法人税法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第21号
公布年月日: 昭和42年5月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

法人税法の一部改正では、法人の清算所得に対する課税の仕組みを改めることを主な内容としている。具体的には、法人の解散や合併の際に、清算に伴って生じる法人所得についてのみ法人税を課税することとし、清算分配金については株主の段階で配当所得として課税する方式に変更する。また、税制の簡素化・合理化の観点から、必要な規定の整備を行うこととしている。これらの改正は、昭和42年度の税制調査会の答申を踏まえ、国民生活の安定と企業体質の強化を目的とした税制改正の一環として実施されるものである。

参照した発言:
第55回国会 衆議院 本会議 第11号

審議経過

第55回国会

衆議院
(昭和42年5月9日)
(昭和42年5月10日)
(昭和42年5月17日)
(昭和42年5月18日)
(昭和42年5月19日)
参議院
(昭和42年5月22日)
衆議院
(昭和42年5月23日)
参議院
(昭和42年5月23日)
衆議院
(昭和42年5月24日)
(昭和42年5月25日)
参議院
(昭和42年5月26日)
(昭和42年5月29日)
(昭和42年5月30日)
(昭和42年5月31日)
(昭和42年5月31日)
(昭和42年6月14日)
法人税法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十二年五月三十一日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第二十一号
法人税法の一部を改正する法律
法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
目次中「第七十条の三」を「第七十条の二」に改める。
第二十二条第四項中「前二項」を「第二項又は第三項」に改め、同項を同条第五項とし、同項の前に次の一項を加える。
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
第二十六条第二項中「第七十条」を「第六十九条」に改め、「その内国法人」の下に「(その内国法人が合併により消滅した場合には、当該合併に係る合併法人とする。)」を加える。
第二十八条中「第七十条」を「第六十九条」に改める。
第三十一条第一項及び第三十二条第一項中「(損金経理により償却に係る引当金勘定に繰り入れた金額がある場合には、当該金額を加算した金額)」を削る。
第三十七条第三項第一号中「以下この号において同じ。」を削り、「で国又は地方公共団体がその行政目的のために直接供する施設に充てるためのもの」を「(その寄付をした者がその寄付によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄付をした者に及ぶと認められるものを除く。)」に改め、同条第七項中「、第二項」を「第二項」に、「記載があり、かつ、同項各号に規定する寄付金の明細書その他大蔵省令で定める書類の添附がある場合」を「記載及び同項各号に規定する寄付金の明細書の添附があり、かつ、大蔵省令で定める書類を保存している場合」に改め、同条第八項中「又は書類の添附がない」を「若しくは明細書の添附がない」に、「場合」を「場合又は同項の書類の保存がない場合」に、「又は書類の添附がなかつた」を「若しくは明細書の添附又は書類の保存がなかつた」に改める。
第四十一条中「第七十条」を「第六十九条」に改める。
第六十条の見出し及び同条第一項中「相互会社である」を削り、同項に次のただし書を加える。
ただし、当該分配する金額が政令で定める金額をこえる場合は、そのこえる部分の金額については、この限りでない。
第六十条第二項を次のように改め、同条第三項を削る。
2 前項の保険会社は、確定申告書に同項の規定により損金の額に算入される金額の計算に関する明細を記載した書類を添附しなければならない。
第六十二条第一項本文中「の確定した決算」を削り、同項ただし書中「その確定した決算において」を削り、「ことその他政令で定める事由が生じた場合は、その事由が生じた」を「場合は、その経理しなかつた」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 前項に規定する割賦販売とは、月賦、年賦その他の賦払の方法により対価の支払を受けることを定型的に定めた約款に基づき行なわれる販売をいう。
第六十二条第三項及び第四項を削り、同条第五項中「前三項に定めるもののほか、」を削り、同項を同条第三項とする。
第六十三条第一項中「次項まで」を「この項」に改め、「をした資産」の下に「(前条の規定の適用を受けるものを除く。)」を加え、同条第二項及び第三項を削り、同条第四項中「第一項及び第二項」を「前項」に改め、同項を同条第二項とし、同条第五項中「前三項に定めるもののほか、」を削り、同項を同条第三項とする。
第六十四条第二項を削り、同条第三項中「前二項」を「前項」に改め、同項を同条第二項とし、同条第四項中「前二項に定めるもののほか、」を削り、同項を同条第三項とする。
