外国人登録法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第96号
公布年月日: 昭和31年5月7日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

現行の外国人登録法について、これまでの改正は形式的なものにとどまっていたが、今回は制度運用の実質的な改善を図るものである。具体的には、①登録証明書の大量切り替えに際し、市区町村の事務処理を円滑化するため、即日交付が困難な場合の交付期間指定を可能とし、指紋押捺時期の柔軟化を図る。また登録証明書の有効期間を2年から3年に延長する。②居住地変更の事前届出制度廃止や都道府県知事承認の簡略化など、地方公共団体の事務負担を軽減する。③再入国者の登録証明書取扱いや本人出頭義務の明確化など、現行規定を整備する。

参照した発言:
第24回国会 衆議院 法務委員会 第10号

審議経過

第24回国会

衆議院
(昭和31年2月20日)
参議院
(昭和31年2月21日)
衆議院
(昭和31年2月22日)
(昭和31年2月24日)
(昭和31年2月27日)
参議院
(昭和31年2月28日)
衆議院
(昭和31年3月1日)
参議院
(昭和31年4月12日)
(昭和31年4月24日)
(昭和31年4月26日)
(昭和31年4月27日)
衆議院
(昭和31年6月3日)
参議院
(昭和31年6月3日)
外国人登録法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十一年五月七日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第九十六号
外国人登録法の一部を改正する法律
外国人登録法(昭和二十七年法律第百二十五号)の一部を次のように改正する。
第三条の見出しを「(新規登録)」に改め、同条第一項を次のように改め、同条第三項中「都道府県知事」を「市町村の長」に改め、同条中第四項及び第五項を削り、第六項を第四項とする。
本邦に在留する外国人は、本邦に入つたとき(出入国管理令第二十六条の規定による再入国の許可を受けて出国した者が再入国したときを除く。)はその上陸の日から六十日以内に、本邦において外国人となつたとき又は出生その他の事由により出入国管理令第三章に規定する上陸の手続を経ることなく本邦に在留することとなつたときはそれぞれその外国人となつた日又は出生その他当該事由が生じた日から三十日以内に、その居住地の市町村(東京都の特別区の存する区域、京都市、大阪市、名古屋市、横浜市及び神戸市にあつては区。以下同じ。)の長に対し、次の各号に掲げる書類及び写真を提出し、登録の申請をしなければならない。
一 外国人登録申請書一通
二 旅券
三 写真(提出の日前六箇月以内に撮影された五センチメートル平方形又は名刺形の無帽、かつ、正面上半身のもので裏面に氏名及び出生の年月日を記入したものとする。以下同じ。)三葉
第四条の見出しを削り、同条第一項中「記載した」を削り、「を作成し」を「に登録し」に改め、同項中第二十号を次のように改め、同条第二項中「前項の登録原票を作成する場合には」を「前項の登録をした場合には」に改め、同条中第五項から第七項までを削る。
二十 市町村の長の職氏名
第五条中「前条の登録原票を作成する場合には、あわせて、」を「前条第一項の登録をした場合には、」に、「同条第一項」を「同条同項」に改め、同条に次の一項を加える。
2 前項の場合において、第三条第一項の申請に関する調査その他事務上やむを得ない理由によりその場で登録証明書を交付することができないときは、市町村の長は、法務省令で定めるところにより、書面で期間を指定して、その期間内にこれを交付することができる。
第六条の見出しを「(登録証明書の引替交付)」に改め、同条第三項を次のように改める。
3 市町村の長は、第一項の申請があつた場合において、その登録証明書が著しくき損し、又は汚損していると認めるときは、登録原票に基き新たに登録証明書を交付し、著しくき損し、又は汚損していないと認めるときは、提出された登録証明書を返還しなければならない。
第六条中第五項を削り、第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。
4 第五条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
第六条に次の一項を加える。
7 市町村の長は、第一項の申請があつた場合には、その外国人の登録原票を新たな登録原票に書き換えることができる。
