土地収用法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第七十四号
公布年月日: 昭和42年7月21日
法令の形式: 法律
土地収用法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十二年七月二十一日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第七十四号
土地収用法の一部を改正する法律
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
目次中「第十条」を「第十条の二」に、「第三章 事業の認定(第十六条―第三十条)」を
第三章
事業の認定等
第一節
事業の認定(第十六条―第三十条の二)
第二節
収用又は使用の手続の保留(第三十一条―第三十四条の六)
に、
第一節
土地細目の公告及び協議(第三十一条―第四十一条)
第二節
収用委員会の裁決(第四十二条―第五十条)
第一節
調書の作成(第三十五条―第三十八条)
第二節
裁決手続の開始(第三十九条―四十六条)
第三節
補償金の支払請求(第四十六条の二―第四十六条の四)
第四節
裁決(第四十七条―第五十条)
に、「第九十条」を「第九十条の四」に、「第一節 収用委員会の調停(第百八条―第百十五条)」を「第一節 削除(第百八条―第百十五条)」に、「第百四十条」を「第百四十条の二」に改める。
第八条の見出しを「(定義等)」に改め、同条第三項ただし書を次のように改める。
ただし、第二十六条第一項(第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつた後において新たな権利を取得した者は、既存の権利を承継した者を除き、関係人に含まれないものとする。
第八条に次の二項を加える。
4 この法律において、土地又は物件に関する所有権以外の権利を有する者には、当該土地若しくは物件又は当該土地若しくは物件に関する所有権以外の権利につき、仮登記上の権利又は既登記の買戻権を有する者、既登記の差押債権者及び既登記の仮差押債権者が含まれるものとする。
5 前項の規定は、鉱業権・漁業権又は入漁権に関する権利を有する者について準用する。この場合において、同項中「仮登記」とあるのは「仮登録」と、「既登記」とあるのは「既登録」と読み替えるものとする。
第一章中第十条の次に次の一条を加える。
(取得した土地の管理)
第十条の二 起業者は、第二十六条第一項の規定によつて告示された事業の用に供するため取得した土地については、公共の利益に沿うように適正な管理を行なわなければならない。
2 起業者は、前項に規定する土地を、同項に規定する事業の用以外の他の用に供する工作物その他の施設の用に供するために利用し、又は利用させるときは、当該土地の周辺の環境を阻害しないよう配慮しなければならない。
第十五条の二第一項中「土地細目、権利細目、物件細目又は土石砂れきの細目の公告の申請」を「第二十六条第一項(第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示」に改める。
第十五条の四中「土地細目、権利細目、物件細目又は土石砂れきの細目の公告」を「第二十六条第一項(第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示」に改める。
「第三章 事業の認定」を
第三章
事業の認定等
第一節
事業の認定
に改める。
第十六条中「この章」を「この節」に改める。
第十八条第一項第三号を次のように改める。
三 収用又は使用の別を明らかにした起業地
第十八条に次の一項を加える。
4 第一項第三号及び第二項第二号に規定する起業地の表示は、土地所有者及び関係人が自己の権利に係る土地が起業地の範囲に含まれることを容易に判断できるものでなければならない。
第二十六条第一項中「及び起業地」を「、起業地及び第二十六条の二の規定による図面の縦覧場所」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(起業地を表示する図面の長期縦覧)
第二十六条の二 建設大臣又は都道府県知事は、第二十条の規定によつて事業の認定をしたときは、直ちに、起業地が所在する市町村の長にその旨を通知しなければならない。
2 市町村長は、前項の通知を受けたときは、直ちに、第二十四条第一項の規定により送付を受けた起業地を表示する図面を、事業の認定が効力を失う日又は第三十条の二において準用する第三十条第二項若しくは第三項の規定による通知を受ける日まで公衆の縦覧に供しなければならない。
3 第二十四条第四項及び第五項の規定は、市町村長が第一項の通知を受けた日から二週間を経過しても前項の規定による手続を行なわない場合に準用する。
第二十八条の次に次の二条を加える。
(補償等について周知させるための措置)
第二十八条の二 起業者は、第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつたときは、直ちに、建設省令で定めるところにより、土地所有者及び関係人が受けることができる補償その他建設省令で定める事項について、土地所有者及び関係人に周知させるため必要な措置を講じなければならない。
(土地の保全)
第二十八条の三 第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた後においては、何人も、都道府県知事の許可を受けなければ、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはならない。
2 都道府県知事は、土地の形質の変更について起業者の同意がある場合又は土地の形質の変更が災害の防止その他正当な理由に基づき必要があると認められる場合に限り、前項の規定による許可をするものとする。
第二十九条中「三年以内に第三十一条の規定による土地細目の公告」を「一年以内に第三十九条第一項の規定による収用又は使用の裁決」に改め、同条に次の一項を加える。
2 第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた日から四年以内に第四十七条の二第三項の規定による明渡裁決の申立てがないときも、前項と同様とする。この場合において、既にされた裁決手続開始の決定及び権利取得裁決は、取り消されたものとみなす。
