日本航空株式会社法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第82号
公布年月日: 昭和30年7月22日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

日本航空株式会社の経営状況において、借入金が59億円に上り、その大部分が短期借入金であるため多額の利子負担と資本的不安定性を抱えている。また、収支面でも当初からの悪条件と経験不足により、本年3月期決算で累計15億4千万円の欠損金を計上している。このため政府は、本年度も10億円の追加出資と国際路線運航に対し3億5千5百万円の補助金交付を予定している。これに対応して政府による監督強化が必要と判断し、全役員への運輸大臣認可制の拡大、社長・副社長制の設置、役員数の法定化、取締役の兼職制限などの責任体制の明確化を図るとともに、重要施設取得や事業計画等への認可要件の追加などの法改正を行うものである。

参照した発言:
第22回国会 衆議院 運輸委員会 第13号

審議経過

第22回国会

参議院
(昭和30年5月27日)
衆議院
(昭和30年5月28日)
参議院
(昭和30年5月31日)
衆議院
(昭和30年6月2日)
(昭和30年6月10日)
(昭和30年6月13日)
参議院
(昭和30年6月23日)
衆議院
(昭和30年6月24日)
(昭和30年7月8日)
(昭和30年7月12日)
参議院
(昭和30年7月14日)
(昭和30年7月15日)
(昭和30年7月30日)
衆議院
(昭和30年7月25日)
日本航空株式会社法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十年七月二十二日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第八十二号
日本航空株式会社法の一部を改正する法律
日本航空株式会社法(昭和二十八年法律第百五十四号)の一部を次のように改正する。
第四条を次のように改める。
(取締役及び監査役の人数)
第四条 会社の取締役は、十五人以内(うち、代表取締役二人)、監査役は、三人以内とする。
(社長及び副社長等)
第四条の二 会社に社長一人及び副社長一人を置き、代表取締役をもつてあてる。
2 社長は、取締役会を主宰し、その決議に基き、会社の業務を総理する。
3 副社長は、社長を補佐し、社長に事故があるときは、その職務を代理し、社長が欠けたときは、その職務を行う。
4 会社は、取締役会の決議をもつて、社長、副社長及びその他の常時会社の業務に従事する取締役を定めなければならない。
(代表取締役等の決定の決議)
第四条の三 商法第二百六十一条第一項の規定による会社の代表取締役の決定の決議及び前条第四項の規定による決議は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(社長及び副社長等の兼職制限)
第四条の四 会社の社長、副社長及びその他の常時会社の業務に従事する取締役は、他の報酬のある職務又は営業に従事してはならない。ただし、運輸大臣の承認を得たときは、この限りでない。
第八条を次のように改める。
(補助金の交付)
第八条 政府は、会社に対し、その行う国際路線における定期航空運送事業の維持発展を図るため必要があると認めるときは、予算の範囲内において、補助金を交付することができる。
第十二条中「又は担保に供し」を「若しくは担保に供し、又は有償で取得し」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(事業計画等に関する監督)
第十二条の二 会社は、毎営業年度の開始前に、運輸省令で定めるところにより、当該営業年度の事業計画、資金計画及び収支予算を運輸大臣に提出して、その認可を受けなければならない。これらを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣は、会社に対し、その業務の適正な運営を確保するため特に必要があるときは、事業計画及び資金計画の実施並びに収支予算の執行について、監督上必要な指示をすることができる。
第十三条中「及び前条」を「、第十二条及び前条第一項」に改める。
第十八条第二号中「又は担保に供した」を「若しくは担保に供し、又は取得した」に改め、同条第三号を第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。
三 第十二条の二第一項の規定に違反して、事業計画、資金計画又は収支予算を提出しなかつたとき。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律の施行の際現に存在する日本航空株式会社の取締役及び監査役の任期は、この法律の施行後最初の株主総会の終結の時までとする。
3 この法律の施行後最初の株主総会の終結の時までは、改正後の日本航空株式会社法第四条、第四条の二及び第四条の四の規定は、適用しない。
大蔵大臣 一万田尚登
運輸大臣 三木武夫
内閣総理大臣 鳩山一郎