昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体の起債の特例等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十四年十二月四日
内閣総理大臣 岸信介
昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体の起債の特例等に関する法律
(起債の特例)
第一条 昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体のうち政令で定めるものは、次の各号に掲げる場合においては、昭和三十四年度に限り、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条の規定にかかわらず、地方債をもつてその財源とすることができる。
一 地方税、使用料、手数料その他の徴収金で命令で定めるものの当該災害のための減免であつて、その程度及び範囲が被害の状況に照らし相当と認められるものによつて生ずる財政収入の不足を補う場合
二 当該災害に係る災害救助対策、伝染病予防対策、病虫害駆除対策、救農土木対策その他これらに類する命令で定める災害対策に通常要する費用で当該地方公共団体の負担に属するものの財源とする場合
(公共土木施設等の小災害に係る地方債の元利補給)
第二条 前条に規定する災害を受けた地方公共団体が政令で定める地域(以下この条において「被災地域」という。)において施行する公共土木施設及び公立学校施設に係る災害復旧事業のうち、公共土木施設に係るものについては一箇所の工事の費用が都道府県及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の市にあつては十万円以上十五万円未満、その他の市町村にあつては五万円以上十万円未満のもの、公立学校施設に係るものについては一学校ごとの工事の費用が十万円をこえるもの(公立学校施設災害復旧費国庫負担法(昭和二十八年法律第二百四十七号)第三条の規定による国の負担のないものに限る。)の経費に充てるため発行が許可された地方債については、国は、毎年度当該年度分の元利償還金の百分の三十八・二に相当する額(被災地域のうち政令で定める特に被害の著しい地域について発行を許可された地方債については、元利償還金の三分の二に相当する額)の地方債元利補給金を当該地方公共団体に交付するものとする。
(農地等の小災害に係る地方債の元利補給)
第三条 第一条に規定する災害を受けた地域で農地その他の農林水産業施設に係る被害の著しいものを包括する市町村のうち政令で定めるもの(以下この条において「被災市町村」という。)が施行する農地その他の農林水産業施設に係る災害復旧事業のうち一箇所の工事の費用が三万円以上十万円未満のものの経費に充てるため、農地に係るものにあつては当該経費の百分の五十、その他の農林水産業施設に係るものにあつては当該経費の百分の六十五に相当する額の範囲内(被災市町村の区域のうち政令で定める特に被害の著しい地域については、当該経費の百分の九十に相当する額の範囲内)で発行が許可された地方債については、国は、毎年度当該年度分の元利償還金に相当する額の地方債元利補給金を当該市町村に交付するものとする。
(地方債の引受)
第四条 前三条の地方債は、国が資金運用部資金又は簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金をもつてその金額を引き受けるものとする。
(起債許可についての協議)
第五条 自治庁長官は、第一条の規定による地方債について地方自治法第二百五十条の規定による許可をしようとするときは、あらかじめ大蔵大臣と協議しなければならない。この場合において、当該地方債が簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金をもつて引き受けるものであるときは、あわせて郵政大臣と協議しなければならない。
(政令への委任)
第六条 第一条から第三条までの規定による地方債の利息の定率及び償還の方法並びに第二条及び第三条の規定による地方債元利補給金の交付の方法その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。