公衆電気通信法及び有線電気通信法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第140号
公布年月日: 昭和38年7月12日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

有線放送電話設備は農山漁村で広く普及し、現在2,600施設、200万世帯が加入している。この普及状況と設備規格の向上を踏まえ、有線放送電話と日本電信電話公社の電話との間で通話を可能にするなど、農山漁村における電気通信の利便性向上を図るため、公衆電気通信法及び有線電気通信法の改正を行う。主な改正点は、有線放送電話接続通話の制度新設と、有線放送電話業務の共同実施の許可である。

参照した発言:
第43回国会 衆議院 逓信委員会 第21号

審議経過

第43回国会

衆議院
(昭和38年5月15日)
参議院
(昭和38年5月16日)
衆議院
(昭和38年5月22日)
(昭和38年5月29日)
(昭和38年6月6日)
(昭和38年6月7日)
(昭和38年6月12日)
(昭和38年6月14日)
参議院
(昭和38年6月20日)
(昭和38年6月25日)
(昭和38年6月27日)
(昭和38年7月5日)
公衆電気通信法及び有線電気通信法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十八年七月十二日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百四十号
公衆電気通信法及び有線電気通信法の一部を改正する法律
(公衆電気通信法の一部改正)
第一条 公衆電気通信法(昭和二十八年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
目次中
第三章
電話(第二十五条―第五十五条)
第三章の二
加入電信(第五十五条の二―第五十五条の八)
第三章
電話(第二十五条―第五十四条の二)
第三章の二
有線放送電話接続通話(第五十四条の三―第五十五条)
第三章の三
加入電信(第五十五条の二―第五十五条の八)
に改める。
第四十四条第一項中「電話を含む。」を「電話及び第五十四条の三第一項に規定する接続通話契約に基づき設置される同項の有線放送電話接続回線を含む。」に改め、同項の表中「加入電話等の数の」を「加入電話等の数(その数から、第五十四条の三第一項に規定する接続通話契約に基づき設置される同項の有線放送電話接続回線がある場合には、その有線放送電話接続回線の数を差し引いた数)の」に改める。
第四十六条中「公社が定めるもの」を「第五十四条の五に規定する有線放送電話接続通話及び公社が定めるその他の通話」に改める。
第三章中第五十五条を第五十四条の二とし、第三章の二を第三章の三とし、第三章の次に次の一章を加える。
第三章の二 有線放送電話接続通話
(接続通話契約)
第五十四条の三 公社は、有線放送電話に関する法律(昭和三十二年法律第百五十二号)第三条の許可を受けた者(以下「有線放送電話業者」という。)から、その有線放送電話業務(同法第二条第二項に規定する有線放送電話業務をいう。)の用に供する設備(以下「有線放送電話設備」という。)の交換設備と第二十六条第一項第一号に規定する局交換設備との間に、これらを接続する公社の電話回線(以下「有線放送電話接続回線」という。)の設置を受け、これを通ずる当該有線放送電話設備による通話に関し公衆電気通信役務の提供を受ける契約(以下「接続通話契約」という。)の締結の申込みを受けたときは、公社の予算の範囲内において、その申込みの全部を承諾しなければならない。
2 接続通話契約は、当該契約に係る有線放送電話設備により当該有線放送電話接続回線を通じて通話することができる地域の区分により第一種接続通話契約及び第二種接続通話契約の二種とする。
3 公社は、次に掲げる場合には、接続通話契約の締結の申込みを承諾しないことができる。