第三十条第一項後段を次のように改める。
この場合においては、建設省令で定めるところにより、その旨を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
第三十条第二項中「告示する」を「告示し、かつ、起業地が所在する市町村の長に通知する」に改め、同条第三項中「告示」の下に「、通知」を加え、第三章中同条の次に次の一条を加える。
(土地等の取得の完了)
第三十条の二 前条第一項前段、第二項及び第三項の規定は、起業者が起業地内のすべての土地について必要な権利を取得した場合に準用する。ただし、同条第二項及び第三項の規定による告示及び報告は、することを要しない。
「第四章 収用又は使用の手続」を削り、「第一節 土地細目の公告及び協議」を「第二節 収用又は使用の手続の保留」に改める。
第三十一条から第三十四条までを次のように改める。
(手続の保留)
第三十一条 起業者は、起業地の全部又は一部について、事業の認定後の収用又は使用の手続を保留することができる。
(手続の保留の申立書)
第三十二条 起業者は、前条の規定によつて収用又は使用の手続を保留しようとするときは、建設省令で定める様式に従い、事業の認定の申請と同時に、その旨及び手続を保留する起業地の範囲を記載した申立書を提出しなければならない。この場合においては、第十八条第二項第二号に掲げる起業地を表示する図面に手続を保留する起業地の範囲を表示しなければならない。
2 第十八条第四項の規定は、前項の規定による起業地の範囲の表示について、第十九条第一項前段及び第二項の規定は、前項の規定による申立書の欠陥の補正について準用する。この場合において、同条第一項前段中「前条」とあるのは「第三十二条第一項」と、「事業認定申請書及びその添附書類」とあるのは「申立書及び図面」と、「同条」とあるのは「同項」と、同条第二項中「事業認定申請書」とあるのは「申立書」と読み替えるものとする。
(手続の保留の告示)
第三十三条 建設大臣又は都道府県知事は、前条第一項の申立てがあつたときは、第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示の際、あわせて事業の認定後の収用又は使用の手続が保留される旨及び手続が保留される起業地の範囲を告示しなければならない。
(手続開始の申立て)
第三十四条 起業者は、収用又は使用の手続を保留した土地について、その手続を開始しようとするときは、第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた日から三年以内に、都道府県知事に、収用又は使用の手続を開始する旨を申し立てなければならない。
第三十四条の次に次の五条並びに章名及び節名を加える。
(手続開始の申立書)
第三十四条の二 起業者は、前条の規定による申立てをしようとするときは、建設省令で定める様式に従い、第二十六条第一項及び第三十三条の規定によつて告示された事項並びに収用又は使用の手続を開始しようとする土地を記載した申立書に、当該土地を表示する図面を添附して、これを当該土地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
2 第十八条第四項の規定は、前項の規定よる土地の表示について、第十九条第一項前段及び第二項の規定は、前項の規定による申立書の欠陥の補正について準用する。この場合において、同条第一項前段中「前条」とあるのは「第三十四条の二第一項」と、「事業認定申請書」とあるのは「申立書」と、「同条」とあるのは「同項」と、「建設大臣又は都道府県知事」とあるのは「都道府県知事」と、同条第二項中「建設大臣又は都道府県知事は、事業認定申請書」とあるのは「都道府県知事は、申立書」と読み替えるものとする。
(手続開始の告示)
第三十四条の三 都道府県知事は、第三十四条の規定による申立てがあつたときは、遅滞なく、収用又は使用の手続が開始される旨及び第三十四条の四の規定による図面の縦覧場所を、都道府県知事が定める方法で告示しなければならない。
(図面の縦覧)
第三十四条の四 都道府県知事は、第三十四条の規定による申立てがあつたときは、直ちに、当該土地が所在する市町村の長に対して、第三十四条の二第一項の図面を送付しなければならない。
2 市町村長は、前項の図面を受け取つたときは、直ちに、これを第二十六条の二第二項の図面とあわせて公衆の縦覧に供しなければならない。
3 第二十四条第四項及び第五項の規定は、市町村長が第一項の図面を受け取つた日から二週間を経過しても前項の規定による手続を行なわない場合に準用する。
(手続開始の告示の効果)
第三十四条の五 収用又は使用の手続を保留した土地については、第三十四条の三の規定による手続開始の告示があつた時を第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた時とみなして、この法律の規定を適用する。ただし、この章(第二十八条の二及び第二十九条第一項を除く。)、第九十二条第一項、第百条第二項、第百六条第一項、第百十六条第一項及び第百三十条第一項の規定については、この限りでない。
(事業の認定の失効)
第三十四条の六 起業者が、収用又は使用の手続を保留した土地について、第三十四条の期間内に同条の現定による申立てをしないときは、事業の認定は、期間満了の日の翌日から将来に向つて、その効力を失う。
第四章 収用又は使用の手続
第一節 調書の作成
第三十五条第一項及び第三十六条第一項中「第三十三条の規定による土地細目の公告」を「第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示」に改める。
第三十八条の次に次の節名を加える。
第二節 裁決手続の開始
第三十九条を次のように改める。
(収用又は使用の裁決の申請)
第三十九条 起業者は、第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた日から一年以内に限り、収用し、又は使用しようとする土地が所在する都道府県の収用委員会に収用又は使用の裁決を申請することができる。