第六十七条第二項中「第七十条の三」を「第七十条の二」に改める。
第六十八条第一項中「又は報酬若しくは料金」を「、報酬若しくは料金又は賞金」に改め、「所得税の額は」の下に「、政令で定めるところにより」を加える。
第六十九条を削る。
第七十条第二項中「各事業年度(」の下に「その内国法人が合併法人である場合には、その合併に係る被合併法人の当該合併の日以前に終了した各事業年度を含む。」を加え、同条を第六十九条とする。
第七十条の二第一項中「開始する各事業年度」の下に「(その内国法人が合併により消滅した場合には、その合併に係る合併法人の当該合併の日の翌日以後に終了する各事業年度を含む。)」を加え、同条に次の一項を加え、同条を第七十条とする。
3 前二項の規定は、第一項の内国法人が合併により消滅した後に、その内国法人の同項に規定する事業年度の所得に対する法人税につき同項に規定する更正又は前項に規定する各事業年度の所得の金額を減少させる更正があつた場合について準用する。この場合において、第一項中「当該更正の日」とあるのは、「その内国法人を合併した法人の当該更正の日」と読み替えるものとする。
第七十条の三中「第六十八条から第七十条まで」を「第六十八条及び第六十九条」に改め、同条を第七十条の二とする。
第七十一条第一項中「二万五千円」を「三万円」に改める。
第七十二条第一項第二号中「第七十条の二」を「第七十条」に改め、同条第三項中「第七十条」を「第六十九条」に改める。
第七十四条第一項第三号中「第六十八条から第七十条まで」を「第六十八条及び第六十九条」に改める。
第八十一条第一項中「第七十条の三」を「第七十条の二」に改める。
第九十三条中「資本等の金額」の下に「と利益積立金額等との合計額」を加え、同条に次の一項を加える。
2 前項に規定する利益積立金額等とは、次に掲げる金額の合計額をいう。
一 解散の時における利益積立金額
二 清算中に内国法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)から受けた第二十三条第一項(受取配当等の益金不算入)に規定する配当等の額(同条第二項の規定に該当するものを除く。)の合計額から、清算中に支払つた負債の利子(これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)の額のうち、その元本である株式、出資又は受益証券に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額
三 第二十六条第一項各号(還付金等の益金不算入)に掲げる金額(当該金額のうち、第二条第十八号(定義)に規定する法人税並びに同号に規定する道府県民税及び市町村民税に係る部分の金額を除く。)で、清算中に還付を受け、又は未納の国税若しくは地方税に充当をされたもの及び第二十六条第二項に規定する外国法人税の額で清算中に還付を受けたもの
第九十五条第二項中「その他大蔵省令で定める書類」を削り、同条第三項中「書類」を「明細書」に改める。
第九十六条中「所得税額等」を「所得税額」に改める。
第九十七条を次のように改める。
第九十七条 削除
第九十九条を次のように改める。
(解散の場合の清算所得に対する法人税の税率)
第九十九条 内国法人である普通法人が解散をした場合における清算所得に対する法人税の額は、解散による清算所得の金額に百分の三十の税率を乗じて計算した金額とする。
2 協同組合等が解散をした場合における清算所得に対する法人税の額は、解散による清算所得の金額に百分の二十一の税率を乗じて計算した金額とする。
第百条第一項中「又は報酬若しくは料金」を「、報酬若しくは料金又は賞金」に改め、「所得税の額は」の下に「、政令で定めるところにより」を加える。
第百一条を次のように改める。
第百一条 削除
第百二条第一項第二号中「第七十条の二」を「第七十条」に改め、同項第三号中「次条第一項第二号ロ」を「次条第一項第一号」に改め、同項第五号中「第六十八条から第七十条まで」を「第六十八条及び第六十九条」に改め、同条第二項中「第七十条」を「第六十九条」に改める。
第百三条第一項各号列記以外の部分中「資本等の金額」の下に「及び利益積立金額(その解散の時からその分配をしようとする時までの間に生じた利益積立金額がある場合には、当該利益積立金額を含む。以下この項において同じ。)の合計額」を加え、同項第一号中「資本等の金額」の下に「及び利益積立金額の合計額」を加え、同項第二号を次のように改める。
二 前号に掲げる金額を第九十三条(解散による清算所得の金額の計算)に規定する解散による清算所得の金額とみなし、かつ、第九十九条第一項又は第二項(解散の場合の清算所得に対する法人税の税率)に規定する法人の区分に応じこれらの規定を適用して計算した場合における法人税の額
第百四条第一項三号中「又は第百一条第一項(解散の場合の清算所得に対する法人税額からのみなし配当金額の一部の控除)」を削る。
第百九条の見出し及び同条第一項中「所得税額等」を「所得税額」に改める。
第百十二条第一項第二号中「資本等の金額」の下に「及び利益積立金額の合計額」を加え、同条第三項に次の一号を加える。
三 第一項の被合併法人のその合併の時における利益積立金額が合併法人に引き継がれた場合 その引き継がれた利益積立金額