一 有線放送電話接続回線その他その申込みをした接続通話契約に係る公衆電気通信役務を提供するために必要な公社の公衆電気通信設備の新設、改造又は修理が技術上著しく困難であるとき。
二 その申込みをした接続通話契約に係る有線放送電話設備が、前項の契約の種類ごとにその設備により有線放送電話接続回線を通じて通話することができる地域に応じ、公衆電気通信業務に支障を及ぼすのを防止するために必要な限度において公社が郵政大臣の認可を受けて定める技術基準に適合しないとき。
三 その他公社の業務の遂行に著しい支障があるとき。
4 接続通話契約に係る有線放送電話接続回線を収容すべき電話取扱局は、次のとおりとする。
一 その接続通話契約に係る有線放送電話設備の交換設備(二以上あるときは、そのすべて)の所在場所が一の電話加入区域内にあるときは、その電話加入区域内の電話取扱局(二以上あるときは、公社が指定するもの)
二 その接続通話契約に係る有線放送電話設備の交換設備が二以上ある場合において、これらのうちの一部の交換設備の所在場所が一の電話加入区域内にあり、他の交換設備の所在場所が電話加入区域外の地域にあるときは、その一部の交換設備の所在場所のある電話加入区域内の電話取扱局(二以上あるときは、公社が指定するもの)
三 その接続通話契約に係る有線放送電話設備の交換設備が二以上ある場合において、これらのうちのいずれか一の所在場所と他の一の所在場所とがそれぞれ異なる電話加入区域内にあるときは、これらのすべての交換設備のうち、その所在場所がいずれかの電話加入区域内にあるものにつき、その契約の締結の申込みをした者が選定した一の交換設備の所在場所のある電話加入区域内の電話取扱局(二以上あるときは、公社が指定するもの)
四 その他の場合には、公社が指定する電話取扱局
5 前項第一号から第三号までの場合において、当該各号の規定により定まる電話取扱局が当該接続通話契約に係る有線放送電話設備の交換設備のある都道府県の区域(北海道にあつては、郵政省令でその区域を分けて定める区域。以下第五十四条の五までにおいて同じ。)以外の都道府県の区域内にあるとき、その他郵政省令で定める特別の事由があるときは、当該接続通話契約に係る有線放送電話接続回線を収容すべき電話取扱局は、同項の規定にかかわらず、公社が、郵政大臣の認可を受けて定める基準に基づいて指定する。
(接続通話契約の解除等)
第五十四条の四 公社は、公社と接続通話契約を締結した者(以下「接続通話契約者」という。)が有線放送電話業者でなくなつたときは、当該接続通話契約を解除するものとする。
2 第四十二条の規定は、接続通話契約を締結した有線放送電話業者について準用する。
(有線放送電話接続通話の種類)
第五十四条の五 接続通話契約に係る有線放送電話設備(以下「接続有線放送電話設備」という。)による当該有線放送電話接続回線を通ずる通話(以下「有線放送電話接続通話」という。)は、公社が定めるものを除き、第一種接続通話契約に係るものにあつては第一号に掲げる通話、第二種接続通話契約に係るものにあつては次の各号に掲げる通話に限るものとする。
一 市内接続通話 一の接続有線放送電話設備と、当該有線放送電話接続回線が収容されている電話取扱局の所在する普通加入区域内にある電話取扱局に収容されている電話(その交換に関する事務が電話取扱局によつて行なわれる電話をいう。以下この条において同じ。)又はその普通加入区域内にある電話取扱局にその有線放送電話接続回線が収容されている接続有線放送電話設備との間の通話
二 市外接続通話 一の接続有線放送電話設備と、当該有線放送電話接続回線が収容されている電話取扱局の所在する都道府県の区域内にある電話取扱局(郵政省令で定める基準に該当するものに限る。)に収容されている電話又はこれらの電話取扱局にその有線放送電話接続回線が収容されている接続有線放送電話設備との間の通話(前号に掲げるものを除く。)
(有線放送電話接続通話についての準用規定)
第五十四条の六 第四十七条の規定は、市外接続通話の種類について、第四十八条から第五十条までの規定は、市外接続通話の接続の順序について、それぞれ、準用する。