2 土地所有者又は土地に関して権利を有する関係人(先取特権を有する者、質権者、抵当権者、差押債権者又は仮差押債権者である関係人を除く。)は、自己の権利に係る土地について、起業者に対し、前項の規定による申請をすべきことを請求することができる。ただし、一団の土地については、当該収用又は使用に因つて残地となるべき部分を除き、分割して請求することができない。
3 前項の規定による請求の手続に関して必要な事項は、建設省令で定める。
第四十条及び第四十一条を削る。
「第二節 収用委員会の裁決」を削る。
第四十二条第一項第二号ロ中「並びにその土地にある物件の種類及び数量」、「又は物件」及び「、物件の数量等」を削り、同号ニ中「関係人」を「土地に関して権利を有する関係人」に改め、同号ホ中「損失補償」を「土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失補償」に改め、同号ヘ中「収用又は使用の」を「権利を取得し、又は消滅させる」に改め、同項第三号中「及び物件調書又はこれらの」を「又はその」に改め、同項第四号を削り、同条第二項を次のように改め、同条第三項を削り、同条を第四十条とする。
2 前項第二号ニに掲げる事項に関して起業者が過失がなくて知ることができないものについては、同項の規定による申請書の添附書類に記載することを要しない。
第四十三条中「第四十二条」を「第四十条」に改め、同条を第四十一条とする。
第四十四条第一項中「第四十二条第一項」を「第四十条第一項」に改め、同条第二項中「第四十二条第一項第二号イ」を「第四十条第一項第二号イ」に改め、同条を第四十二条とする。
第四十五条第二項中「差押、仮差押又は」を削り、同条を第四十三条とし、同条の次に次の四条を加える。
(裁決の申請の特例)
第四十四条 第三十六条の規定による土地調書の作成前に第三十九条第二項の規定による請求があつたときは、第四十条第一項の規定にかかわらず、同項第二号の書類については、同号イ、ハ及びヘに掲げる事項並びに登記簿に現われた土地所有者及び関係人の氏名及び住所を記載すれば足りるものとし、同項第三号に掲げる書類は、添附することを要しない。
2 起業者は、前項の規定により添附書類の一部を省略して裁決を申請したときは、第三十六条の規定による土地調書の作成後、すみやかに、建設省令で定めるところにより、第四十条第一項の規定による添附書類中省略された部分を補充しなければならない。この場合においては、その補充があつたときに、同条第一項の規定による裁決申請書及びその添附書類を収用委員会が受理したものとみなして、前二条の規定を適用する。
(裁決申請があつた旨の公告等)
第四十五条 前条第一項の規定により添附書類の一部を省略して裁決の申請があつたときは、収用委員会は、第四十一条において準用する第十九条第二項の規定により裁決申請書を却下する場合を除くの外、申請に係る土地が所在する市町村の長並びに添附書類に記載されている土地所有者及び関係人に裁決の申請があつた旨の通知をしなければならない。
2 市町村長は、前項の通知を受けたときは、直ちに、通知に係る土地について裁決の申請があつた旨を二週間公告しなければならない。
3 第四十二条第三項、第四項及び第六項の規定は、前項の規定による公告について準用する。この場合において、同条第四項中「書類を受け取つた」とあるのは、「通知を受けた」と読み替えるものとする。
(裁決手続開始の決定及び裁決手続開始の登記の嘱託)
第四十五条の二 収用委員会は、第四十四条第一項の規定により添附書類の一部を省略して裁決の申請があつたときは、前条第二項に規定する公告期間を経過した後、これを省略しないで裁決の申請があつたときは、第四十二条第二項に規定する縦覧期間を経過した後、遅滞なく、建設省令で定めるところにより裁決手続の開始を決定してその旨を公告し、かつ、申請に係る土地を管轄する登記所に、その土地及びその土地に関する権利について、収用又は使用の裁決手続の開始の登記(以下単に「裁決手続開始の登記」という。)を嘱託しなければならない。
(裁決手続開始の登記の効果)
第四十五条の三 裁決手続開始の登記があつた後において、当該登記に係る権利を承継し、当該登記に係る権利について仮登記若しくは買戻しの特約の登記をし、又は当該登記に係る権利について差押え、仮差押えの執行若しくは仮処分の執行をした者は、当該承継、仮登記上の権利若しくは買戻権又は当該処分を起業者に対抗することができない。ただし、相続人その他の一般承継人及び当該裁決手続開始の登記前に登記された買戻権の行使又は当該裁決手続開始の登記前にされた差押え若しくは仮差押えの執行に係る国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)による滞納処分(その例による滞納処分を含むものとし、以上単に「滞納処分」という。)、強制執行若しくは競売法(明治三十一年法律第十五号)による競売により権利を取得した者の当該権利の承継については、この限りでない。
2 裁決手続開始の登記前においては、土地が収用され、又は使用されることに因る損失の補償を請求する権利については、差押え、仮差押えの執行、譲渡又は質権の設定をすることができない。裁決手続開始の登記後においても、その登記に係る権利で、その登記前に差押え又は仮差押えの執行がされているもの(質権、抵当権その他の権利で、当該差押え又は仮差押えの執行に係る滞納処分、強制執行又は競売法による競売によつて消滅すべきものを含む。)に対する損失の補償を請求する権利につき、同様とする。
第四十六条第一項中「第四十四条第二項」を「第四十二条第二項」に改め、同条第二項中「第四十二条第一項」を「第四十条第一項」に、「前条」を「第四十三条又は第八十七条ただし書」に改め、同条の次に次の一節及び節名を加える。
第三節 補償金の支払請求
(補償金の支払請求)
第四十六条の二 土地所有者又は土地に関して権利を有する関係人(先取特権を有する者、質権者、抵当権者、差押債権者又は仮差押債権者である関係人を除く。)は、第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた後は、第四十八条第一項の規定による裁決前であつても、起業者に対し、土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金(第七十六条第三項の規定によるものを除く。)の支払を請求することができる。第三十九条第二項ただし書及び第三項の規定は、この場合に準用する。
