建設業法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第86号
公布年月日: 昭和36年5月16日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

建設工事量の増大に対応するため、建設工事の施工体制強化と建設工事の適正な施工確保、また中小建設業者の健全な発達を図る必要があることから、建設業法の一部改正を提案する。主な改正点として、建設業者の登録要件の整備、総合工事業者及び専門工事業者の区分の明確化、建設業者の経営に関する事項の審査制度の確立、建設業者団体に関する届出制度の整備などを行う。これにより、建設工事の適正な施工の確保と建設業の健全な発達に寄与することを目指すものである。

参照した発言:
第38回国会 衆議院 建設委員会 第7号

審議経過

第38回国会

参議院
(昭和36年2月21日)
衆議院
(昭和36年2月22日)
参議院
(昭和36年2月23日)
衆議院
(昭和36年3月1日)
(昭和36年3月4日)
(昭和36年3月9日)
(昭和36年3月9日)
参議院
(昭和36年4月25日)
(昭和36年4月27日)
(昭和36年5月2日)
(昭和36年5月12日)
衆議院
(昭和36年6月28日)
建設業法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十六年五月十六日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第八十六号
建設業法の一部を改正する法律
建設業法(昭和二十四年法律第百号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二章 登録(第四条―第十七条)」を
第二章
建設業者の登録(第四条―第十七条)
第二章の二
総合工事業者及び専門工事業者(第十七条の二―第十七条の七)
に、「第四章 施工技術の確保(第二十五条の二十五―第二十七条)」を
第四章
施工技術の確保(第二十五条の二十五―第二十七条)
第四章の二
建設業者の経営に関する事項の審査(第二十七条の二―第二十七条の五)
第四章の三
建設業者団体(第二十七条の六・第二十七条の七)
に改める。
第二条第一項中「ものをいう」を「ものをいい、その種類は、同表に掲げるもののほか、土木一式工事及び建築一式工事とする」に改め、同条第二項中「職別」を「専門」に改める。
「第二章 登録」を「第二章 建設業者の登録」に改める。
第五条第一項各号列記以外の部分中「その者」を「主として請け負う建設工事の種類ごとに、その者」に改め、同項第一号中「学校教育法」を「主として請け負う建設工事に関し学校教育法」に改め、「含む。」の下に「以下同じ。」を加え、「若しくは同法」を「又は同法」に改め、「又は建設大臣がこれと同等以上の学歴若しくは資格及び実務の経験を有するものと認定した者」を削り、同項第二号及び第三号を次のように改める。
二 主として請け負う建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者
三 建設大臣が前各号の一に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
第五条第二項中「前項各号」を「次の各号」に改め、同項に次の各号を加える。
一 建設工事に関し学校教育法による高等学校を卒業した後五年以上又は同法による大学を卒業した後三年以上実務の経験を有する者で在学中に建設省令で定める学科を修めたもの
二 建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者
三 建設大臣が前各号の一に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
第六条第五号を次のように改める。
五 主として請け負う建設工事の種類
第七条第四号中「並びに第五条第一項各号に規定する要件の一をそなえる技術者を有すること及び同条第二項に規定する要件をそなえていること」を削り、同条第五号を次のように改める。
五 第五条に規定する要件をそなえていることを証する書面
第七条に次の一号を加える。
六 前各号に掲げる書面以外の営業に関する書類で建設省令で定めるもの
第十一条第一項第二号中「第二十九条」を「第二十九条第一項」に改める。
第十三条に次の二項を加える。
5 建設業者は、第五条第一項各号の一に該当する者として証明された者がその役員若しくは使用人のいずれでもなくなつた場合若しくは同項第三号に該当しなくなつた場合又は営業所に置く同条第二項各号の一に該当する者として証明された者が当該営業所のある都道府県の営業所に置かれなくなつた場合若しくは同項第三号に該当しなくなつた場合において、これに代わるべき者があるときは、建設省令の定めるところにより、遅滞なく、その者について、第七条第五号に掲げる書面を建設大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
