(趣旨)
第一条 この法律は、最近における国の財政収支が著しく不均衡な状況にあることにかんがみ、当面の財政運営に必要な財源を確保し、もつて国民生活と国民経済の安定に資するため、昭和五十六年度における公債の発行及び日本中央競馬会の国庫納付金の納付の特例に関する措置を定めるとともに、同年度から昭和五十九年度までの間における日本電信電話公社の国庫納付金の納付その他の歳入(租税及び印紙収入並びに公債に係る収入を除く。)の増加を図るための特別措置を定めるものとする。
(特例公債の発行等)
第二条 政府は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四条第一項ただし書の規定により発行する公債のほか、昭和五十六年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、予算をもつて国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。
2 前項の規定による公債の発行は、昭和五十七年六月三十日までの間、行うことができる。この場合において、同年四月一日以後発行される同項の公債に係る収入は、昭和五十六年度所属の歳入とする。
3 政府は、第一項の議決を経ようとするときは、同項の公債の償還の計画を国会に提出しなければならない。
4 第一項の規定により発行する公債については、国債整理基金特別会計法(明治三十九年法律第六号)第五条の規定による償還のための起債は、行わないものとする。
(日本中央競馬会の国庫納付金の納付の特例)
第三条 日本中央競馬会は、昭和五十六事業年度については、日本中央競馬会法(昭和二十九年法律第二百五号)第二十七条の規定による国庫への納付をするほか、当該事業年度分として同条第二項の規定により国庫に納付すべき金額が五百億円に満たない場合においては、同法第二十九条第二項の規定にかかわらず、同条第一項の規定による特別積立金のうち五百億円と当該事業年度分として同法第二十七条第二項の規定により国庫に納付すべき金額との差額に相当する金額(次項において「特別国庫納付金額」という。)を昭和五十七年三月三十一日までに国庫に納付しなければならない。
2 特別国庫納付金額は、日本中央競馬会法第二十九条第一項の規定による特別積立金の額から減額して整理するものとする。
(日本電信電話公社の臨時国庫納付金の納付)
第四条 日本電信電話公社は、昭和五十六年度から昭和五十九年度までの事業年度において、毎事業年度、日本電信電話公社法(昭和二十七年法律第二百五十号)第六十一条第一項の規定による積立金のうち四千八百億円の四分の一に相当する金額(次項において「臨時国庫納付金額」という。)を当該事業年度末までに国庫に納付しなければならない。
2 臨時国庫納付金額は、日本電信電話公社法第六十一条第一項の規定による積立金の額から減額して整理するものとする。
(日本開発銀行の利益金の処分の特例)
第五条 日本開発銀行が日本開発銀行法(昭和二十六年法律第百八号)第三十六条第一項の規定により昭和五十六年度から昭和五十九年度までの各事業年度において準備金を積み立てる場合における同項の規定の適用については、同項第二号中「千分の七」とあるのは、「千分の五」と読み替えるものとする。この場合において、同条第三項中「第一項」とあるのは、「財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律(昭和五十六年法律第三十九号)第五条の規定により読み替えられた第一項」とする。
(日本輸出入銀行の利益金の処分の特例)
第六条 日本輸出入銀行が日本輸出入銀行法(昭和二十五年法律第二百六十八号)第三十八条第一項の規定により昭和五十六年度から昭和五十九年度までの各事業年度において準備金を積み立てる場合における同項の規定の適用については、同項第二号中「千分の七」とあるのは、「千分の五」と読み替えるものとする。この場合において、同条第三項中「第一項」とあるのは、「財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律(昭和五十六年法律第三十九号)第六条の規定により読み替えられた第一項」とする。
(産業投資特別会計からの一般会計への繰入れ)
第七条 政府は、一般会計の歳出の財源に充てるため、昭和五十六年度から昭和五十九年度までの各年度において、産業投資特別会計から、予算で定めるところにより、一般会計に繰り入れることができる。
2 前項の規定による繰入金に相当する額は、産業投資特別会計法(昭和二十八年法律第百二十二号)第八条の規定による積立金の額から減額して整理するものとし、当該繰入金は、産業投資特別会計の歳出とする。