刑法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第83号
公布年月日: 昭和35年5月16日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

近年、不法な不動産侵奪行為が問題となっており、特に終戦直後の混乱期に行われたものも含め、現在も同種の行為が続いている。不法占拠には暴力等の不法手段が用いられ、権利者側も実力での権利回復を試みる傾向があり、暴力的犯罪が発生している。このような事態は不動産の安全な利用に対する国民の不安感を強め、順法精神にも悪影響を及ぼす。そこで、不動産侵奪罪に関する規定及び境界毀損罪に関する規定を新設し、これに伴う所要の改正を行うため、刑法の一部改正を提案するものである。不動産侵奪罪は不法領得の意思をもって不動産の占有を侵害する行為を処罰し、境界毀損罪は土地の境界を認識不能にする行為を処罰するものである。

参照した発言:
第34回国会 衆議院 法務委員会 第5号

審議経過

第34回国会

衆議院
(昭和35年3月1日)
(昭和35年3月3日)
(昭和35年3月4日)
(昭和35年3月17日)
参議院
(昭和35年3月17日)
衆議院
(昭和35年3月22日)
(昭和35年3月25日)
(昭和35年3月29日)
参議院
(昭和35年3月29日)
(昭和35年4月5日)
(昭和35年4月7日)
衆議院
(昭和35年4月14日)
(昭和35年4月15日)
(昭和35年4月19日)
参議院
(昭和35年4月19日)
(昭和35年4月26日)
(昭和35年5月10日)
(昭和35年5月12日)
(昭和35年5月13日)
衆議院
(昭和35年7月15日)
参議院
(昭和35年7月15日)
刑法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年五月十六日
内閣総理大臣 岸信介
法律第八十三号
刑法の一部を改正する法律
刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第三条第十三号中「第二百三十五条、第二百三十六条」を「第二百三十五条乃至第二百三十六条」に改める。
第二百三十五条の次に次の一条を加える。
第二百三十五条ノ二 他人ノ不動産ヲ侵奪シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ処ス
第二百四十三条中「第二百三十五条、第二百三十六条」を「第二百三十五条乃至第二百三十六条」に改める。
第二百四十四条第一項中「第二百三十五条ノ罪及ビ其未遂罪」を「第二百三十五条ノ罪、第二百三十五条ノ二ノ罪及ビ此等ノ罪ノ未遂罪」に改める。
第二百六十二条の次に次の一条を加える。
第二百六十二条ノ二 境界標ヲ損壊、移動若クハ除去シ又ハ其他ノ方法ヲ以テ土地ノ境界ヲ認識スルコト能ハザルニ至ラシメタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
2 罰金等臨時措置法(昭和二十三年法律第二百五十一号)第三条第一項の規定は、この法律による改正後の刑法第二百六十二条ノ二の罪につき定めた罰金についても、適用されるものとする。
法務大臣 井野碩哉
内閣総理大臣 岸信介