第七条第一項第一号中「二通」を「一通」に改め、同項中第二号を削り、第三号を第二号とし、第四号を第三号とし、同条第三項中「都道府県知事の承認を受けて、」を「登録原票に基き」に改め、同条中第七項を削り、第六項を第七項とし、第五項を第六項とし、第四項中「前項」を「第三項」に、「、盗難又は滅失」を「又は盗難」に改め、同項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。
4 第五条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
第七条に次の一項を加える。
8 前条第七項の規定は、第一項の申請があつた場合に準用する。
第八条から第十一条までを次のように改める。
(居住地変更登録)
第八条 外国人は、居住地を変更した場合(同一の市町村の区域内で居住地を変更した場合を除く。)には、新居住地に移転した日から十四日以内に、新居住地の市町村の長に対し、居住地変更登録申請書を提出して、居住地変更の登録を申請しなければならない。
2 外国人は、同一の市町村の区域内で居住地を変更した場合には、新居住地に移転した日から十四日以内に、その市町村の長に対し、居住地変更登録申請書を提出して、居住地変更の登録を申請しなければならない。
3 外国人は、第一項又は前項の申請をする場合には、その所持する登録証明書を提出しなければならない。この場合において、市町村の長は、当該登録証明書の居住地の記載を書き換えてこれを当該外国人に返還しなければならない。
4 市町村の長は、第一項の申請があつたときは、旧居住地の市町村の長に対し、すみやかに当該外国人に係る登録原票の送付を請求しなければならない。
5 前項の規定による請求を受けた市町村の長は、請求をした市町村の長に対し、すみやかに当該外国人に係る登録原票を送付しなければならない。
6 市町村の長は、第二項の申請があつたとき、又は前項の規定による登録原票の送付を受けたときは、当該外国人に係る登録原票に居住地変更の登録をしなければならない。
7 市町村の長は、第一項又は第二項の申請の場合において、やむを得ない理由があると認めるときは、同項に定める期間を十四日を限り延長することができる。
(居住地以外の記載事項の変更登録)
第九条 外国人は、登録原票の居住地以外の記載事項に変更を生じた場合には、その変更を生じた日から十四日以内に、その居住地の市町村の長に対し、変更登録申請書及びその変更を生じたことを証する文書を提出して、その記載事項の変更の登録を申請しなければならない。
2 前条第三項及び第六項の規定は、前項の申請の場合に、同条第七項の規定は、前項の申請の期間についてそれぞれ準用する。この場合において、前条第三項中「居住地の記載」とあるのは「居住地以外の記載」と、同条第六項中「居住地変更の登録」とあるのは「居住地以外の記載事項の変更の登録」と読み替えるものとする。
(市町村又は都道府県の廃置分合等に伴う変更登録)
第十条 市町村の長は、市町村又は都道府県の廃置分合、境界変更又は名称の変更により登録原票の記載が事実に合わなくなつたときは、登録原票に変更の登録をしなければならない。
2 市町村の長は、当該市町村の区域内に居住地を有する外国人が、前項に規定する理由によりその記載が事実に合わなくなつた登録証明書を提出したときは、その記載を書き換えなければならない。
(登録証明書の切替交付)
第十一条 外国人は、第四条第一項の登録を受けた日から三年を経過する日前三十日以内に、その居住地の市町村の長に対し、次の各号に掲げる書類及び写真を提出して、登録原票の記載が事実に合つているかどうかの確認を申請しなければならない。確認を受けた日から三年を経過する日前三十日以内においても、同様とする。
一 登録事項確認申請書一通
二 旅券
三 写真三葉
2 前項の申請の場合において、十四歳に満たない者については、写真を提出することを要しない。
3 市町村の長は、第一項の確認をしたときは、登録原票に基き新たに登録証明書を交付しなければならない。
4 第五条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
5 外国人は、第三項の規定による登録証明書の交付を受ける場合には、その所持する登録証明書を市町村の長に返納しなければならない。
6 市町村の長は、第三項の規定により登録証明書を交付したときは、交付の日前に当該外国人に対して交付された登録証明書に係る第六条第三項又は第七条第三項の規定による登録証明書を交付することができない。
7 第三項の規定による登録証明書が交付されたときは、交付の日前に当該外国人に対して交付された登録証明書で紛失又は盗難に係るものは、その効力を失う。
8 外国人は、第三項の規定による登録証明書の交付を受けた場合において、前項の登録証明書を回復するに至つたときは、すみやかにその居住地の市町村の長に対し、当該登録証明書を返納しなければならない。
