建築基準法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第151号
公布年月日: 昭和38年7月16日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

建築技術の進歩により高層建築が可能となり、現行の高さ制限が実情に合わなくなっている一方、都市の交通難等を考慮し都市施設との均衡を図る必要がある。そこで、都市の土地利用状況等を勘案して容積地区を指定し、その地区内では建築物の高さ制限を廃止または緩和する一方、建築物の延べ面積を規制することで合理的な都市開発を目指す。また、特定街区における建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合を、都市計画決定時に個別具体的に定めることとする。

参照した発言:
第43回国会 参議院 建設委員会 第9号

審議経過

第43回国会

参議院
(昭和38年3月12日)
衆議院
(昭和38年3月13日)
参議院
(昭和38年5月21日)
(昭和38年5月23日)
(昭和38年5月28日)
(昭和38年5月30日)
(昭和38年6月5日)
衆議院
(昭和38年7月4日)
(昭和38年7月6日)
建築基準法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十八年七月十六日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百五十一号
建築基準法の一部を改正する法律
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)の一部を次のように改正する。
目次中「第五十九条の二」を「第五十九条の三」に改める。
第三条第三項第二号ハ中「特定街区」を「容積地区」に改める。
第六条第六項中「二万円」を「十万円」に改める。
第三十五条の二中「特殊建築物」の下に「、高さ三十一メートルをこえる建築物」を加える。
第五十六条第三項中「合計」を「合計。以下この節において同じ。」に改める。
第五十九条の二第一項中「建策物の高さの最高限度」を「建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合並びに建築物の高さの最高限度」に改め、「別表第五(い)欄の各項に掲げる」を削り、同条第三項及び第四項を次のように改める。
3 特定街区内においては、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合及び建築物の高さは、これらについて第一項の規定により定められた限度以下でなければならない。
4 特定街区内においては、建築物の壁又はこれに代わる柱は、建築物の地盤面下の部分及び建設大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除き、第一項の規定により定められた壁面の位置の制限に反して建築してはならない。
第五十九条の二第五項中「別表第五(い)欄の各項に掲げる」を削り、「前六条」を「前七条」に改め、同条を第五十九条の三とし、第五十九条の次に次の一条を加える。
(容積地区)
第五十九条の二 建設大臣は、都市計画上又は土地利用上必要があると認める場合においては、都市計画法の定める手続によつて、都市計画の施設として、別表第五(い)欄の各項に掲げる容積地区を指定することができる。
2 別表第五(い)欄の各項に掲げる容積地区内においては、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合は、同表(ろ)欄の当該各項に掲げる限度以下であり、かつ、当該建築物の前面道路(二以上あるときは、その幅員の最大なもの。以下この項において同じ。)が十二メートル未満である場合においては、当該前面道路の幅員のメートルの数値に十分の六を乗じたもの以下でなければならない。
3 建築物の敷地が第四十四条第二項に規定する計画道路(以下この項において、「計画道路」という。)に接する場合又は当該敷地内に計画道路がある場合において、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、当該計画道路を前項の前面道路とみなして、同項の規定を適用するものとする。この場合において、同項中「敷地面積」とあるのは、「敷地のうち計画道路に係る部分を除いた部分の面積」とする。
4 次の各号の一に該当する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの延べ面積の敷地面積に対する割合は、第二項の規定にかかわらず、その許可の限度内において、同項の規定による限度をこえるものとすることができる。
一 同一敷地内の建築物の機械室その他これに類する部分の床面積の合計の建築物の延べ面積に対する割合が著しく大きい場合におけるその敷地内の建築物
二 その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物
三 その敷地内に当該地方公共団体の条例で定める規模以上の空地を有し、かつ、その敷地面積が当該条例で定める規模以上である建築物
5 別表第五(い)欄の各項に掲げる容積地区内においては、建築物の各部分の高さは、次の各号に掲げるもの以下でなければならない。
一 住居地域内においては、当該部分から隣地境界線までの水平距離の一・二五倍に二十メートルを加えたもの
二 住居地域外においては、当該部分から隣地境界線までの水平距離の二・五倍に三十一メートルを加えたもの
6 建築物の敷地が公園、広場、川又は海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地と隣地との高低の差が著しい場合その他隣地に関し特別の事情がある場合における当該隣地との関係についての前項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。
7 第四十八条第二項の規定は第一項の規定による指定をする場合に、第五十七条第三項の規定は第三項及び第四項の規定による許可をする場合に準用する。
8 別表第五(い)欄の各項に掲げる容積地区内の建築物については、第五十七条及び第五十八条第一項第二号の規定は、適用しない。
第八十二条中「裁定又は同意」を「同意又は第九十四条第一項の審査請求に対する裁決」に改める。
第八十五条第一項中「建設大臣」を「都道府県知事」に改める。
第八十六条第一項中「第五十九条の二第三項」を「第五十九条の二第二項から第六項まで、第五十九条の三第三項」に改める。
第八十六条の二中「若しくは第四項」の下に「、第五十九条の二第二項」を加える。
第九十九条第一項第五号中「第五十九条の二第三項若しくは第四項」を「第五十九条の二第二項若しくは第五項、第五十九条の三第三項若しくは第四項」に改め、同項第十二号中「第二項」を「第三項」に改める。
別表第五を次のように改める。
別表第五
容積地区の種別及び容積地区内の建築物の制限
(い)
(ろ)
容積地区の種別
延べ面積の敷地面積に対する割合
第一種容積地区
十分の十以下
第二種容積地区
十分の二十以下
第三種容積地区
十分の三十以下
第四種容積地区
十分の四十以下
第五種容積地区
十分の五十以下
第六種容積地区
十分の六十以下
第七種容積地区
十分の七十以下
第八種容積地区
十分の八十以下
第九種容積地区
十分の九十以下
第十種容積地区
十分の百以下
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第八十二条、第八十五条及び第九十九条第一項第十二号の改正規定は、公布の日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお、従前の例による。
(この法律の施行前に指定された特定街区に関する経過措置)
3 この法律の施行の際この法律による改正前の建築基準法(以下「旧法」という。)第五十九条の二第一項の規定により指定されている同法別表第五(い)欄の各項に掲げる特定街区は、この法律による改正後の建築基準法(以下「新法」という。)第五十九条の三第一項の規定により指定された特定街区と、当該特定街区についての旧法別表第五(ろ)欄の当該各項に掲げる建築物の延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計。以下同じ。)の敷地面積に対する割合並びに同法第五十九条の二第一項の規定により定められた建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限は、新法第五十九条の三第一項の規定により定められた建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限とみなす。
建設大臣 河野一郎
内閣総理大臣 池田勇人