地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第69号
公布年月日: 昭和35年4月30日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

地方財政は近年改善が進んでいるが、さらなる健全化のため、年度間の財源調整強化、国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の財政秩序の適正化、住民の税外負担軽減、財政運営の合理化を通じた長期的な財政健全性の確保が必要である。これらの施策により地方自治の発達を図ることを目的として、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部改正を提案するものである。

参照した発言:
第34回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号

審議経過

第34回国会

衆議院
(昭和35年2月26日)
参議院
(昭和35年3月2日)
衆議院
(昭和35年3月11日)
(昭和35年3月22日)
(昭和35年3月29日)
(昭和35年4月1日)
(昭和35年4月5日)
(昭和35年4月7日)
参議院
(昭和35年4月19日)
(昭和35年4月21日)
(昭和35年4月26日)
(昭和35年4月27日)
(昭和35年5月26日)
衆議院
(昭和35年7月15日)
地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年四月三十日
内閣総理大臣 岸信介
法律第六十九号
地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律
(地方財政法の一部改正)
第一条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第四条の三を次のように改める。
(地方公共団体における年度間の財源の調整)
第四条の三 地方公共団体は、当該地方公共団体の当該年度における地方交付税の額とその算定に用いられた基準財政収入額との合算額が、当該地方交付税の算定に用いられた基準財政需要額を著しくこえることとなるとき又は当該地方公共団体の当該年度における一般財源の額(普通税、入場譲与税、特別とん譲与税、国有資産等所在市町村交付金、国有資産等所在都道府県交付金、国有提供施設等所在市町村助成交付金、公社有資産所在市町村納付金、公社有資産所在都道府県納付金、地方交付税及び臨時地方特別交付金の額の合算額をいう。以下同じ。)が当該地方公共団体の前年度における一般財源の額をこえることとなる場合において、当該超過額があらたに増加した当該地方公共団体の義務に属する経費に係る一般財源の額を著しくこえることとなるときは、その著しくこえることとなる額を、災害により生じた経費の財源若しくは災害により生じた減収をうめるための財源、前年度末までに生じた歳入欠陥をうめるための財源又は緊急に実施することが必要となつた大規模な土木その他の建設事業の経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てる場合のほか、翌年度以降における財政の健全な運営に資するため、積み立て、長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充て、又は償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てなければならない。
2 前項の規定により積み立てた金額(以下「積立金」という。)から生ずる収入は、すべて積立金に繰り入れなければならない。
3 積立金は、銀行その他の金融機関への預金、国債証券、地方債証券、政府保証債券(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)その他の証券の買入れ等の確実な方法によつて運用しなければならない。
第四条の四を第四条の五とし、第四条の三の次に次の一条を加える。
(積立金の処分)
第四条の四 積立金は、次の各号の一に掲げる場合に限り、これを処分することができる。
一 経済事情の著しい変動等により財源が著しく不足する場合において当該不足額をうめるための財源に充てるとき。
二 災害により生じた経費の財源又は災害により生じた減収をうめるための財源に充てるとき。
三 緊急に実施することが必要となつた大規模な土木その他の建設事業の経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てるとき。
四 長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充てるとき。
五 償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てるとき。
第七条第一項中「地方債の償還財源に充てなければならない」を「積み立て、又は償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てなければならない」に改め、同条第三項中「前二項」を「第一項及び前項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 第四条の三第二項及び第三項並びに第四条の四の規定は、前項の規定により積み立てた金額について準用する。
第十条の三中「地方交付税法」の下に「(昭和二十五年法律第二百十一号)」を加える。
第二十七条の次に次の二条を加える。
(都道府県が市町村に負担させてはならない経費)
第二十七条の二 都道府県又は都道府県知事は、国又は都道府県若しくは都道府県の機関が実施し、国及び都道府県がその経費を負担する道路、河川、砂防及び海岸に係る土木施設についての大規模かつ広域にわたる事業で政令で定めるものに要する経費で都道府県が負担すべきものとされているものの全部又は一部を市町村に負担させてはならない。
(市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
第二十七条の三 市町村は、法令の規定に基づき当該市町村の負担に属するものとされている経費で政令で定めるものについて、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。