第百十五条を次のように改める。
(合併の場合の清算所得に対する法人税の税率)
第百十五条 内国法人である普通法人が合併した場合における清算所得に対する法人税の額は、合併による清算所得の金額に百分の三十の税率を乗じて計算した金額とする。
2 協同組合等が合併した場合における清算所得に対する法人税の額は、合併による清算所得の金額に百分の二十一の税率を乗じて計算した金額とする。
第百二十七条第一項第二号中「前条第二項」を「その事業年度に係る帳簿書類について前条第二項」に、「その事実の生じた日の属する事業年度」を「当該事業年度」に改める。
第百二十九条第三項中「第七十条の二」を「第七十条」に改める。
第百三十四条の二第一項中「第七十条の二」を「第七十条」に、「同条第一項」を「その内国法人の同条第一項」に改める。
第百三十五条の見出し及び同条第一項中「所得税額等」を「所得税額」に改める。
第百四十五条第二項の表中「第七十条第八項」を「第六十九条第八項」に、「第六十八条から第七十条まで」を「第六十八条及び第六十九条」に、「第七十条の三」を「第七十条の二」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和四十二年六月一日から施行する。
(経過規定の原則)
第二条 この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後の法人税法(退職年金積立金に対する法人税に係る部分を除く。)の規定は、法人(同法第二条第八号(定義)に規定する人格のない社団等を含む。以下同じ。)のこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に開始する事業年度の所得に対する法人税及び同日以後の解散又は合併による清算所得に対する法人税(清算所得に対する法人税を課される法人の清算中の事業年度の所得に係る法人税及び残余財産の一部分配により納付すべき法人税を含む。以下この条において同じ。)について適用し、法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税及び同日前の解散又は合併による清算所得に対する法人税については、なお従前の例による。
(外国税額の還付金の益金不算入等に関する経過規定)
第三条 改正後の法人税法(以下「新法」という。)第二十六条第二項(外国税額の還付金の益金不算入)、第六十条(保険会社の契約者配当の損金算入)、第六十八条(所得税額の控除)(賞金に係る部分に限る。)、第六十九条(外国税額の控除)及び第七十条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)の規定は、法人の施行日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度の所得に対する法人税については、なお従前の例による。
(みなし配当金額の一部の控除等に関する経過規定)
第四条 内国法人が、施行日以後に開始する事業年度(施行日以後に解散した法人の清算中の期間を含む。)において、施行日前に解散し又は合併した内国法人から受ける新法第二十四条第一項第三号又は第四号(解散又は合併の場合のみなし配当)に掲げる金銭その他の資産につき同項の規定により利益の配当又は剰余金の分配の額とみなされる金額がある場合における当該みなされる金額の百分の二十五に相当する金額の法人税額からの控除又は当該百分の二十五に相当する金額の残余財産の価額への算入については、なお従前の例による。
2 内国法人が、施行日前に開始した事業年度(施行日前に解散した法人の清算中の期間を含む。)において、施行日以後に解散し又は合併した内国法人から受ける改正前の法人税法(以下「旧法」という。)第二十四条第一項第三号又は第四号(解散又は合併の場合のみなし配当)に掲げる金銭その他の資産につき同項の規定により利益の配当又は剰余金の分配の額とみなされる金額がある場合には、当該金額については、附則第二条(経過規定の原則)の規定にかかわらず、旧法第六十九条、第九十七条及び第百一条(みなし配当金額の一部の控除等)の例によらないものとする。
(中間申告に関する経過規定)
第五条 新法第七十一条(中間申告)(新法第百四十五条第一項(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定は、施行日以後に提出期限の到来する同条の規定による申告書に係る法人税について適用し、同日前に提出期限の到来した旧法第七十一条(中間申告)(旧法第百四十五条第一項(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定による申告書に係る法人税については、なお従前の例による。
(青色申告の承認の取消しに関する経過規定)
第六条 新法第百二十七条第一項第二号(青色申告の承認の取消し)(新法第百四十六条第一項(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定は、施行日以後に同号の規定に該当する事実が生じた場合について適用し、同日前に当該事実が生じた場合については、なお従前の例による。
大蔵大臣 水田三喜男
内閣総理大臣 佐藤栄作