松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第21号
公布年月日: 昭和57年3月31日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

松くい虫による被害は、昭和53年夏期の異常気象の影響や特別防除の限界により、53年度以降激甚化し、55年度も被害材積が約210万立方メートルに及ぶなど、終息する状況にない。松林の森林資源としての重要性を踏まえ、異常被害の早急な終息と松林の森林機能確保のため、現行法が56年3月末で失効するのを機に、これまでの経験を活かし、被害対策を緊急かつ総合的に推進するための所要の改正を行い、期限を5年間延長する必要がある。

参照した発言:
第96回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号

審議経過

第96回国会

衆議院
(昭和57年2月24日)
参議院
(昭和57年3月9日)
衆議院
(昭和57年3月16日)
(昭和57年3月17日)
(昭和57年3月18日)
(昭和57年3月19日)
参議院
(昭和57年3月23日)
(昭和57年3月30日)
(昭和57年3月31日)
(昭和57年4月9日)
松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十七年三月三十一日
内閣総理大臣 鈴木善幸
法律第二十一号
松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律
松くい虫防除特別措置法(昭和五十二年法律第十八号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
松くい虫被害対策特別措置法
第一条中「保護する」を「保護し、及びその有する機能を確保する」に、「特別防除」を「松くい虫の被害対策」に、「計画的」を「総合的」に改める。
第二条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 この法律において「特別伐倒駆除」とは、松くい虫が付着している松の樹木の伐倒及び破砕(農林水産省令で定める基準に従い行うものに限る。以下同じ。)又は当該樹木の伐倒及び焼却(炭化を含む。)をいう。
第二条に次の二項を加える。
4 この法律において「高度公益機能松林」とは、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条第一項又は第二項の規定により保安林として指定された松林その他の公益的機能が高い松林として政令で定める松林をいう。
5 この法律において「被害拡大防止松林」とは、松くい虫の被害対策を緊急に行わないとすれば、松くい虫が運ぶ線虫類により当該松林に発生している被害が著しく拡大することとなると認められる松林(高度公益機能松林を除く。)をいう。
第三条第一項を次のように改める。
農林水産大臣は、松くい虫が運ぶ線虫類により松林に発生している異常な被害が終息するとともに、松林の有する機能が確保されることとなるように、昭和五十七年度以降の五箇年間において実施すべき松くい虫の被害対策に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
第三条中第三項を第五項とし、第二項を第四項とし、第一項の次に次の二項を加える。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 松くい虫の被害対策の総合的な推進に関する基本的な指針
二 特別伐倒駆除並びに松くい虫が付着している松の樹木の伐倒及び薬剤による防除に関する基本的な事項
三 特別防除を行うべき松林に関する基準、特別防除を行う松林の周囲の自然環境及び生活環境の保全に関する事項、特別防除により農業、漁業その他の事業に被害を及ぼさないようにするために必要な措置に関する事項その他松くい虫の薬剤による防除に関する基本的な事項
四 松くい虫が運ぶ線虫類により被害が発生している松林を保護し、及びその有する機能を確保するために行う松林の他の樹種又は松くい虫が運ぶ線虫類により枯死するおそれのない松からなる森林への転換に関する基本的な事項
五 その他松くい虫の被害対策に関する重要事項
3 前項第三号に規定する特別防除を行うべき松林に関する基準は、当該松林の存する地域の自然環境及び生活環境に対する特別防除による影響に配慮し、特殊鳥類(特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(昭和四十七年法律第四十九号)第二条第一項に規定する特殊鳥類をいう。)、天然記念物(文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第六十九条第一項の規定により指定された天然記念物をいう。)等の貴重な野生動植物の生存する松林その他の松林で特別防除を行うことが適当でないと認められるものが明確になるように定められなければならない。