9 第六条第七項の規定は、第一項の申請があつた場合に準用する。
10 市町村の長は、第五項又は第八項の規定により返納を受けた登録証明書を、都道府県知事を経由して法務大臣に送付しなければならない。
第十二条第一項中「本邦を出国する場合」の下に「(出入国管理令第二十六条の規定による再入国の許可を受けて出国する場合を除く。)」を加え、同条第三項中「第十五条各号」を「第十五条第二項各号」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(再入国の許可を受けて出国する者の登録証明書)
第十二条の二 外国人は、出入国管理令第二十六条の規定による再入国の許可を受けて本邦を出国する場合には、その者が出国する出入国港において入国審査官に登録証明書を提出しなければならない。
2 入国審査官は、前項の規定による登録証明書の提出を受けたときは、当該外国人の出国前の居住地の市町村の長に対し、すみやかに当該登録証明書を送付しなければならない。
3 第一項の外国人は、本邦に再入国したときは、再入国した日から十四日以内に、出国前の居住地の市町村の長に対し、登録証明書の返還を申請しなければならない。
4 市町村の長は、前項の申請があつたときは、第二項の規定により送付を受けた登録証明書を当該外国人に返還しなければならない。
5 第二項の規定による登録証明書の送付を受けた市町村の長は、法務大臣から当該外国人に係る再入国の許可がその効力を失つた旨の通知を受けたときは、当該登録証明書を、都道府県知事を経由して法務大臣に送付しなければならない。
第十三条の見出し中「携帯」を「受領、携帯」に改め、同条第一項中「外国人は、」の下に「市町村の長が交付し、又は返還する登録証明書を受領し、」を加え、「登録証明書」を「これ」に改め、同項に次のただし書を加え、同条第四項を削る。
ただし、十四歳に満たない外国人は、登録証明書を携帯していることを要しない。
第十四条中「第十一条第二項」を「第十一条第一項」に改め、「政令で定めるところにより、」を削り、「、登録証明書交付申請書、登録証明書引替交付申請書、登録証明書再交付申請書又は指紋原紙」を「及び指紋原紙二葉」に改め、同条に後段として次のように加える。
第十五条の規定により、代理人が代つてその申請をする場合における本人についても、同様とする。
第十四条に次の三項を加える。
2 前項前段の規定による指紋は、同項に規定する申請と同時に(市町村の長が指示したときは、その申請に伴つて交付される登録証明書の受領と同時に)押すものとし、同項後段の規定による指紋は、第十五条に規定する疾病その他身体の故障が登録証明書の受領前になくなつたときは受領と同時に、登録証明書の受領までになくならなかつたときは当該疾病その他身体の故障がなくなつた後直ちに押すものとする。
3 指紋の押なつの方法、前項に規定する時期に押すことができないか又は相当でない場合における指紋の押なつの時期その他第一項の規定による指紋について必要な事項は、政令で定める。
4 第一項の規定は、十四歳に満たない外国人には、適用しない。
第十五条の見出しを「(本人の出頭義務と代理人による申請等)」に改め、同条中「申請、届出若しくは返納」を「申請若しくは登録証明書の受領、提出若しくは返納」に、「第三条第一項、第七条第一項若しくは第五項、第八条第一項、第二項若しくは第六項、第十条第一項、第十一条第二項又は第十二条第一項若しくは第二項の申請、請求、届出又は返納」を「前項に規定する申請又は登録証明書の受領、提出若しくは返納」に改め、後段として次のように加える。
外国人又は外国人であつた者が十四歳に満たない場合においては、第十二条の二第一項の規定による登録証明書の提出又は第七条第六項、第十一条第八項若しくは第十二条第一項若しくは第二項の規定による登録証明書の返納についても、同様とする。
第十五条を同条第二項とし、同条に第一項として次のように加える。
この法律に定める申請、登録証明書の受領、提出(第十二条の二第一項の規定によるものを除く。)若しくは返納(第十一条第五項の規定によるものに限る。)又は指紋の押なつは、自ら当該市町村の事務所に出頭して行わなければならない。
第十五条の次に次の一条を加える。
(事実の調査)
第十五条の二 市町村の長は、第三条第一項、第六条第一項、第七条第一項、第八条第一項、第九条第一項、第十一条第一項又は第十二条の二第三項の申請があつた場合において、申請の内容について事実に反することを疑うに足りる相当な理由があるときは、外国人登録の正確な実施を図るため、その職員に事実の調査をさせることができる。この場合において、必要があるときは、当該申請をした外国人に出頭を求めることができる。
2 前項の調査のため必要があるときは、市町村の職員は、当該申請をした外国人その他の関係人に対し質問をし、又は文書の提示を求めることができる。
