外国為替銀行法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第90号
公布年月日: 昭和37年4月27日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

外国為替銀行法の一部改正は、外国為替取引と貿易金融の円滑化を目的とする為替専門銀行について、近年の貿易拡大に伴う資金需要の増大に対応するためのものである。外国為替銀行は業務の特殊性や店舗配置の制約から、一般市中銀行と比べ預金の伸びが低く、日銀借入金やコール・マネーに依存せざるを得ない状況にある。しかし、これらの外部資金は安定した資金源として期待できないため、金融制度調査会の審議結果も踏まえ、外国為替銀行に対し、資本および準備金の合計額の5倍を限度として債券発行を認めることとした。これにより、安定的な資金調達手段を確保し、業務の円滑な遂行を図ることを目的としている。

参照した発言:
第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号

審議経過

第40回国会

参議院
(昭和37年2月6日)
衆議院
(昭和37年2月7日)
参議院
(昭和37年2月8日)
(昭和37年2月15日)
(昭和37年2月20日)
(昭和37年4月10日)
(昭和37年4月12日)
(昭和37年4月13日)
衆議院
(昭和37年4月20日)
(昭和37年4月24日)
参議院
(昭和37年5月7日)
外国為替銀行法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十七年四月二十七日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第九十号
外国為替銀行法の一部を改正する法律
外国為替銀行法(昭和二十九年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
第九条の次に次の七条を加える。
(債券の発行)
第九条の二 外国為替銀行は、資本及び準備金(利益準備金、資本準備金その他株主勘定に属する準備金をいう。)の合計金額の五倍に相当する金額を限度として、債券を発行することができる。
(債券の借換発行の場合の特例)
第九条の三 外国為替銀行は、その発行した債券の借換えのため、一時前条に規定する限度をこえて債券を発行することができる。
2 前項の規定により債券を発行したときは、発行後一月以内にその発行券面額に相当する額の旧債券を償還しなければならない。
(債券発行の届出)
第九条の四 外国為替銀行は、債券を発行しようとするときは、そのつど、その金額及び条件をあらかじめ大蔵大臣に届け出なければならない。
2 商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百九十八条(既存の社債に未払込みのある場合の社債発行の制限)の規定は、外国為替銀行が債券を発行する場合については適用しない。
(債券の発行方法、登記等)
第九条の五 外国為替銀行が債券を発行する場合において、応募総額が社債申込証に記載した債券の総額に達しないときでも債券を成立させる旨を社債申込証に記載したときは、その応募総額をもつて債券の総額とする。
2 外国為替銀行の発行する債券は、無記名とする。ただし、応募者又は所有者の請求により記名式とすることができる。
3 外国為替銀行は、債券を発行する場合においては、売出しの方法によることができる。この場合においては、売出期間を定めなければならない。
4 前項の場合においては、社債申込証を作ることを要しない。
5 第三項の規定により発行する債券には、左の事項を記載しなければならない。
一 外国為替銀行の商号
二 債券の券面金額
三 債券の利率
四 債券償還の方法及び期限
五 債券の番号
6 商法第三百五条第一項(社債の登記)の期間は、債券の売出期間満了の日から起算する。
7 外国為替銀行は、売出しの方法により債券を発行しようとするときは、左の事項を公告しなければならない。
一 売出期間
二 債券の総額
三 数回に分けて債券の払込みをさせるときは、その払込みの金額及び時期
四 債券発行の価額又はその最低価額
五 第五項第一号から第四号までに掲げる事項
8 外国為替銀行は、債券を発行する場合においては、割引の方法によることができる。
9 外国為替銀行が発行する債券の登記については、その総額(総額を数回に分けて発行する場合においては、各回の発行金額とする。以下次項において同じ。)を登記すれば足りる。
10 外国為替銀行が発行する債券については、変更の登記をすることを要しない。ただし、その総額の償還があつたときはその登記をし、かつ、毎年三月末におけるその償還を終わらない金額の合計金額を本店の所在地においては四週間以内、支店の所在地においては五週間以内に登記しなければならない。
11 売出しの方法により発行する債券の登記の申請書には、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百九十一条第二項第二号(社債の申込み及び引受けを証する書面)の書面に代え、左に掲げる書類を添附しなければならない。
一 売出期間内における売上総額を証する書面
二 第七項に規定する公告をしたことを証する書面
12 第九項及び第十項の規定は、外国為替銀行がその目的を変更して他の業務を営む会社として存続する場合又は外国為替銀行でない会社が合併若しくは営業の譲受けにより外国為替銀行の債券を承継した場合において、第九項の規定により登記した債券について準用する。
(債券の消滅時効)
第九条の六 外国為替銀行が発行する債券の消滅時効は、元本については十五年、利子については五年で完成する。
(通貨及証券模造取締法の準用)
第九条の七 通貨及証券模造取締法(明治二十八年法律第二十八号)は、外国為替銀行が発行する債券の模造について準用する。
(合併異議の催告)
第九条の八 外国為替銀行が合併の決議をした場合において、商法第百条第一項(合併異議の公告及び催告)の規定によつてしなければならない催告は、債券の権利者又は預金者に対してはすることを要しない。
第十条第一項中「以下同じ。」を「以下この条において同じ。」に改め、同条第三項中「転移」を「転移等」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(他業会社への転移等)
第十条の二 外国為替銀行がその目的を変更して他の業務を営む銀行以外の会社として存続する場合において、従前の債券及び預金の債務が残存するときは、大蔵大臣は、その債務を完済するまで、その債務の総額を限度として財産の供託を命じ、又は債券の権利者及び預金者の保護を図るため必要な範囲において、資産の管理若しくは運用につき命令をすることができる。合併により外国為替銀行及び銀行以外の会社が外国為替銀行の債券及び預金の債務を承継した場合も、また同様とする。
2 銀行法第二十条(報告)及び第二十一条(検査)の規定は、前項に規定する場合において、外国為替銀行に係る債券及び預金の債務を完済するまで、外国為替銀行の業務を営んでいた会社並びに外国為替銀行の債券及び預金の債務を承継した会社について準用する。
第十一条前段中「第五条(他業の禁止)」の下に「、第十五条(合併異議の催告)」を、「第十七条(貯蓄銀行との合併)」の下に「、第二十六条(他業会社への転移等)」を加え、同条後段を削る。
第十六条第四号中「第七条第三項」の下に「若しくは第十条の二第一項」を加え、「、第二十六条第一項(他業会社への転移)」を削る。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第六条第一項第十一号ただし書中「長期信用銀行法」の下に「若ハ外国為替銀行法」を加える。
大蔵大臣 水田三喜男
内閣総理大臣 池田勇人