6 建設業者は、第五条第一項各号に規定する要件をそなえる者を欠くに至つたとき、同条第二項に規定する要件を欠くに至つたとき、又は第十一条第一項第一号及び第三号から第六号までの規定に該当するに至つたときは、建設省令の定めるところにより、遅滞なく、その旨を書面で建設大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
第十五条第一項第三号中「第二十九条」を「第二十九条第一項又は第二十九条の二」に改める。
第十六条中「、第三項及び第四項」を「及び第三項から第五項まで、第十七条の三並びに第十七条の四第一項」に改める。
第十七条の次に次の一章を加える。
第二章の二 総合工事業者及び専門工事業者
(総合工事業者)
第十七条の二 主として請け負う建設工事の全部又は一部が土木一式工事又は建築一式工事である建設業者で、その者(法人である場合においては、その役員)又はその使用人のうち当該土木一式工事又は建築一式工事に関し第五条第一項各号の一に該当する者として証明された者を除く一人が次の各号の一に該当するものは、登録簿に総合工事業者の登録を受けることにより、総合工事業者と称することができる。
一 土木一式工事又は建築一式工事に関し学校教育法による高等学校を卒業した後五年以上又は同法による大学を卒業した後三年以上指導監督的な実務の経験又は業務管理の責任者としての経験を有する者
二 土木一式工事又は建築一式工事に関し十年以上指導監督的な実務の経験又は業務管理の責任者としての経験を有する者
三 建設大臣が前各号の一に掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
2 総合工事業者の登録の有効期間は、当該建設業者の第四条第一項の登録の有効期間による。
3 第四条第一項の登録の有効期間満了の後引き続き総合工事業者と称しようとする者は、同条第三項の規定による更新の登録の際、総合工事業者の登録の更新を受けなければならない。
(総合工事業者の登録の申請)
第十七条の三 総合工事業者の登録又はその更新を受けようとする者は、建設省令の定めるところにより、登録申請書及び前条第一項に規定する要件をそなえていることを証する書面を建設大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
(変更等の届出)
第十七条の四 総合工事業者の登録を受けた建設業者は、第十七条の二第一項各号の一に該当する者として証明された者がその役員若しくは使用人のいずれでもなくなつた場合又は同項第三号に該当しなくなつた場合において、これに代わるべき者があるときは、建設省令の定めるところにより、遅滞なく、その者について、その者が同項各号の一に該当することを証する書面を建設大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
2 総合工事業者の登録を受けた建設業者は、第十七条の二第一項に規定する要件を欠くに至つたときは、建設省令の定めるところにより、遅滞なく、その旨を書面で建設大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
(総合工事業者の登録の抹消)
第十七条の五 建設大臣又は都道府県知事は、次の各号に掲げる場合においては、登録簿につき、当該建設業者に係る総合工事業者の登録を抹消しなければならない。
一 第十五条第一項の規定により登録を抹消した場合
二 第二十九条第二項の規定により総合工事業者の登録を取り消した場合
(省令への委任)
第十七条の六 この章及び第二十九条第二項に規定するもののほか、総合工事業者の登録に関し必要な事項は、建設省令で定める。
(専門工事業者)
第十七条の七 総合工事業者の登録を受けた建設業者以外の建設業者は、建設省令の定めるところにより、主として請け負う建設工事の種類を明らかにした文字を冠する専門工事業者と称することができる。
第二十六条第一項中「第一項」を「第二項」に改める。
第二十七条の次に次の二章を加える。
第四章の二 建設業者の経営に関する事項の審査
(経営に関する事項の審査)
第二十七条の二 建設大臣又は都道府県知事は、建設省令の定めるところにより、公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で建設省令で定めるものの入札に参加しようとする建設業者で建設大臣又は都道府県知事に申出をしたものにつき、経営規模その他経営に関する客観的事項の審査を行なうことができる。
2 前項の審査の項目及び基準は、中央建設業審議会の意見をきいて建設大臣が定める。
(審査の結果の通知)
第二十七条の三 建設大臣又は都道府県知事は、前条第一項の審査を受けた建設業者の請求があつたときは、当該建設業者に対して、その者に係る審査の結果を通知しなければならない。
2 建設大臣又は都道府県知事は、前条第一項の建設工事の注文者の請求があつたときは、当該注文者に対して、同項の審査の結果を通知しなければならない。
