
(昭和60年4月19日)
果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和六十年四月二十六日
内閣総理大臣 中曽根康弘
法律第二十七号
果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律
果樹農業振興特別措置法(昭和三十六年法律第十五号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三章 果樹園経営計画(第三条―第五条)」を
第三章
果樹園経営計画(第三条―第四条の二)
第三章の二
果実の生産及び出荷の安定に関する措置(第四条の三―第五条)
に改める。
第一条中「その生産の計画的かつ安定的な拡大」を「計画的に果樹農業の振興」に、「あわせて」を「併せて果実の生産及び出荷の安定を図るための措置並びに」に改める。
第二条第二項第五号中「果樹農業の振興に関する重要事項」を「必要な事項」に改め、同号を同項第六号とし、同項中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、同項第二号中「植栽」を「栽培」に改め、同号を同項第三号とし、同項第一号中「植栽及び」を「栽培面積その他」に改め、同号を同項第二号とし、同号の前に次の一号を加える。
一 果樹農業の振興に関する基本的な事項
第二条の三第二項中第六号を第七号とし、第二号から第五号までを一号ずつ繰り下げ、同項第一号中「植栽及び」を「栽培面積その他」に改め、同号を同項第二号とし、同号の前に次の一号を加える。
一 果樹農業の振興に関する方針
第二条の三第三項中「拡大」の下に「又は合理化」を加える。
第三条第一項中「次の各号の一に該当する者は、農林水産省令で定める手続により」を「第二条の三第五項の規定による提出があつた果樹農業振興計画に係る都道府県の区域内において果樹を栽培しているか、又は栽培しようとする農業者は、政令で定めるところにより」に改め、各号を削り、同条第二項第二号及び第三号を次のように改める。
二 農業経営の改善目標
三 前号の改善目標を達成するため採るべき措置に関する計画
第三条第二項中第四号から第六号までを削り、第七号を第四号とし、同条第三項を削る。
第四条第一号中「当該果樹園経営計画に係る樹園地の面積、その集団する度合い及び立地条件」を「前条第二項第二号の改善目標」に改め、「となること」を削り、同条第三号中「前号」を「前二号」に改め、同条第五号を削る。
第五条の見出し中「公庫からの」を削り、同条第一項中「公庫は」を「農林漁業金融公庫又は沖縄振興開発金融公庫は」に改め、「(第三条第二項第六号の額及び計画が記載されていないものを除く。)」を削り、「に記載された第三条第二項第六号の」を「を実施するために必要な」に、「行なう」を「行う」に改め、同条第三項を削り、第三章中同条を第四条の二とする。
第三章の次に次の一章を加える。
第三章の二 果実の生産及び出荷の安定に関する措置
(生産出荷安定指針)
第四条の三 農林水産大臣は、特定果実(その需給が著しく均衡を失し、又は失するおそれがあり、かつ、その状態を改善するために一年を超える相当の期間を必要とすると見込まれる果樹の果実であつて政令で定めるものをいう。以下同じ。)について、かつ、その需要の動向及び生産の状況からみて需給が著しく均衡を失すると見込まれる年について、特定果実の生産又は出荷を行う者及びこれらの者の組織する団体(以下「特定果実生産者等」という。)、次条の規定により指定を受けた法人並びに同条第二号に規定する法人に対する特定果実の安定的な生産及び出荷を図るための指針(以下「生産出荷安定指針」という。)を定めるものとする。
2 生産出荷安定指針には、次に掲げる事項を定めるものとし、その内容は、果樹農業振興基本方針の内容に即するものでなければならない。
一 対象とする期間
二 特定果実の安定的な生産及び出荷の目標
三 前号の目標を達成するために必要な措置に関する基本的な事項
3 農林水産大臣は、生産出荷安定指針を定めようとするときは、果樹農業振興審議会の意見を聴かなければならない。
4 農林水産大臣は、生産出荷安定指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、生産出荷安定指針の変更について準用する。
(法人の指定及び業務)
