輸出保険法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第九十六号
公布年月日: 昭和32年5月2日
法令の形式: 法律
輸出保険法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年五月二日
内閣総理大臣 岸信介
法律第九十六号
輸出保険法の一部を改正する法律
輸出保険法(昭和二十五年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第五章の二 海外投資保険(第十四条の二―第十四条の五)」を
第五章の二
海外投資元本保険(第十四条の二―第十四条の五)
第五章の三
海外投資利益保険(第十四条の六―第十四条の九)
に改める。
第一条の三中「及び海外投資保険」を「、海外投資元本保険及び海外投資利益保険」に改める。
第一条の七第七号中「海外投資保険」を「海外投資元本保険」に改め、同条に次の一号を加える。
八 一会計年度内に引き受ける海外投資利益保険の保険金額の総額
第五章の二の章名を次のように改める。
第五章の二 海外投資元本保険
第十四条の二中「海外投資保険」を「海外投資元本保険」に改め、同条第二項第一号中「準ずる者」の下に「(以下「外国政府等」という。)」を加え、同項第二号を次のように改める。
二 当該外国法人が戦争、革命、内乱、暴動若しくは騒乱により損害を受け、又は設備、原材料その他の物に関する権利、鉱業権、工業所有権その他の権利若しくは利益であつて事業の遂行上特に重要なもの(以下「権利等」という。)を外国政府等によつて侵害されたことにより損害を受けて解散したこと。
第十四条の二第二項第三号中「又は内乱」を「、内乱、暴動若しくは騒乱により損害を受け、又は権利等を外国政府等によつて侵害されたこと」に改め、同条に次の一項を加える。
3 海外投資元本保険の保険期間は、十年以上において政令で定める期間をこえてはならない。
第十四条の三第一項中「海外投資保険」を「海外投資元本保険」に、「百分の六十」を「百分の七十五」に改め、同項第一号中「配当として取得した金額」及び「配当として取得すべき金額」を「配当金」に改め、「多い金額」の下に「の半額」を加え、同条第二項第一号中「発生前に当該株式等に対する配当として取得した金額」を「発生前の当該株式等に対する配当金」に、「配当として取得すべき金額」を「配当金」に改め、「多い金額」の下に「の半額」を加え、同条に次の一項を加える。
3 政府は、前二項の規定にかかわらず、前条第二項各号の一に該当する事由の発生により取得した金額又は取得し得べき金額のうち左の各号の一に該当する事由により本邦に送金することができない金額(当該事由の発生前に本邦に送金し得べきであつた金額を除く。以下「送金不能額」という。)が生じたときは、前二項の規定により算定した政府がてん補すべき額のほか、その額と第一項第二号又は前項第三号に規定する金額から送金不能額を控除した残額をそれぞれ第一項第二号又は前項第三号に規定する金額とみなして前二項の規定を適用して算定した政府がてん補すべき額との差額をてん補しなければならない。
一 外国政府等による没収
二 外国政府等による管理(政令で定める期間以上の期間継続して行われたものに限る。)
三 前二号に準ずる事由であつて、政令で定めるもの
第五章の二の次に次の一章を加える。
第五章の三 海外投資利益保険
(保険契約)
第十四条の六 政府は、海外投資利益保険を引き受けることができる。
2 海外投資利益保険は、国際収支の改善に著しく寄与すると認められる海外投資を行つた者が保険契約で定める期間内における株式等に対する配当金を左の各号の一に該当する事由によつて政令で定める期間以上の期間本邦に送金することができなかつたことにより受ける損失をてん補する輸出保険とする。
一 外国において実施される為替取引の制限又は禁止
二 外国における戦争、革命又は内乱による為替取引の途絶
三 外国政府等による当該配当金の管理
四 当該配当金の送金の許可の取消又は外国政府等がその許可をすべきことをあらかじめ約していた場合においてその許可をしなかつたこと。
五 前四号の事由の発生後における外国政府等による配当金の没収
3 前項の保険契約で定める期間は、十年以上において政令で定める期間をこえてはならない。
(保険金)
第十四条の七 海外投資利益保険において政府がてん補すべき額は、前条第二項に規定する配当金のうち同項各号の一に該当する事由により同項の政令で定める期間以上の期間本邦に送金することができなかつた金額(以下「事故配当金」という。)から、左の各号に掲げる金額を控除した残額に、百分の七十五の範囲内において政令で定める割合を乗じて得た金額とする。
一 当該事由の発生により支出を要しなくなつた金額
二 当該事故配当金をもつて支出した金額
三 当該外国法人が前条第二項の政令で定める期間内に発行した株式の取得又はこれに準ずる海外投資であつて政令で定めるもののため当該事故配当金をもつて支出し得べきであつた金額
四 損失を軽減するために必要な処置を講じて回収した金額
(回収)
第十四条の八 保険金の支払を受けた者は、事故配当金の回収に努めなければならない。
(回収金の納付)
第十四条の九 保険金の支払を受けた者は、その支払の請求をした後回収した金額に支払を受けた保険金の額の第十四条の七に規定する残額に対する割合を乗じて得た金額を政府に納付しなければならない。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律の施行前に政府が引き受けた海外投資保険については、なお従前の例による。ただし、改正後の第十四条の二及び第十四条の三の規定の適用については、この限りでない。
3 政俯は、改正後の第一条の七第七号及び第八号の規定にかかわらず、昭和三十二年度に限り、海外投資元本保険の保険金額の総額及び海外投資利益保険の保険金額の総額の合計額が海外投資保険の保険金額の総額として国会の議決を経た金額をこえない範囲内で、海外投資元本保険又は海外投資利益保険の保険契約を締結することを妨げない。
大蔵大臣 池田勇人
通商産業大臣 水田三喜男
内閣総理大臣 岸信介