(再審査の申立)
第二十七条の四 第二十七条の二第一項の審査の結果について異議のある建設業者は、当該審査を行なつた建設大臣又は都道府県知事に対して、再審査の申立てをすることができる。
(省令への委任)
第二十七条の五 この章に規定するもののほか、第二十七条の二第一項の審査及び前条の再審査に関し必要な事項は、建設省令で定める。
第四章の三 建設業者団体
(届出)
第二十七条の六 建設業に関する調査、研究、指導等建設工事の適正な施工を確保するとともに、建設業の健全な発達を図ることを目的とする事業を行なう社団又は財団で建設省令で定めるもの(以下「建設業者団体」という。)は、建設省令の定めるところにより、建設大臣又は都道府県知事に対して、建設省令で定める事項を届け出なければならない。
(報告等)
第二十七条の七 建設大臣又は都道府県知事は、前条の届出のあつた建設業者団体に対して、建設工事の適正な施工を確保し、又は建設業の健全な発達を図るために必要な事項に関して報告を求めることができる。
第二十八条の見出し中「、勧告」を削り、同条第一項各号列記以外の部分中「指示をし、又は適当な措置をとるべきことを勧告する」を「指示をする」に改め、同条第三項中「指示をし、又は勧告する」を「指示をする」に改める。
第二十九条に次の一項を加える。
2 建設大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた建設業者で総合工事業者の登録を受けたものが次の各号の一に該当するときは、当該建設業者に係る総合工事業者の登録を取り消さなければならない。
一 第十七条の二第一項に規定する要件を欠くに至つた場合
二 不正の手段により総合工事業者の登録を受けた場合
第三十七条を次のように改める。
(専門委員)
第三十七条 建設業に関する専門の事項を調査審議させるために、中央建設業審議会に専門委員を置くことができる。
2 専門委員は、当該専門の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
3 第二十五条の三第四項、第二十五条の四及び第三十五条第二項の規定は、専門委員について準用する。
第四十条中「建設省令で定める」を「建設省令の定めるところにより、第十七条の二第一項又は第十七条の七の規定により称することができる名称その他建設省令で定める事項を記載した」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(建設業者及び建設業者団体に対する指導、助言及び勧告)
第四十条の二 建設大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた建設業者又は第二十七条の六の届出のあつた建設業者団体に対して、建設工事の適正な施工を確保し、又は建設業の健全な発達を図るために必要な指導、助言及び勧告を行なうことができる。
第四十六条第一号中「登録申請書」の下に「又は第七条の規定による書類」を加え、同条第二号中「第七条又は」を削り、「、第三項若しくは第四項」を「又は第三項から第五項まで」に改め、同条に次の一号を加える。
三 第十三条第六項の規定による届出をしなかつた者
第四十九条中第三号を第六号とし、第二号を第五号とし、第一号の次に次の三号を加える。
二 第十七条の二第一項の規定に違反して総合工事業者の登録を受けないで総合工事業者と称した者又は第十七条の七に規定する名称を称することができないにかかわらずこれらの名称を称した者
三 第十七条の三又は第十七条の四第一項の規定による書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者
四 第十七条の四の規定による書類の提出を怠つた者
別表中「電気配線工事」の下に「(電気通信工事を除く。)」を、「れんが工事」の下に「(ブロック工事を除く。)」を加え、
二十二 熱絶縁工事
二十二 熱絶縁工事
二十三 電気通信工事
二十四 ブロック工事
に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月をこえ一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過規定)
2 この法律の施行の際、現にこの法律による改正前の建設業法の定めるところにより登録を受けている建設業者の当該登録に関しては、その有効期間内は、なお、従前の例による。
3 前項の建設業者については、この法律による改正後の建設業法(以下「新法」という。)第二章の二の規定は、当該建設業者が、建設省令の定めるところにより、新法第五条第一項に規定する要件をそなえていることを証する書面を建設大臣又は都道府県知事に提出した場合に限り、適用する。
4 前項の規定により新法第二章の二の規定の適用を受ける建設業者については、附則第二項の規定にかかわらず、同項に規定する登録を新法の定めるところにより受けた登録とみなして新法の規定を適用する。
建設大臣 中村梅吉
内閣総理大臣 池田勇人