第四条の見出しを「(都道府県実施計画)」に改め、同条第一項中「前条第三項」を「前条第五項」に改め、「(昭和二十六年法律第二百四十九号)」を削り、「薬剤による防除」を「被害対策」に、「「実施計画」」を「「都道府県実施計画」」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 都道府県実施計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 松くい虫の被害対策の実施方針
二 基本方針に定める特別防除を行うべき松林に関する基準に適合する二以上の松林を合わせて政令で定めるところにより特別防除の単位として定める松林群(以下「松林群」という。)に関する事項
三 高度公益機能松林若しくは被害拡大防止松林又は松林群のうち高度公益機能松林若しくは被害拡大防止松林を含むものに係る前条第二項第二号から第四号までに規定する措置(以下「特定措置」という。)の計画的な実施に関し必要な事項
四 高度公益機能松林及び被害拡大防止松林以外の松林又は松林群のうち高度公益機能松林及び被害拡大防止松林を含まない松林群であつて、特定措置を前号の松林又は松林群に係る特定措置の実施と調和を保ちつつ計画的に実施する必要があると認められるものに関する基準その他次条第一項の地区実施計画の指針となるべき事項
五 その他松くい虫の被害対策の実施に関し必要な事項
第四条第三項及び第四項中「実施計画」を「都道府県実施計画」に改め、同条の次に次の一条並びに見出し及び二条を加える。
(地区実施計画)
第四条の二 前条第二項第四号の基準に適合する松林又は松林群の全部又は一部がその区域内にある市町村は、同条第四項の通知を受けた場合において、松くい虫が運ぶ線虫類により松林に発生している異常な被害の終息及び松林の有する機能の確保を図るため必要があると認めるときは、その区域内にある当該基準に適合する松林又は松林群につき、松林を所有し、又は管理する者が行うべき特定措置の実施に関する計画(以下「地区実施計画」という。)を定め、又はこれを変更しなければならない。
2 地区実施計画においては、その対象となる松林又は松林群についての特定措置の計画的な実施に関し必要な事項を定めるものとし、その内容は、都道府県実施計画と調和するものでなければならない。
3 市町村は、地区実施計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、その対象となる松林を所有する者の意見を聴くとともに、都道府県知事に協議しなければならない。
4 市町村は、地区実施計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(特別伐倒駆除命令等)
第四条の三 農林水産大臣は、松くい虫が異常にまん延して森林資源たる松林に重大な損害を与えるおそれがあると認めるときは、早期に、かつ、徹底的にこれを駆除し、又はそのまん延を防止するため特に必要な限度において、区域及び期間を定め、次に掲げる要件に該当する松林につき、当該松林を所有し、又は管理する者に対し、特別伐倒駆除を命ずることができる。
一 高度公益機能松林又は被害拡大防止松林であること。
二 松くい虫が運ぶ線虫類により当該松林に発生している被害の程度が政令で定める被害率以上であること。
2 森林病害虫等防除法(昭和二十五年法律第五十三号)第三条第二項から第八項まで及び第四条の規定は、前項の規定による命令について準用する。この場合において、同法第三条第二項中「第八条」とあるのは「松くい虫被害対策特別措置法第十条の二」と、同条第三項中「左の」とあるのは「第一号、第三号及び第四号に掲げる」と、「森林病害虫等の駆除」とあるのは「松くい虫の駆除」と、同条第四項中「森林、樹木、指定種苗又は伐採木等」とあるのは「松くい虫被害対策特別措置法第四条の三第一項に規定する松林」と、「同項」とあるのは「前項」と、同条第七項中「左に」とあるのは「第一号に」と、同項第一号イ中「第三項各号」とあるのは「第三項第一号、第三号及び第四号」と、同法第四条第一項中「森林、樹木、指定種苗又は伐採木等」とあるのは「松林」と、同条第二項中「第八条第一項」とあるのは「松くい虫被害対策特別措置法第十条の二第一項」と読み替えるものとする。
第四条の四 都道府県知事は、松くい虫を駆除し、又はそのまん延を防止するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、区域及び期間を定め、前条第一項各号に掲げる要件に該当する松林につき、当該松林を所有し、又は管理する者に対し、特別伐倒駆除を命ずることができる。