2 第四十八条の規定は、市外通話に係る第四十七条第一項各号の種類の通話と市外接続通話に係る前項において準用する同条第一項の当該各号の種類の通話との間の接続の順序について、第四十九条及び第五十条の規定は、これらの各条に規定する特別の事項を内容とする市外通話又は市外接続通話と当該事項を内容としない市外接続通話又は市外通話との間の接続の順序について、それぞれ、準用する。
(接続有線放送電話設備に係る交換の取扱い)
第五十四条の七 公社は、接続有線放送電話設備の交換設備による有線放送電話接続通話に係る交換の事務の円滑化を図り、公衆電気通信業務の適正な運営に資するため、接続通話契約者に対し、その交換の取扱方法について必要な助言又は指導を行なうように努めるものとする。
(接続有線放送電話設備の保存等)
第五十五条 接続通話契約者は、当該接続有線放送電話設備が当該接続通話契約の種類につき定められた第五十四条の三第三項第二号の技術基準に適合するように保存しなければならない。
2 接続有線放送電話設備の保存は、その設備が前項の技術基準に適合し、かつ、公衆電気通信業務に支障を及ぼすのを防止するために必要な限度において郵政省令で定めるところにより公社が定める準則に従つて行なわなければならない。
3 接続通話契約者は、当該接続有線放送電話設備を変更したときは、郵政省令で定めるところにより、公社の検査を受け、その変更後の設備が第一項の技術基準に適合していると認められた後でなければ、有線放送電話接続通話の請求をしてはならない。ただし、その変更が郵政省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。
第五十六条中「前三章」を「前四章」に改める。
第七十五条中「地域団体加入電話に関する料金」の下に「、共同して接続通話契約を締結した者が支払うべき接続通話契約に係る料金」を加える。
第七十七条中「第四十三条の五」の下に「、第五十四条の四第二項」を、「地域団体加入電話の通話」の下に「、有線放送電話接続通話」を加える。
第七十八条第一項第四号中「又は加入組合の組合員」を「、加入組合の組合員又は接続通話契約者」に、「又は地域団体加入電話」を「、地域団体加入電話又は接続有線放送電話設備」に、「又は地域団体加入契約」を「、地域団体加入契約又は接続通話契約」に改め、「電話使用料」の下に「又は有線放送電話接続通話に係る有線放送電話接続回線等使用料(加入電話における電話使用料に相当するものとして公社が郵政大臣の認可を受けて定めるものをいう。以下第百九条第一項第三号において同じ。)」を加え、「これに」を「これらに」に改め、同項第五号中「又は加入組合の組合員(加入組合の業務執行者を含む。)」を「、加入組合の組合員(加入組合の業務執行者を含む。)又は接続通話契約者」に、「又は地域団体加入電話による市内通話」を「若しくは地域団体加入電話による市内通話又は度数料金局にその有線放送電話接続回線が収容されている接続有線放送電話設備による市内接続通話」に改め、「その市内通話」の下に「又は市内接続通話」を加え、同項第六号中「第四十七条第一項第四号」の下に「(第五十四条の六第一項において準用する場合を含む。)」を加え、「同条第三項」を「第四十七条第三項(第五十四条の六第一項において準用する場合を含む。)」に、「同条第一項第四号」を「第四十七条第一項第四号(第五十四条の六第一項において準用する場合を含む。)」に改め、同項第八号中「又は加入組合の組合員(加入組合の業務執行者を含む。)」を「、加入組合の組合員(加入組合の業務執行者を含む。)又は接続通話契約者」に改め、「第四十七条第一項第五号」の下に「(第五十四条の六第一項において準用する場合を含む。)」を加え、「同条第三項」を「第四十七条第三項(第五十四条の六第一項において準用する場合を含む。)」に、「同条第一項第五号」を「第四十七条第一項第五号(第五十四条の六第一項において準用する場合を含む。)」に改め、同項第九号中「又は加入組合の組合員(加入組合の業務執行者を含む。)」を「、加入組合の組合員(加入組合の業務執行者を含む。)又は接続通話契約者」に改める。