第二十八条の次に次の一条を加える。
(地方公共団体相互間における経費の負担関係)
第二十八条の二 地方公共団体は、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない。
第三十三条第一項中「固定資産税を百分の二・一で課するもの」を「、固定資産税を百分の二・一の税率で課するもの」に、「昭和三十四年度において固定資産税を百分の二・一の税率で課するもの)は」を「固定資産税を百分の二・一の税率で課するものとする。以下同じ。)又は昭和三十四年度以降の当分の間の各年度において、引き続き固定資産税を百分の二・一の税率で課するものは」に、「昭和三十四年度分の減収額をうめるため、昭和三十四年度において」を「当該各年度分の減収額をうめるため、当該各年度において」に改める。
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第二条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第三条第六項を同条第七項とし、同条第五項の次に次の一項を加える。
6 自治庁長官は、前二項の規定により財政再建計画の変更について承認を求められた場合においては、当該変更に係る財政再建計画が当該財政再建団体の財政の合理的な再建の達成に支障がないと認められる限り、その行政について合理的かつ妥当な水準が維持されるよう配慮するものとする。
第二十二条に次の一項を加える。
3 前項に規定するもののほか、第三条第六項の規定は、前項において準用する同条第一項の規定により自治庁長官が財政再建計画の承認を求められた場合について準用する。
第二十三条第一項中「地方財政又は地方行政に係る制度の改正等により、地方財政の基礎が確立した年度以降の年度で政令で定める年度」を「昭和三十六年度」に、「同法同条同項第二号、第三号又は第五号」を「同法同条同項第五号」に改める。
第二十四条第二項中「国(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の規定に基き設置される機関で地方に置かれるもの及び同法第九条に規定する地方支分部局並びに裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条に規定する下級裁判所を含む。以下同じ。)」の下に「又は日本専売公社、日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本住宅公団、農地開発機械公団、日本道路公団、首都高速道路公団、労働福祉事業団、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫若しくは中小企業信用保険公庫(以下「公社等」という。)」を加え、同条ただし書中「国」を「国又は公社等」に、「移管しようとする場合」を「移管しようとする場合その他やむを得ないと認められる政令で定める場合」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第一条中地方財政法第二十七条の次に二条を加える規定は、昭和三十六年四月一日から施行する。
(適用)
2 この法律による改正後の地方財政法第七条第一項の規定は、昭和三十四年度の歳入歳出の決算上生じた剰余金から適用する。
(経過措置)
3 この法律による改正後の地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項の規定は、この法律(附則第一項ただし書に係る部分を除く。)の施行の日前においてされた公社等と地方公共団体との契約に基づいて、当該地方公共団体が寄附金等を支出する場合については、適用しない。
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 佐藤榮作
地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年四月三十日
内閣総理大臣 岸信介
法律第六十九号
地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律
(地方財政法の一部改正)
第一条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第四条の三を次のように改める。
(地方公共団体における年度間の財源の調整)
第四条の三 地方公共団体は、当該地方公共団体の当該年度における地方交付税の額とその算定に用いられた基準財政収入額との合算額が、当該地方交付税の算定に用いられた基準財政需要額を著しくこえることとなるとき又は当該地方公共団体の当該年度における一般財源の額(普通税、入場譲与税、特別とん譲与税、国有資産等所在市町村交付金、国有資産等所在都道府県交付金、国有提供施設等所在市町村助成交付金、公社有資産所在市町村納付金、公社有資産所在都道府県納付金、地方交付税及び臨時地方特別交付金の額の合算額をいう。以下同じ。)が当該地方公共団体の前年度における一般財源の額をこえることとなる場合において、当該超過額があらたに増加した当該地方公共団体の義務に属する経費に係る一般財源の額を著しくこえることとなるときは、その著しくこえることとなる額を、災害により生じた経費の財源若しくは災害により生じた減収をうめるための財源、前年度末までに生じた歳入欠陥をうめるための財源又は緊急に実施することが必要となつた大規模な土木その他の建設事業の経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てる場合のほか、翌年度以降における財政の健全な運営に資するため、積み立て、長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充て、又は償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てなければならない。
2 前項の規定により積み立てた金額(以下「積立金」という。)から生ずる収入は、すべて積立金に繰り入れなければならない。
3 積立金は、銀行その他の金融機関への預金、国債証券、地方債証券、政府保証債券(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)その他の証券の買入れ等の確実な方法によつて運用しなければならない。