第四条の四 農林水産大臣は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人であつて、次に掲げる業務を適正かつ確実に実施できると認められるものを、その申請により、全国に一を限つて、当該業務を全国的に実施する者として指定することができる。
一 特定果実の安定的な生産及び出荷の促進並びに特定果実に係る果実製品(果実を加工し又はこれを原料として製造した製品をいう。以下同じ。)の保管に関する事業を行うこと。
二 民法第三十四条の規定により設立された法人であつて、特定果実の安定的な生産及び出荷を促進すること、果実製品の原料として使用する果実を安定的に供給する生産者に対し当該果実の価格が著しく低落した場合に生産者補給金を交付することその他果実の生産及び出荷の安定に関する業務を都道府県の区域内において行うもの(以下「都道府県法人」という。)に対し、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 果実及び果実製品の需要の増進を図るための事業を行うこと。
四 その他果実の生産及び出荷の安定に関する事業を行うこと。
(業務実施規程の承認)
第四条の五 前条の規定による指定を受けた法人(以下「指定法人」という。)は、同条第一号に掲げる業務を実施しようとするときは、対象とする特定果実の種類、実施時期、実施方法その他農林水産省令で定める事項を記載した業務実施規程を作成し、農林水産大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 農林水産大臣は、前項の承認の申請に係る業務実施規程が生産出荷安定指針に適合すると認めるときでなければ、同項の承認をしてはならない。
(事業計画の承認等)
第四条の六 指定法人は、毎事業年度開始前に(第四条の四の規定による指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後速やかに)、同条各号に掲げる業務に係る事業計画及び収支予算を作成し、農林水産大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定法人は、毎事業年度経過後三月以内に、第四条の四各号に掲げる業務に係る事業報告書及び収支決算書を作成し、農林水産大臣に提出しなければならない。
(監督等)
第四条の七 農林水産大臣は、第四条の四各号に掲げる業務の適正かつ確実に実施を確保するため必要があると認めるときは、指定法人に対し、その業務に関し必要な報告をさせることができる。
2 農林水産大臣は、指定法人が第四条の四各号に掲げる業務を適正かつ確実に実施していないと認めるときは、指定法人に対し、その業務の方法の改善に関し必要な措置を採るべきことを命ずることができる。
3 農林水産大臣は、指定法人が前項の規定による命令に違反したときは、第四条の四の規定による指定を取り消すことができる。
(勧告)
第四条の八 農林水産大臣又は都道府県知事は、第四条の三第四項の規定により生産出荷安定指針が公表されている場合において、特定果実生産者等による特定果実の生産又は出荷が、指定法人が行う第四条の四第一号に掲げる業務又は都道府県法人が行う特定果実の安定的な生産及び出荷の促進に関する業務の円滑な実施に著しく支障を及ぼしていると認めるときは、当該特定果実生産者等に対し、当該業務の実施に協力するよう必要な勧告をすることができる。
(外国産の果実等に関する措置)
第五条 政府は、外国産の果実又は果実製品の輸入によつて国内産の特定果実又は特定果実に係る果実製品の価格が著しく低落し又は低落するおそれがあり、その結果、特定果実の生産又は出荷に重大な支障を与え又は与えるおそれがある場合において、特定果実又は特定果実に係る果実製品につき、第四条の三から前条までに規定する措置によつてはその事態を克服することが困難であると認められるときは、当該外国産の果実又は果実製品の輸入に関し必要な措置を講ずる等当該事態を克服するため相当と認められる措置を講ずるものとする。
第六条中「(果実を加工し又はこれを原料として製造した製品をいう。以下同じ。)」を削る。
第七条中「その他」を「、指定法人及び都道府県法人の業務の円滑な実施のために必要な助言、指導その他の援助その他」に、「行なう」を「行う」に改める。
附 則
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
農林水産大臣 佐藤守良
内閣総理大臣 中曽根康弘