逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第七十号
公布年月日: 昭和53年6月13日
法令の形式: 法律
逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十三年六月十三日
内閣総理大臣 福田赳夫
法律第七十号
逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する法律
逃亡犯罪人引渡法(昭和二十八年法律第六十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項各号列記以外の部分中「引渡」を「引渡し」に、「左」を「次」に改め、同項第二号中「定」を「定め」に、「且つ」を「かつ」に改め、同項第三号中「行なわれた」を「行われた」に改め、同号を同項第四号とし、同項第二号の次に次の一号を加える。
三 前号に定める場合のほか、逃亡犯罪人を引き渡すかどうかについて日本国の裁量に任せる旨の引渡条約の定めがある場合において、当該定めに該当し、かつ、逃亡犯罪人を引き渡すことが相当でないと認めるとき。
第四条第二項中「前項第三号」の下に「又は第四号」を加える。
第二十三条を次のように改める。
(仮拘禁に関する請求等)
第二十三条 外務大臣は、引渡条約に基づき、締約国から引渡条約により日本国に対し引渡しの請求をすることができる犯罪人が犯した犯罪(引渡条約において締約国が日本国に対し犯罪人の引渡しを請求することができるものとして掲げる犯罪に限る。)についてその者を仮に拘禁することの請求があつたときは、次の各号の一に該当する場合を除き、その請求があつたことを証明する書面に関係書類を添付し、これを法務大臣に送付しなければならない。
一 請求に係る者を逮捕すべき旨の令状が発せられ又は刑の言渡しがなされていることの通知がないとき。
二 請求に係る者の引渡しの請求を行うべき旨の保証がなされないとき。
2 引渡条約に基づかないで犯罪人を仮に拘禁することの請求があつたときは、当該請求をした外国から日本国が行う同種の請求に応ずべき旨の保証がなされた場合に限り、前項と同様とする。
第二十四条中「前条第一項」を「前条」に改める。
第二十六条第一項中「引渡」を「引渡し」に、「第四条第一項第一号又は第二号」を「第四条第一項各号の一」に改める。
第二十八条第一項中「締約国」を「仮に拘禁することの請求をした国」に、「引渡」を「引渡し」に改める。
第二十九条中「二箇月」の下に「(引渡条約に二箇月より短い期間の定めがあるときは、その期間)」を加える。
第三十条第三項中「左」を「次」に改め、「二箇月」の下に「(引渡条約に二箇月より短い期間の定めがあるときは、その期間)」を加える。
第三十三条の次に次の一条を加える。
(通過護送の承認に関する法務大臣の措置)
第三十四条 法務大臣は、外国から外交機関を経由して当該外国の官憲が他の外国から引渡しを受けた者を日本国内を通過して護送することの承認の請求があつたときは、次の各号の一に該当する場合を除き、これを承認することができる。
一 請求に係る者の引渡しの原因となつた行為が日本国内において行われたとした場合において、当該行為が日本国の法令により罪となるものでないとき。
二 請求に係る者の引渡しの原因となつた犯罪が政治犯罪であるとき、又は当該引渡しの請求が政治犯罪について審判し、若しくは刑罰を執行する目的で行われたものと認められるとき。
三 請求が引渡条約に基づかないで行われたものである場合において、請求に係る者が日本国民であるとき。
2 法務大臣は、前項の承認をするかどうかについてあらかじめ外務大臣と協議しなければならない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(経過規定)
2 この法律による改正後の逃亡犯罪人引渡法の規定は、この法律の施行前に犯された犯罪に係る犯罪人の引渡し及び通過護送の承認の請求についても、適用する。
法務大臣 瀬戸山三男
外務大臣 園田直
内閣総理大臣 福田赳夫