2 前項の規定による補償金の支払の請求は、第三十九条第二項の規定による請求とあわせてしなければならない。ただし、既に、起業者が同条第一項の規定による収用若しくは使用の裁決の申請をし、又は他の土地所有者若しくは関係人が同条第二項の規定による請求をしているときは、この限りではない。
3 裁決手続開始の登記前から差押え又は仮差押えの執行がされている権利(当該差押え又は仮差押えの執行に係る滞納処分、強制執行又は競売法による競売によつて消滅すべき権利を含む。)については、第一項の規定による補償金の支払の請求は、することができない。差押え又は仮差押えの執行前に同条の規定による補償金の支払の請求がされた権利について、差押え又は仮差押えの執行後に裁決手続開始の登記がされたときは、同項の規定による補償金の支払の請求は、その効力を失う。
(残地収用等に係る補償金の支払請求)
第四十六条の三 第七十六条第一項又は第八十一条第一項の規定による収用の請求を前提とする前条第一項の規定による補償金の支払の請求は、あらかじめ、第八十七条の規定によりその収用の請求に必要な手続をした場合に限つてすることができる。
(見積りによる補償金の支払)
第四十六条の四 起業者は、第四十六条の二第一項の規定による補償金の支払の請求を受けたときは、建設省令で定めるところにより、二月以内に自己の見積りによる補償金を支払わなければならない。ただし、裁決手続開始の登記がされていないときは、その登記がされた日から一週間以内に支払えば足りる。
2 第九十五条第二項(第三号を除く。)及び第四項後段、第九十九条第一項及び第三項並びに第百四条の規定は、前項の規定によつて支払うべき補償金について準用する。この場合において、第九十五条第二項中「権利取得の時期」とあるのは「第四十六条の四第一項の規定による支払期限」と、第百四条中「が収用され、又は使用された」とあるのは「について第四十六条の二第一項の規定による補償金の支払の請求がされた」と、「その目的物の収用又は使用に因つて」とあるのは「第四十六条の四第一項の規定によつて」と読み替えるものとする。
3 起業者は、前項において準用する第百四条の規定により権利を行なうことができる者に対して、第一項の規定による補償金の支払前にあらかじめ、その支払をする旨を通知しなければならない。
4 第一項の規定による支払期限前に権利取得裁決の裁決書の正本が起業者に送達されたときは、第四十六条の二第一項の規定による補償金の支払の請求は、その効力を失う。
第四節 裁決
第四十七条中「起業者の」を「収用又は使用の裁決の」に改め、同条の次に次の三条を加える。
(収用又は使用の裁決)
第四十七条の二 収用委員会は、前条の規定によつて申請を却下する場合を除くの外、収用又は使用の裁決をしなければならない。
2 収用又は使用の裁決は、権利取得裁決及び明渡裁決とする。
3 明渡裁決は、起業者、土地所有者又は関係人の申立てをまつてするものとする。
4 明渡裁決は、権利取得裁決とあわせて、又は権利取得裁決のあつた後に行なう。ただし、明渡裁決のため必要な審理を権利取得裁決前に行なうことを妨げない。
(明渡裁決の申立て等)
第四十七条の三 起業者は、明渡裁決の申立てをしようとするとき、又は土地所有者若しくは関係人から明渡裁決の申立てがあつたときは、建設省令で定める様式に従い、次に掲げる書類を収用委員会に提出しなければならない。
一 市町村別に次に掲げる事項を記載した書類
イ 土地の所在、地番及び地目
ロ 土地にある物件の種類及び数量(物件が分割されることになる場合においては、その全部の物件の数量を含む。)
ハ 土地所有者及び関係人の氏名及び住所
ニ 第四十条第一項第二号ホに掲げるものを除くその他の損失補償の見積り及びその内訳
ホ 土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転の期限
二 第三十六条の規定による物件調書又はその写し
2 第四十条第二項の規定は、前項第一号ハに掲げる事項の記載について準用する。
3 第三十七条の二に規定する場合においては、第一項第一号の書類に記載すべき事項のうちロに掲げる事項については、第三十五条第一項の規定による方法以外の方法により知ることができる程度で記載すれば足りるものとする。この場合においては、その書類にその旨を附記しなければならない。
4 第一項第二号に掲げる書類については、既に作成したこれらの書類の内容が現況と著しく異なると認められるときは、新たにこれを作成して、従前の書類とともに提出しなければならない。
5 第十九条第一項前段の規定は、第一項に規定する書類の欠陥の補正について準用する。この場合において、「前条」とあるのは「第四十七条の三第一項から第四項まで」と、「事業認定申請書及びその添附書類」とあるのは「書類」と、「同条」とあるのは「これらの規定」と、「建設大臣又は都道府県知事」とあるのは「収用委員会」と読み替えるものとする。
6 第一項から前項までに定めるものの外、明渡裁決の申立ての手続に関して必要な事項は、建設省令で定める。
(書類の送付及び縦覧)
第四十七条の四 収用委員会は、前条第一項の書類を受理したときは、市町村別に当該市町村に関係がある部分の写しを当該市町村長に送付するとともに、その書類に記載されている土地所有者及び関係人に明渡裁決の申立てがあつた旨の通知をしなければならない。
2 第四十二条第二項から第六項まで及び第四十三条の規定は、前項の規定により市町村長が送付を受けた書類の縦覧並びに土地所有者、関係人及び準関係人の意見書の提出について準用する。この場合において、第四十二条第二項中「前項」とあるのは「第四十七条の三第一項」と、「第四十条第一項第二号イ」とあるのは「同項第一号イ」と読み替えるものとする。
第四十八条の見出しを「(権利取得裁決)」に改め、同条第一項を次のように改める。
権利取得裁決においては、次に掲げる事項について裁決しなければならない。
一 収用する土地の区域又は使用する土地の区域並びに使用の方法及び期間
二 土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失の補償
三 権利を取得し、又は消滅させる時期(以下「権利取得の時期」という。)
四 その他この法律に規定する事項
第四十八条第二項中「第四十二条第一項」を「第四十条第一項」に改め、同条第三項中「第四十二条第一項」を「第四十条第一項」に、「第四十五条若しくは第六十三条第二項」を「第四十三条、第六十三条第二項若しくは第八十七条ただし書」に改める。