第四条の四を第四条の五とし、第四条の三の次に次の一条を加える。
(積立金の処分)
第四条の四 積立金は、次の各号の一に掲げる場合に限り、これを処分することができる。
一 経済事情の著しい変動等により財源が著しく不足する場合において当該不足額をうめるための財源に充てるとき。
二 災害により生じた経費の財源又は災害により生じた減収をうめるための財源に充てるとき。
三 緊急に実施することが必要となつた大規模な土木その他の建設事業の経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てるとき。
四 長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充てるとき。
五 償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てるとき。
第七条第一項中「地方債の償還財源に充てなければならない」を「積み立て、又は償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てなければならない」に改め、同条第三項中「前二項」を「第一項及び前項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 第四条の三第二項及び第三項並びに第四条の四の規定は、前項の規定により積み立てた金額について準用する。
第十条の三中「地方交付税法」の下に「(昭和二十五年法律第二百十一号)」を加える。
第二十七条の次に次の二条を加える。
(都道府県が市町村に負担させてはならない経費)
第二十七条の二 都道府県又は都道府県知事は、国又は都道府県若しくは都道府県の機関が実施し、国及び都道府県がその経費を負担する道路、河川、砂防及び海岸に係る土木施設についての大規模かつ広域にわたる事業で政令で定めるものに要する経費で都道府県が負担すべきものとされているものの全部又は一部を市町村に負担させてはならない。
(市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
第二十七条の三 市町村は、法令の規定に基づき当該市町村の負担に属するものとされている経費で政令で定めるものについて、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。
第二十八条の次に次の一条を加える。
(地方公共団体相互間における経費の負担関係)
第二十八条の二 地方公共団体は、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない。
第三十三条第一項中「固定資産税を百分の二・一で課するもの」を「、固定資産税を百分の二・一の税率で課するもの」に、「昭和三十四年度において固定資産税を百分の二・一の税率で課するもの)は」を「固定資産税を百分の二・一の税率で課するものとする。以下同じ。)又は昭和三十四年度以降の当分の間の各年度において、引き続き固定資産税を百分の二・一の税率で課するものは」に、「昭和三十四年度分の減収額をうめるため、昭和三十四年度において」を「当該各年度分の減収額をうめるため、当該各年度において」に改める。
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第二条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第三条第六項を同条第七項とし、同条第五項の次に次の一項を加える。
6 自治庁長官は、前二項の規定により財政再建計画の変更について承認を求められた場合においては、当該変更に係る財政再建計画が当該財政再建団体の財政の合理的な再建の達成に支障がないと認められる限り、その行政について合理的かつ妥当な水準が維持されるよう配慮するものとする。
第二十二条に次の一項を加える。
3 前項に規定するもののほか、第三条第六項の規定は、前項において準用する同条第一項の規定により自治庁長官が財政再建計画の承認を求められた場合について準用する。
第二十三条第一項中「地方財政又は地方行政に係る制度の改正等により、地方財政の基礎が確立した年度以降の年度で政令で定める年度」を「昭和三十六年度」に、「同法同条同項第二号、第三号又は第五号」を「同法同条同項第五号」に改める。
第二十四条第二項中「国(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の規定に基き設置される機関で地方に置かれるもの及び同法第九条に規定する地方支分部局並びに裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条に規定する下級裁判所を含む。以下同じ。)」の下に「又は日本専売公社、日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本住宅公団、農地開発機械公団、日本道路公団、首都高速道路公団、労働福祉事業団、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫若しくは中小企業信用保険公庫(以下「公社等」という。)」を加え、同条ただし書中「国」を「国又は公社等」に、「移管しようとする場合」を「移管しようとする場合その他やむを得ないと認められる政令で定める場合」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第一条中地方財政法第二十七条の次に二条を加える規定は、昭和三十六年四月一日から施行する。
(適用)
2 この法律による改正後の地方財政法第七条第一項の規定は、昭和三十四年度の歳入歳出の決算上生じた剰余金から適用する。
(経過措置)
3 この法律による改正後の地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項の規定は、この法律(附則第一項ただし書に係る部分を除く。)の施行の日前においてされた公社等と地方公共団体との契約に基づいて、当該地方公共団体が寄附金等を支出する場合については、適用しない。
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 佐藤栄作