2 森林病害虫等防除法第三条第三項から第八項まで及び第四条の規定は、前項の規定による命令について準用する。この場合において、同法第三条第三項中「左の」とあるのは「第一号、第三号及び第四号に掲げる」と、「森林病害虫等の駆除」とあるのは「松くい虫の駆除」と、同条第四項中「森林、樹木、指定種苗又は伐採木等」とあるのは「松くい虫被害対策特別措置法第四条の四第一項に規定する松林」と、「同項」とあるのは「前項」と、同条第七項中「左に」とあるのは「第一号に」と、同項第一号イ中「第三項各号」とあるのは「第三項第一号、第三号及び第四号」と、同法第四条第一項中「森林、樹木、指定種苗又は伐採木等」とあるのは「松林」と、同条第二項中「第八条第一項」とあるのは「松くい虫被害対策特別措置法第十条の二第一項」と読み替えるものとする。
第五条の前の見出し中「命令」を「駆除命令」に改め、同条第一項中「(昭和二十五年法律第五十三号)」及び「以下同じ。」を削り、同項第一号中「森林法第二十五条第一項又は第二項の規定により保安林として指定された松林その他の公益的機能が高い松林で政令で定めるもの」を「高度公益機能松林」に改める。
第八条中「行う者は」の下に「、自然環境及び生活環境の保全に配慮し」を加え、「とする」を「とし、地域住民等関係者の理解と協力が得られることとなるように努めるものとする」に改める。
第九条の見出しを「(都道府県実施計画と駆除命令との関係)」に改め、同条中「第三条第一項第四号に掲げる命令又は同法」を「第三条第一項又は」に、「実施計画」を「都道府県実施計画」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(地区実施計画の遵守)
第九条の二 地区実施計画の対象となる松林を所有し、又は管理する者は、地区実施計画に即して特定措置を実施するよう努めなければならない。
2 市町村長は、前項に規定する者が特定措置を実施していないと認める場合において、地区実施計画の達成上必要があるときは、その者に対し、遵守すべき事項を示して、これに従うべき旨を勧告することができる。
第十条中「防除」を「被害対策」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(損失補償)
第十条の二 国又は都道府県は、第四条の三第一項又は第四条の四第一項の規定による命令により損失を受けた者に対し、損失を補償しなければならない。
2 前項の規定による補償の額は、松の樹木の伐倒、破砕又は炭化の措置を行うことにより通常生ずべき損失額に相当する金額及び松の樹木の焼却の措置を行うのに通常要すべき費用に相当する金額とする。
3 森林病害虫等防除法第八条第三項から第六項までの規定は、第一項の規定による補償について準用する。
第十一条中「より、」の下に「第四条の四第一項又は同条第二項において準用する森林病害虫等防除法第四条第一項の規定により都道府県知事が行う特別伐倒駆除に関する措置に要する費用及び」を加える。
第十二条中「第五条第一項又は」を「第四条の三第一項若しくは同条第二項において準用する同法第四条第一項若しくは第四条の四第一項若しくは同条第二項において準用する同法第四条第一項の規定による特別伐倒駆除に関する措置又は第五条第一項若しくは」に改め、「第十条の規定は」の下に「第四条の四第一項若しくは同条第二項において準用する同法第四条第一項の規定による特別伐倒駆除に関する措置又は」を加え、「松くい虫防除特別措置法第六条第一項又は」を「松くい虫被害対策特別措置法第四条の三第一項若しくは同条第二項において準用する前条第一項若しくは同法第四条の四第一項若しくは同条第二項において準用する前条第一項の規定により特別伐倒駆除に関する措置を行う場合又は同法第六条第一項若しくは」に、「松くい虫防除特別措置法第五条第一項」を「松くい虫被害対策特別措置法第四条の四第一項若しくは同条第二項において準用する第四条第一項の規定により都道府県知事が行う特別伐倒駆除に関する措置又は同法第五条第一項」に改める。
第十三条中「ほか、」の下に「第四条の四第一項又は同条第二項において準用する同法第四条第一項の規定による特別伐倒駆除に関する事務及び」を加え、同条の次に次の見出し及び二条を加える。
(罰則)
第十四条 第四条の三第一項又は第四条の四第一項の規定による命令に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。
第十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の刑を科する。
附則第二項中「昭和五十七年三月三十一日」を「昭和六十二年三月三十一日」に改め、同項に次のただし書を加える。
ただし、その時までにした行為に対する罰則の適用については、この法律は、その時以後も、なおその効力を有する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(森林病害虫等防除法の一部改正)