第四十九条を次のように改める。
(明渡裁決)
第四十九条 明渡裁決においては、次に掲げる事項について裁決しなければならない。
一 前条第一項第二号に掲げるものを除くその他の損失の補償
二 土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転の期限(以下「明渡しの期限」という。)
三 その他この法律に規定する事項
2 前条第三項から第五項までの規定は、前項第一号に掲げる事項について準用する。
第五十条第二項及び第三項中「第四十八条第一項各号」の下に「又は前条第一項各号」を加え、同条第五項中「第四十八条第一項の規定による収用又は使用の裁決」を「権利取得裁決又は明渡裁決」に改める。
第五十二条第五項中「前項」を「第三項」に改める。
第六十三条第一項及び第三項中「第四十二条第一項」を「第四十条第一項」に、「第四十五条第一項」を「第四十三条第一項」に改める。
第六十六条の見出し及び同条第一項中「及び決定」を削り、同条第二項中「及び決定」及び「及び決定書」を削り、同条第三項中「及び決定書」を削る。
第六十七条を次のように改める。
第六十七条 削除
第七十一条から第七十三条までを次のように改める。
(土地等に対する補償金の額)
第七十一条 収用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とする。この場合において、その修正率は、政令で定める方法によつて算定するものとする。
第七十二条 前条の規定は、使用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額について準用する。この場合において、同条中「近傍類地の取引価格」とあるのは、「その土地及び近傍類地の地代及び借賃」と読み替えるものとする。
(その他の補償額算定の時期)
第七十三条 この節に別段の定めがある場合を除くの外、損失の補償は、明渡裁決の時の価格によつて算定してしなければならない。
第七十四条に次の一項を加える。
2 前項の規定による残地又は残地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額については、第七十一条及び第七十二条の例による。
第七十六条に次の一項を加える。
3 第一項の規定によつて収用の請求がされた土地に関する所有権以外の権利に対しては、第七十一条の規定にかかわらず、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した権利取得裁決の時における相当な価格をもつて補償しなければならない。
第八十条の次に次の一条を加える。
(原状回復の困難な使用の補償)
第八十条の二 土地を使用する場合において、使用の方法が土地の形質を変更し、当該土地を原状に復することを困難にするものであるときは、これによつて生ずる損失をも補償しなければならない。
2 前項の規定による土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額については、第七十一条の例による。
第八十一条第三項を次のように改める。
3 前項の規定による請求があつた権利については、起業者がその権利の使用の裁決の申請をしたものとみなして、第一項の規定に基づく請求に係る裁決とあわせて裁決するものとする。
第八十二条第一項中「質権及び抵当権を有する者」を「先取特権を有する者、質権者、抵当権者及び第八条第四項の規定により関係人に含まれる者」に改め、同条第二項中「認めるときは、」の下に「権利取得裁決において」を加える。
第八十三条第二項中「認めるときは、」の下に「権利取得裁決において」を加える。
第八十四条第二項及び第八十五条第二項中「認めるときは、」の下に「明渡裁決において」を加える。
第八十六条第一項中「第七十二条から第七十四条まで」を「第七十一条、第七十二条、第七十四条、第八十条の二」に改め、同条第二項中「認めるときは、」の下に「権利取得裁決又は明渡裁決において」を加える。
第八十七条中「第七十六条」を「第七十六条第一項及び第二項、第七十七条」に、「第四十五条第一項」を「第四十三条第一項(第四十七条の四第二項において準用する場合を含む。)」に改め、同条に次のただし書を加える。
ただし、第七十六条第一項及び第八十一条第一項の規定による請求は、第四十三条の縦覧期間前においても、その請求に係る意見書を収用委員会に提出することによつてすることができる。
第八十八条中「第七十二条から第七十五条まで」を「第七十一条、第七十二条、第七十四条、第七十五条」に、「及び第八十条」を「、第八十条及び第八十条の二」に改める。
第八十九条第一項中「第三十三条の規定による土地細目の公告」を「第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示」に改め、同条第三項中「第三十四条第一項」を「第二十八条の三第一項」に改める。
第六章第一節中第九十条の次に次の三条を加える。
(補償請求者に関する特例)
第九十条の二 第四十六条の二第一項の規定による補償金の支払の請求があつた土地又は土地に関する所有権以外の権利については、第七十一条中「権利取得裁決の時」とあるのは、「第四十六条の四第一項の規定による支払期限」とする。
(差額及び加算金の裁決)
第九十条の三 第四十六条の二第一項の規定による補償金の支払の請求があつた場合においては、収用委員会は、権利取得裁決において次の各号に掲げる事項について裁決しなければならない。
一 起業者が土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金として既に支払つた額を、その支払時期に応じて第七十一条に規定する政令で定める方法の例により算定した修正率によつて第四十六条の四第一項の規定による支払期限における価額に修正した額
二 前条の規定により読み替えられた第七十一条の規定によつて算定した補償金の額と前号の額とに過不足があるときは、起業者が支払うべき補償金の残額及びその権利者又は起業者が返還を受けることができる額及びその債務者
三 支払を遅滞した補償金に対する加算金
2 前項第三号に掲げる加算金の額は、第四十六条の四第一項の規定による支払を遅滞した金額について、その支払を遅滞した期間(裁決の時までに支払われなかつた金額については、裁決の時までの期間)につき、次の各号に定めるところにより算定した額とする。
