(趣旨)
第一条 この法律は、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とオーストリア共和国との間の条約(以下「条約」という。)を実施するため、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)及び法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の特例その他必要な事項を定めるものとする。
(配当に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例)
第二条 所得税法第一条第六項の規定に該当する法人(同条第七項の規定により法人とみなされる社団又は財団を含む。以下同じ。)で条約第三条(b)に規定するオーストリアの居住者であるものが支払を受ける条約第九条第一項ただし書の規定に該当する配当で同法の施行地にその源泉があるもの(その者の同法の施行地にある条約第四条に規定する恒久的施設(以下「恒久的施設」という。)に帰せられるものを除く。)に対する同法第十八条第二項又は第四十一条第一項若しくは第二項の規定の適用については、これらの規定中「百分の二十」とあるのは、「百分の十」とする。ただし、当該配当に対する所得税額をその支払を受けるべき金額の百分の十に相当する金額以下とする他の法律の規定の適用を妨げない。
(利子、使用料等に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例)
第三条 所得税法第一条第二項の規定に該当する個人又は同条第六項の規定に該当する法人で条約第三条(b)に規定するオーストリアの居住者であるもの(以下「オーストリアの居住者」という。)が支払を受ける条約第十条第一項に規定する利子、条約第十一条第一項に規定する使用料又は同条第三項に規定する収益で同法の施行地にその源泉があるもの(その者の同法の施行地にある恒久的施設に帰せられるものを除く。)に対する同法第十七条第一項、第十八条第二項又は第四十一条第一項若しくは第二項の規定の適用については、これらの規定中「百分の二十」とあるのは、「百分の十」とする。ただし、これらの所得に対し所得税を課さず、又はこれらの所得に対する所得税額をその支払を受けるべき金額の百分の十に相当する金額以下とする他の法律の規定の適用を妨げない。
(配当、利子、使用料等に対する申告納税に係る所得税等の軽減)
第四条 所得税法第一条第八項第一号又は法人税法第一条第四項第一号に掲げる事業を有するオーストリアの居住者が条約第九条第一項に規定する配当でこれらの法律の施行地にその源泉があるもの(その者のこれらの法律の施行地にある恒久的施設に帰せられるものを除く。)に係る所得を有する場合において、その者の所得税額又は法人税額のうち当該所得に対応する部分の金額が、当該配当の金額の百分の二十(第二条に規定する配当については、百分の十)に相当する金額をこえるときは、その者の所得税額又は法人税額につき、そのこえる金額に相当する税額を軽減する。
2 前項に規定する者が前条に規定する利子、使用料又は収益(以下「利子等」という。)に係る所得を有する場合において、その者の所得税額又は法人税額のうち当該所得に対応する部分の金額が、当該利子等の合計金額の百分の十に相当する金額をこえるときは、その者の所得税額又は法人税額につき、そのこえる金額に相当する税額を軽減する。
3 第一項に規定する所得税額又は法人税額のうち当該所得に対応する部分の金額は、当該所得の生じた年分又は事業年度分につき、同項の規定の適用がないものとして計算した場合における所得税額又は法人税額に相当する金額から、当該所得が生じなかつたものとして計算した場合における所得税額又は法人税額に相当する金額を控除して得た金額とする。
4 第二項に規定する所得税額又は法人税額のうち当該所得に対応する部分の金額は、当該所得の生じた年分又は事業年度分につき、同項の規定の適用がなく、かつ、第一項に規定する配当に係る所得を有する場合には当該配当に係る所得が生じなかつたものとして計算した場合における所得税額又は法人税額に相当する金額から、これらの所得が生じなかつたものとして計算した場合における所得税額又は法人税額に相当する金額を控除して得た金額とする。
(実施規定)
第五条 前三条に定めるもののほか、条約の実施及びこの法律の適用に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。