2 森林病害虫等防除法(昭和二十五年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
第十三条を次のように改める。
第十三条 農林水産大臣又は都道府県知事の第三条第一項第五号に掲げる命令に違反した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第十四条中「左の」を「次の」に、「三万円」を「三十万円」に改める。
第十五条中「左の」を「次の」に、「一万円」を「十万円」に改める。
農林水産大臣 田澤吉郎
内閣総理大臣 鈴木善幸
松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十七年三月三十一日
内閣総理大臣 鈴木善幸
法律第二十一号
松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律
松くい虫防除特別措置法(昭和五十二年法律第十八号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
松くい虫被害対策特別措置法
第一条中「保護する」を「保護し、及びその有する機能を確保する」に、「特別防除」を「松くい虫の被害対策」に、「計画的」を「総合的」に改める。
第二条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 この法律において「特別伐倒駆除」とは、松くい虫が付着している松の樹木の伐倒及び破砕(農林水産省令で定める基準に従い行うものに限る。以下同じ。)又は当該樹木の伐倒及び焼却(炭化を含む。)をいう。
第二条に次の二項を加える。
4 この法律において「高度公益機能松林」とは、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条第一項又は第二項の規定により保安林として指定された松林その他の公益的機能が高い松林として政令で定める松林をいう。
5 この法律において「被害拡大防止松林」とは、松くい虫の被害対策を緊急に行わないとすれば、松くい虫が運ぶ線虫類により当該松林に発生している被害が著しく拡大することとなると認められる松林(高度公益機能松林を除く。)をいう。
第三条第一項を次のように改める。
農林水産大臣は、松くい虫が運ぶ線虫類により松林に発生している異常な被害が終息するとともに、松林の有する機能が確保されることとなるように、昭和五十七年度以降の五箇年間において実施すべき松くい虫の被害対策に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
第三条中第三項を第五項とし、第二項を第四項とし、第一項の次に次の二項を加える。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 松くい虫の被害対策の総合的な推進に関する基本的な指針
二 特別伐倒駆除並びに松くい虫が付着している松の樹木の伐倒及び薬剤による防除に関する基本的な事項
三 特別防除を行うべき松林に関する基準、特別防除を行う松林の周囲の自然環境及び生活環境の保全に関する事項、特別防除により農業、漁業その他の事業に被害を及ぼさないようにするために必要な措置に関する事項その他松くい虫の薬剤による防除に関する基本的な事項
四 松くい虫が運ぶ線虫類により被害が発生している松林を保護し、及びその有する機能を確保するために行う松林の他の樹種又は松くい虫が運ぶ線虫類により枯死するおそれのない松からなる森林への転換に関する基本的な事項
五 その他松くい虫の被害対策に関する重要事項
3 前項第三号に規定する特別防除を行うべき松林に関する基準は、当該松林の存する地域の自然環境及び生活環境に対する特別防除による影響に配慮し、特殊鳥類(特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(昭和四十七年法律第四十九号)第二条第一項に規定する特殊鳥類をいう。)、天然記念物(文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第六十九条第一項の規定により指定された天然記念物をいう。)等の貴重な野生動植物の生存する松林その他の松林で特別防除を行うことが適当でないと認められるものが明確になるように定められなければならない。
第四条の見出しを「(都道府県実施計画)」に改め、同条第一項中「前条第三項」を「前条第五項」に改め、「(昭和二十六年法律第二百四十九号)」を削り、「薬剤による防除」を「被害対策」に、「「実施計画」」を「「都道府県実施計画」」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 都道府県実施計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 松くい虫の被害対策の実施方針