3 市町村の職員は、市町村の事務所以外の場所において前項の行為をする場合には、その身分を示す証票を携帯し、当該申請をした外国人その他の関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第十六条の見出しを「(変更登録の報告)」に改め、同条第一項中「第八条第四項若しくは第七項、第九条第二項又は第十条第二項」を「第八条第六項(第九条第二項において準用する場合を含む。)又は第十条第一項」に、「登録原票の記載の書換」を「変更登録」に改め、同項及び同条第二項中「通知」を「報告」に改める。
第十七条を次のように改める。
(実施規定)
第十七条 この法律で政令に委任するものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、法務省令で定める。
第十八条第一項第一号から第三号までを次のように改める。
一 第三条第一項、第七条第一項、第八条第一項若しくは第二項、第九条第一項、第十一条第一項又は第十二条の二第三項の規定に違反してこれらの規定による申請をしないでこれらの項に規定する期間をこえて本邦に在留する者
二 第三条第一項、第七条第一項、第八条第一項若しくは第二項、第九条第一項、第十一条第一項又は第十二条の二第三項の規定による申請に関し虚偽の申請をした者
三 第三条第一項、第七条第一項、第八条第一項若しくは第二項、第九条第一項、第十一条第一項又は第十二条の二第三項の規定による申請(第十五条第二項の規定による場合の申請を含む。)を妨げた者
第十八条第一項第四号中「第三条第六項又は第十一条第五項において準用する第三条第六項」を「第三条第四項」に、同項第五号中「第六条第四項」を「第六条第五項」に、「従わなかつた者」を「従わず、又は同項の規定による命令による申請(第十五条第二項の規定による場合の申請を含む。)を妨げた者」に、同項第六号中「第七条第五項又は第十二条第一項若しくは第二項」を「第七条第六項、第十一条第五項若しくは第八項、第十二条第一項若しくは第二項又は第十二条の二第一項」に改め、同項中同号の次に次の一号を加える。
六の二 第七条第六項、第十一条第五項若しくは第八項、第十二条第一項若しくは第二項又は第十二条の二第一項の規定による登録証明書の返納又は提出(第十五条第二項の規定による場合の返納又は提出を含む。)を妨げた者
第十八条第一項第七号を次のように改め、同項第十号中「他人に」を削る。
七 第十三条第一項若しくは第二項の規定に違反して登録証明書を受領せず、これを携帯せず、若しくはその提示を拒み、又は市町村の長が交付し若しくは返還する登録証明書の受領(第十五条第二項の規定による場合の受領を含む。)を妨げた者
第十九条を次のように改める。
第十九条 第十五条第二項に規定する場合において、同項各号に掲げる者が、第三条第一項、第七条第一項、第八条第一項若しくは第二項、第九条第一項、第十一条第一項又は第十二条の二第三項の規定に違反して、これらの規定による申請をせず、第十三条第一項の規定に違反して登録証明書を受領せず、又は第七条第六項、第十一条第五項若しくは第八項、第十二条第一項若しくは第二項若しくは第十二条の二第一項の規定に違反して登録証明書の返納若しくは提出をしなかつたときは、五千円以下の過料に処する。第十二条第三項本文の規定に違反して登録証明書の返納をしなかつた者も、同様とする。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して六箇月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 この法律の施行の際現に外国人登録原票が作成されている外国人に対するこの法律による改正後の外国人登録法(以下「新法」という。)第十一条第一項の規定の適用に関しては、当該外国人がこの法律による改正前の外国人登録法(以下「旧法」という。)第三条第一項の申請をした日(当該外国人が旧法第十一条第二項の申請をしたことがある者であるときは、最後にその申請をした日)をもつて、新法第四条第一項の登録を受けた日(当該外国人が旧法第十一条第二項の申請をしたことがある者であるときは、確認を受けた日)とし、新法第十一条第一項中「三年」とあるのは「二年」とする。ただし、当該外国人がこの法律の施行後、最初に新法第十一条第一項の申請をした後は、この限りでない。
3 この法律の施行前に出入国管理令第二十六条の規定による再入国の許可を受けて本邦を出国した外国人が、この法律の施行後に本邦に入つたときは、この法律の施行後最初に本邦に入つたときに限り、再入国の許可によらないで本邦に入つたものとみなす。
法務大臣 牧野良三
内閣総理大臣 鳩山一郎