刑法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第107号
公布年月日: 昭和33年4月30日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

汚職と暴力の追放に向けた近年の犯罪傾向を踏まえ、刑法の一部改正を行うものである。改正の主な内容は、あっせん贈収賄罪に関する規定の新設と、暴力取締りのための規定の新設及び改正である。あっせん収賄罪については、公務員が請託を受けて他の公務員に不正行為をさせる、または相当の行為をさせないようにあっせんすることを対象とし、それに対する報酬をわいろとして規定する。また、国外犯も処罰対象とする。暴力取締りについては、お礼参り行為の処罰規定新設、強姦罪等の集団犯罪の非親告罪化、持凶器集合罪の新設、器物損壊罪等の非親告罪化などを行う。

参照した発言:
第28回国会 参議院 本会議 第15号

審議経過

第28回国会

参議院
(昭和33年3月19日)
衆議院
(昭和33年3月20日)
参議院
(昭和33年3月20日)
(昭和33年3月24日)
衆議院
(昭和33年3月25日)
(昭和33年3月26日)
(昭和33年3月27日)
(昭和33年3月28日)
(昭和33年4月1日)
参議院
(昭和33年4月1日)
衆議院
(昭和33年4月2日)
(昭和33年4月3日)
(昭和33年4月8日)
参議院
(昭和33年4月9日)
衆議院
(昭和33年4月11日)
(昭和33年4月15日)
参議院
(昭和33年4月15日)
(昭和33年4月16日)
(昭和33年4月17日)
(昭和33年4月18日)
(昭和33年4月19日)
(昭和33年4月21日)
衆議院
(昭和33年4月22日)
参議院
(昭和33年4月22日)
(昭和33年4月22日)
衆議院
(昭和33年4月25日)
参議院
(昭和33年4月25日)
刑法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年四月三十日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百七号
刑法の一部を改正する法律
刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第三号中「第百九十七条ノ三」を「第百九十七条ノ四」に改める。
第百五条中「本章ノ罪」を「前二条ノ罪」に改める。
第二編第七章中第百五条の次に次の一条を加える。
第百五条ノ二 自己若クハ他人ノ刑事被告事件ノ捜査若クハ審判ニ必要ナル知識ヲ有スト認メラルル者又ハ其親族ニ対シ当該事件ニ関シ故ナク面会ヲ強請シ又ハ強談威迫ノ行為ヲ為シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ二百円以下ノ罰金ニ処ス
第百八十条に次の一項を加える。
二人以上現場ニ於テ共同シテ犯シタル前四条ノ罪ニ付テハ前項ノ例ヲ用ヒズ
第百九十七条ノ四を第百九十七条ノ五とし、第百九十七条ノ三の次に次の一条を加える。
第百九十七条ノ四 公務員請託ヲ受ケ他ノ公務員ヲシテ其職務上不正ノ行為ヲ為サシメ又ハ相当ノ行為ヲ為サザラシム可ク斡旋ヲ為スコト又ハ為シタルコトノ報酬トシテ賄賂ヲ収受シ又ハ之ヲ要求若クハ約束シタルトキハ三年以下ノ懲役ニ処ス
第百九十八条に次の一項を加える。
第百九十七条ノ四ニ規定スル賄賂ヲ供与シ又ハ其申込若クハ約束ヲ為シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス
第二編第二十七章中第二百八条の次に次の一条を加える。
第二百八条ノ二 二人以上ノ者他人ノ生命、身体又ハ財産ニ対シ共同シテ害ヲ加フル目的ヲ以テ集合シタル場合ニ於テ兇器ヲ準備シ又ハ其準備アルコトヲ知テ集合シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ場合ニ於テ兇器ヲ準備シ又ハ其準備アルコトヲ知テ人ヲ集合セシメタル者ハ三年以下ノ懲役ニ処ス
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
2 この法律の施行前の行為については、なお従前の例による。
3 罰金等臨時措置法(昭和二十三年法律第二百五十一号)第三条第一項の規定は、この法律による改正後の刑法第百五条ノ二、第百九十八条第二項及び第二百八条ノ二第一項の罪につき定めた罰金についても、適用されるものとする。
法務大臣 唐澤俊樹
内閣総理大臣 岸信介
刑法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年四月三十日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百七号
刑法の一部を改正する法律
刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第三号中「第百九十七条ノ三」を「第百九十七条ノ四」に改める。
第百五条中「本章ノ罪」を「前二条ノ罪」に改める。
第二編第七章中第百五条の次に次の一条を加える。
第百五条ノ二 自己若クハ他人ノ刑事被告事件ノ捜査若クハ審判ニ必要ナル知識ヲ有スト認メラルル者又ハ其親族ニ対シ当該事件ニ関シ故ナク面会ヲ強請シ又ハ強談威迫ノ行為ヲ為シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ二百円以下ノ罰金ニ処ス
第百八十条に次の一項を加える。
二人以上現場ニ於テ共同シテ犯シタル前四条ノ罪ニ付テハ前項ノ例ヲ用ヒズ
第百九十七条ノ四を第百九十七条ノ五とし、第百九十七条ノ三の次に次の一条を加える。
第百九十七条ノ四 公務員請託ヲ受ケ他ノ公務員ヲシテ其職務上不正ノ行為ヲ為サシメ又ハ相当ノ行為ヲ為サザラシム可ク斡旋ヲ為スコト又ハ為シタルコトノ報酬トシテ賄賂ヲ収受シ又ハ之ヲ要求若クハ約束シタルトキハ三年以下ノ懲役ニ処ス
第百九十八条に次の一項を加える。
第百九十七条ノ四ニ規定スル賄賂ヲ供与シ又ハ其申込若クハ約束ヲ為シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス
第二編第二十七章中第二百八条の次に次の一条を加える。
第二百八条ノ二 二人以上ノ者他人ノ生命、身体又ハ財産ニ対シ共同シテ害ヲ加フル目的ヲ以テ集合シタル場合ニ於テ兇器ヲ準備シ又ハ其準備アルコトヲ知テ集合シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ場合ニ於テ兇器ヲ準備シ又ハ其準備アルコトヲ知テ人ヲ集合セシメタル者ハ三年以下ノ懲役ニ処ス
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
2 この法律の施行前の行為については、なお従前の例による。
3 罰金等臨時措置法(昭和二十三年法律第二百五十一号)第三条第一項の規定は、この法律による改正後の刑法第百五条ノ二、第百九十八条第二項及び第二百八条ノ二第一項の罪につき定めた罰金についても、適用されるものとする。
法務大臣 唐沢俊樹
内閣総理大臣 岸信介