一 遅滞額が前条の規定による補償金の額の二割以上である期間 百円につき一日五銭
二 遅滞額が前条の規定による補償金の額の二割未満一割以上である期間 百円につき一日三銭
三 遅滞額が前条の規定による補償金の額の一割未満である期間 百円につき一日一銭七厘
(過怠金の裁決)
第九十条の四 起業者が第三十九条第二項の規定による請求を受けた日から二週間以内に収用又は使用の裁決の申請をしなかつた場合においては、収用委員会は、権利取得裁決において、起業者が、土地所有者及び土地に関する所有権以外の権利を有する関係人に対し、それらの者が受けるべき補償金百円につき一日五銭の割合により裁決の申請を怠つた期間について算定した過怠金を支払うべき旨の裁決をしなければならない。
第九十二条第一項中「第三十三条の規定による土地細目の公告」を「第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示」に改め、「第二十九条」の下に「若しくは第三十四条の六」を加える。
第九十四条第六項中「及び第六十七条」を削り、「第四十八条第一項各号」の下に「又は前条第一項各号」を加え、「第四十八条第一項の規定による収用又は使用の裁決」を「権利取得裁決又は明渡裁決」に、「第四十二条第一項」を「第四十条第一項」に、「第四十五条第一項」を「第四十三条第一項」に改め、「、第六十六条第一項及び第二項中「裁決及び決定」とあるのは「裁決」と、同条第二項及び第三項中「裁決書及び決定書」とあるのは「裁決書」と」を削る。
第九十五条の見出し中「補償」を「権利取得裁決に係る補償」に改め、同条第一項中「収用又は使用の時期」を「権利取得裁決において定められた権利取得の時期」に、「第四十八条第一項の規定による裁決」を「権利取得裁決」に改め、「補償金」の下に「、加算金及び過怠金(以下「補償金等」という。)」を加え、「、第八十五条第二項の規定に基く物件の移転の代行」を削り、同条第二項中「収用又は使用の時期」を「権利取得の時期」に、「補償金」を「補償金等」に、「補償金額」を「補償金等の額」に改め、同条第三項中「補償金」を「補償金等」に、「補償金額」を「補償金等の額」に改め、同条第四項中「収用又は使用の時期」を「権利取得の時期」に、「補償金」を「補償金等」に改め、同項に後段として次のように加える。
裁決手続開始の登記前に仮登記又は買戻しの特約の登記がされた権利に係る補償金等についても、同様とする。
第九十五条第五項中「収用又は使用の時期」を「権利取得の時期」に改め、同条第六項中「第四十八条第一項の規定による裁決」を「権利取得裁決」に改め、「又は第八十四条第二項の規定に基く工事の代行」を削る。
第九十八条及び第九十九条を削り、第九十七条第三項中「補償金」を「補償金等」に改め、同条を第九十九条とし、第九十六条中「第四十八条第一項の規定による裁決」を「権利取得裁決又は明渡裁決」に、「第九十七条及び第百条」を「第九十九条」に、「収用又は使用の時期」を「権利取得の時期又は明渡しの期限」に改め、同条を第九十八条とし、第九十五条の次に次の二条を加える。
(差押え又は仮差押えがある場合の措置)
第九十六条 裁決手続開始の登記前にされた差押えに係る権利(先取特権、質権、抵当権その他当該差押えによる換価手続において消滅すべき権利を含むものとし、以下この条において、単に「差押えに係る権利」という。)について権利取得裁決又は明渡裁決があつたとき(明渡裁決にあつては、第七十八条又は第七十九条の規定による請求があつた場合に限る。)は、起業者は、前条の規定にかかわらず、権利取得の時期又は明渡しの期限までに、当該差押えに係る権利に対する補償金等を当該差押えによる配当手続を実施すべき機関に払い渡さなければならない。ただし、強制競売に係る競落許可決定が確定した後又は競売法による競売による競落代価の支払若しくは滞納処分による売却代金の支払があつた後においては、この限りでない。
2 前項の規定により配当手続を実施すべき機関が払渡しを受けた金銭は、配当に関しては、強制執行による売却代金、競売法による競落代価又は滞納処分による売却代金(使用の裁決に係るときは、それらの一部)とみなし、収用の裁決に係る場合におけるその払渡しを受けた日は、強制執行又は競売法による競売に関しては、競落期日とみなす。
3 強制競売に係る競落許可決定後その確定前、競売法による競売に係る競落許可決定後競落代価の支払前又は滞納処分による売却決定後売却代金の支払前に第一項本文の規定による払渡しがあつたときは、競落許可決定又は売却決定は、その効力を失う。
4 起業者は、収用委員会の裁決した補償金等の額に対して不服があるときは、第一項の規定による払渡しをする際、自己の見積り金額を同項に規定する配当手続を実施すべき機関に通知しなければならない。
5 第一項及び前項の規定は、裁決手続開始の登記前にされた仮差押えの執行に係る権利に対する補償金等の払渡しに準用する。
6 起業者に第一項又は前項に規定する権利に対する補償金等の支払を命ずる判決が確定したときは、その補償金等の支払に関しては、第一項の規定による補償金等の例による。この場合において、起業者が補償金等を配当手続を実施すべき機関に払い渡したときは、補償金等の支払を命ずる判決に基づく給付をしたものとみなす。
7 第一項又は前二項の規定による補償金等の裁判所への払渡し及びその払渡しがあつた場合における強制執行又は競売法による競売に関しては、最高裁判所規則で民事訴訟法及び競売法の特例その他必要な事項を、その補償金等の裁判所以外の配当手続を実施すべき機関への払渡し及びその払渡しがあつた場合における滞納処分に関しては、政令で国税徴収法の特例その他必要な事項を定めることができる。
(明渡裁決に係る補償の払渡し又は供託等)
第九十七条 起業者は、明渡裁決で定められた明渡しの期限までに、明渡裁決に係る補償金の払渡し、第八十五条第二項の規定に基づく物件の移転の代行又は第八十六条第二項の規定に基づく宅地の造成をしなければならない。
2 第九十五条第二項から第四項まで及び第六項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第二項中「権利取得の時期」とあるのは「明渡しの期限」と、同条第四項中「第四十八条第五項」とあるのは「第四十九条第二項において準用する第四十八条第五項」と、「権利取得の時期」とあるのは「明渡しの期限」と、同条第六項中「権利取得裁決に係る第八十三条第二項の規定に基く耕地の造成」とあるのは、「明渡裁決に係る第八十四条第二項の規定に基づく工事の代行」と読み替えるものとする。