第百五条の二中「加入組合」の下に「、接続通話契約者」を、「加入契約」の下に「、接続通話契約」を、「電話機」の下に「、組合交換設備、接続有線放送電話設備の交換設備」を加える。
第百九条第一項各号列記以外の部分中「電話の通話」を「通話」に改め、同項第三号中「又は加入組合の組合員」を「、加入組合の組合員又は接続通話契約者」に、「又は地域団体加入電話」を「、地域団体加入電話又は接続有線放送電話設備」に改め、「電話使用料」の下に「又は有線放送電話接続通話に係る有線放送電話接続回線等使用料」を、「定額料金制による加入電話」の下に「若しくは地域団体加入電話又は定額料金局にその有線放送電話接続回線が収容されている接続有線放送電話設備」を加え、同項第四号中「第四十七条第一項第四号」の下に「(第五十四条の六第一項において準用する場合を含む。)」を加え、「同号」を「第四十七条第一項第四号(第五十四条の六第一項において準用する場合を含む。)」に改め、「第五十条」の下に「(これらの規定を第五十四条の六において準用する場合を含む。)」を、「市外通話」の下に「又は市外接続通話」を加え、同項第五号中「第四十七条第一項第五号」の下に「(第五十四条の六第一項において準用する場合を含む。)」を加え、「同号」を「第四十七条第一項第五号(第五十四条の六第一項において準用する場合を含む。)」に改め、「第五十条」の下に「(これらの規定を第五十四条の六において準用する場合を含む。)」を、「市外通話」の下に「又は市外接続通話」を加える。
(有線電気通信法の一部改正)
第二条 有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
第四条第二号の次に次の一号を加える。
二の二 二人以上の者が、共同して一の業務区域につき有線放送電話に関する法律(昭和三十二年法律第百五十二号)第三条の許可を受け、その許可に係る有線放送電話業務(同法第二条第二項に規定する有線放送電話業務をいう。以下同じ。)の用に供する設備を設置するとき。
第九条の二第一項中「(昭和三十二年法律第百五十二号)」及び「(有線放送電話に関する法律第二条第二項に規定する有線放送電話業務をいう。以下同じ。)」を削り、同条第二項に次のただし書を加える。
ただし、公衆電気通信法第五十四条の三第一項に規定する接続通話契約を締結した場合において、その契約に基づいてするときは、この限りでない。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 この法律の施行の際現に、公衆電気通信法(以下「公衆法」という。)第十二条の二の規定により日本電信電話公社(以下「公社」という。)が試行的に提供する有線放送接続電話試行役務(有線放送接続電話試験実施のための契約約款(昭和三十六年日本電信電話公社公示第百十四号)に基づき提供される試行役務をいう。)の提供を受ける契約(以下「試行契約」という。)を公社と締結している者は、この法律の施行の時において、当該試行契約に代えて、公社と第二種接続通話契約(改正後の公衆法第五十四条の三第二項の第二種接続通話契約をいう。)を締結したものとみなす。
3 前項の規定により公社と締結したものとみなされる第二種接続通話契約でこれに係る従前の試行契約が昭和三十八年四月三十日までに締結されたものについては、その接続通話契約に係る有線放送電話設備(改正後の公衆法第五十四条の三第一項の有線放送電話設備をいう。)による有線放送電話接続回線(同項の有線放送電話接続回線をいう。以下同じ。)を通ずる通話の範囲は、改正後の公衆法第五十四条の五の規定にかかわらず、この法律の施行の日から起算して三年間は、なお、この法律の施行の際に効力を有していた前項の契約約款の相当規定の例によるものとする。この場合における公衆法の規定の適用については、同条第一号の市内接続通話たる通話以外の通話(有線放送電話接続回線を通ずる通話に限る。)は、これを市外接続通話とする。
郵政大臣 小沢久太郎
内閣総理大臣 池田勇人