二 基本方針に定める特別防除を行うべき松林に関する基準に適合する二以上の松林を合わせて政令で定めるところにより特別防除の単位として定める松林群(以下「松林群」という。)に関する事項
三 高度公益機能松林若しくは被害拡大防止松林又は松林群のうち高度公益機能松林若しくは被害拡大防止松林を含むものに係る前条第二項第二号から第四号までに規定する措置(以下「特定措置」という。)の計画的な実施に関し必要な事項
四 高度公益機能松林及び被害拡大防止松林以外の松林又は松林群のうち高度公益機能松林及び被害拡大防止松林を含まない松林群であつて、特定措置を前号の松林又は松林群に係る特定措置の実施と調和を保ちつつ計画的に実施する必要があると認められるものに関する基準その他次条第一項の地区実施計画の指針となるべき事項
五 その他松くい虫の被害対策の実施に関し必要な事項
第四条第三項及び第四項中「実施計画」を「都道府県実施計画」に改め、同条の次に次の一条並びに見出し及び二条を加える。
(地区実施計画)
第四条の二 前条第二項第四号の基準に適合する松林又は松林群の全部又は一部がその区域内にある市町村は、同条第四項の通知を受けた場合において、松くい虫が運ぶ線虫類により松林に発生している異常な被害の終息及び松林の有する機能の確保を図るため必要があると認めるときは、その区域内にある当該基準に適合する松林又は松林群につき、松林を所有し、又は管理する者が行うべき特定措置の実施に関する計画(以下「地区実施計画」という。)を定め、又はこれを変更しなければならない。
2 地区実施計画においては、その対象となる松林又は松林群についての特定措置の計画的な実施に関し必要な事項を定めるものとし、その内容は、都道府県実施計画と調和するものでなければならない。
3 市町村は、地区実施計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、その対象となる松林を所有する者の意見を聴くとともに、都道府県知事に協議しなければならない。
4 市町村は、地区実施計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(特別伐倒駆除命令等)
第四条の三 農林水産大臣は、松くい虫が異常にまん延して森林資源たる松林に重大な損害を与えるおそれがあると認めるときは、早期に、かつ、徹底的にこれを駆除し、又はそのまん延を防止するため特に必要な限度において、区域及び期間を定め、次に掲げる要件に該当する松林につき、当該松林を所有し、又は管理する者に対し、特別伐倒駆除を命ずることができる。
一 高度公益機能松林又は被害拡大防止松林であること。
二 松くい虫が運ぶ線虫類により当該松林に発生している被害の程度が政令で定める被害率以上であること。
2 森林病害虫等防除法(昭和二十五年法律第五十三号)第三条第二項から第八項まで及び第四条の規定は、前項の規定による命令について準用する。この場合において、同法第三条第二項中「第八条」とあるのは「松くい虫被害対策特別措置法第十条の二」と、同条第三項中「左の」とあるのは「第一号、第三号及び第四号に掲げる」と、「森林病害虫等の駆除」とあるのは「松くい虫の駆除」と、同条第四項中「森林、樹木、指定種苗又は伐採木等」とあるのは「松くい虫被害対策特別措置法第四条の三第一項に規定する松林」と、「同項」とあるのは「前項」と、同条第七項中「左に」とあるのは「第一号に」と、同項第一号イ中「第三項各号」とあるのは「第三項第一号、第三号及び第四号」と、同法第四条第一項中「森林、樹木、指定種苗又は伐採木等」とあるのは「松林」と、同条第二項中「第八条第一項」とあるのは「松くい虫被害対策特別措置法第十条の二第一項」と読み替えるものとする。
第四条の四 都道府県知事は、松くい虫を駆除し、又はそのまん延を防止するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、区域及び期間を定め、前条第一項各号に掲げる要件に該当する松林につき、当該松林を所有し、又は管理する者に対し、特別伐倒駆除を命ずることができる。
2 森林病害虫等防除法第三条第三項から第八項まで及び第四条の規定は、前項の規定による命令について準用する。この場合において、同法第三条第三項中「左の」とあるのは「第一号、第三号及び第四号に掲げる」と、「森林病害虫等の駆除」とあるのは「松くい虫の駆除」と、同条第四項中「森林、樹木、指定種苗又は伐採木等」とあるのは「松くい虫被害対策特別措置法第四条の四第一項に規定する松林」と、「同項」とあるのは「前項」と、同条第七項中「左に」とあるのは「第一号に」と、同項第一号イ中「第三項各号」とあるのは「第三項第一号、第三号及び第四号」と、同法第四条第一項中「森林、樹木、指定種苗又は伐採木等」とあるのは「松林」と、同条第二項中「第八条第一項」とあるのは「松くい虫被害対策特別措置法第十条の二第一項」と読み替えるものとする。
