家事審判法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第91号
公布年月日: 昭和31年5月2日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

家事審判法による審判や調停で定められた家事債務の履行が、強制執行のみでは十分に保障されていない現状に対応するため、新たな履行確保制度を創設する必要がある。強制執行は近親者間の権利実現方法として強力に過ぎ、また少額債権の実行方法として実際的でないため、当事者が回避する傾向にある。そこで、家庭裁判所に①家事債務の履行状況調査と履行勧告、②履行命令と違反者への過料制裁、③金銭支払債務の寄託受付の権限を付与することで、任意の履行を促進し確保する制度を整備しようとするものである。

参照した発言:
第24回国会 衆議院 法務委員会 第3号

審議経過

第24回国会

衆議院
(昭和31年2月6日)
(昭和31年2月8日)
(昭和31年2月10日)
(昭和31年2月13日)
(昭和31年2月14日)
参議院
(昭和31年2月16日)
衆議院
(昭和31年2月17日)
(昭和31年2月17日)
参議院
(昭和31年2月21日)
(昭和31年2月23日)
(昭和31年3月1日)
(昭和31年3月12日)
(昭和31年4月18日)
(昭和31年4月20日)
衆議院
(昭和31年6月3日)
家事審判法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十一年五月二日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第九十一号
家事審判法の一部を改正する法律
家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)の一部を次のように改正する。
第十五条の次に次の三条を加える。
第十五条の二 家庭裁判所は、権利者の申出があるときは、審判で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対して、その義務の履行を勧告することができる。
第十五条の三 家庭裁判所は、審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠つた者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立により、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をなすべきことを命ずることができる。
第十五条の四 家庭裁判所は、審判で定められた金銭の支払を目的とする義務の履行について、義務者の申出があるときは、最高裁判所の定めるところにより、権利者のために金銭の寄託を受けることができる。
第二十五条の次に次の一条を加える。
第二十五条の二 家庭裁判所は、調停又は第二十四条第一項の規定による審判で定められた義務の履行について、第十五条の二から第十五条の四までの規定の例により、これらの規定に掲げる措置をすることができる。
第二十六条第二項中「前条」を「第二十五条」に改める。
第二十八条を次のように改める。
第二十八条 第十五条の三又は第二十五条の二の規定により義務の履行を命ぜられた当事者又は参加人が正当な事由がなくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、これを五千円以下の過料に処する。
調停委員会又は家庭裁判所により調停前の措置として必要な事項を命ぜられた当事者又は参加人が正当な事由がなくその措置に従わないときも、前項と同様である。
附 則
1 この法律は、昭和三十一年七月一日から施行する。
2 この法律による改正後の家事審判法は、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。
法務大臣 牧野良三
内閣総理大臣 鳩山一郎