特定物資輸入臨時措置法
法令番号: 法律第百二十七号
公布年月日: 昭和31年6月4日
法令の形式: 法律
特定物資輸入臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十一年六月四日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第百二十七号
特定物資輸入臨時措置法
(定義)
第一条 この法律において「特定物資」とは、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)に基く輪入貿易管理令(昭和二十四年政令第四百十四号)の規定により輸入が制限されるため、本邦における需給の不均衡が著しく大となり、その輸入により通常生ずる利益をこえて異常な利益を生ずると認められる物資であつて、政令で定めるものをいう。
(特別輸入利益の納付等)
第二条 特定物資の輸入について輸入貿易管理令第九条第一項の外貨資金の割当(以下単に「外貨資金の割当」という。)を受けた者は、政令で定めるところにより、その割当の申請の際におけるその者の輸入価額に適正な利潤及び諸掛の額を加えた額と国内販売価額との差額と見積額(以下「特別輸入利益」という。)を政令で定める期日までに国庫に納付しなければならない。
2 特定物資の輸入について外貨資金の割当を受ける者は、政令で定めるところにより、担保を提供しなければならない。
3 通商産業大臣は、特定物資の輸入について外貨資金の割当を行うときは、その物資の輸入によつて生ずべき利益を適正かつ確実に納付させることができるように、その割当を行わなければならない。
(納付義務の免除)
第三条 通商産業大臣は、特定物資の輸入について外貨資金の割当を受けた者が次の各号に掲げる事故により前条第一項の政令で定める期日までに当該特定物資の全部又は一部を輸入することができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その輸入することができないと認める特定物資の価額に応じ、前条第一項の規定により納付すべき特別輸入利益の額の全部又は一部を免除することができる。
一 外国の輸出の制限又は禁止
二 外国の戦乱又は革命
三 前二号に準ずる事故であつて、政令で定めるもの
(担保の返還等)
第四条 通商産業大臣は、次に掲げる場合は、政令で定めるところにより、第二条第二項の規定により提供された担保の全部又は一部をその提供をした者に返還しなければならない。
一 第二条第一項の規定による特別輸入利益の納付があつたとき。
二 前条の規定による免除があつたとき。
2 第二条第二項の規定による担保の提供をした者が同条第一項の政令で定める期日までに特別輸入利益を納付しなかつたときは、政令で定めるところにより、当該担保(担保が金銭以外のものであるときは、その処分代金)をもつてその納付にあてるものとする。
(特別輸入利益の返還)
第五条 通商産業大臣は、特定物資の輸入について外貨資金の割当を受けた者が第二条第一項の規定による特別輸入利益の納付をした後において第三条各号に掲げる事故により当該割当に係る輸入貿易管理令第四条第一項の輸入の承認の有効期間内に当該特定物資の全部又は一部を輸入することができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その輸入することができないと認める特定物資の価額に応じ、その者が納付した特別輸入利益の全部又は一部を返還することができる。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して一月をこえない範囲内で政令で定める日から施行する。
2 この法律は、施行の日から三年を経過した日に、その効力を失う。ただし、その日前に特定物資の輸入について外貨資金の割当を受けた者については、この法律は、その日以後も、なおその効力を有する。
3 政府は、この法律の施行前に特定物資の輸入について外貨資金の割当を受けた者から寄附金を受けることができる。
4 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十四号の次に次の一号を加える。
二十四の二 特定物資の特別輸入利益を徴収すること。
第八条中第十四号を第十五号とし、第十三号の次に次の一号を加える。
十四 特定物資の特別輸入利益に関すること。
通商産業大臣 石橋湛山
内閣総理大臣 鳩山一郎