旅行あつ旋業法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第90号
公布年月日: 昭和31年5月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

昭和27年に施行された旅行あつ旋業法は、業界の粛正に一定の効果を上げたものの、取締り規定の不十分さから不正行為や無登録業者が依然として存在している。そこで旅客保護の徹底と業界の健全な発展を図るため、以下の改正を行う。第一に、登録要件に資力信用や経験・能力の基準を追加。第二に、登録の有効期間を3年とする更新制を導入。第三に、旅行あつ旋約款の届出制を新設。第四に、職員による営業所等への立入検査権限を付与。第五に、罰則を強化し、罰金の最高額を約2倍に引き上げる。

参照した発言:
第24回国会 衆議院 運輸委員会 第18号

審議経過

第24回国会

衆議院
(昭和31年3月15日)
参議院
(昭和31年3月15日)
(昭和31年3月22日)
衆議院
(昭和31年3月23日)
参議院
(昭和31年3月27日)
(昭和31年3月28日)
衆議院
(昭和31年4月3日)
(昭和31年4月24日)
(昭和31年6月3日)
参議院
(昭和31年6月3日)
旅行あつ旋業法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十一年五月一日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第九十号
旅行あつ旋業法の一部を改正する法律
旅行あつ旋業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)の一部を次のように改正する。
第六条第一項第七号を次のように改める。
七 当該事業を遂行するに必要な旅行あつ旋に関する経験又は能力を有しない者
第六条第一項に次の一号を加える。
八 当該事業を遂行するに足る資力信用を有しない者
第六条の次に次の二条を加える。
(登録の有効期間)
第六条の二 旅行あつ旋業の登録の有効期間は、登録の日から起算して三年とする。
(有効期間の更新の登録)
第六条の三 旅行あつ旋業の登録の有効期間満了の後引き続き当該登録に係る旅行あつ旋業を営もうとする者は、運輸省令で定めるところにより、運輸大臣の行う有効期間の更新の登録を受けなければならない。
2 第五条から前条までの規定は、有効期間の更新の登録について準用する。この場合において、第五条第一項中「前条第一項各号に掲げる事項」とあるのは「有効期間の更新の旨」と読み替える。
第七条第四項中「四十日以内」を「十四日以内」に、「当該旅行あつ旋業の登録を取り消すことができる。」を「その定める七日以上の期間内にその届出をすべき旨の催告をしなければならない。」に改め、同条に次の一項を加える。
5 運輸大臣は、前項の催告をした場合において、同項の規定により定めた期間内に旅行あつ旋業者が第二項の届出をしないときは、当該旅行あつ旋業の登録を取り消すことができる。
第八条第二項中「及び第六条」を削る。
第十条第二項中「第四項」を「第五項」に改める。
第十一条中「前二条」の下に「、第十二条の四」を加える。
第十二条第一項中「旅行あつ旋業を営む者」を「旅行あつ旋業者及び第三条但書に規定する者で、登録を受けないで日本人を対象として第二条第一項第二号の行為を行う事業を営むもの(以下「旅行あつ旋業を営む者」という。)」に改め、同条の次に次の三条を加える。
(旅行あつ旋約款)
第十二条の二 旅行あつ旋業を営む者は、運輸省令で定めるところにより、旅行あつ旋約款を定め、その実施前に運輸大臣に届け出なければならない。これを変更する場合も同様とする。
2 運輸大臣は、前項の旅行あつ旋約款が旅客の正当な利益を害するおそれがあると認めるときは、旅行あつ旋業を営む者に対し、その変更を命ずることができる。
(旅行あつ旋約款の提示)
第十二条の三 旅行あつ旋業を営む者は、旅行あつ旋に関し旅客と取引をするときは、あらかじめ旅行あつ旋約款を提示しなければならない。
(標識の掲示)
第十二条の四 旅行あつ旋業者は、営業所において、運輸省令で定める様式の標識を、公衆に見易いように掲示しなければならない。
第十三条中「前条」を「第十二条」に改める。
第十五条第四項中「旅行あつ旋業の登録は、」の下に「被相続人の死亡の日に」を加える。
第十六条第三項中「第七条第三項及び第四項」を「第七条第三項から第五項まで」に改める。
第十八条第一項中「、省令で定める日から三十日以内に」を削り、同条第二項中「及び第四項」を「、第四項及び第五項」に、「四十日以内」を「十四日以内」に改め、「第十八条第一項の」を削り、「三十日以内」を「十四日以内」に改める。
第十九条第一項第二号中「第七号」を「第六号」に改め、同条同項第三号中「第五条」の下に「(第六条の三第二項において準用する場合を含む。)」を加える。
第二十条中「第七条第四項」を「登録の有効期間が満了したとき、第七条第五項」に改める。
第二十二条を次のように改める。
(登録の手数料)
第二十二条 第四条第一項の規定による登録の申請、第六条の三第一項の規定による有効期間の更新の登録の申請又は第八条第一項の規定による変更の登録の申請をする者は、二千円以下の範囲内において、政令で定める額の手数料を納めなければならない。
第二十三条中「第七条第四項(第十条第二項又は第十八条第二項において準用する場合を含む。)」を「第六条第一項(第六条の三第二項において準用する場合を含む。)」に改め、「第十二条第二項」の下に「、第十二条の二第二項」を加える。
第二十六条の見出しを「(報告徴収及び立入検査)」に改め、同条中「必要があると認めるときは」を「必要な限度において」に改め、同条に次の三項を加える。
2 運輸大臣は、第一条の目的を達成するため必要な限度において、その職員に旅行あつ旋業を営む者の営業所、事務所又は代理店に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問させることができる。
3 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
4 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第二十八条中「十万円以下」を「二十万円以下」に改め、同条第一号中「第三条第一項」を「第三条」に改める。
第二十九条中「五万円以下」を「十万円以下」に改め、同条第一号中「第三条第一項」を「第三条」に改め、同条中第四号及び第五号を削り、第六号を第四号とし、第七号を第五号とし、同条の次に次の一条を加える。
第二十九条の二 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 第十二条第一項の規定による料金の届出をしないで料金を収受し、又は届け出た料金をこえて料金を収受した者
二 第十二条第二項の規定による命令に違反した者
第三十条を次のように改める。
第三十条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第八条第一項の規定に違反して変更の登録を申請しなかつた者
二 第二十六条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三 第二十六条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し虚偽の陳述をした者
第三十一条中「従業員」を「従業者」に改める。
第三十二条を次のように改める。
第三十二条 左の各号の一に該当する者(法人である場合はその代表者)は、一万円以下の過料に処する。
一 第十二条の二第一項の規定による旅行あつ旋約款の届出をしないで旅行あつ旋を行つた者
二 第十二条の二第二項の規定による命令に違反した者
三 第十二条の四の規定に違反して標識を掲示しなかつた者
四 第十五条第一項から第三項までの規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過規定)
2 この法律の施行の際現に旅行あつ旋業者である者の登録の有効期間は、改正後の第六条の二の規定にかかわらず、この法律の施行の日から起算して六月とする。
3 この法律の施行前に営業保証金を供託すべき原因が生じた場合の供託の届出の期間及びその届出をしなかつた場合の登録の取消の手続に関しては、なお従前の例による。
4 改正後の第十二条の二及び第十二条の三の規定は、この法律の施行の際現に旅行あつ旋業を営む者については、この法律の施行後三十日間は、適用しない。
5 改正後の第十二条の四の規定は、この法律の施行の際現に旅行あつ旋業者である者については、この法律の施行後三十日間は、適用しない。
運輸大臣 吉野信次
内閣総理大臣 鳩山一郎