(石炭鉱山整理促進交付金の交付)
第三十五条 事業団は、採掘権者又は租鉱権者がその石炭鉱山における鉱業を廃止して当該採掘権又は租鉱権の放棄による消滅の登録を受けた場合であつて当該採掘権又は租鉱権が次の各号に適合するときは、当該採掘権者又は租鉱権者に対し、石炭鉱山整理促進交付金(以下この条から第三十五条の五まで及び第三十五条の七において「交付金」という。)を交付することができる。
一 交付金の交付の申請の日前六月以内にその採掘権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区において事業が休止されたことがないこと。
二 その採掘権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区における石炭の品位及び生産能率が石炭鉱業合理化基本計画に定める交付金の交付に係る採掘権又は租鉱権の基準に適合すること。
三 租鉱権の放棄の場合にあつては、その租鉱権の放棄について採掘権者の同意があること。
四 前三号に掲げるもののほか、通商産業省令で定める基準に適合すること。
(公示)
第三十五条の二 事業団は、前条の規定により交付金の交付を受けることとなつた者(以下「廃止事業者」という。)に係る採掘権又は租鉱権の消滅の登録が行なわれたときは、すみやかに、当該廃止事業者について交付金を交付する旨及び当該鉱区又は租鉱区に関する鉱害について賠償請求権を有する者は、六十日以上の一定期間内に事業団に対し権利の申出をすべき旨を公示しなければならない。
2 前項の賠償請求権を有する者が同項の期間内に同項の申出をしなかつたときは、当該鉱区又は租鉱区に関する鉱害について有する当該賠償請求権については、次条第一項の規定による債務の弁済を請求することができない。
(賃金債務及び鉱害の賠償債務の弁済)
第三十五条の三 事業団は、民法第四百七十四条第一項ただし書及び第二項の規定にかかわらず、第三十五条の規定により交付することとなつた交付金の額(以下「交付金額」という。)に政令で定める割合を乗じて得た金額をこえない範囲内において、通商産業省令で定めるところにより、当該廃止事業者に代わつて次に掲げる債務の弁済を行なう。
一 廃止事業者が放棄した採掘権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区における石炭の採掘及びこれに附属する選炭その他の業務に従事していた鉱山労働者に対し当該廃止事業者が負担する賃金の支払の債務であつて当該採掘権又は租鉱権を放棄した日までに弁済期の到来しているもの
二 廃止事業者が放棄した採掘権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区に関する鉱害の賠償債務
2 前項の通商産業省令には、同項各号に掲げる債務の弁済が公平に行なわれることを確保するために必要な事項及び同項各号に掲げる債務の合計額が交付金額に同項の政令で定める割合を乗じて得た金額をこえる場合における同項第一号に掲げる債務が同項第二号に掲げる債務に優先する限度を定めておかなければならない。
3 事業団が第一項の規定により債務の弁済を行なつたときは、その弁済を行なつた額について第三十五条の規定による交付金の交付をしたものとみなす。
(交付金の支払の制限)
第三十五条の四 事業団は、当該廃止事業者に係る交付金額に前条第一項の政令で定める割合を乗じて得た金額に相当する交付金については、同項の規定により当該廃止事業者に係る同項各号に掲げる債務の全部の弁済を行なつた場合において残余が生じ、又は生ずることが確実であると認められるときに限り、その残余に相当する金額を当該廃止事業者に支払うものとする。
(交付金を受ける権利の保護)
第三十五条の五 廃止事業者が交付金額に第三十五条の三第一項の政令で定める割合を乗じて得た金額に相当する金額の交付金の支払を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、廃止事業者が前条の規定により交付金の支払を受ける権利については、この限りでない。
(鉱業権の設定の出願の不許可等)
第三十五条の六 通商産業局長は、廃止事業者が放棄した採掘権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区の区域について鉱業権の設定若しくは鉱区の増加の出願又は租鉱権の設定若しくは租鉱区の増加の認可の申請があつたときは、当該区域については、その出願を許可し、又はその申請の認可をしてはならない。
2 廃止事業者が放棄した採掘権の鉱区の区域に重複する鉱区があるときは、その重複する鉱区の採掘権者は、その重複する区域については、当該採掘権の放棄前に掘採することができるものとされていた鉱床以外の鉱床において石炭を掘採してはならない。
3 採掘権者は、廃止事業者が放棄した租鉱権の租鉱区の区域(特定の鉱床を目的とする租鉱権の場合には、その鉱床)においては、石炭を掘採してはならない。
(鉱山労働者に対する金銭の支払)
第三十五条の七 事業団は、その買収した採掘権の鉱区若しくはその買収した鉱業施設に係る租鉱権の租鉱区又はその交付することとした交付金に係る採掘権若しくは租鉱権の鉱区若しくは租鉱区における石炭の採掘及びこれに附属する選炭その他の業務にその売渡しの申込みの日又はその交付金の交付の申請の日前三月以上引き続き従事していた鉱山労働者であつて、その売渡しの申込みの日又はその交付金の交付の申請の日以後当該買収の日又は当該交付金の交付の決定の日後二月を経過した日までに解雇されたものに対し、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十二条の平均賃金の三十日分に相当する金額を支払わなければならない。
2 前項の規定による支払の義務は、二年を経過したときは、時効により消滅する。