第百条中「収用又は使用の時期」を「権利取得裁決において定められた権利取得の時期」に、「第四十八条第一項の規定による裁決に係る補償金」を「権利取得裁決に係る補償金等」に改め、「、第八十五条第二項の規定に基く物件の移転の代行の提供」を削り、「第四十八条第一項の規定による収用委員会の裁決は、その効力を失う」を「権利取得裁決は、その効力を失い、裁決手続開始の決定は、取り消されたものとみなす」に改め、同条に次の一項を加える。
2 起業者が、明渡裁決において定められた明渡しの期限までに、明渡裁決に係る補償金の払渡し若しくは供託、第八十五条第二項の規定に基づく物件の移転の代行の提供、第八十六条第二項の規定に基づく宅地の造成の提供又は第八十四条第三項において準用する第八十三条第四項の規定に基づく金銭若しくは有価証券の供託をしないときは、明渡裁決は、その効力を失う。この場合において、第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた日から四年を経過していないときは、その期間経過前に限り、なお明渡裁決の申立てをすることができるものとし、その期間を経過しているときは、裁決手続開始の決定及び権利取得裁決は、取り消されたものとみなす。
第百一条第一項中「又は物件」を削り、「起業者は、収用の時期において」を「権利取得裁決において定められた権利取得の時期において、起業者は」に、「その他の権利は、消滅する」を「その他の権利並びに当該土地又は当該土地に関する所有権以外の権利に係る仮登記上の権利及び買戻権は消滅し、当該土地又は当該土地に関する所有権以外の権利に係る差押え、仮差押えの執行及び仮処分の執行はその効力を失う」に改め、「第七十六条第二項」の下に「又は第八十一条第二項」を加え、同条第二項中「使用の時期において」を「権利取得裁決において定められた権利取得の時期において、裁決で定められたところにより」に改め、同条に次の一項を加える。
3 第一項本文の規定は、第七十八条又は第七十九条の規定によつて物件を収用する場合に準用する。この場合において、同項中「権利取得裁決において定められた権利取得の時期」とあるのは、「明渡裁決において定められた明渡しの期限」と読み替えるものとする。
第百一条の次に次の一条を加える。
(占有の継続)
第百一条の二 前条第一項の規定により起業者が土地の所有権を取得した際、同項の規定により失つた権利に基づき当該土地を占有している者及びその承継人は、明渡裁決において定められる明渡しの期限までは、従前の用法に従い、その占有を継続することができる。ただし、第二十八条の三及び第八十九条の規定の適用を妨げない。
第百二条を次のように改める。
(土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転)
第百二条 明渡裁決があつたときは、当該土地又は当該土地にある物件を占有している者は、明渡裁決において定められた明渡しの期限までに、起業者に土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転しなければならない。
第百二条の次に次の一条を加える。
(土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転の代行及び代執行)
第百二条の二 前条の場合において次の各号の一に該当するときは、市町村長は、起業者の請求により、土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者に代わつて、土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転しなければならない。
一 土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者がその責めに帰することができない理由に因りその義務を履行することができないとき。
二 起業者が過失がなくて土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者を確知することができないとき。
2 前条の場合において、土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者がその義務を履行しないとき、履行しても充分でないとき、又は履行しても明渡しの期限までに完了する見込みがないときは、都道府県知事は、起業者の請求により、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。物件を移転すべき者が明渡裁決に係る第八十五条第二項の規定に基づく移転の代行の提供の受領を拒んだときも、同様とする。
3 前項前段の場合において、都道府県知事は、義務者及び起業者にあらかじめ通知した上で、当該代執行に要した費用に充てるため、その費用の額の範囲内で、義務者が起業者から受けるべき明渡裁決に係る補償金を義務者に代わつて受けることができる。
4 起業者が前項の規定に基づき補償金の全部又は一部を都道府県知事に支払つた場合においては、この法律の適用については、起業者が都道府県知事に支払つた金額の限度において、起業者が土地所有者又は関係人に明渡裁決に係る補償金を支払つたものとみなす。
5 第二項後段の場合においては、物件の移転に要した費用は、行政代執行法第二条の規定にかかわらず、起業者から徴収するものとし、起業者がその費用を支払つたときは、起業者は、移転の代行による補償をしたものとみなす。
第百三条中「収用又は使用の裁決」を「権利取得裁決又は明渡裁決」に、「収用し、又は使用すべき土地又は」を「収用し、若しくは使用すべき土地又は収用すべき」に改める。
第百四条(見出しを含む。)中「補償金」を「補償金等」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(起業者が返還を受ける額に係る債務名義)