第五条の前の見出し中「命令」を「駆除命令」に改め、同条第一項中「(昭和二十五年法律第五十三号)」及び「以下同じ。」を削り、同項第一号中「森林法第二十五条第一項又は第二項の規定により保安林として指定された松林その他の公益的機能が高い松林で政令で定めるもの」を「高度公益機能松林」に改める。
第八条中「行う者は」の下に「、自然環境及び生活環境の保全に配慮し」を加え、「とする」を「とし、地域住民等関係者の理解と協力が得られることとなるように努めるものとする」に改める。
第九条の見出しを「(都道府県実施計画と駆除命令との関係)」に改め、同条中「第三条第一項第四号に掲げる命令又は同法」を「第三条第一項又は」に、「実施計画」を「都道府県実施計画」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(地区実施計画の遵守)
第九条の二 地区実施計画の対象となる松林を所有し、又は管理する者は、地区実施計画に即して特定措置を実施するよう努めなければならない。
2 市町村長は、前項に規定する者が特定措置を実施していないと認める場合において、地区実施計画の達成上必要があるときは、その者に対し、遵守すべき事項を示して、これに従うべき旨を勧告することができる。
第十条中「防除」を「被害対策」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(損失補償)
第十条の二 国又は都道府県は、第四条の三第一項又は第四条の四第一項の規定による命令により損失を受けた者に対し、損失を補償しなければならない。
2 前項の規定による補償の額は、松の樹木の伐倒、破砕又は炭化の措置を行うことにより通常生ずべき損失額に相当する金額及び松の樹木の焼却の措置を行うのに通常要すべき費用に相当する金額とする。
3 森林病害虫等防除法第八条第三項から第六項までの規定は、第一項の規定による補償について準用する。
第十一条中「より、」の下に「第四条の四第一項又は同条第二項において準用する森林病害虫等防除法第四条第一項の規定により都道府県知事が行う特別伐倒駆除に関する措置に要する費用及び」を加える。
第十二条中「第五条第一項又は」を「第四条の三第一項若しくは同条第二項において準用する同法第四条第一項若しくは第四条の四第一項若しくは同条第二項において準用する同法第四条第一項の規定による特別伐倒駆除に関する措置又は第五条第一項若しくは」に改め、「第十条の規定は」の下に「第四条の四第一項若しくは同条第二項において準用する同法第四条第一項の規定による特別伐倒駆除に関する措置又は」を加え、「松くい虫防除特別措置法第六条第一項又は」を「松くい虫被害対策特別措置法第四条の三第一項若しくは同条第二項において準用する前条第一項若しくは同法第四条の四第一項若しくは同条第二項において準用する前条第一項の規定により特別伐倒駆除に関する措置を行う場合又は同法第六条第一項若しくは」に、「松くい虫防除特別措置法第五条第一項」を「松くい虫被害対策特別措置法第四条の四第一項若しくは同条第二項において準用する第四条第一項の規定により都道府県知事が行う特別伐倒駆除に関する措置又は同法第五条第一項」に改める。
第十三条中「ほか、」の下に「第四条の四第一項又は同条第二項において準用する同法第四条第一項の規定による特別伐倒駆除に関する事務及び」を加え、同条の次に次の見出し及び二条を加える。
(罰則)
第十四条 第四条の三第一項又は第四条の四第一項の規定による命令に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。
第十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の刑を科する。
附則第二項中「昭和五十七年三月三十一日」を「昭和六十二年三月三十一日」に改め、同項に次のただし書を加える。
ただし、その時までにした行為に対する罰則の適用については、この法律は、その時以後も、なおその効力を有する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(森林病害虫等防除法の一部改正)
2 森林病害虫等防除法(昭和二十五年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
第十三条を次のように改める。
第十三条 農林水産大臣又は都道府県知事の第三条第一項第五号に掲げる命令に違反した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第十四条中「左の」を「次の」に、「三万円」を「三十万円」に改める。
第十五条中「左の」を「次の」に、「一万円」を「十万円」に改める。
農林水産大臣 田沢吉郎
内閣総理大臣 鈴木善幸