家畜取引法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第173号
公布年月日: 昭和36年11月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

近年の畜産物需要の増大と家畜飼養頭数の著しい増加に伴い、家畜取引過程の近代化・合理化が急務となっている。政府は学識経験者の意見を取り入れ検討を重ねた結果、家畜商の地位向上、家畜市場の整備確立、生産者団体の共同事業推進、取引資金融通の円滑化、食肉市場の整備等の措置が必要との結論に達した。現行の家畜取引法では、産地家畜市場の再編整備のみでは効果が不十分であり、せり売りや入札による取引も必ずしも円滑に行われていない。そこで、家畜市場の再編整備対象の拡大、取引方法の柔軟化、市場周辺での取引規制など、家畜取引の改善を図るため、家畜取引法の一部改正を行うこととした。

参照した発言:
第39回国会 参議院 農林水産委員会 第3号

審議経過

第39回国会

参議院
(昭和36年10月5日)
(昭和36年10月6日)
(昭和36年10月10日)
(昭和36年10月11日)
衆議院
(昭和36年10月12日)
参議院
(昭和36年10月13日)
(昭和36年10月17日)
(昭和36年10月18日)
衆議院
(昭和36年10月19日)
(昭和36年10月25日)
(昭和36年10月25日)
(昭和36年10月31日)
家畜取引法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十六年十一月一日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百七十三号
家畜取引法の一部を改正する法律
家畜取引法(昭和三十一年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
目次中「(第十二条―第十八条)」を「(第十二条―第十八条の二)」に、「産地家畜市場の再編整備(第十九条―第二十六条)」を「地域家畜市場の再編整備(第十九条―第二十六条の二)」に改める。
第一条中「産地家畜市場」を「地域家畜市場」に改める。
第二条第四項を次のように改める。
4 この法律において「地域家畜市場」とは、家畜が生産される地域内に設けられる家畜市場であつて、主として、当該地域内において生産される家畜についての家畜取引のために開設されるものをいう。
第十八条の次に次の一条を加える。
第十八条の二 都道府県知事は、家畜取引を業とする者が第十五条の規定に違反したときは、その者に対し、一年以内の期間を定めて、その者が違反行為をした家畜市場における家畜取引の業務の停止を命ずることができる。
第四章の章名中「産地家畜市場」を「地域家畜市場」に改める。
第十九条第一項中「産地家畜市場」を「地域家畜市場」に改め、同条第二項第一号中「及び農業協同組合連合会」を「、農業協同組合連合会及び中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第七条第一項各号に掲げる中小企業等協同組合」に、「産地家畜市場」を「地域家畜市場」に改め、同項第二号中「産地家畜市場」を「地域家畜市場」に改める。
第二十条第一項、第二項及び第四項中「産地家畜市場」を「地域家畜市場」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(再編整備に係る勧告)
第二十条の二 都道府県知事は、第十九条第一項の地域家畜市場の再編整備を行なうことが必要であると認められる一定の区域であつて、その区域内に開設されている地域家畜市場の開設者からの申請があるとすれば同条の規定により市場再編整備地域として指定することができると認められるものがある場合において、当該地域家畜市場の再編整備を促進することがその区域内における畜産の振興と農業経営の安定のために特に必要であると認められるときは、当該地域家畜市場の開設者に対し、同項の申請をすべき旨の勧告をすることができる。
第二十一条中「前条第一項」を「第二十条第一項」に改める。
第二十二条第一項、第二十三条第一項、第二十五条及び第二十六条中「産地家畜市場」を「地域家畜市場」に改める。
第二十六条の次に次の一条を加える。
(国及び都道府県の援助)
第二十六条の二 国及び都道府県は、市場再編整備計画の円滑な実施を確保するため、市場再編整備計画に係る地域家畜市場の開設者に対して、助言、指導その他必要な援助を行なうように努めるものとする。
第二十七条の次に次の一条を加える。
(家畜市場の開場日等における市場外取引の制限)
第二十七条の二 家畜取引を業とする者は、家畜市場の開場日並びにその前日及び翌日(開場日が二日以上継続するときは、その開場日並びにその初日の前日及び末日の翌日)には、当該家畜市場からおおむね千メートル以内の周辺の区域内で都道府県知事の指定する場所において、当該家畜市場において取り扱う種類の家畜についての家畜取引を行なつてはならない。ただし、都道府県知事の許可を受けた場合は、この限りでない。
2 前項の規定による場所の指定は、当該家畜市場の業務の健全な運営を確保するために必要な最少限度のものにつき、しなければならない。
3 第一項の規定による場所の指定は、告示をもつてしなければならない。
4 都道府県知事は、前項の告示をするときは、あわせて、当該家畜市場の開場日及び取り扱う家畜の種類を告示しなければならない。
第二十八条中「前条第一項」を「第二十七条第一項」に改める。
第三十三条第四号中「産地家畜市場」を「地域家畜市場」に改める。
第三十五条中第三号を第五号とし、第二号を第四号とし、第一号の次に次の二号を加える。
二 第十八条の二の規定による業務の停止命令に違反した者
三 第二十七条の二第一項の規定に違反した者
附則中第六項を第九項とし、第五項を第八項とし、第四項の次に次の三項を加える。
5 当分の間、家畜市場の一の開場日において家畜取引の目的物とすべき家畜の頭数がその家畜市場の売場施設の状況からみて著しく過多と認められる場合においては、第十五条の規定にかかわらず、あらかじめ、開設者が農林省令で定めるところにより都道府県知事の許可を受けて業務規程をもつて定めた売買の方法によることができる。
6 前項の許可には、条件を附することができる。
7 前項の条件は、家畜市場における公正な家畜取引及び適正な価格形成を確保するために必要な最少限度のものに限り、かつ、当該開設者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して九十日をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 この法律の施行前に改正前の第十九条第一項の規定によつてした市場再編整備地域の指定は、改正後の同項の規定によつてしたものとみなす。
農林大臣 河野一郎
内閣総理大臣 池田勇人