第百四条の二 第九十四条第十項から第十二項までの規定は、権利取得裁決中第九十条の三第一項第二号に掲げる起業者が返還を受けることができる額に関する部分について、第百三十三条の規定による訴えの提起がなかつた場合に準用する。この場合において、第九十四条第十項中「第八項の規定によつてされた裁決」とあるのは、「第九十条の三第一項第二号の規定によつて起業者が返還を受けることができる額についてされた裁決」と読み替えるものとする。
第百五条第二項中「第七十三条後段」を「第八十条の二第一項」に改める。
第百六条第一項中「収用の時期から十五年以内」を「第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示の日から二十年以内」に、「収用の時期から五年」を「事業の認定の告示の日から十年」に、「収用の時期に」を「権利取得裁決において定められた権利取得の時期に」に、「収用の時期から十五年の」を「事業の認定の告示の日から二十年の」に改め、同条第三項中「収用の時期」を「権利取得裁決において定められた権利取得の時期」に改める。
第八章第一節を次のように改める。
第一節 削除
第百八条から第百十五条まで 削除
第百十六条第一項中「土地の全部」を「起業地の全部」に、「第四十条本文の規定による」を「権利を取得し、又は消滅させるための」に、「第三十三条の規定による土地細目の公告があつた日から一年以内」を「第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示のあつた日以後収用又は使用の裁決の申請前」に改め、同条第二項第三号中「権利の」の下に「種類及び」を加え、同項第四号中「時期」の下に「及び土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転の期限」を加え、同項第五号を次のように改める。
五 対償
第百二十条中「及び決定」及び「及び決定書」を削る。
第百二十一条中「第四十八条第一項の規定による収用又は使用の裁決」を「同時に権利取得裁決と明渡裁決」に改める。
第百二十三条第一項中「第四十一条」を「第三十九条」に、「第四十八条第一項の規定による裁決」を「明渡裁決」に改め、同条第五項中「第四十八条第一項の規定による裁決があつたときは同条第一項第三号の時期」を「明渡裁決があつたときは当該明渡裁決において定められた明渡しの期限」に改める。
第百二十四条第一項中「許可を受け」の下に「、若しくは市町村長に通知し」を加え、「第七十一条」を「第七十二条、第七十三条、第七十四条第二項」に改め、「第七十九条」の下に「、第八十条の二第二項」を、「価格」の下に「(土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失の補償については、その土地及び近傍類地の地代及び借賃等を考慮して算定した使用の時期の価格)」を加える。
第百二十五条中「、第四号及び第五号」を「及び第四号」に、「一万円」を「二万円」に、「第六号」を「第五号」に、「十万円」を「二十万円」に改め、同条第三号中「第四十一条」を「第三十九条第一項」に改め、同条中第四号を削り、第五号を第四号とし、第六号を第五号とする。
第百二十七条中「又はこの法律」の下に「(第九十六条第七項を除く。)」を加える。
第百二十八条第一項中「第九十九条第一項」を「第百二条の二第一項」に、「第九十八条」を「第百二条」に改め、同条第二項及び第三項中「第九十九条第三項」を「第百二条の二第三項」に改める。
第百三十二条第一項中第二号を削り、第三号を第二号とし、同条第二項中「損失の補償」の下に「(第九十条の三の規定による加算金及び第九十条の四の規定による過怠金を含む。以下第百三十三条において同じ。)」を加える。
第百三十五条第一項中「、調停の申立」を削る。
第百三十六条に次の一項を加える。
3 収用委員会は、審理の円滑な進行のため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、審理の期日に出席することができる代理人の数を制限することができる。
第百三十七条中「、予備委員及び調停委員の委員」を「及び予備委員」に改める。
第百三十八条第一項各号列記以外の部分中「第百二条、」を削り、同項第二号中「第七十三条」を「第七十二条」に、「第九十八条、第九十九条、第百一条」を「第百一条から第百二条の二まで」に改め、同条第二項第一号中「第三十四条第一項」を「第二十八条の三第一項」に改め、「、第四十条並びに第百十六条第二項第三号及び第四号中「取得し、又は消滅させる」とあるのは「消滅させ、又は制限する」と」を削り、「起業者は、収用の時期において、当該土地又は物件」を「権利取得裁決において定められた権利取得の時期において、起業者は、当該土地」に、「収用の時期において、当該権利は」を「権利取得裁決において定められた権利取得の時期において、当該権利は」に、「使用の時期において、当該土地」を「権利取得裁決において定められた権利取得の時期において、裁決で定められたところにより、当該土地」に、「使用の時期において、当該権利」を「権利取得裁決において定められた権利取得の時期において、裁決で定められたところにより、当該権利」に、「読み替える」を「、第百十六条第一項並びに第二項第三号及び第四号中「取得し、又は消滅させる」とあるのは「消滅させ、又は制限する」と読み替える」に改め、同項第二号及び第三号中「第三十四条」を「第二十八条の三」に改める。
第百三十九条第一項中「収用の時期において」を「権利取得裁決において定められた権利取得の時期において、裁決で定められたところにより」に、同条第二項中「収用の時期」を「明渡裁決において定められた明渡しの期限」に改める。
第十一章中第百四十条の次に次の一条を加える。
(政令への委任)
第百四十条の二 この法律に特に定めるものの外、この法律の実施のため必要な手続その他の事項については、政令で定める。
第百四十二条中「第三十四条第一項」を「第二十八条の三第一項」に改める。
第百四十三条第四号中「第九十八条」を「第百二条」に改める。
附 則
この法律の施行期日及びその施行に伴い必要な経過措置その他の事項については、別に法律で定める。
法務大臣 田中伊三次
外務大臣臨時代理 内閣総理大臣 佐藤栄作
大蔵大臣 水田三喜男
文部大臣 剱木亨弘
厚生大臣 坊秀男
農林大臣 倉石忠雄
通商産業大臣 菅野和太郎
運輸大臣 大橋武夫
郵政大臣 小林武治
労働大臣 早川崇
建設大臣 西村英一
自治大臣 藤枝泉介
内閣総理大臣 佐藤栄作